毎週日曜日20時から、NHK総合他にて放送中の大河ドラマ「おんな城主 直虎」。
2017年11月19日、第46回「悪女について」が放送されました。
今回のサブタイトル「悪女について」は、1978年に発表された有吉佐和子さんの小説が元ネタで、今回はタイトルをそのままのようです。謎の死を遂げた女性実業家と関わった27人のインタビューで、女性実業家の奔放で波乱に満ちた人生が明かされていきます。この小説を原作として1978年と2012年にドラマ化されており、2012年版は沢尻エリカ様で話題になりましたね。この機会に是非「悪女について」を味わってみてはいかがでしたでしょうか?
前回、浜松で徳川家康(阿部サダヲさん)に男子、長丸が誕生します。信康(平埜生成さん)と織田信長(市川海老蔵さん)の娘、徳姫との間に男子が生まれていなかったことから、正室の瀬名(菜々緒さん)が信康に側室をつけます。この事に目を付けた信長が、信康を取り込もうと官位をつけようとしたところ、断ったため、信康の側室が元武田家家臣の娘である事が、武田家と内通していると疑いをかけてきました。
織田家を恐れている酒井忠次(みのすけさん)は、この言いがかりを信康の独断でやった事を認めてしまい、信康の首を斬るとまで約束してきてしまいます。
家康は生母、於大の方(栗原小巻さん)の説得もあり、信康を斬る事を決断し、岡崎城へ信康を捕らえに来たのでした。瀬名は「自分を罰して欲しい。」と家康に訴えますが、聞き入れられません。偶然居合わせたおとわ(柴咲コウさん)も驚きます。
今川氏真(尾上松也さん)も助けに乗り出しました。信康と瀬名の運命は?
前回の第45回「魔王のいけにえ」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第46回「悪女について」のネタバレとあらすじと感想です。
信康の助命
信康が捕らえられた後、岡崎の家臣たちに榊原康政(尾美としのりさん)は、信康との交わりを断つ為の起請文を書かせます。書かなければ同罪にするとの事です。
瀬名は、信康の助命が家康に聞き入れられない事に失望していました。おとわに助けを求めようとしましたが、もう帰った後で孤独になる一方でした。
万千代は家康に、大浜城にいる信康を堀江城へ移すよう命じられます。家康は織田に従った振りをして時間稼ぎをして、今川氏真に北条と交渉してもらい、武田を囲い込む作戦を織田に隠れて実行していたのです。
氏真の交渉は半月ほどかかるとの事で、信康は次に二俣城に移されます。城を移る度に酒井が織田へ報告に行き、新たに言いがかりをつけられないようにしていました。
瀬名の狂言
家康の策を知らない瀬名は、武田と密通した証拠の書状を残して、石川数正(中村織央さん)と二人で姿を消します。本多忠勝(髙嶋政宏さん)は「武田と通じておったのはお方様という事か。」と言います。続いて大久保忠世(渡辺哲さん)は、「お方様の御首を差し出せば、信康様は助かる…という事になりますかな。」と言います。
家臣たちが、瀬名の首を差し出す方向で一致しそうになった時、万千代は「これほど見え透いた狂言もございませんでしょう!まことに通じておるならば、わざわざかようなものを残し、去る事などございますまい!」と主張しますが、家康は、家臣に瀬名を捕らえて首をはねるよう命じるのでした。
瀬名と数正は、井伊谷の井戸の前に来ていました。おとわは瀬名を見つけ「旅か?」と声をかけます。「信康の顔を見に行くのです。許されることになり、出迎えて驚かせてやろうと思いまして。」と瀬名が去ろうとすれ違う瞬間、おとわは瀬名の腕を掴みます。
「そなたの首を以て事を収めようと考えておるのか。武田と内通しておったのは、息子ではなく、己であると。何故分かるか言うてやろうか。そなたと同じ事をやった奴をよう知っておるからじゃ。」とおとわが言うと瀬名は驚きます。瀬名を止めるおとわを、数正が払いのけ、刀を突きつけ、「ならばお分かりのはず。お方様のお覚悟も。」と言います。
隙を見て逃げ出した瀬名が行った先に、万千代と万福(井之脇海さん)が待ち受けていました。
万千代は、瀬名と数正を龍潭寺へ連れて行き、家康の作戦を二人に告げます。「北条との取り決めがなれば、信康様の処罰を取り消して頂くことが出来る手筈にございます。」と万千代は言いますが、徳川家中で瀬名にこのまま濡れ衣を着てもらおうという意見もあって、追っ手が放たれている事も告げます。そこで、井伊でかくまって欲しいというのが、家康の望みです。
おとわは「井伊は逃げる、隠れるには慣れております。ほとぼりが冷めるまでご案じなく。」と瀬名に言います。しかし瀬名は「殿の策は、必ず実るのですか?実らねば、やはり信康は殺されてしまうのではないですか?ならば、やはり私が通じたとした方が、間違いなく信康を救い出せるのではないですか。」と言います。
「あの時、今川館に閉じこめられた折も、すんでのところで徳川殿の策が実ったではないか。
ここはひとつ、徳川殿の運の強さを信じてみぬか?」と桶狭間の戦いで、家康が岡崎へ帰った後、今川館に瀬名たちが閉じ込められた時の話を出し、おとわは瀬名を説得します。
「ええ、私はあの時、殿の運の強さに命を救われたのだと思います。あそこで死んでおってもおかしくはなかった。ゆえにこそ、その命は殿と、殿の愛する息子の為にこそ使いたいのです。徳川家の妻として、母として。」瀬名は言います。
「死んでいくやつは皆、さような事を言う。お家の為に命を捨てるは己の本懐。そんな事ばかり言いよる!残される者の事を考えた事はあるか。助けられなんだ者の無念を考えた事があるか!もう二度と私は、あのような思いはしとうない!
