「風林火山」は、2007年1月7日から12月16日まで放送された大河ドラマです。
2017年、4月からNHK BSプレミアム日曜昼12時から、大河ドラマアンコール枠で再放送されています。
2017年8月6日に放送されたのは、第19回「呪いの笛」です。
前回は、山本勘助(内野聖陽さん)が、由布姫(柴本幸さん)を、武田晴信(市川猿之助さん)の側室として迎えるべく、甲斐の板垣信方(千葉真一さん)の屋敷に連れて行きました。
甘利虎泰(竜雷太さん)と三条夫人(池脇千鶴さん)は、由布姫を訪問することで、気持ちの上で、二人とも由布姫に討たれにやって来ました。家臣や正室にそこまでさせる晴信とはどのような人物か、興味を抱く由布姫。
甘利や三条の思いに強く心を動かされ、側室に入る決心をしたところで前回は終わりました。
今回は、まだ板垣の屋敷で、祝言を待つ由布姫にまた、三条夫人が訪ねに来ます。
前回の第18回「生か死か」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第19回「呪いの笛」の感想とあらすじです。
三条夫人、由布姫に笛を渡す
晴信は、由布姫を側室として迎えることで、正室と側室との争いが起きることを懸念していました。由布姫が側室になることを決意した裏には、三条夫人が動いてくれていたことを、晴信は知っていました。
晴信は、勘助が由布姫に思いを寄せていることに気づいていて、その上で由布姫の力となってくれと、勘助に頼むのでした。
諏訪頼重(小日向文世さん)の叔父、諏訪満隣(小林勝也さん)が、諏訪郡代となった板垣と共に甲府へやって来ました。そして、由布姫と対面します。
諏訪満隣は、由布姫が晴信の側室に入ることを喜んでおり、「諏訪も安泰だ。諏訪家再興の為には、武田家との絆を深めるほか、道はないのじゃ。」と、由布姫に頼みます。
諏訪家の人たちは、由布姫を側室として迎えることは、晴信が諏訪家を、重んじてくれていると受け取り、温情とさえ思っているのでした。
三条夫人が、由布姫に会いに、また板垣の屋敷へ来ます。晴信から姫を守るよう命じられていた勘助は、面会を阻止すべく間に割って入ろうとします。
しかし三条夫人は、「武田の家臣か、諏訪の家臣か。」と迫り、道を開けさせます。由布姫に肩入れして敵とみなす勘助を一蹴しました。
三条夫人は、由布姫に自身の輿入れの時の話をして、「お屋形様は、あまり見目麗しいとは言えませぬ、その麗しさは寄り添うてみて、すぐに分かるというもの。」と妻だから分かる晴信の人柄についても話します。そして、父の信虎を追放したのも、諏訪を攻め取って由布姫を欲しがっているのも、私利私欲からではなく、国と領民の為に行っている。と由布姫に伝えます。
正室として由布姫に晴信への誤解を解こうと、丁寧に話したのでした。
一通り、話を終えると三条夫人は、輿入れの時に持参した笛を、由布姫に送ります。三条家は、朝廷では笛と装束の家として仕えていますが、三条夫人自身は笛が吹けません。
「代わりに晴信に聴かせて欲しい。お苦しみの多いお屋形様を慰めて欲しい。お屋形様をどうか、お頼申します。」と言って三条夫人は、由布姫に頭を下げるのでした。
三条夫人が帰った後、由布姫は「もう父上を思うことは許されぬのか?もう誰を恨むことも。所詮、政の道具にすぎぬ。心などない方がもましじゃ。」と嘆くのでした。
勘助は、三条夫人が送った笛をチェックし、何もないと分かると去って行きます。その様子を見て由布姫は、「恥ずかしいと思わぬのか!」と怒ります。
由布姫を守れと言うのは晴信からの命令だし、しっかりと役目を果たしているだけなのですけど、どこか腹が立ちますね、勘助の行動は。
晴信と由布姫の祝言
由布姫が晴信の側室として上がる日が来ました。家臣たちは皆、正装で参列します。由布姫を側室として迎えるにあたり、晴信はあえて正式の祝言の形を取りました。武田と諏訪は、格別強い結び付きであることを、諏訪の領民に知らしめる為でした。
祝言のあと、初夜迎えるにあたり、由布姫の侍女の志摩(大森暁美さん)は、短刀を由布姫に渡します。
「姫様がどのようなご覚悟でこれを使われようとも、どこまでもお供いたします。姫様は決して政の道具などではありません。気高き諏訪のご息女でござります。」と言葉を添えます。由布姫は、志摩の気持ちを受けて泣きます。「ご武運を!」と志摩は頭を下げて去るのでした。
由布姫が色んなことを言われて、自信を無くすたびに志摩は、こうやって気持ちを奮い立たせるような言葉を掛けます。もうどうやっても武田に従うしかないけれど、味方になってくれる人がいるだけで気持ちが保てるものです。
呪いの笛
