毎週日曜日20時から、NHK総合他にて放送中の大河ドラマ「おんな城主 直虎」。
2017年12月17日、第50回(最終回)「石を継ぐ者」が放送されました。
今回のサブタイトル「石を継ぐ者」は、1977年に発表された、ジェイムズ・P・ホーガンのデビュー作で、「星を継ぐ者」というSF小説です。未読の方は、これを機会に是非チェックしてみてはいかがでしょうか?
前回、京の本能寺で織田信長(市川海老蔵さん)が明智光秀(光石研さん)に討たれました。徳川家康(阿部サダヲさん)以下、重臣一同は混乱の中、堺から無事三河へ戻るのでした。
一方、井伊万千代(菅田将暉さん)からの要請で、堺で待っていた井伊直虎(おとわ:柴咲コウさん)は、明智が討たれたと知ると急いで井伊へ戻ります。
前回の第49回「本能寺が変」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第50回(最終回)「石を継ぐ者」のネタバレとあらすじと感想です。
徳川が甲斐、信濃へ侵攻
三河に戻っていた家康に、羽柴から信長の弔い合戦をするよう、呼び出しがかかります。
しかし、徳川軍が尾張・鳴海に到着すると、既に明智は亡くなっていて、羽柴の使者に帰るよう命じられます。
家康は、何食わぬ顔で「亡き信長公の為に一矢も報えぬでは、あまりにも口惜しゅうございまする。かくなる上は、甲斐、信濃の織田様方を、お助けに参ってよろしゅうございますでしょうか!」と堂々と甲斐、信濃へ侵攻する口実を得たのでした。本当、たぬきです!
明智の子を救う
直虎は、井伊へ戻るとすぐに、明智の子の自然(田中レイさん)を隠し里へ連れて行くよう、傑山(市川隼人さん)に指示を出します。そこへ明智が討たれたと、今川氏真(尾上松也さん)から知らせを受けていた万千代が、自然を「徳川で預かる。」と止めに来ました。
氏真は、自然の存在自体が謀反に加担していた証拠だと、万千代に耳打ちしていました。その様子を見ていた家康の生母、於大の方(栗原小巻さん)が井伊に一緒に来ていて、万千代に、自然を消すよう指示していたのです。
無理に連れて行こうとする万千代に、傑山がかつてと同じように万千代の眉間に弓を引き、矢を突きつけ、「若はどうやって生き延びてこられた?答えられよ!」と迫ります。
そこへさらに織田の使者が来て、明智の子を引き渡すよう要求してきました。シラを切る直虎。使者は自然を指して「その子は誰じゃ?」と聞くと直虎は「亡き信長公のお子。」と返します。
信じない織田の使者。直虎は、以前信長から中野直之(矢本悠馬さん)と奥山六左衛門(田中美央さん)に、褒美としてもらっていた茶碗を差し出し、「自然を預かった引き換えに頂いた。」と主張します。瀬戸方久(ムロツヨシさん)も「見事な茶碗!これは亡き上様でないとポンと渡せるものではない。」と援護します。
それでも信じない使者に南渓和尚(小林薫さん)が、信長のサイン入りのメモを見せます。
「一度お戻りになられては。亡き上様のお子を斬り殺してしまったでは、そちらもただでは済みますまい。」と直虎が追い打ちをかけると、やっと使者が退いていきました。
ホッとする一同。直虎は万千代に「殺さんでも済んだじゃろ。」と少し余裕を見せます。そして自然に、「よう泣かんかった。強い子じゃ。偉いぞ。」と抱きしめると自然は涙を見せるのでした。
於大の方に直虎は、「徳川様には累が及ばぬよう計らいます。守れぬ命は山のようにございます。ならばこそ、せめて守れるものは。」と頭を下げると、於大の方は「織田様の忘れ形見のお子をどうか、よしなにお願い申し上げます。」と直虎の嘘に乗ってくれたのでした。
自然の得度式が執り行われ、「悦岫」という名が与えられました。得度式を見守る直虎は、咳き込んでいます。そこへ新野のあやめ(光浦靖子さん)がお願いにやって来ました。
新野の三女、桜(真凛さん)が嫁いでいた元今川家重臣、庵原助右衛門(山田裕貴さん)は、羽柴に仕えていましたが、「志を得られなかったので、いっそ徳川に奉公したい。取り次いでもらいたい。」との事でした。
ついで、二女桔梗(吉倉あおいさん)も、夫の北条の家臣、狩野に先立たれていたので、この際、新野をまとめて万千代に引き取ってもらおうと直虎は考えていました。
