吉高由里子さん主演、大石静さん脚本の2024年大河ドラマ、「光る君へ」。
「世界最古の女性文学」と呼ばれる『源氏物語』の作者・紫式部の波乱の生涯を描く物語です。
光源氏のモデルの1人と言われる藤原道長を柄本佑さんが演じます。
千年を超えるベストセラー『源氏物語』を書きあげた紫式部の、秘めた思いと一途な思いを胸に懸命に世を生きた女性の物語。
こちらでは、大河ドラマ「光る君へ」のあらすじ、ネタバレ、感想をお届けします。
さて、第31回「月の下で」では、まひろ宅に突然道長がやってきます。
道長はまひろに彰子のために新しい物語を書いて欲しいと依頼します。
悩んだ末、引き受けたまひろですが、道長の真意は別の所にあるようで…。
一体どんな裏が隠されているのか、気になりますね。
前回のあらすじ
寛弘元年、都が酷い干ばつに襲われました。
陰陽寮も帝も必死に雨ごいの儀式を行いましたが、成果は上がりません。
道長(柄本佑さん)は、引退した安倍晴明(ユースケ・サンタマリアさん)に雨ごいの儀式を頼み込みます。
しかし、晴明の返事は否。
道長は自分の寿命10年と引き換えに儀式を頼み込みます。
道長の依頼を引き受けた晴明は、瀕死の状態になりながら儀式に成功。
都に平穏が戻りました。
この頃、まひろ(吉高由里子さん)は四条宮で女房達に和歌を教えていました。
そこで、内裏で清少納言の枕草子が大評判と聞きました。
しかし、女房の1人、あかね(泉里香さん)はそれをつまらないと言い、女房達もまひろの書く物語の方が面白いと口々に言うのでした。
まひろの娘・賢子は為時(岸谷五朗さん)に良く懐いていますが、教育に厳しいまひろには反発しています。
まひろは上手くいかない親子関係に悩んでいました。
中宮・彰子(見上愛さん)の所に帝(塩野瑛久さん)が頻繁にやってきますが、それは定子の忘れ形見・敦康親王と遊ぶため。
全く彰子に関心を示さない帝に、彰子の母・倫子(黒木華さん)も悩みます。
そこで、命を差し出す覚悟をして、帝に彰子の目に入って欲しいと直訴したのです。
大変な不敬を働いた倫子に怒りを覚える道長。
倫子は、自分の気持ちをわかってくれない道長を悲し気に見るのでした。
どうしたら帝の気を彰子に向けることができるのか、考える道長たち。
公任(町田啓太さん)は、道長に面白い物語を書く女房がいるとまひろの名を上げました。
物語を好む帝の気を引くために、枕草子より面白い物語を書く人物を探していたのです。
その頃、物語ばかり書いて、自分と遊んでくれない母に賢子は不満を持っていました。
夜、まひろが部屋を出た隙にまひろの物語に火をつけた賢子。
火はすぐに消されましたが、まひろの物語は灰になってしまいました。
まひろは賢子を厳しく叱ります。
激しく泣く賢子を為時が庇い、まひろを宥めるのでした。
失意のまひろでしたが、翌日からまた物語を一心不乱に書き始めます。
そんな時、道長が突然まひろを訪ねてやって来たのです。
前回、第30回「つながる言の葉」を見逃した方はぜひこちらをどうぞ。
それでは、第31回「月の下で」のあらすじと感想です。
道長の依頼
いきなりまひろを訪ねてきた道長。
まひろは道長に世話になっている父について、礼を述べました。
道長は、公任の家でまひろが和歌を教えており、勉学の後にまひろが語るかささぎ語りが面白いと評判だと聞いたと言います。
そして、そのかささぎ語りを読ませて欲しい、面白ければ彰子に献上したいと言うのです。
しかし、かささぎ語りは賢子に燃やされてしまいました。
ならばそれを思い出し、もう一度書いて欲しいと依頼するのですが、まひろは燃えたということは後世に残すものではないということと断ります。
ならば、彰子に新しい物語を書いて欲しいと道長は訴えます。
政治のために嫁がせた娘であるが、帝からのお召しもなくお渡りもない娘が不憫でならない、少しでも慰めたい、と訴えたのです。
道長の役には立ちたいけれど、そうやすやすと新しい物語はかけない、とまひろは戸惑います。
