2019年大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」は、毎週日曜日20時からNHK総合他にて放送中です。
前回第4回「小便小僧」は、主人公・金栗四三(中村勘九郎さん)が人生初の本格的なマラソンに挑むお話でした。
四三が所属する東京高等師範学校の長距離走大会において、一年生でありながら3位に入賞し、憧れの嘉納治五郎校長(役所広司さん)にお褒めの言葉を頂き浮かれてしまう四三。
家族にもその感動を伝えようと、本気になれるものが見つかったと手紙を書いたのですが、長兄・実次(中村獅童さん)からの返事は厳しいものでした。
しかし、幼馴染の春野スヤ(綾瀬はるかさん)の言葉が脳裏に蘇り、四三はマラソンを続ける意思を固めます。
長距離走会において、1位を取れなかった敗因として、
- レース前には必ず排便
- わらじに代わる履物を探す
- スタミナ強化
という問題点を発見した四三は、これまで以上にマラソンにのめり込みます。
やがて予科から本科生になった四三は、徒歩部(陸上部)に入部し、本格的な練習を行うようになります。
仲間とともに豚鍋を食べてスタミナを強化し、わらじの代わりには足袋がいいと発見しました。
明治44年、嘉納治五郎は、第5回オリンピックストックホルム大会への出場選手を決めるための予選会開催を発表。
四三は、高師の仲間と共にマラソン競技に参加することにしたのですが、無茶な練習をして倒れてしまいます。
その後、マラソンの練習は自然に、食べたい時に食べ走りたい時に走った方がいい、ということに気づきました。
一方、あてにしていた三島家からの融資が得られず困った嘉納は、莫大な借金をして羽田に競技場を建設しました。
ようやく開催できることになった予選会。
四三は、高師の仲間・橋本(高橋周平さん)と野口(永山絢斗さん)らとともに会場の近くまで来るのですが、なかなか会場に辿り付きません。
迷子の四三たちは無事に予選会に参加できるのでしょうか。
前回第4回「小便小僧」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第5回「雨ニモマケズ」のあらすじと感想です。
予選会開催
1960年、弟子の五りんが止めたにも関わらず酒を飲んで高座に上がった古今亭志ん生(ビートたけしさん)は、予定していた「芝浜」を語らず、オリンピック予選会の噺を始めました。
明治44年(1911年)11月19日、ストックホルム大会予選会が羽田の競技場にて開催されました。
天狗倶楽部の三島弥彦(生田斗真さん)は、審判として予選会に参加していましたが、選手が走り、競技しているのを目の当たりにすると、いてもたってもいられなくなり、飛び入りで競技に参加、100m、400m、800mをぶっちぎりの1位で優勝します。
迷子になっていた四三たちは、迷った末ようやく羽田の競技場にたどり着きました。
高座で予選会の話をしていたはずの志ん生は、あろう事か高座で眠ってしまいます。
観客から「寝かせてやれよ」と声がかかり、娘の美津子(小泉今日子さん)は苦笑します。
マラソン競技は10里(25マイル)です。四三が走ったことがあるのは最長で6里まで。
未知の領域を走ることになります。
マラソンの参加者は19名。
北海道小樽の佐々木や慶應の井手、早稲田からも有力選手が出場します。
中には、車夫の清さん(峯田和伸さん)が早稲田の学生と偽り参加していました。
そしてスタートの号砲が鳴り響きました。
東京高師の徒歩部の面々は、わざとゆっくりペースで走り、競技場を出る時には最下位でした。
スタートと同時にメイン会場の羽田には激しい雨が降り注ぎます。
競技場を出て2Km、穴守稲荷神社を抜け4.8Km地点の多摩川土手を走ります。
足自慢の清さんはここで脱落。
8.2Km地点の六郷橋あたりで強い日差しが照りつけてきて落伍者がチラホラと出始めました。
先頭が六郷橋を走り抜けた時、四三はまだ5.5Km地点。
六郷橋付近まで来ると、四三はペースをガンガン上げてきます。
13Km地点の鶴見川を抜け、東神奈川、折り返し地点で四三は4位にまで順位を上げてきました。
3位の井手を抜き2位に上がった四三は、先頭の佐々木目指して追いかけます。
六郷橋のあたりで佐々木との差はおよそ50m。
四三は足袋が抜けかかるアクシデントに見舞われます。
雨により帽子の色も落ちてきて、顔は血が出ているようになっています。
先頭の佐々木が見えてくると、佐々木はなぜか突然振り返り、奇妙な睨み合いが10秒程も続くと、佐々木は前を向き、また走り始めました。
穴守稲荷神社付近で佐々木と四三は並び、デッドヒートが繰り広げられます。
その頃、あまりの落伍者の多さに永井(杉本哲太さん)は激高し、嘉納を責め立てます。
そんな中、四三は1位で羽田に戻ってきました。
世界記録を大きく上回るタイムに嘉納は大喜び、ゴール前で四三を待ち構えます。
競技場内に入ると四三はボロボロの足袋を脱ぎ捨て裸足でゴール。
ふらつく体を嘉納に抱きとめられました。
小さな頃から嘉納に抱っこされることを夢見ていた四三は、父のことや体の弱かったこと、東京高師に進学を希望した時の事などを思い出しました。