自然が生き延びられて本当、よかったです。自然役の子があまりに小さくて、可哀想だと思っていました。このドラマは結構残酷なところもあったので、どういう展開になるかヒヤヒヤしていました。
井伊谷井伊家を畳む
井伊の縁者は、残るは高瀬(朝倉あきさん)となつ(山口紗弥加さん)と南渓和尚だけとなりました。
直虎は、「表の世界で生きられなくなった者たちを逃がしたり、生き直す場を与えたり、世に戻る為の洞穴のような役目を果たすところがいる。
その為にもここにはもはや世捨て人がおるだけ。ただ一つ寺があるだけとした方が、動きやすいのではないか。」と南渓和尚に考えを述べます。
南渓和尚は「逃げ回り、策を巡らし挙句潰しまでし。それでも命脈を保ってきた井伊じゃ。それは井伊が負うべき役目なのかもしれぬの。」と同意するのでした。
直虎は、近藤康用(橋本じゅんさん)のもとを訪れます。近藤は、直虎の話を聞く前に「高瀬(朝倉あきさん)を養女にして、万千代殿と娶せたい。」と言ってきます。突然の提案に直虎も高瀬もあんぐりと口を開けて驚きます。近藤は、二人が同じ顔をして驚くのを大笑いして、「やはり親子だ。」と言います。近藤は高瀬が井伊の姫だと知っていたのです。
騙されたふりをしていれば、高瀬を側に置いておけると思って黙っていたと言います。しかし「もうそれも潮時だ。」と言うのでした。
高瀬も新野の三姉妹と一緒に万千代のもとへ送り、「井伊の者もほとんど残っておりませんし、この際寺だけ残し、井伊谷井伊家はさっぱり畳んでしまおうと思っている。」と直虎は近藤に言います。
近藤は「先祖代々の地だろう?」と驚きますが、直虎の決心は変わりません。直虎は「近藤と井伊は、よき関わりをお続け頂ければと存じます。」と近藤に思いを伝えて頭を下げたまま、倒れてしまいました。
直虎が亡くなる
横になっていて目が覚める直虎。昊天(小松和重さん)の見立てでは、「風邪をこじらせた。」と南渓が言います。
直虎は「見送るばかりの人生だった。いつも私ばかり生き残り。この世に未練などないと思うておったのです。なれど今になって、ひどく生きたいと思うておりまする。
井伊の旗のもとに皆が集い、徳川の旗のもとに日の本中が集うのを、この目で見たい。」
と思いを話すのでした。
しかし、直虎の咳は治まりませんでした。気分を変える為、文を書こうと起き上がると、どこからか笛の音が聞こえてきました。
同じ頃、戦場にいた万千代の笛がなくなっていました。その笛は、元は直親(三浦春馬さん)の物です。
直虎が、音をたどっていくと井戸端に着きました。笛の主は亀之丞(藤本哉汰さん)でした。
亀之丞は、「待ちかねたぞ、おとわ。」と笑顔で言うと、木の陰から鶴丸(小林颯さん)も出てきて、「おとわ様。遅れるにもほどがございまする。」と言います。「何故ふたりとも子供に?」と言っている直虎も、おとわ(新井美羽さん)になっていました。
二人は「この先を見たいと言っていたではないか。」とおとわを連れて行こうとします。
「嫌じゃ。我にはまだここでやらねばならぬ事がある。やっと先が見えたばかりなのじゃ。」と抵抗するおとわ。
「大事ない。おとわが俺の志を継いでくれたように、次は誰かがおとわの志を継いでくれる。」と亀之丞がたしなめます。そこへ「行くんだったら俺も連れて行ってくれよ。」と龍雲丸の子供時代も現れます。驚くおとわに「とわ、今度こそは一緒に行けんじゃねえか。」と言います。
皆揃ったところで鶴丸が「では、皆様参りますぞ。」と声をかけて、4人笑顔で井戸を囲みます。「いざ!」そう言うと子供たちは消えました。
大人の直虎一人の肩に、竜宮小僧が手をかけています。直虎は座りながら亡くなっていました。笑顔でした。
場面は変わって、波打ち際に、赤色と青色のふたつの水筒と、めちゃくちゃに壊れた船が打ちあがっていました。空には龍雲が立っていました。
今回の冒頭で、堺で南蛮船に乗ると言っていた龍雲丸(柳楽優弥さん)に、直虎が餞別として青い水筒を渡していました。
遠い所で龍雲丸も、直虎と同じ時に亡くなったという事でしょう。堺で別れる時、「先に死ぬな。」「そっちもな。」と言い合っていた二人は、同じ時に死んだんですね。