どうか力を貸して欲しいと訴えられ、まひろは逡巡するのでした。
模索するまひろ
寛弘元(1004)年、この年の秋、斉信(金田哲さん)が従二位に叙されました。
一歳年上の公任(町田啓太さん)を追い抜いて出世しました。
公任の邸に斉信がやってきました。
斉信は、若き日よりこの邸には来ていたから、案内などいらない、と公任の部屋までやってきました。
いつまで拗ねているのか、という斉信。
公任は、和歌や漢詩を学びなおしていただけ、本来の道に戻ろうとしているだけだ、と言います。
政で一番になれないなら、歌の道で一番になろうというのです。
斉信は、道長は中宮大夫を務めて従二位になった、自分もたまたま同じように出世しただけだ、と言い募ります。
公任は、斉信を中宮大夫にしたのは道長、自分の娘を斉信に託したのだと切り返すのです。
斉信は公任を宥め、内裏に公任がいないと調子が出ない、出仕して欲しいと頼みます。
公任は、誰かに頼まれたのかと問い質しますが、斉信は自分の気持ちだ、と訴えたのです。
そこに実資(秋山竜次さん)が訪ねてきました。
実資は、斉信と全く同じ台詞を言い、公任を内裏に出仕させようとしました。
茶番のようなやり取りに業を煮やした公任は、会いに行くなら今ですぞ、と実資を追い出します。
もうすぐ学びの会が始まります故、と促したのです。
実資はその声に押され、退出しました。
実資は四条宮の女房と逢瀬を重ねていたのです。
まひろは学びの会の後、あかねに枕草子について教えて欲しいと頼みました。
あかねは、枕草子は気が利いていると思うけれど、艶めかしかが足りない、人肌のぬくもりがない、巧みだなと思うだけで、惹かれなかったというのです。
あかねの言葉を聞いたまひろは、あかねから枕草子を借り、家に戻りました。
帰る道すがら、ききょうとのやり取りを思い出しました。
まひろは定子の影の部分が知りたいと願いましたが、ききょうは定子に影などない、華やかな姿だけを覚えていて欲しい、とあえてそういう部分を省略していたのでした。
道長の夫婦生活
ある日、内裏の彰子のもとに行った道長。
道長は彰子に不便はないか、と尋ねます。
彰子は道長に、父と母はどうかしたのか、と尋ねますが、心配するようなことは何もない、と道長は彰子を安心させるように言葉をかけるのです。
しかし土御門殿に戻っても、倫子との仲はギクシャクしています。
倫子はいつも通りの道長を悲しそうに見送ります。
ある夜、高松殿で明子(瀧内久美さん)と夜を過ごしていた道長。
明子は道長の嫡男が元服の折、正五位下に叙せられたことを言い、自分の2人の息子にも頼道に負けない地位が欲しいと訴えます。
自分は醍醐天皇の孫、ただの嫡妻と妾とは違う、と主張したのです。
道長は、倫子の家には世話になっており、土御門殿には財もある、それがどれだけ自分を後押ししてくれたかわからない、と言うのです。
明子は、自分には血筋以外何もないというのか、と声を荒げます。
道長は明子を宥め、内裏で子供同士が競い合うようなことは避けなければならない、明子が争うような姿を見せれば、子供たちもそういう気持ちになってしまう、気を付けよ、と諭します。
しかし明子はそんな道長を拒絶しました。
すると道長は徐に立ち上がり、帰るそぶりを見せました。
明子は道長に縋りつき謝罪するのですが、道長は又来るから、と明子の願いを退けました。
以来、道長は土御門殿にも高松殿にも帰らず、内裏に泊まる日が多くなりました。
着想を得るまひろ
ある夜、まひろは惟規(高杉真宙さん)に自分らしさは何か、と尋ねます。
惟規は、嫌なことはすぐに忘れる所だと言います。
ならば、まひろらしさとは何か、と尋ねると、惟規は少し考えた後、そういうことをグダグダ考えることがまひろらしい、そういうややこしいところ、根が暗くてうっとおしいところ、と言うのです。
その言葉を聞いたまひろは何かを感じ取ったのです。
徐に立ち上がると、何かを考えながら部屋へと戻りました。
翌日、まひろは道長に中宮を慰めるための物語を書こうと思う、ついてはそれにふさわしい紙が欲しいと文を送りました。