徳川殿を大事と言うならどうか、さような思いをさせないでくれ!」おとわは必死に泣きながら訴えます。小野但馬政次(高橋一生さん)の事を言っています。
「信康が戻ってきたら、徳姫と子宝祈願をしてやって下さい。」瀬名はあえて違う話をします。「そなたがおらねばせぬ!」というおとわの言葉を遮って、「その子はきっと、私にございます!ですから、何も悲しむ事はないと、殿にお伝えくだされ。」と言っていつも使っていた紅の入れ物をおとわに手渡します。
「さような事は己の口で言え!」おとわは涙を流して言います。「お暇致します。あね様。」瀬名はそう言うと立ち上がり、数正と去っていきました。
瀬名と数正は、山中で徳川の追っ手を見つけます。「ここでお別れです。」瀬名が言うと「信康様のご無事を見届けましたら、私もすぐに。」と数正は答えます。
「巻き込んで申し訳ありませんね。」瀬名は謝ります。数正は正面を向いて頭を下げて「お方様、私はお方様ほど美しいお人を知りませぬ。」と言います。「何を今更。」と瀬名は笑います。数正は「一度、お伝えしとうございました。」と言って去りました。
そして瀬名は一人、追っ手の前に出ていき、首をはねられたのでした。
今川館の話が出た時に、「あそこで死んでもおかしくなかった。」と瀬名が言った時点で、もう死ぬのは決めていましたね。おとわが政次を思い出して必死に止める姿も切なくて泣けました。
正室と嫡男を失う
今川氏真は、北条との密約の書状を持って家康に会いに来ましたが、瀬名の首が入った桶を前にして肩を落とします。そして「すまなかった。間に合わず。」と謝ります。
「悪いのは私にございます。お方様をお止め出来ず。」万千代が涙を流しながら言います。
「悪いのはわしじゃ。わしは瀬名に信じてもらえなかった。もっと頼りがいのある夫であれば…おとなしく岡崎に座ってくれておったはずじゃ。」と家康も後悔を口にしました。
家康は、安土城に瀬名の首を持って話しに行きました。「武田と通じたは、信康ではなく、瀬名にてござりました。こちらがその証でございます。」と瀬名が残した武田への書状を渡します。
「武田との事、信康は何一つ知らなかった事かと。何卒、お許し願えませぬでしょうか。我らは此度、北条と手を結びました。これで、武田の滅亡は遠からずと存じます。武田を亡き者にした後も、徳川は織田と変わらず良き関わりを続けていきたいと願うております。」と家康は訴えます。信長は「そこまで申すなら、徳川殿のお好きになさるがよい。そのかわり
余も好きにするがの。」と含みのある返事をするのでした。
信長へは、瀬名の首を差し出したところで通用しなかったのでした。
天正7年9月15日、信康が自刃しました。一連の騒動は正室と嫡男を失うという、徳川にとって、最悪の結果に終わったのでした。
信康の遺志を継ぐ
おとわは井戸の前で瀬名の紅入れを供えて祈りを捧げていました。そこへ南渓和尚(小林薫さん)が来て、「子宝祈願も出来なんだな。」と言います。
おとわは「かような事がずっと繰り返されるのでしょうかね。武家の世は。理不尽に命を差し出せと言われ、差し出す方は本懐など笑い、いっそ大名が一堂に会し、「やっ」と盟約を結んでしまえばよいのです。さすれば戦もやりにくうなりましょうし、戦がなくなれば、かような愚かしい命のやり取りもなくなりましょう。」と言います。
「ならばやってみてはどうじゃ?」南渓は言います。「出来る訳がございません。」とおとわが返すと「出来る事しかやらんのか。どうもしみったれた女子じゃのう。と頭がおったらやられてるところじゃのう。瀬名は、母として、妻として、その命を使い切った。
では、そなたは何のためにその命を使うのじゃ。母でも妻でもないそなたは、何にその命を懸けるのじゃ?」と南渓は政次が遺した白い碁石をおとわに渡します。
