「軍師官兵衛」は、2014年1月5日から12月21日まで放送された大河ドラマです。
2018年4月からNHK BSプレミアムの日曜昼12時の大河ドラマアンコール枠で再放送しています。
2018年7月15日に放送されたのは、第16回「上月城の守り」です。
前回、毛利の軍師、安国寺恵瓊(山路和弘さん)の調略により、再び分断された播磨。
織田信長(江口洋介さん)が毛利攻めをする羽柴秀吉(竹中直人さん)に、播磨への援軍として出したのは、本願寺との和睦をしくじった荒木村重(田中哲司さん)でした。
前回の第15回「播磨分断」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第16回「上月城の守り」のあらすじと感想です。
5万の大軍
毛利側に寝返った義兄、櫛橋左京進(金子ノブアキさん)の説得に失敗した黒田(小寺)官兵衛(岡田准一さん)は、秀吉に三木、神吉、野口、淡河、高砂、端谷も志方に加えて寝返った事を報告します。
竹中半兵衛(谷原章介さん)は、西の毛利、東の別所に備えて本陣を移す事を提案します。官兵衛は、書写山を指定し、秀吉は支度を石田三成(田中圭さん)に任せました。
官兵衛は、毛利はまず上月を取り戻そうとするだろうと予想し、宇喜多直家(陣内孝則さん)も加わったとして、数を2万とみました。
秀吉は官兵衛と共に姫路城に入り、本陣を書写山に移すにあたり、職隆(柴田恭兵さん)に姫路城代を頼み、光(中谷美紀さん)には、これから忙しくなるが辛抱してくれと頭を下げました。職隆も光も喜んで引き受けました。
光と二人になった官兵衛は、左京進と敵味方に分かれてしまった事を謝りましたが、光も官兵衛に謝り「存分にお働き下さい。」と言うのでした。
一方、安芸吉田郡山城の毛利軍は、小早川隆景(鶴見辰吾さん)が策を皆に伝えていました。
「三道並進」。軍を3つに分け、三方から同時に攻め上がります。山陰勢は吉川元春(吉見一豊さん)が兵を進め、水軍は播磨、摂津の港を攻め、織田勢の背後をかき乱す。山陽勢は、隆景が兵を進めます。毛利輝元(三浦孝太さん)は旗本を率いて後詰となるのです。
備前の宇喜多にも全軍を出すよう元春は伝えているので、総勢5万という大軍勢が毛利軍として播磨、上月城に攻めて来る事になったのです。
官兵衛は、毛利との戦に備えて上月城へ入りました。上月城に集まった兵の数はわずか700でした。
家臣の山中鹿介(別所哲也さん)は兵たちの前では強がっていましたが、官兵衛と二人になった時、「実のところ、尼子の名で集まる兵がこれほど少ないとは思わなかった。」と本音を漏らします。そんな山中に官兵衛は「羽柴様は上月を見捨てたりはしませぬ。」と援軍が来ることを伝え、励ましました。山中は「信じて待つ。」と言うのでした。
三成の働きもあり、素早く書写山へ本陣を移した羽柴軍。そこへ信長の命でやって来た村重。羽柴軍は1万となりました。早速官兵衛は、兵の数が少ない上月城への援軍を頼みます。
が、「それがし、裏切り者の別所を倒せと上様から仰せつかった。上様の信用を得る為にもそれがしの兵は三木城攻めに使う。上月などに兵を割いてもなんの得にもならぬ。」と拒否されました。
いつもと様子の違う村重の戸惑う官兵衛に、「本願寺との和睦にしくじり、播磨に追いやられたんじゃ。」と秀吉が村重の状況を説明します。しかし、援軍には変わりないからと村重の態度に自分自身納得しようと感情を押さえ込む秀吉です。
その時、半兵衛が突然咳き込み、吐血しました。秀吉は「わしと官兵衛に任せ、ゆっくりと休め。」と半兵衛に言います。半兵衛は「後の事を任せます。」と官兵衛に言うのでした。
村重の様子がかなり変わってきました。織田勢の中で一番に官兵衛の事を買ってくれていたのは、村重だったのに、信長の言葉しか入ってこないようです。だいぶん前から変わって来ていましたが、とうとう仲のいい官兵衛にまで態度に表してきました。
時間稼ぎ
柴田勝家(近藤芳正さん)は、上杉謙信、武田信玄が上京前に死去し、安土へ戻って来ていました。残るは秀吉の播磨平定を待つのみとなっていました。
「天下布武をかかげて10年。いよいよ時が近づいている。わしは、全ての官職を辞する事にした。」と重臣たちの前で信長は宣言しました。
隠居すると思った重臣たちは口々に信長を止めます。が、信長は「人から与えられる官職、わしには不要。」と言います。「朝廷のご不興を買いまする。」と明智光秀(春風亭小朝さん)が言うと、「朝廷を庇護しているのは、この信長である!」と言い切り、重臣たちは何も言い返せず、ただ黙って頭を下げるしかありませんでした。
信長の暴走がはじまりました。家臣たちも何も言えません。怖いです!