それに応えた道長は、まひろが好んだ越前の紙を大量に持ってきました。
まひろは、道長が自分の言葉を覚えていて、越前の紙を贈ってくれたことに喜び、中宮を慰められるよう精一杯面白いものを書く、と意気込みました。
道長は、まひろが初めて自分の願いを叶えてくれたことに喜び、嬉し気に笑うのでした。
まひろは美しい紙にどんどん書き進めます。
そしてできた物語を道長に見せました。
時折、軽く笑いながら読む道長。
いいではないか、というのですが、まひろは納得しません。
どこが良かったのかと聞くと、道長は「飽きずに楽しく読めた」と答えます。
まひろは、軽く笑うと、「楽しいだけでございますよね」と言います。
本当にこれで中宮を慰められるのか、と訝しむまひろ。
道長が笑っているのを見て、何か違うと思った、と言うのです。
何を言っているのかわからないが、これで十分面白い、明るくて良い、と言う道長。
まひろは、中宮もそう思うだろうか、と疑問を持ちます。
中宮が読むのですよね、と確認すると道長の目が泳ぎました。
何か真意があるのか、と問い詰めると道長は白状しました。
これは彰子ではなく、帝に献上するつもりだった、と道長は言います。
枕草子に捕らわれ、いつまでも中宮に解き放たれない帝に枕草子を超える書物を献上し、そして彰子に目を向けさせたい、と白状したのです。
しかし、それを正直に言えば、自分を政の道具にするのかとまひろは怒っただろう、と道長は言い訳をします。
道長の考えを聞いたまひろは、少し考えた後、帝に献上する物語を書きたい、だから帝のことを何でもいいから話して欲しい、と訴えました。
道長が見た、帝の姿を、何でもいい、帝の人柄、若き日のこと、女院とのこと、皇后とのこと。
どこから話せばいいのか、という道長に、まひろはどこからでもいい、思いついたことをそのまま話して欲しい、と頼んだのでした。
長い時間をかけて、帝のことを話した道長。
まひろは真剣に道長の話に耳を傾けたのです。
最後に、自分もどうしたらいいのかわからなかったのだ、と言った道長に、帝も人だったということなのですね、とまひろは答えました。
かつて、父とのことも道長とのことも、あれもこれも思っていることとやっていることが相反していた時、それは人だからだ、と宣孝に言われたことがある、帝の乱心も人だからだろう、道長が知らないところで帝も苦しんでいたのだろう、とまひろは推察しました。
それを表に出されないのも、人だからか、と道長は呟きました。
人とは、何なのだろうか、とまひろは呟くのでした。
夜になり、帰ることになった道長は、帝のことを話すつもりで、我が家の恥を晒してしまった、と語ります。
我が家は下の下だ、呆れただろう、と道長が言うと、まひろは、帝も道長も皆、苦しいのですね、と答えます。
この話がまひろの役に立てばいい、という道長。
まひろは目を伏せ逸らしながら、月を見上げました。
まひろは月を見上げて「綺麗な月、人はなぜ月を見上げるのでしょう」と呟きます。
道長も月を見上げながら「なぜであろうな」と答えます。
「かぐや姫は月に帰っていきましたけれど、もしかしたら月にも人がいて、こちらを見ているのやもしれません。それゆえ、こちらも見上げたくなるのやも」と言います。
道長はまひろを見つめ「相変わらずお前はおかしなことを申す」と言います。
まひろも道長を見つめながら「おかしきことこそ、めでたけれでございます。直秀が言っておりました」と笑いました。
道長は、直秀も月にいるのかもしれない、と月を見上げました。
誰かが、今、自分の見ている月を一緒に見ていると願いながら、そういう思いで自分は月を見上げてきた、皆、そういう思いで月を見上げているのかもしれない、と思いを吐露した道長。
そしてまひろに目を向けます。
その視線に気づいたまひろと長く見つめ合っていましたが、何かに迷ったように目を逸らすと、もう帰らねば、と道長は帰っていったのでした。
翌日、まひろは道長の期待に応えようと、家の中を歩き回り思考を続けました。
