「軍師官兵衛」は、2014年1月5日から12月21日まで放送された大河ドラマです。
2018年4月からNHK BSプレミアム日曜昼12時から、大河ドラマアンコール枠で再放送しています。
2018年7月29日に放送されたのは、第18回「裏切る理由」です。
前回、毛利の5万の大軍に囲まれた上月城は、織田に見捨てられ尼子勝久(須田邦裕さん)は開城し、自害しました。
山中鹿介(別所哲也さん)ら尼子の家臣たちは、一旦は毛利に許され召し抱えられたものの、謀殺されました。
一方、毛利に味方していた志方城は、宇喜多直家(陣内孝則さん)の動きに警戒した毛利に見捨てられ、光(中谷美紀さん)の兄、櫛橋左京進(金子ノブアキさん)は自害しました。
織田信長(江口洋介さん)が上月城を見捨てた事は、播磨での織田の信用を失う結果となりました。
前回の第17回「見捨てられた城」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第18回「裏切る理由」のあらすじと感想です。
三木城攻めの策
播磨平定の為、黒田(小寺)官兵衛(岡田准一さん)は三木城の攻略に取り掛かっていました。
秀吉は、官兵衛と竹中半兵衛(谷原章介さん)、二人の軍師に策を尋ねました。官兵衛は三木城の周りに40ほど付城を築き、その要所を土塁でつなぎ、三木城の周りを隙間なく囲む策を進言します。囲む事で毛利からの兵糧を阻むのです。続いて半兵衛が、「一切の兵糧を断ち、三木城を干上げる。」と話します。
秀吉は二人の兵糧攻めの策を採用し、石田三成(田中圭さん)にこの普請を仕切るよう命じました。軍師の二人は調略に取り掛かることにし、官兵衛は宇喜多への調略に向かう事になりました。
付城は驚異的な速さで出来上がっていきました。三木城主、別所長治(入江甚儀さん)はその様子に焦りますが、叔父の賀相(ベンガルさん)が「毛利が我らを見捨てるはずがない。中国者は、一度結んだ約束は違えぬ。それが織田との大きな違い。」と言って長治をなだめます。
志方城は見捨てられたのにどうしてそんなに信じられるのでしょうか?
一方、調略の前に官兵衛は、一旦姫路に帰りました。官兵衛は、後藤又兵衛(松島海斗さん)に剣術の稽古をつけてやり、上達を褒めました。
離れた長浜でも松寿丸(若山耀人さん)が剣術の稽古を一人でやっており、おね(黒木瞳さん)が休憩に瓜を切って出してやると、姫路でよく光が瓜を切ってくれたことを思い出し、うつむいて寂しさに耐えていました。
気遣うおねに松寿丸は「母はこの長浜にもおります。」と笑顔で話すのでした。
官兵衛は、酒を持って備前に向かい、宇喜多に会いました。宇喜多のおかげで毛利の兵が退いた事に礼を言います。宇喜多は「わしは何もしておらぬ。礼を言われる筋合いはない。そもそもお主の手柄ではないのか?調略をもって毛利の背後をかき乱した。」と言います。
官兵衛は「毛利は大友に攻められた上に領内では謀反の火種があり、さらに宇喜多の動きが定かではない状態なので、攻めに出ようとも動けない。このまま毛利が動かなければ、三木城が必ず落ちる。そうなれば織田は毛利に総攻めをかけるだろう。」と説き、宇喜多に今のうちに織田に味方しておくよう釘を刺しました。
しかし宇喜多は官兵衛に「西の方にばかり気にしておると、背後を突かれるやもしれぬぞ。」と意味深な言葉を言ってきたのでした。
姫路に帰った官兵衛は、職隆(柴田恭兵さん)から主君小寺政職(片岡鶴太郎さん)の様子を聞くと、妻のお紺(高岡早紀さん)の死から立ち直っておらず、何か企んでいる様子はないと聞かされます。
宇喜多が小寺の事を言っているのだと思っていた官兵衛は首をかしげます。この事はのちに分かる事になるのです。
裏切りの兆候
毛利についた神吉城で、西の丸を落とした荒木村重(田中哲司さん)が、神吉城主神吉頼定の叔父、神吉藤太夫の降伏を受け入れたという情報を、万見仙千代(田中幸太朗さん)より信長に伝えられた件で、安土に呼び出された村重は、信長の前でも堂々と自身の正当性を訴え、許されました。
信長は、播磨攻めでは秀吉の下につく事を嫌がって働きたがらない重臣が多くいたなか、村重はよく働いたと言います。さらに信長は、村重の胆のすわった所を気に入っており、天下布武には必要な人物と考えていたので、今回の申し開きも納得し、許したのでした。
しかしその評価を村重自身には伝えていませんでした。