播磨では、毛利軍が迫って来ていました。5万と言う数字を聞いた蜂須賀小六(ピエール瀧さん)は官兵衛の読みと違う事に驚きます。
官兵衛は、上月城に入り策を講じると言うと、秀吉は、信長に援軍をお願いすると言い、官兵衛に「それまで時を稼げ!」と指示しました。
上月城を囲む毛利の3万5千と、宇喜多の1万5千を合わせ、5万の兵を見て、官兵衛は栗山善助(濱田岳さん)に考えを聞くと「毛利は一つにまとまっていない。」と言います。
兵は出しているものの、宇喜多は馬印を出していませんでした。宇喜多は以前、官兵衛に「毛利にも織田にも付かない。」と言っており、直家自身は出陣していなかったのです。
直家は仮病を使い、妻のお鮮(笛木優子さん)だけを近くに呼び、岡山城に引き籠っていました。
毛利軍は宇喜多の動きを知り、元春は「仮病に決まっておる!」と見抜き、織田へ寝返りするかもしれない宇喜多の様子を伺いながらの戦となった事に、苛立ちを露にしていました。
官兵衛は井上九郎右衛門(高橋一生さん)を使い、毛利軍に上月城から逃げてきたと装い、上月城へと誘い毛利軍をだまし討ちしました。
山中鹿介は、毛利軍を城に引き入れながら、全員を討てなかった事を悔しがりましたが、九郎衛門はそれが官兵衛の策だと言います。「全滅必至の状態であえて敵を逃せば、敵は不安になり、みだりに攻め入る事が出来なくなる。」と言うのです
善助も「今は時を稼ぐ事が肝心でございます。」と重ねて説明しました。感心する尼子と山中に官兵衛は「大軍に囲まれている事に変わりございません。私が書写山に戻って援軍を連れて参ります。」と約束しました。
秀吉の願い出により、信長が播磨へ援軍に出したのは、嫡男信忠(中村倫也さん)を大将とする丹羽、明智ら3万の軍勢でした。
信忠に上月城での状況を説明する秀吉。上月城に援軍を出してもらいたいと官兵衛と共にお願いします。が、信長は裏切り者の別所を攻めるよう命令しており、信忠は三木攻めに力を注ぐ方がいいとの考えでした。他の重臣も秀吉を嫌っている事もあり、秀吉の言いなりに動くことを嫌がり、三木城攻めを進言しました。
結局信忠は、上月城へは秀吉と村重の兵を向かわせ、残りを全て三木城攻めにあてました。茫然とする秀吉と官兵衛。村重も三木城攻め仕方なく秀吉と上月城へ援軍に向かいました。
籠城を続ける尼子に、援軍が来た事が知らされましたが、その数が1万と知ると、尼子は絶句するのでした。
今生の別れ
不利な状況を知った姫路城の光は、志方城に乗り込み、兄の左京進の説得を始めました。侍女のお福(阿知波悟美さん)から光の事を聞いた職隆は「左京進も実の妹を手出しはしないだろう。」と言い、様子をみる事にしました。
志方城で光は「既に野口城など、周りの小城は落とされています。織田に勝てる訳などありませぬ。」と言いますが、左京進は「毛利の援軍が着いた。しかも5万の大軍。今頃官兵衛は縮み上がっているだろう。」と鼻で笑います。
「三木城の捨て石にされるだけです。代々続く櫛橋の家を兄上の身勝手で滅ぼしてもよいのですか!それで亡き父上に顔向けが出来ますか!」と必死に説得する光です。しかし左京進は「滅びるのは御着と姫路だ。」と言い、耳を貸しません。
考えを変えてくれるまでここを動かないと光は宣言し、お福だけを姫路に帰したのです。