家の者たちは心配しますが、為時は放っておいてやろう、とまひろを見守ります。
そして、新たな紙を取り出し、まひろは考えます。
その時、まひろの頭にたくさんの紙が降り注ぎました。
ついに帝へ捧げる物語の構想を思いついたのです。
そして書きあがった物語を道長に見せました。
道長は、「これは…」と戸惑いを見せます。
これはかえって帝の御機嫌を損ねるのではないか、と迷います。
まひろは、自分にできる精一杯、これで満足してもらわなければ自分の仕事はここまで、どうか、帝に奉ってくださいませ、と頭を下げたのでした。
そこに賢子がやってきました。
まひろは道長に挨拶をと促します。
道長は賢子に年を尋ね、自分の膝に引き寄せました。
母親に似て賢そうな顔をしている、と笑顔を見せ、頭を撫でたのでした。
道長自らまひろの物語を帝に献上しました。
帝は後で目を通す、と言い、道長を下がらせました。
まひろは、道長に渡した物語をさらに推敲し、改編を進めています。
為時は呆れたようにまひろを見るのですが、まひろは「物語は生きております故」と筆を進めるのでした。
その夜、帝はまひろの書いた物語を手に取りました。
定子のことと思われるその描写に、帝は思わず物語を閉じてしまいました。
次回、第32回「誰がために書く」
道長(柄本佑)の思惑通り、一条天皇(塩野瑛久)はまひろ(吉高由里子)が書いた物語に興味を示す。そこで道長は、まひろに道長の娘・彰子(見上愛)が暮らす藤壺へあがり、女房として働きながら執筆することを提案。狙いは、一条天皇が物語の続きを読むため、藤壺へ来ることを増やし、彰子との仲を深めるきっかけにすることだ。まひろは道長の提案に戸惑うが、父・為時(岸谷五朗)に背中を押され…
とうとう源氏物語の冒頭が読まれました。
帝は一度は本を閉ざしたものの、やはり中身が気になりますよね。
これがきっかけで、彰子との仲が深まればいいのですが…。
安倍晴明が寿命を迎えていましたね。
帝が彰子を連れて逃げていたようですが、内裏に何か危険が迫っているのでしょうか。
次回、第32回「誰がために書く」、見所満載ですね。
最後に
とうとうまひろが源氏物語を書き始めました。
「いづれの御時にか…」と声が聞こえてきた時、思わず震えました。
やっと来た、という感じですね。
清少納言の枕草子の冒頭が詠まれた時もグッときましたけど、源氏物語の冒頭も胸に刺さりました。
源氏物語が出来上がるまでの経緯、道長との会話などが詳しく描写されていて、源氏物語はこうやって書かれたのか、と感慨深く、感じ入りました。
着想を得た、と言いましょうか、何かが降りてきたときのあの描写、色とりどりの紙が降り注ぐあのシーン、音楽も相まって、物凄く感動しました。
ワクワクしましたね。
ああ、これが始まりなんだ、とドキドキが止まりませんでした。
帝は最初のページを読んだだけで、顔色を変えていましたが、やはり気になりますよね。
まひろに興味を持ち、物語の続きが気になるようになっていきます。
道長はまひろに藤壺に入るよう頼み、まひろは彰子の女房となるのですよね。
今まで不遇だった彰子も、まひろの源氏物語により少しずつ変わっていくのでしょう。
次回予告では、帝と彰子が手を取り合って、火事から逃げていく様が描かれていましたね。
寛弘2年の火事において、帝が彰子を守りながら火事から避難したことは史実ですが、実際にドラマの中で再現されると、ここで心が少し近づいたのかな、と考えてしまいます。
火事は大変怖かったでしょうが、彰子の心が少しでも動き、帝の心にも変化が訪れたのなら良かったですよね。
その辺の細かい描写、物凄く楽しみです。
さて次回、第32回「誰がために書く」で、まひろは藤壺に出仕することになります。
源氏物語の続きを書くことになりますが、まひろの初出仕、どんな感じになるのでしょうか。
皆と上手くやれるのでしょうか。
史実と照らし合わせると、どんな感じになるのか、ちょっと不安を覚えますが、一体どんなことが起こるのか、楽しみですね。