毎週日曜日20時から、NHK総合他にて放送中の大河ドラマ「おんな城主 直虎」。
2017年10月22日、第42回「長篠に立てる柵」が放送されました。
今回のサブタイトル、「長篠に立てる柵」」の元ネタは「戦場にかける橋」でしょうね。1957年の英・米合作映画で、第30回アカデミー賞作品賞受賞です。もし、未見の方はこの機会に是非。
前回、織田信長(市川海老蔵さん)の命により、武田勝頼(奥野瑛太さん)との長篠の戦に向け、徳川家康(阿部サダヲさん)が材木を用意しなければならなくなりました。
本多正信(六角精児さん)のおかげでそのことを知った井伊万千代(菅田将暉さん)は、材木を用意して手柄を立てようと画策。
しかし、おとわ(柴咲コウさん)が家康に働きかけ、近藤康用(橋本じゅんさん)に命じる事になり、戦場へ届けました。
万千代は、長篠へ行けず、留守居を命じられるのでした。
次は「日の本一の留守居」となれるでしょうか?
前回の第41回「この玄関の片隅で」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第42回、「長篠に立てる柵」のネタバレとあらすじと感想です。
手を抜かない万千代
浜松城で留守居を命じられた家来衆には、のんびりとした空気が漂っていました。本多正信も、伊奈から呑みに誘われ、城から出ていきました。
万千代は留守居ということに、はじめこそ落ち込んでいましたが、すぐに気持ちを立て直し、より仕事がしやすいよう草履棚を新しく作り替えるなど、手を抜かず励んでいました。
そこへ小姓頭の小五郎(タモト清風さん)が、大量の壊れた弓と矢、槍の修繕を押し付けてきました。万千代は屈辱に耐えながら、小野万福(井之脇海さん)と二人で一生懸命、1本1本丁寧に磨き上げ、曲がっていれば直し、仕上げていくのでした。
どんな仕事でもチャンスと思い、ぶつかっていく万千代。見習いたいものです。
長篠の柵
長篠の近くの設楽原に着陣した徳川軍。織田は援軍のはずなのに、主導権を握って戦を進めていく事に、大久保忠世(渡辺哲さん)は不満を抱えていました。
先に到着していた石川数正(中村織央さん)は、家康たちを出迎え、「長篠も落城寸前なので急がねばという織田様の意見も正しい。」と大久保に説明します。
家康たちは、既に参陣していた織田信長の家臣、佐久間信盛(坂西良太さん)から、策が告げられます。
「此度の戦は、主に鉄砲を用いたいと存じます。」と佐久間が言うと、信長は鉄砲を持って立ち上がります。
「徳川が未だ武田に勝てぬのは、そなたがいつまでも武田と同じやり方で戦おうとするからじゃ。ならば向こうをこちらの望む戦場へ引きずり込んでしまうが、良いと思うが。」と家康に近づいてきて鉄砲を1発撃ちました。家康は驚きの表情を隠さず恐れるのでした。
織田との軍議を終えた後、本多忠勝(高嶋政宏さん)は「よう練られた策だった。」と感心の言葉を述べます。大久保は「あくまで織田は助太刀。何もかも決められては面目が立たない。」と憤慨しますが、本多忠勝が静かにたしなめます。
「あまたの援軍、優れた策。道具立てだけ見れば、怒る筋合いがない。今、何より大事なのは、長篠を武田から救う事。此度は素直に従って、そのうち我らが織田に同じ事をしてやろうぞ。それでどうじゃ。」忠勝が言うと、大久保は黙りました。
長篠の戦場では、中野直之(矢本悠馬さん)と奥山六左衛門(田中美央さん)の二人が、柵作りの普請を、近藤方の兵として行っていました。
「堂々と普請をしていて武田に見つからないか。」と心配を口にする六左衛門に、「山が目隠しとなって、全ては見えないだろう。放っておいては、背後を突かれるかもしれないが、ぬかるんでいて、武田の騎馬武者にとっては難儀。攻めこむか、攻め込まぬか、大いに悩む場所であろう。」と話していました。
そこへ、丸太が200本足らないという話が聞こえてきます。直之は「今から即座に切りに参っては。」と木の切り出しを得意とする六左衛門を紹介し、「私どもで間に合わせましょう。」と申し出て、許可を得ます。六左衛門は「勝手なことをして。」と怯えます。
直之は「柵を立てるのは我ら。何の障りがあろうか。」と気にも留めていませんでした。
石川数正は、家康に「私共岡崎が、もう少しうまくやっておれば、大久保殿を怒らせる事もなかったものを。」と謝ります。
家康は「むしろあれほどの助けを受けられた事。礼を言いこそすれ、謝られる節などない。岡崎には徳姫もおるし、気遣いをせねばならぬ事が山のようにあろう。」と逆に礼を言うのでした。
そこへ信康が現れ、二人は久しぶりにゆっくりと碁を打って親子の時間を過ごします。
信康は、信長から茶碗を授けられようとして、「本当に手柄を立てた者に渡して欲しい。」と断ったと家康に報告します。家康は見事な対応に感心しながらも微妙な顔を浮かべます。
信康の聡明な態度に「徳川も安泰だ。」と言いつつ、信長も少し引っかかったところがあった様子でした。信康は気づく事がありませんでした。
これがのちの悲劇につながる、伏線となるのでしょうか?