仏間で手を合わしていた光を、左京進が話をしにやって来ました。
穏やかな顔をした左京進は「言っておくが、わしは官兵衛が憎くて毛利についたわけではない。様々な事を考え、この道しかないと決めたのだ。だが、官兵衛がおらなかったら、このような事にはなっていなかったとは思う。」と静かに言います。
光は「それはお考え違い。」と言うと「お前は幸せか?官兵衛の所に嫁いで、本当に良かったのか?身内同士が敵味方に分かれ、全て官兵衛と関わったがゆえにお前の身に降りかかってきたのだぞ。」と左京進は涙目になりながら言います。
「そのように考えた事は、一度もありませぬ。私は黒田家に嫁いで本当に良かったと思っております。」とこちらも涙目になりながら光が言います。
左京進は、光の強い言葉に、幼い頃から意志の強さが変わらないと、笑いを漏らします。光も笑い返し、生まれ育った城に戻り、昔を思い出したと言います。
両親もまだ元気で、笑いの絶えない家だった事、兄の左京進はいつも自分たち妹の事を助けてくれ、感謝していたと言います。まさかこのような事になろうとは思いもしなかったと。
「戦のない世が来ると思いますか?」光は左京進に聞きます。「分からん。」と答える左京進。
「私は来ると信じています。その時、また兄妹揃ってあの頃のように笑いとうございます。」と光は言います。左京進は「それは叶わぬ。わしとお前は別々の道を歩むのだからな。」と決定的な事を言います。
「光…。今生の別れだ。」左京進は涙を見せながらも、兄らしく諭すように笑顔で言い切ります。そこへ休夢(隆大介さん)が入ってきました。
「わしが姫路に迎えに来るよう頼んだ。」左京進は立ち上がり「今この時から、我らは兄妹の縁を切る。光、さらばだ。」そう言うと左京進は去っていきました。
「兄上…!」左京進を追って行こうとする光を休夢が抱きしめて止めました。
「このままでは櫛橋の家が滅んでしまう。そう思ったら、居ても立ってもいられなくなり。」と姫路に戻った光は職隆に話します。
職隆は「お前にもしもの事があったら、残された者はどうなる?松寿の事を少しは考えたのか?」と言うと「とんだ軽はずみを致しました。」と光は自身の行動を詫びました。
「身内が敵味方に分かれたのは辛いだろう。しかしお前は黒田の人間だ。お前が官兵衛を支えなければ、誰が支えるのだ?」と光の気持ちを汲みながらも優しく諭すのでした。
光の今回の行動をみると、官兵衛と意外に似た者同士なのかもしれないと思いました。
光も辛いですよね。実家が無くなるかもしれない。いい思い出の詰まった城も落とされるかもしれない。切ないです。
非情な命令
上月城における織田と毛利のにらみ合いは1ヶ月半続いていて、兵糧も底をつき始めていました。
鹿介は「もうすぐ官兵衛殿が助けに来てくれましょう。それまでのご辛抱でございます。」と尼子に言い、なんとか保っていました。
秀吉は最後の手段として、戦場を抜け出し、京の二条御所にいる信長に、直接上月城への援軍をお願いしに出向きました。
しかし信長が下した決断は、「上月は見捨てよ。」でした。
今回はここで終わりです。
最悪です!信長。そんなに裏切りの方が気になるんでしょうか?味方してくれるものは見捨ててもいいと言うなんて!織田に敵が多いのもうなずけます。
次回、第17回「見捨てられた城」です。