この演出はよかったです。子供時代の皆で一緒にあの世に行けて楽しそうで。じーんときて泣けました。
直虎の葬儀に、しの(貫地谷しほりさん)も駆け付けます。南渓は、直虎に経を読んでやらぬとその場にいません。昊天さんも傑山さんも何度も経を読む声が途切れます。
なつもあやめも高瀬も皆声上げて泣き、悲しみました。
南渓和尚は別室で「言わんこっちゃない。もう、ボロボロではないか。そなたが読んでくれるはずじゃなかったのか、わしの経は。」と猫を抱きながら一人悲しむのでした。
百姓たちの手によって直虎の遺体は運ばれ、田畑を巡ります。空に向かって直虎に、実りの報告をする百姓たち。今年も来年もずっとお供えすることを約束します。
皆が去った後、直虎が現れて田畑を眺めている、という場面が映りました。地面を這うようにカメラが走って空へ抜けていきました。美しい風景でした。直虎の人生の終わりを表すのにふさわしいきれいな景色でした。
万千代、北条との和睦の使者に
その頃、徳川と同じく旧武田領の混乱につけ込んだ北条が上野に侵攻。続いて甲斐、信濃に攻め込み、いつの間にか徳川は北条と戦をする事になっていました。
甲斐の国衆は、徳川と北条の間で揺れ動き、真田は北条に付いたりしていました。この辺は昨年の「真田丸」でやっていましたね。徳川についておきながら北条についたり、昌幸がコロコロと態度を変えていました。
直虎の死は、家康にも知らされました。家康を通じて万千代と万福(井之脇海さん)、直之、六左衛門にも知らされると、六左衛門は声を出して泣いて悲しみ、他の三人は涙をこらえ耐えるのでした。
直虎の死を知って、北条との和睦について話し合っている席で茫然とする万千代。榊原康政(尾美としのりさん)は「士気が下がる。」と叱責して万千代を退席させるのでした。
そこへ南渓和尚が現れ、直親の笛が何故か井戸端に落ちていて、直虎がその傍らで亡くなっていたと話しました。労咳、つまり結核にかかっていたのだろうとの事でした。
「もうよいと、皆が迎えにきたのではないかの。」と笛が落ちていた理由を推測する南渓。
遺言はあったか万千代が尋ねると、南渓は、白い碁石を差し出して「井伊の魂は、何じゃと思う?」と聞き返します。
「井伊は、井戸端の拾い子がつくった国。ゆえにか、殿はよそ者に温かかったです。民には竜宮小僧のようにあれかし。とし、泥にまみえる事もいとわず、恐れず、戦わずして生きていける道を探る。」万千代は答えます。
「殿は小さな谷でそれをやった。そなたはそれを、この日の本を舞台にやるのじゃ。頼んだぞ。」南渓はそう言うと去っていきました。
万千代は碁石を見つめ、軍議の席に戻り、自ら北条の和睦の使者になりたいと申し出ます。「若造をよこして怒らせては元も子もない。」と言う酒井忠次(みのすけさん)。
「若造であるが故の良さもございますかと。徳川の下に入れば、たとえ敵でも若造でも、潰れた家の子でも悪いようにはされぬ。
それどころか、使者を任されるほどに重きに扱ってもらえるかもしれぬ。何故と言うならば、目の前にさような若造がおるからじゃ。そう思うて頂けるのではないでしょうか。」と返す万千代。
榊原が「此度の主眼となるは甲斐、信濃、上野の三国。この内甲斐と信濃はこちらのものとしたい。それを北条に認めさせ、かつ、国衆たちにも火種が残らぬように計らう、そなたに出来るか?」と試すように言います。
「潰れた家の前髪だからこそ出来る和睦を、ご覧に入れまする!」と万千代は宣言し、家康から使者を任せられる事になりました。
万千代は、万福、直之、六左衛門たちと、北条が異を唱えにくくする状況を先に作る為、甲斐、信濃の国衆から「徳川に臣従を誓う。」という起請文を集めようと話し合います。
臣従した後にどうなるか、を具体的に書状に書いて、皆で手分けして国衆たちに持ち込み、説得に当たりました。書状を書く際に使った硯は、方久がかつて城主になったばかりの直虎に渡したものです。それをまた方久が万千代の為に持って来たのでした。
国衆たちの起請文の束を万千代は、北条の使者である小笠原康広に見せ、北条との交渉を見事にまとめ上げました。
徳川は一気に天下に物申せる大大名へと駆け上がりました。
直政という名の由来