信長と信康。舅と婿の関係に少し暗雲が立ち込めてきた事を暗示しているのでしょう。
褒美の茶碗
信長の命による大規模な普請がいよいよ完成。それを受け、酒井忠次(みのすけさん)率いる別動隊が、長篠城を取り囲む武田勝頼の軍を、闇夜に背後から奇襲しました。
「これは罠だ。決して乗せられてはなりませぬ。」と忠告する山県昌景(山本龍二さん)に、若い勝頼は従う事なく、織田、徳川の大軍が待ち受ける設楽原へ突撃していくのでした。
そこへ柵の内側から放たれた鉄砲が次々と襲い、銃声に馬は混乱、弾も命中し、兵は次々と倒れていきました。
兵が柵に到達しても、柵が高く、馬は立ち止まり、柵の前で釘付けとなって、ただ鉄砲に撃たれていくのでした。
武田赤備えの核となる将、山県昌景を討ち取るなど、信長の立てた策は絶大な戦果を上げ、長篠は織田、徳川軍の大勝利に終わりました。
直之と六左衛門も他の兵と一緒に、祝杯を上げていたところ、織田信長に呼び出されます。
二人は震えて信長と初対面を果たします。
信長は、柵の為に丸太を揃えた二人の功をねぎらい、茶碗をくれたのでした。信康に渡そうとしたあの茶碗でした。
近藤は、「徳川の頭を通り越して褒美を賜るなど、滅相もない。」と言って、おとわを通じて龍潭寺に寄進すると言います。おとわは城ひとつと匹敵する高価な茶碗と知らず、雑に扱います。価値を知ったおとわは、驚いて茶碗から手を離してしまいました。
床に落ちる寸前に、直之がナイスキャッチして事なきを得ましたが、慌てたからか、おとわはつい、殿時代の言葉使いをしてしまいます。近藤に「なにゆえ寄進したいというのじゃ、いえ、御寄進なさると。」と言い直したりしていました。
久しぶりに直之と六左衛門と三人でのやりとりに、ボロが出てしまいましたね。懐かしかったです。
おとわは、近藤家中の戦死者が居なかったと聞いて安堵しましたが、傑山(市川隼人さん)と長篠へ出向き、戦死者へ読経をするのでした。
手柄を小姓頭に持っていかれる
万千代と万福が武具の修繕を続けていたところ、長篠の大勝利の勢いで、遠江の武田の城に攻め入る為、出来上がっている物を全て持ってくるようにとの命が下ります。
万千代は、手柄を認められるチャンスと喜びます。
武具が次々と運び込まれ、都築は「これ程に蓄えがあったか。」と数の多さに驚きます。
「かような事もあろうかと昼夜を徹し。」と小五郎が手柄を横取りして、自分がやったかのように報告をします。しかも小五郎は「それがしも陣中にお届けしたいと存じます。」と言っていました。
万千代が兵糧を運んできたところに、その場面に出くわし憤慨。「私もお連れ下され。これらの武具を直したは、私にございます。」と割って入ります。都築が小五郎に確認すると、「少々手伝ってもらいました。」と小五郎はぬけぬけと言います。
「違います!これらは全て私と万福が!」と万千代が言うも、小五郎は「井伊殿、気持ちは分かるが、偽りはよくないぞ。今川の、しかも潰れた家の子。
何から何まで己の働きとし、お目に留まりたいのはよう分かるが。その名で奉公できるのも、殿のお情けがあってこそ。
それだけでもあり難き話とわきまえなさった方が、よろしいのではないか。」と言うと、さっさと武具を運んでいきました。
怒りに耐えかねて、万千代が追いかけようとしたところを、正信が羽交い絞めにして止めます。「おやめなされ。言っても無駄にございます。あれは酒井の一門。立場が悪くなるだけにございます。」と言うと、万千代は叫び声をあげ、正信を殴ってしまいます。
草履番の部屋に戻り、正信の腫れ上がった目元を冷やしながら、万福は代わりに正信に謝ります。背を向けて黙っていた万千代も、姿勢を直し正面を向いて「すまぬ!」と謝ります。
「いやいや、お気持ちは分かります。誰よりも真面目にやられておられました。
誰も見ておらぬところで地味な役目を文句一つ言わず。偉うございますよ。」と正信は言います。
「さような美しい話ではない。俺には何の後ろ盾もないし。ならば、人の倍やらねばと思うておるだけで。その足元を見透かされ、すくわれたというだけじゃ!」と言い放ちます。
「向こうが、徳川での権勢を誇る家の子を強みとしてくるなら、こちらは今川の国衆の、しかも潰れた家の子である事を、強みとしてはいかがですか。
あれは、潰れた家の子にしか出来ぬ!さすがは潰れた家の子!いやあっぱれ!そう言わせるのです。」正信が言うと、万福が「面白いのう、ノブは。」と言います。
「そんなもの。強みにならない。」万千代は言いますが、正信は「そうとも限らない。」と満面の笑みです。