由布姫は、晴信が寝所に来ると、三条夫人からもらった笛を見せます。そして笛を吹き始めると晴信は眠りに誘われるのでした。
別室で三条夫人も笛の音を聴きます。切ない夜でした。
翌日、勘助たちの前で晴信は、由布姫が、笛を一晩中吹いていたことを話します。
「笛の音を聴いていると不思議とよく眠れる。あれには何か恐ろしい術でもかけられておるのか。」と冗談めかして言います。勘助は「笛の音までは調べなかった。」とつぶやきます。
「あれは頼重殿の呪いではあるまいか。姫に拒まれているような音色でな。」と晴信が言うと、「お方様の呪いでは?」と春日源五郎(田中幸太朗さん)が言うと、晴信は笑って、「笛の音に呪い殺されるかもしれぬ。」と言うのでした。
勘助は、晴信に、信濃へ遣わせて欲しいと申し出ます。佐久小県の、諏訪に味方する者たちが、このまま黙って武田に従うとは思えないからです。申し出を受けて晴信は「守護の小笠原長時、北方の村上義清も黙ってはおるまい。」と言います。
続けて勘助は「大井一族、重野一族も佐久小県にて巻き返しを図るかもしれません。早めに打てる手立てを見つけねばなりません。」と言い、晴信から信濃行きを許可してもらいました。
勘助は次々と先を考えています。諏訪だけに留まらず、晴信に大望を抱いてもらいたいと動くのでした。勘助は、自身は諏訪へ行き、家来の葛笠太吉(有馬自由さん)に、上州に行かせて、ある人の動向を調べるよう指示しました。上州と言えば、「晴信謀反」で、真田幸隆(佐々木蔵之介さん)が逃げ延びた場所ですね!
由布姫、晴信に切りかかる
由布姫は、また寝所で笛を吹いていて、晴信に手を出させようとしません。しびれを切らした晴信は「もうよい。」と由布姫の手をつかみます。晴信を睨みつけた由布姫は、隠し持っていた短刀を晴信に振ります。晴信は取り上げた笛で応戦します。そして由布姫の手から短刀を叩き落します。
「すまぬが、討たれてやる訳にはいかない。」と一喝します。
三条夫人は、気配を察知して二人の様子を伺いに人をやりますが、晴信は「大事ない。」と応じます。
由布姫の手首をつかんだまま、晴信は由布姫に力強く話します。
「なかなかいい笛だ。この笛をそなたに与え、そなたを受け入れた三条の為にも討たれる訳にはいかぬ。それだけではない。わしとそなたには、多くの家臣、領民の命運が懸かっている!わしとそなたは一人の男と女ではない。国と国じゃ。国と国が一つに結ばれる為、我らは一つに結ばれねばならぬのじゃ!一人の娘、父上の仇と相対する一人の息女。意のままに生きる一人の女人となりたい気持ちは、よく分かる。されど、そなたはまことに一人か?わしは一人であることを捨てた。一人であることを捨てて、かえって一人きりになってしまった。それも定めじゃ。そなたとなら、その定めも分かち合えよう。」
そう言うと晴信は、由布姫を見つめます。由布姫は震えながらも見つめ返します。表情は女の目になっていました。これが、三条夫人が言っていた寄り添うことで分かる、晴信の麗しさ。ということでしょうか?
前回の勘助の、正論を並び立てる説得の言葉とは違って、晴信の言葉は、由布姫に響いたようです。
あと余談ですが、「一人の女人になりたい気持ちはよく分かる。」の、「分かる」の猿之助さんの言い方が、いとこの香川照之さんの言い方に、やっぱり似ているなぁと思いました。顔もよく似ていますよね!
10年前、猿之助さんをこのドラマで初めて見ましたが、いとこだという事は知っていたので、いとこ似ってあるんだなぁと思ったものです。
由布姫が落ち着くと、晴信は「とりわけ、勘助の為にもそなたに討たれる訳にはいかぬ。そなたの命を救ったのは山本勘助。異を唱える者を説き伏せ、必死にそなたを武田家へ入れようとした。」と話します。由布姫は、勘助本人から、自分を殺そうとしていたと聞いていたので驚きます。
晴信は、由布姫が必死に生きようとしているから、勘助が助けたいと思ったのだろうと語ります。
せっかく晴信の為だと思って、ついていた嘘も晴信によってバラされました。
由布姫は、別の日にとうとう晴信を受け入れたのでした。
小県の国衆たちが動き出す
天文12年(1543)、大井一族が小県の長窪城を攻めたと知らせが入ります。当主大井定隆が直々に率いたとのこと。長窪城は諏訪頼重が攻め取った城でした。城主の芦田信守は、一度は諏訪へ下ったものの、元々は大井の配下。武田討伐に乗り出したのでした。
晴信はすぐに小県に攻めることはせず、勘助の知らせを待つことにしたのでした。
次回。第20回「軍師誕生」です。
小県と言えば、昨年の「真田丸」でもおなじみの真田ですね!
次回の予告に、真田幸隆が登場していました。
「真田丸」にもつながる話になっていくのでしょうか?楽しみです。