「風林火山」は、2007年1月7日から12月16日まで放送された大河ドラマです。
2017年、4月からNHK BSプレミアム日曜昼12時から、大河ドラマアンコール枠で再放送されています。
2017年6月25日に放送されたのは、第13回「招かれざる男」です。
前回は、武田家に仕官することが出来た山本勘助(内野聖陽さん)は、武田晴信(市川猿之助さん)からいきなり2百貫と足軽大将という役と、「山本勘助晴幸」と将軍足利義晴から一字賜ったという、自身の名前の「晴」の一字を取った名前までもらうことになりました。
破格の待遇に異議を唱える重臣から、腕を試されることになり、鬼美濃と呼ばれる原虎胤(宍戸開さん)が相手となる、という場面で終わりました。
剣の腕はない勘助。どうやって切り抜けるのでしょうか?
それでは、第13回「招かれざる男」あらすじと感想です。
勘助、策を練る
原虎胤と向かい合い対戦することになった勘助でしたが、戦さながらの勝負をしたいから、時と場所を変えたいと、明日富士見池での決戦へと変更するよう申し出ます。晴信はその申し出を許可し、なんとかその場をしのぎます。
春日源五郎(田中幸太朗さん)のいる屋敷へと戻った勘助は、周辺の家に舟を置いてある理由を尋ねます。水害があったときに舟で行き来するためと源五郎が答えます。勘助は源五郎に舟を操れるか尋ね、操れると知ると源五郎に舟を用意するよう依頼します。
戦を良く知る原を相手に戦をすることを、河原村伝兵衛(有薗芳記さん)は止めていました。勘助は確かに腕では負けるが、だからこそ相手に慢心も生じるので、弱者には活路も開けると言います。
「兵は詭道なり」、その言葉が今に分かると、伝兵衛に言うのでした。
次郎が疱瘡にかかる
晴信の二男、次郎(のちの龍芳)が、まだ赤ちゃんでしたが疱瘡にかかります。医者は、覚悟するよう晴信に言います。その言葉で晴信は、次郎の病気が重いことを悟ります。
晴信の正室、三条夫人(池脇千鶴さん)と、出家して躑躅ヶ崎の館の北曲輪に隠居していた晴信の母、大井夫人(風吹ジュンさん)は、次郎の病気平癒を祈り読経をしていました。
勘助のことを大井夫人から聞いた三条夫人は、次郎が大変なときに人の命を奪うなど仏様はどう思うのかと、不吉に感じていました。それでなくても、父信虎(仲代達矢さん)を追放した報いではないかと思うと話すと、大井夫人がそんなことを考えるなと叱るのでした。
一方、板垣信方(千葉真一さん)は、晴信に何故そんなに勘助を信用するのか尋ねます。
晴信にも理由がわからず、ただ、自分も板垣も何度か勘助の命を救っているのは、心に引っかかるものがあるからで、晴信も次郎が大変な時に血が流れるのを見るのは嫌でしたが、その引っかかるものが何かを確かめるために、戦場に行くと言います。
そしてもし、勘助が他の者を殺してしまったときの処理を板垣に頼むのでした。
池脇千鶴さんは、可愛らしい童顔の女優さんです。沢田研二さん、田中裕子さん夫妻と映画「大阪物語」では娘役として出演されていました。NHKの朝ドラ「ほんまもん」では主演をつとめられ、大阪出身でもありしばらく関西のイメージがついていたと思います。
時代劇では、宮崎あおいさんの「篤姫」より前に、菅野美穂さんが篤姫役をされた「大奥」で篤姫のお付きの女中、まる役を好演されていました。
「風林火山」では公家の姫の役で、関西の言葉ですが京言葉なので感じも違いますし、それまでかわいい印象が強かったので、キツイ感じのする三条夫人役は、イメージがガラッと変わったように思いました。最近では2014年の映画「そこのみにて光輝く」で、第38回日本アカデミー賞優秀主演女優賞をはじめ数々の映画の賞を受賞されるなど、実力派の女優さんとなられています。
勘助の作戦勝ち
雪の降る寒い中、勘助は指定した富士見池の前で原と対峙します。
晴信他、重臣たちも皆見守っています。攻めかかろうとする原に勘助は、足の悪い自分と同じ条件にするため、舟での戦を提案します。晴信はこれを許可し、池に浮かんでいる舟までは源五郎に別の舟で送ってもらいます。伝兵衛達、村の人々も見守ります。
勘助が舟に移ろうとした瞬間、後ろから原が斬りかかります。正面に向き直して二人はにらみ合います。勘助は剣の先で池の水をすくい、原にかけます。原がひるんだすきに今度は舟底を刀で差し、穴を開け、舟を浸水させます。そして源五郎の乗る舟に飛び乗り、原だけが穴の開いた舟に残され、身動きが取れなくなりました。