北条との和睦の褒美に、万千代は「元服したい。」と申し出ます。なかなか叶わなかった元服が、とうとう実現することになったのです。
万千代たちが甲斐、信濃の国衆たちの説得していた頃、南渓が家康に、万千代の元服後の名前について書いた書状を渡していました。
万千代は、家康から「直政」という名前を貰いました。
「井伊の通字である「直」、そして小野の通字である「政」を取り、そなたの名とせよ。」家康は名前の由来を話します。六左衛門をはじめ、万福、直之も喜びます。
直政は「百尺竿頭進一歩、大死一番絶後再蘇。何事も大死あってこその蘇りにございましょう。この身にございましょう。新しき井伊は、この方々から始まったのだと井伊直政、この名と行いを通して伝えていく所存にございます!」と宣言し、頭を下げました。
いや~!虎松が「直政」の名前になるのは前々から知っていましたが、直親、直虎の「直」に政次の「政」で「直政」とは、気付いていませんでした!直政の言う通り新しい井伊は、この三人から始まったんですよね!とても感動的なシーンでした。あ~、その通りだ!とテレビの前で大きくうなづきました。
続いて、榊原が直政に遣わす褒美についての説明を始めました。
「徳川家臣より、松下、木俣、川手、織田方より参じた庵原、国衆より近藤、鈴木、菅沼、合わせて七家。さらに武田より新たに臣従した赤備え組の武者たち。これらを井伊直政に付し、士大将として取り立てる事とす!」
榊原に続いて家康が「直虎様は最期、お家が潰れる哀れをなくす事を考えておられたそうじゃ。ならばこれは井伊の引き受けるに、ふさわしい役目だと思わないか。」と話します。
直政は「恐悦至極に存じます!」と喜んで受けるのでした。
みんな、勢ぞろいですね!新野家の嫁ぎ先も、井伊谷三人衆も、松下もみんな全員集合です!直虎が生き残りのために打ってきた手が全部繋がった瞬間です。
一方、南渓和尚は井戸端で盃を並べて新しい船出を祝いました。
この後、高瀬は川手良則の嫁となり、梅の妹の松が侍女に上がりました。この松がまた梅役と同じ梅沢昌代さんでした。一人二役ならぬ三役です!これには笑いました。新しい役が来る度に梅沢さんが若くなっていました。
井伊の赤鬼
直政は、尾張・長久手の戦場で「井伊の赤鬼」となっていました。
「あんな若い大将、役に立たない。」「大将は陣で座っておるだけ。」と家臣に馬鹿にされたことに腹を立てた直政は、「本日これより、この陣中では、一番槍は大将が務める。」と一番に駆け出していくのでした。
「時は戦国、群雄が割拠し、戦や略奪が繰り返された混乱の世。その流れに果敢にも飛び込んだ女子がおった。彼女が守り続けた井伊家は、260年にわたり江戸幕府の屋台骨を支える事になったのじゃ。勇ましい男名で男たちと渡り合った、その女の名は…」というナレーションの後、碁盤を囲んだ直虎、直親、政次(高橋一生さん)。碁石で「完」。
直親の横顔は映りましたが、政次は手しか映りませんでした。
最後に
は~、終わりました。
最後は、豊臣時代はなかったかのように江戸幕府が出来ていました。
最終回の中では、「直政」の名前の由来を家康が話すところが、一番のヤマ場だったと思います。「直政」という名前一つで、直虎が、直親の後を継いで政次と守って、守り切れなかった歴史が一気に蘇り、また生き返ったような感覚になりました。
そう解釈するのか!と感心させられました。
いい終わり方だったと思います。
オープニングテーマの出演者の名前もちゃんと、直虎、直親、政次、龍雲丸、直政と主要人物の名前も全員出ていて、感動的でした。直親は横顔で、政次は手だけでしたが。
ドラマとして、最終回まで直虎を主人公としてやっていけないのでは?と思っていましたが、いやいや全然そんなことはなかったです。
直虎が主人公で、本当に面白かったです。
大河ドラマというと、だいたいどんな人生を送ったかわかる人の事をやるので、ある程度予測しながら観る事が多かったのですが、「おんな城主 直虎」は、知らない人物だからこそ、どうなるのか、毎回楽しみでした。
来週から放送がないのかと思うと寂しい限りです。
ドラマがいい終わり方だったので、いい気分で感想を終えようと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。