「それではノブは、さすがは裏切り者と、言わせる働きをするというのか!」と万千代が言うと正信から笑みが消え、万福は息をのみます。
が、次の瞬間「勿論、そのつもりにございます。」と野心に満ちた目に変わりました。
「裏切り者、恥知らず。だからこそ出来る働きを、いずれお目にかけるつもり。」と万千代を睨みます。目を見張る万千代。
するとまたニコッと表情を変えて「つもり、に過ぎませぬがの!」と笑い出した正信です。
信じられないといった表情の万千代。
万福は「しかし、井伊の殿がまさにしておられる事ではないですか!潰れた家を利用するというのは。直久が言うておったではないですか。
家が潰れたことを逆手に取り、井伊を治めていると。」と言います。
「今すぐには無理かもしれませぬが、いつか必ず、時は来ます。殿がかようにはみ出し者の私どもを迎え入れたのには、必ず意味があります。
殿を信じ、その時が来るのを待ち、バッと前に出るのです!あの方は、頼りのう見えますが、信じてよいお方ですよ。」正信は言います。
万千代には「殿を信じる。」という言葉が残り、表情も変わっていくのでした。
家康の眼力
しばらくして、各地転戦を重ねてきた家康たちが浜松に戻ってきました。玄関先で草履を脱がせてもらっている時に、家康は、脇にあった新しい草履棚に目を向けました。
その晩、祝宴が始まりました。家康は早めに寝ると言ってその場にはおらず、寝所にいました。榊原康政(尾美としのりさん)は、「急ぎ、殿の寝所へ。粗相のないようにな。着物も汚れすぎじゃ。取り替えるよう。」と万千代に言います。
万千代は家康の寝所に、着替えて来いと言う指示に、家康に男の趣味はないと聞いているが…と色々と勘繰ります。
正信は「万千代様は顔だけはお可愛らしいから、趣味が変わっても不思議ではない。」と言います。
万千代は、部屋に戻り決心し、新しい褌をして着物も井伊であつらえてもらった綺麗なものに着替え、意気込んで家康の寝所へ向かいました。
家康の寝所のふすまを開けると一番に布団が見えて、万千代は覚悟しながら家康の側へ寄っていきます。
「それがしは、かような契りを結んだ事はございませぬゆえ。」と緊張した面持ちで万千代が言います。「何の契りじゃ。」家康は言うと、万千代の態度のおかしさに気づきます。
家康は大笑いをし、「おぬし!ゆえにさようにめかし込み!」と言うと、また笑います。
「違うのでございますか?」万千代は聞きます。家康はただ笑います。
万千代は「榊原様に着替えるよう言われました。」と言い訳すると、「あまりに汚れていたからでは?」と家康はなおも笑うのでした。
ひとしきり笑うと家康は「あの槍弓を整えたは、そなたと万福か。」と万千代に聞きます。
驚く万千代。
「いつもより随分と細かく手入れされておったゆえ。弓や槍は磨き込まれ、矢は寸分の狂いもなく真っすぐに。新しくあつらえたのかと言う者もおった。
小五郎がやったと言うておったが、以前はさようではなかったゆえ。新しく入った者がやったのではないかと思うてな。草履棚も様変わりしておったし。
そなたの事じゃ、日の本一の留守居と言われたら、日の本一の留守居を本気でやろうと思うたのではないか?」と家康が言うと、万千代は感激のあまり言葉が出てきません。涙を溜め、目を伏せます。
「誰も、気付いてなど下さらぬと…。取り乱し失礼致しました。」万千代は涙が出るのを必死にこらえ、気持ちを立て直します。
家康は饅頭を食べながらその様子を見て、「いっそ、まこと色小姓としてしまう手もあるか。」と言うと、目の前の碁盤をはねのけ、万千代に擦り寄ります。
万千代は思わず逃げます。「何じゃ、その素振りは。」家康は少し怒り、万千代は逃げるのをやめます。「ここは一つ、まことそういう事にしてしまわぬか?」と万千代の耳元でささやくのでした。
外は雷が鳴るほどの豪雨が降っていました。竜宮小僧が石を投げます。それに気づいた、瀬戸村の甚兵衛(山本學さん)が、庭先に出てきて水が大量に流れ込むのを発見しました。
今回はここで「続く」です。
竜宮小僧は新井美羽ちゃんでしょうか?
家康は正信が言う通り、信じても良い人物に描かれていますね。
菅田将暉さんの、感動して涙をこらえるシーンは、気持ちがすごく伝わってきて、こちらも泣いてしましました。家康の事を信じようと、心が移り変わるのが見えてくるようでした。
万千代が、本当に家康と契りを結んだのかどうかも気になります。
次回、第43回「恩賞の彼方に」です。
予告では、万千代と小姓たちのいざこざもあるようです。