有岡城に帰り、安堵していた村重に、家臣の中川清秀(近江谷太朗さん)が以前、荒木の家臣の中で、石山本願寺に味方し、闇夜に舟で兵糧と運び入れているという情報を手入れていましたが、それが清秀自身の家中の者である事が分かり、さらに運び入れているところを織田の兵に見つかり、斬りかかって逃げたと報告に来ました。
清秀は信長の、本願寺門徒たちへのこれまでの所業を目の当たりにしていたので、今回の事が信長に知れたら絶対に許されないと思い込み、自分の城、茨木城に万一の為、兵糧を蓄えている事も合わせて村重に報告しました。
村重は謀反を疑われるといけないとして、兵糧を集めることをやめさせ、先に逃げた者たちを捕らえ、口を封じるよう清秀に命じました。
清秀が茨木城に兵糧を集めているという噂が安土にも届き、仙千代と明智光秀(春風亭小朝さん)が有岡城に来て、村重の真意を聞きに来ました。
村重は否定しましたが、仙千代は、村重の家中の者が本願寺への兵糧を運び込んでいる噂もある事を持ち出し、謀反を疑います。光秀が「上様もそのような噂を信じておられぬ。しかし疑いを晴らすには、すぐに安土に行き、上様にお会いした方がいい。」とアドバイスして帰りました。
追い詰められる村重
光秀のアドバイス通りに安土に向かうという村重。先日宣教師を連れて安土へ行き、キリスト教の布教を許されていたばかりの高山右近(生田斗真さん)が、「ただの噂だったのですね。」と安堵します。
しかし清秀がこれまでの一向門徒たちへのだまし討ちを並べ立て、「安土に行けば、必ず殺される。」と村重を止めてきました。「上様の気性からして一度疑った者を許すとは到底思えない。」とまで言います。
迷い出した村重に、清秀は兵糧を本願寺に運び入れていた者たちが織田方に捕まった事を伝えて、手遅れだとさらに追い打ちをかけました。
村重は進退窮まってしまうのでした。
播磨で村重の謀反の疑いを聞かされた秀吉は、すぐに信長のもとへ向かいました。摂津の村重が毛利に寝返れば、高槻城の高山右近、茨木城の中川清秀も呼応し、摂津全体を敵に回し、さらに本願寺ともつながり、毛利攻めどころではなくなるのです。
秀吉は信長に「天下布武の為、村重殿を敵に渡してはなりませぬ。」と訴え、有岡城に遣わすよう頼みます。信長は「今一度お遣わしください。」と言う光秀と二人、村重の気持ちを確かめて来るよう命じました。
村重の決断
生まれたばかりの我が子を抱きながら村重は、どうやったら生き残れるのかを考えていました。村重には毛利の安国寺恵瓊(山路和弘さん)から書状で「毛利につくなら、大いに歓迎する。毛利に天下を取る野心はない。織田を倒した暁にはどうぞ荒木殿が天下人におなりになるがよい。毛利が支える。」と伝えられていました。
毛利では、信長についていけなくなった村重が寝返るかどうか話し合っていました。
小早川隆景(鶴見辰吾さん)は「宇喜多の裏切りを用心して兵を退いたが、村重がこちらにつくとなれば、形勢が大きく変わるぞ。」と言い、毛利輝元(三浦孝太さん)は「一寸先は闇、何が起こるか分からぬものですな。」と言うのでした。
有岡城では清秀が信長の恐ろしさを繰り返し語り、村重に謀反をするよう説得していました。他の家臣も「織田と戦えというのであれば、我ら家臣一同命を惜しまず、殿の為に働く覚悟でございます。」と皆で村重を説得してきます。
その間をくぐりぬけて右近が入って来て、「血気に逸った評定などに耳をお貸しになられるな。上様の天下布武を、新しき世を誰よりも望んでいたのは殿ではございませぬか!謀反など、決してなりませぬ。」と止めに来ました。
村重は一通り家臣たちの意見を聞いた後、かつて石山本願寺の顕如(眞島秀和さん)から「信長様を信じているのか?」と問われた事を持ち出して、村重は「あの時からわしの心は決まっていたのかもしれぬ。信長様は上月城を見捨てた。黙って従っているだけではいずれ、我らも使い捨てにされる。わしは信長を信じることが出来ぬ。天下布武などまやかしじゃ。わしは信長が作る世など見とうない。これより我らは織田信長を討つ!」と宣言しました。
右近の言葉がかえって村重の気持ちを固めてしまったのです。
謀反を決めた村重は各所に文を出し、毛利、本願寺、さらに御着城にも伝えられました。官兵衛は井上九郎右衛門(高橋一生さん)から知らせを受け、茫然と立ち尽くすのでした。
とうとう村重が謀反を決断しました!
なるべくしてなったといった感じです。信長も村重にちゃんと気持ちを伝えていればよかったのにとつくづく思います。
長きにわたる本願寺との争いで、信長の恐ろしさばかり見てきてしまっていた事も引き金になっています。
次回、第19回「非情の罠」です。