「風林火山」は、2007年1月7日から12月16日まで放送された大河ドラマです。
2017年4月からNHK BSプレミアム日曜昼12時から、大河ドラマアンコール枠で再放送されています。
2018年1月28日に放送されたのは、第43回「信玄誕生」です。
前回は、由布姫(柴本幸さん)亡き後、山本勘助(内野聖陽さん)は、高野山へ上ります。そこで国衆たちの争いから出奔した、長尾景虎(GACKTさん)と会います。
二人は、高野山の僧侶、清胤(佐藤慶さん)に曼荼羅を見せられ、それぞれ、目の前の問題を受け入れられるようになるのでした。
勘助は甲斐に戻って、山本家の跡取りを作れという由布姫の願いをかなえる為、リツ(前田亜季さん)を嫁ではなく、娘として迎えて後に婿を取るという決断をしました。
一方、景虎は大熊朝秀(大橋吾郎さん)が武田晴信(市川猿之助さん)の調略により、謀反を起こしたという事態に、姉婿、長尾政景(建蔵さん)と家臣の直江実綱(西岡徳馬さん)が高野山まで迎えに来たことにより、越後へ帰りました。
甲斐と越後との争いはどうなるのでしょうか?
前回の第42回「軍師と軍神」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第43回「信玄誕生」のあらすじと感想です。
第三次川中島の戦い
弘治2年(1556)8月。躑躅ヶ崎館では、越後で謀反を起こした大熊朝秀が甲斐に逃れてきていました。直江が読んだ通り、晴信が景虎の出奔中に調略していて、大熊は武田家に召しかかけられました。
晴信は、第二次川中島の戦いで、武田の旭山城に対し越後が築いた、葛山城を誰が守って人物は、「元村上の配下、落合一族。」と大熊から聞き出します。
大熊は、晴信に葛山城を落とせると言いますが、一緒に話を聞いていた真田幸隆(佐々木蔵之介さん)が、「落合一族には既に、葛山城下の静松寺を通じ、切り崩しを図ってございます。」と口を挟みます。
晴信はそれならば、城は容易に落ちるだろうと踏みます。そして真田に尼飾城攻略を急がせるのでした。
晴信との話の後、真田は勘助を呼んで一緒に酒を飲み、「御屋形様はそちの留守中、また越後との戦をお考えであった。まるで昨年の和睦など、なかった事のようじゃ。」と話します。
忍芽(清水美沙さん)は、「諏訪の姫様が亡くなられた隙間を埋めるようだ。」と言うと、真田は勘助に妻との新しい生活について聞きます。
妻ではなく娘だと言う勘助に真田は、「自分の二男や三男を婿にやらない。当てにするな。真田一族になるのなら別じゃが。」と言うと、勘助は「真田家の助けは借りない。」と答えます。
話を変えて真田が「尼飾城をどうするか…。」と言うので、勘助が答えようとすると、「わしも、そなたの助けを借りるつもりはない。」とバッサリと切り捨て、「そなたに子が出来ぬとなれば、この真田家こそが武田の軍師を継がねばなるまいて。」と暗に三男昌幸の事を暗示しているかのような事を言うのでした。
武田はこの年、真田によって尼飾城を落とし、第二次川中島の和睦で勢いを盛り返した長尾方の地侍を一掃しました。
翌年2月には葛山城を攻略。再び善光寺平を押さえ、越後に脅威を与えていったのでした。
景虎は、その間は深い雪の為、出陣出来ないでいたのです。
越後では、高梨政頼の飯山城に迫ってきているのは、武田軍の大将は重臣、飯富虎昌(金田明夫さん)であると、直江が話していました。
更に北信濃の地侍への調略が進んでいる事も同時に報告すると、景虎は冷静に「今に始まった事ではない。」と言いますが、宇佐美定満(緒形拳さん)が「悪辣ぶり、ますますひどくなる一方じゃ。」と珍しく一人苛立っています。
雪解けすぐの出陣の準備に取り掛かると言い、先に席を立つのでした。
同じく上杉の家臣だった大熊が謀反を起こした事が原因でした。しかし、景虎が越後に帰ってからの国衆の結束は固くなっており、心配はないのでした。
景虎が、信越国境に出陣したのは、弘治3年(1557)4月17日の事でした。善光寺平に着陣し、旭山城にも兵を入れ、川中島一帯を荒らし回りました。
これに対し武田軍は、攻められれば退き、決戦を望む景虎の挑発には乗らないのでした。
晴信は、深志城に着陣したまま動かず、結局第三次川中島の戦いも雌雄を決する事無く、9月になって景虎は越後へ兵を退きました。
深志城で今回の戦いについて、「皆越後を見事にいなし、また信濃の者たちもよく越後になびかずにいてくれた。褒美を取らせよう。」と、満足している晴信に、馬場信春(高橋和也さん)は「味方に大きな痛手もなかったが、それは越後勢にも言える。」とチクリと言います。
「敵はだいぶ、じれていたように見受けます。」と駒井政武(高橋一生さん)は晴信よりの意見を言い、満足げです。
しかし勘助は、「されどさような景虎のもと、越後勢の結束は強まったように存じます。
いずれ決戦を挑まねば、この戦は終わりません。」と晴信に進言するのでした。
信濃守護と関東管領
甲府に帰陣した晴信のもとへ、将軍足利義輝の使者が来て、景虎との和睦を打診してきました。しかも、景虎は先にその和睦に同意している、との事でした。
晴信は、「和睦に同意するが、信濃守護にして欲しい。」と願うのでした。