「虎松を使い、徳川にさような世を目指して頂くよう、持っていく。何ひとつ使いようのない命。ならば途方もない夢にかけてみたとて誰も何も言いますまい。」おとわはそう言って空を見上げるのでした。
一方、信康を失った岡崎の怒りは凄まじく、榊原が取り急ぎ鎮めに向かっていました。浜松では、忠勝が「兵を率いて乗り込んでみようか。」と言ったりして、勝手に物事を決めていこうとする家臣に嫌気が差し、家康は一人寝所に籠ってしまいます。
万千代は、寝所の前で控えていました。そこへおとわが訪ねてきました。
おとわは万千代に瀬名の紅入れを渡します。「とてもお渡しできるようなご様子では…。」万千代は困惑します。「かような事はいつまで繰り返されるのでしょうかね。」万千代は、おとわが南渓和尚に言った言葉と同じ事を言います。
「父上や但馬や、同じように首を望まれ、同じように首を差し出す事を止められず。」万千代が言うと「そなたの父上を救えなんだ時、私に出来た事は、父上の変わり身となって生きる事であった。死んだ者はどうやったところで戻って来ぬ。生き残った者が出来る事は、せめてその志を宿す事だけじゃ。信康様は、どのような志を持っておられた?」とおとわが聞きます。
「信康様は、己の立場より、お家の行く末を考えるようなお方で。皆の信用も厚く。殿も信康様とだけは碁を打たれ。」と万千代が答えると「ならば、そなたが信康様の変わり身とならばよいではないか。」とおとわが言うと万千代はため息をついて「さような不遜なことがよう言えまするな。」と言います。
「そなたの口からさような言葉が出るとは。」おとわは笑います。そして「徳川殿にすれば、息子の如くお家の行く末を考えてくれる家臣が出来るという事。ありがたいものじゃと思うがな。」と言い、帰っていきました。
万千代は一人で碁を打っていた家康のもとに勝手に立ち入り、碁盤の上にあった碁石を全部払いのけます。瀬名と同じ振る舞いに家康は思わず「瀬名…」と口走ります。
万千代は「ご無礼を。お考えが進んでおらぬよう思われたので。」と言って家康の前に座り、「では、もう一度やりましょう。私がお相手します。」と言うと、家康は「お前は何様のつもりじゃ!」と言って碁石を万千代に投げつけます。
「わしはもう、誰にも指図されぬ。皆の話を聞いた挙句の果てがこのざまじゃ。わしはもう、誰の言う事も聞いてはやらぬ!これからは全てわしが決める!」と万千代の胸倉をつかみながら言って、倒れ込み泣きます。
「昔、井伊の先代も一人で碁を打っておりました。幼い私は一人に見えましたが、和尚に「あれは一人ではない。」と言われました。見えぬけれども相手がおると。
その者から私は碁を教わりました。その者は教えてくれました。負け戦になってしまったら、そもそもどこで間違えたかを確かめよと。負けた意味は次に勝つ為にあると。」と万千代は言うと、瀬名の紅入れを差し出します。
「お方様が見ておられます。考えましょう!この先の徳川の為に!」力いっぱい万千代は家康に訴えます。家康は「まずは、岡崎じゃな。」と言い、本多忠勝を呼ぶのでした。
今回は、久々に悲しい回となりました。面倒に巻き込まれたくないと逃げていたおとわも、瀬名を失いそうになった時に政次の一件を思い出し、熱い直虎に戻っていきました。
龍雲丸(柳楽優弥さん)の事まで話題に出てきました。これからの徳川に、万千代を通じておとわがどう関わっていくのでしょうか?
次回、第47回「決戦は高天神」です。
失意の家康が次に勝つ為に動き出します。
予告では、中野直之(矢本悠馬さん)に向かって、おとわが久々に「やってみなければ分からぬではないか!」と言っていました。
元気なおとわが復活するんでしょうか?楽しみです。