見ていた重臣たちのうち、小山田信有(田辺誠一さん)が真っ先に笑い出します。甘利虎泰(竜雷太さん)は黙ってにらみ続けています。
勘助は「それがしの勝ちにございます。」と言うと、「たわけ!」と原は言い返しますが、動けません。これに怒った甘利が、「馬鹿な!それでも侍か!恥を知れ」と激怒します。
これをきっかけに晴信の弟信繁(嘉島典俊さん)、諸角虎定(加藤武さん)らも次々に笑い出します。
飯富虎昌(金田明夫さん)は、「確かにこれは果し合いではなく戦にござる。口舌も戦の道具になり申す」と言います。重臣たちが、勘助を認めた瞬間です。
納得は出来ていないと思いますけれど、戦なら勝ちは勝ちです。またも剣を使わずに、自分で直接手を下さずに勝ってしまったのです。作戦なのでしょうけど、本当、卑怯ですよね。
勘助は、「戦わずして人の兵に屈するは善の善なるものなり!すなわち、兵は詭道なり。戦とは、はかりごとにございます。相手を痛めつけず、無傷のまま味方に引き入れること。戦わずして勝つは最善なり!」と高らかに言います。
晴信は、「原は大切な家臣なので命を救うのは、上意と心得よ」と褒めます。原は浸水した舟に座り込み、寒さに震えていました。実は、原は泳げなかったのでした。
この時の宍戸開さんが、お茶目でした。大きな体が、寒さに震えていました。穴の開いた舟に取り残され、それまでの勇ましさがすっかりなくなってしまい、笑ってしまう場面でした。
三条夫人、勘助を恐れる
晴信の二男次郎は、命は取り留めたものの、両目が見えなくなってしまいました。
勘助は、教来石景政(高橋和也さん)に躑躅ヶ崎の館を案内されていました。
その前を、三条夫人と、晴信の長男太郎(加藤清史郎さん)が、通りがかります。ひざまずいて挨拶する勘助に、目のことを聞いた三条夫人は、勘助が幼いときに疱瘡かかり、左目が見えなくなったことを知ります。次郎と同じ勘助を恐れ、太郎が勘助に近づくのを必死で止めます。
三条夫人は、晴信に「疱瘡で左目が見えなくなった勘助を召し抱えたから、不幸がもたらされているのではないか。」と言います。
晴信は、「母であるそなたが、次郎の定めを受け入れなければ、どうやって次郎が自分の定めを受け入れるのか。次郎の目が見えなくなったことを何かのせいにしたい気持ちはわかるが、そのように考えるなんて、そなたらしくない」と優しくたしなめます。
三条夫人は、これからの甲斐がどうなるのか不安に思っていたのです。次々に色んな事が起きて、隣国の大名とも戦続きです。晴信はそんな三条夫人に、不安に思うことはない。戦をするだけが国作りではない。結婚の時に、そなたとつくる国はよい国にせねばと言った。そのためには心を強く持て。と言うのでした。
何か不幸なことが起こったとき、今までの行いとか、何かのせいにしてしまうのが、人ですよね。どうしても何かを原因にしたがりますが、特に病気なんて、何のせいでも誰のせいでもないと思います。
加藤清史郎くんは、妻夫木聡さん主演「天地人」より前に大河に出ていたのですね。今15歳だそうなので、「風林火山」当時は5歳だったのでしょうか。本当に小さくてかわいいです。子役にとどまらず、今はミュージカル「レ・ミゼラブル」に出演するなど、着々と俳優の道を進まれています。
関東管領が信濃、佐久へ
信虎に攻め込まれ、上野、箕輪城下に逃げ延びていた真田幸隆(佐々木蔵之介さん)は、関東管領、上杉憲政の家老、長野業政(小市慢太郎さん)の庇護下にいました。
幸隆の願いが通り、関東管領が、父親を追放した晴信に立腹し、信濃、佐久へ出陣を決めたと、長野より知らせを受けます。代替わりした今の武田に抵抗する力がないと見てのことでした。
佐久は武田と諏訪の領地でしたが、諏訪頼重(小日向文世さん)は、代替わりしたばかりの晴信に知らせず、諏訪勢のみで関東管領軍と迎え撃つつもりで動き出しました。頼重は、佐久、小県を諏訪だけで治めようと考えていました。若い晴信を関東管領も、諏訪も皆侮っているのです。
甲斐一国の内政を憂いていた晴信でしたが、戦の影は容赦なく忍び寄ってきました。
次回はいよいよ!
次回は「孫子の旗」です。
いよいよ、このドラマの題名でもある「風林火山」の旗が登場します。