「君こそ世界に通用するいだてんだ」と叫ぶ嘉納に、四三は「ありがとうございます」と小さく呟きました。
ひょんな事で四三と亡き父の夢が叶いました。
疲れただろうからと水を勧められた四三は、それを断ります。
ここで、話は志ん生の高座に戻り、「世界記録がまた夢になるといけねえ」と落語「芝浜」のラストで噺をしめました。
美津子からいつオリンピック噺の稽古をしたのかと聞かれた志ん生は、この話は車夫の友人から聞いた話だと言い自分の過去を振り返りました。
車夫を務める美濃部孝蔵
オリンピック予選会の当日、車夫の清さんがマラソン競技に参加しているため、若き志ん生・美濃部孝蔵(森山未來さん)が代わりに車夫を務めていました。
偶然、孝蔵が憧れている橘家円喬を人力車に乗せた孝蔵は、人力車で稽古をしている円喬の噺に聞き入り、足を止めてしまい、円喬を呆れさせます。
祝勝会
羽田では、落伍者13名、完走者6名という厳しいレースを振り返っていました。
四三の世界記録を22分も更新という驚異的なタイムに疑問を呈する声が上がりますが、距離も時間も不正はないと、嘉納はその場を収めます。
レースを終え、ボロボロになった四三は野口や橋本に支えられて、大声援の中、寮まで戻ってきました。
祝勝会では、監督の可児徳(古舘寛治さん)も大いに喜び、優勝カップで酒を飲みご機嫌になっていました。
部屋の外に猫を抱えた美川(勝地涼さん)が現れ、四三を祝福します。
気分はどうだ、と聞かれ、嬉しさ半分、疲れ半分でプラスマイナスゼロだと答える四三。
四三は手にした饅頭を美川に差し出すのですが、美川は胃が悪くなったと断ります。
四三は、仲間に呼ばれ祝勝会に戻り、大拍手を受けています。
部屋の外でそれを見ていた美川も密かに四三に拍手を贈り、四三の活躍を祝っていました。
レースを振り返って
体力を使い果たしたはずの四三は、なぜか眠れず、今日のことを手紙に書こうと思い立ちます。
しかし、実次からの厳しい手紙を思い出し、手紙はやめて、『勝つために』と書かれたノートを取り出し、今日のレースを振り返りました。
- 排便よし
- 食事は、迷子になっていたため、満足に取れなかったのが良かった(足りないと野口のように途中でお腹がすいてしまう)
- 服装は薄着でなく長袖シャツと帽子でちょうど良かった
- 足袋は破けてしまったので、破れない足袋を作らなければいけない
そんなことを考えていたら朝になってしまいました。
ようやく眠ろうと考え布団に行こうとすると、実次の幻に怒られて、「わかっとるばい!」と言い返します。
しかしそれは、実次の幻、本当は寝ていた美川でした。
急に耳元で怒鳴られた美川は訳が分からず困惑してしまいました。
足袋の改良を頼みに行くが…
足袋を買った播磨屋に行くと、四三が播磨屋の足袋で世界記録を出したと張り紙が出されていました。
四三が店内に入ると、店主・黒坂辛作(ピエール瀧さん)や家族から大歓迎を受けます。
黒坂が四三に足袋の感想を聞いたので、問題点を素直な正直な言葉で率直に伝えると、黒坂は怒り出し、改良なんかしないと店を追い出されてしまいます。
怒り心頭の黒坂でしたが、四三が置き忘れたボロボロの足袋を見て、何か思う所があるようで…、
三島家にて
三島弥彦の活躍が新聞で報じられ、女中のシマ(杉咲花さん)は弥彦の兄・弥太郎()が見るところに弥彦の写真が見えるように新聞を置きますが無視され、母・()の目の前にも置いてみますが全くの無関心。
そんな三島家の状態に怒りを覚え、シマは「なぜ弥彦の活躍を誰も褒めないのか」と不満を弥彦にぶつけます。
弥彦はそれが三島家の宿命と言い、シマを諌めます。
シマにスポーツは好きかと尋ねると、女子はスポーツができない、と嘆き、弥彦はいずれ女子のスポーツも盛んになるかもしれないとシマを慰めます。
その頃四三は、慣れない広報活動にかり出され、世界を意識しろと写真を撮られていました。
美濃部孝蔵、弟子になる
慣れない人力車を引きながらようやく目的地・人形町に到着した孝蔵。
車を降り、孝蔵に背を向ける円喬を思わず引き止め、土下座して弟子入りを志願します。
円喬からの返事は、翌日も浅草から人形町まで車を引け、ということでした。
酒も博打も卒業、円喬の弟子になったと豪語する孝蔵に、仲間たちは疑いの眼差しを向けます。
ほんとかどうか、円喬が来るかどうか掛けよう、と言った孝蔵の車に円喬は乗り込み、「博打は卒業したんじゃないのかい」と呼びかけます。
円喬が来たことに喜んだ孝蔵は、博打を放り出し円喬の待つ人力車へ向かいます。
熊本にも新聞で四三の活躍が伝えられ、それを読んだ春野スヤは四三の活躍を喜びます。
スクラップしてとっておこうとするスヤを父はもうすぐ嫁に行くのに、と諌めます。
スヤの表情は、とても切ないものでした。
次回、第6回は「お江戸日本橋」
予選会で優勝した四三と弥彦に選手決定が言い渡されるのですが、2人はそれに難色を示します。
嘉納は驚き、2人の説得に当たるのですが…。
四三の流した涙のワケは?
相変わらずわちゃわちゃと騒がしい田畑政治(阿部サダヲさん)も登場し、オリンピック出場に向けてお話は進みます。
次回はどんな事件が起こるのでしょうか。
次回は、第6回「お江戸日本橋」、期待しています。