井伊家唯一の男子である虎松が成人するまで国を守ることを決意し、おんな領主となった直虎。
井伊の国は今川の支配下、さらに北に武田、東に北条、西に松平と大国に囲まれ、どう生き残るか、大変な舵取りを迫られています。
領国の民を富ませ、かつ戦に負けぬ為に、直虎はどのような采配を振るうのでしょうか?
2017年5月14日放送、第19回のサブタイトルは「罪と罰」。これは、言わずと知れたドストエフスキーの名作文学の「罪と罰」と全く同じサブタイトルです。なんのひねりもないので、あれ?って感じですが、はたして、どんな「罪」があり、どんな「罰」があるのでしょうか?
前回の第18回「あるいは裏切りという名の鶴」を見逃した方は、是非、こちらをご覧下さい。
盗まれた木
今川からの目付・近藤康用(橋本じゅんさん)が井伊の屋敷を訪れます。
「実は井伊の者が我が領内に勝手に入り、木を盗んだとの訴えがござります。つきましては盗人をお引き渡したく存ずる!」と訴える近藤。
井伊谷には最近やってきた民が多く、その者ではないかと疑っていたのでした。直虎は「やったのは近藤の者ではないのか」と突っぱね、山狩りで犯人探しをします。
近藤は、井伊谷三人衆と呼ばれる今川からの目付の1人。近藤はもみあげの逆巻く、逞しい容姿の男です。性格もまっすぐで短気な性質。ど直球な直虎とガツンとぶつかりあいました。
揺れる今川家
駿府では、井伊家の家臣でもある商人の瀬戸方久(ムロツヨシさん)が、種子島製作が遅いことを今川氏真(尾上松也さん)になじられます。
小野政次(高橋一生さん)と一緒に平謝りです。
氏真の機嫌が悪いのは、武田との交渉がうまくいっていなから…。戦乱の世、氏真はどのように国を動かすのでしょう。
盗人への罰
盗人は見つからず、山狩りはもう3日も続いています。
傑山(市原隼人さん)と一緒に、山狩りをする中野直之(矢本悠馬さん)を尋ねる直虎。そこで近藤方と賊が争うところを目撃します。
傑山の弓矢で追い詰めると、そこにいたのはなんと、直虎が2度も助言をもらった旅の男(柳楽優弥さん)でした。牢に入れられながらも、にやにやと不敵な賊の男。明日にも打ち首になるかも知れないのに不思議な態度です。
さて、サブタイトルの「罪と罰」です。今回のサブタイトルはそのまま、ドストエフスキーの有名な小説のタイトルでした。これから盗人への「罰」をどうするかという話になります。
直之は「盗人は打ち首が当節の習わし」と言い、政次も「打ち首になさるが相応しいかと。」と。当然打ち首にしないと、近藤にも示しがつかない状態ですが、直虎は「打ち首にはせぬ」と主張します。
不思議に思った政次は「何故、殿はあのような可笑しなことを言い出されておられるのか?」と奥山六左衛門(田中美央さん)に詰め寄ります。16話のシーンを思い出します…。六左はあっという間に「殿はお知り合いのようでございます」と、しゃべってしまいます。六左が出てくると、ほっとするというか和みますね。武闘派の直之と、穏やかな六左。対象的な家臣です。
直虎は、2度も助言をもらい、悪い人ではないと思っていた男を、打ち首にしたくない様子。
しかし、直之と政次は賊の男を近藤に引き渡す計画を立てますが、気づいた直虎は怒って政次の屋敷に乗り込みます。
ちなみに政次の屋敷では、家臣たちも政次と同じように月代にして髷を結っていました。直虎の家臣たちは総髪といって、後ろで結んだだけ。この時代はどちらもありで自由なのですが、主人の趣向や家風などによって家臣も髪型を揃えるのでしょうか。
直虎は、私はおなごだ、血はもう見飽きた。血を流さずに済む方法があるのなら、そちらを選ぶべきだ!と力説します。直虎らしい、そして女性らしい考えから、打ち首を避けたいようです。
政次も「では、おれからも言わせてもらう」「殿が今守らねばならぬものは何だ」と反論します。一人称が「おれ」になっているのは珍しい。よっぽどの思いなのでしょう。
牢破り
直虎と政次が言い争うところに、直之が入り「あの男が!」と報告します。
なんと隠し持っていた眠り薬で見張りを眠らせ、その隙に牢を破って逃げ出したのです。直虎は地団駄を踏んで「我が阿呆みたいではないか!」と悔しがります。
まさかの結論で、盗人への罰どころではなくなってしまいました。この賊の男、またの登場はあるのでしょうか?
そして、駿府に武田の使者が到着します。
武田義信の廃嫡が決定し、氏真の妹で義信の妻・鈴とは離縁する、との知らせでした。いよいよ混乱する今川家…今後どうなるのでしょうか?
今後の井伊家はいかに?
今川と武田の同盟が崩れた今、どう動くか考える直虎のところに、予想外の知らせが届きます。
なんと、直親の娘と名乗る女性が寺に尋ねてきたというのです。
次回「第三の女」、戦乱の世の動きを睨みつつ、井伊家のびっくり騒動はどんな展開になるのでしょうか?