晴信は、信濃守護になる事で、信濃衆の旧領回復を名目に義を振りかざし、信濃に侵攻して来る長尾景虎を討つ事が、武田の正義となるからです。
信濃守護に従わず、長尾家に付く者たちを反逆者として堂々と討伐することが出来ると言うわけです。また、その者たちを助ける長尾景虎を討つ名目で、越後へ出兵する事も出来ます。
相変わらず、やり方がズルいというかなんというか、単純に言えば「領土を広げたい。」という事なのに、回りくどく時間かけてやるんですね。
翌、永禄元年(1558)、晴信は信濃守護になりました。
一方、景虎は庇護する関東管領、上杉憲政(市川左團次さん)に招かれていました。
憲政は、「上杉の名跡と関東管領の職を継がないか?」と打診してきました。
「関東管領になる事で、守護の上に立つ事が出来るので、信濃を領地とする武田を討つ大義を得る事になる。しかし関東管領になるという事は、まず関八州を平定しなければならない。
その為に北条を討って欲しい。」というのが憲政の狙いです。
「上州で助けを待っている、残してきた家臣、領民の為である。」と景虎に強く願い、頭を下げます。
景虎は、「謹んでお受けつかまつるが、その前に再び上洛して将軍から正式に関東管領の命をもらわなければならない。」と言います。
実は、武田との和睦は、将軍家から景虎に上洛を促すためのもので、将軍家は、三好、松永に追われて近江に落ち延びていました。それを景虎に助けてもらいたいと考えていたのです。憲政は将軍家の信頼を得ている景虎に感服します。
しかし、早く上州を取り戻したい憲政の家臣は、上州への出兵の時期を聞いてきます。
「上洛後には必ず関東を平定します。」と約束する景虎でした。
晴信が守護なら、景虎は関東管領。なんだか大きな事になってきました。大儀を得るための合戦です。
リツと浪の片思い
リツは、娘として勘助に迎え入れられましたが、納得していません。リツは勘助の事を「旦那様」と呼び、勘助に言い寄る関係は変わっていませんでした。
葛笠太吉(有馬自由さん)の息子、茂吉(内野謙太さん)を婿として迎えようとする勘助に反発します。
茂吉を婿とする事は、太吉の妻、おくま(麻田あおいさん)も跡継ぎがいなくなると納得しておらず、勘助はおくまにも責められます。
勘助は、リツとおくま、二人に謝り、話はなくなりました。
一方、越後では景虎の世話をしていた直江の娘、浪(占部房子さん)は、景虎をずっと思っていました。
が、先の心配をして婿を探すようにと口にした景虎に、もはや慕っていても望みがない事から、他の人に嫁に行くよりはと考えて、景虎が上洛で留守中に、出家したのでした。
二人の女の片思いは、違う方向を見せましたね。どちらにも共感出来ます。
信玄誕生
晴信は、由布姫を生前、存分に慈しんでやれなかった事、諏訪に追いやっていた事を悔いていました。「信濃守護になったのは、由布姫が愛した諏訪を守りたかったという事もあったからだ。」と勘助に打ち明けます。
そして、「勘助が高野山へ逃げ出した気持ちがよく分かる。わしも苦しんだ。迷った。」と言います。
勘助は、晴信の心に触れて感激して涙します。晴信は、「甲斐と信濃の守護として正しく領国を治めるため、天下の本は国。国のもとは人。その人としてさらに正しく自信を修めていかねばならない。家臣と領民全てを慈しめるよう己を律する為、出家したい。」と言います。
勘助は賛成し、自分も一緒に出家すると言います。
「一国の主として、御出家なさるは、この乱世、決して無益な事ではござりますまい。」と勘助が言うと、「策略としてするのではないぞ。」と晴信は笑うのでした。
永禄2年(1559)2月。晴信は、幼少の頃からの師である岐秀元伯(小池榮さん)の導きで出家をしました。「武田信玄」誕生です。
これに追随した家臣の一人は、原虎胤(宍戸開さん)です。出家して「清岩」と号しました。
次に真田幸隆です。上州より呼び寄せていた僧、晃運字伝(冷泉公裕さん)のもとで入道し、「一徳斎」と号しました。
最後は勘助。「道鬼」と号しました。
出家した勘助は、改めてリツに「女と酒を断つ。」と宣言し、妻とする事はない事を告げます。「とっくの昔から女は断っていただろう。」と悔しそうに嫌味を言うリツでした。
なんだかリツが可哀想になってきました。何がダメなんでしょうか?
寅王丸が成長
越後に村上義清(永島敏行さん)に伴ってきていた矢崎平蔵(佐藤隆太さん)とヒサ(水川あさみさん)夫婦は、父と同じ「十吾郎」という名の男の子と、「ミツ」という名の女の子と仲良く暮らしていました。ヒサは今の生活に満足していましたが、百姓から武士になったのにまた百姓に戻った身の平蔵は、不満に思っていました。
そこで平蔵は、景虎留守中の宇佐美を訪ねます。宇佐美は、「元諏訪家家臣、矢崎家を継ぐ者で、山本勘助とも誼があり、甲府の地理に明るい」平蔵に興味津々です。
宇佐美は、景虎から上洛中に武田の動きを止めるための策がないか、と聞かれていました。
「勘助のような軍師になりたい。」という平蔵を宇佐美は「敵の軍師を慕っているとは面白い。」と関心を持ちます。
平蔵を試したい。とある提案をしました。
「駿河に行って欲しい。駿河のある寺に、武田を討つべき者が潜んでいる。その者に会い、誘ってみよ。その者が誰だか、言い当ててみよ。」
それは、武田に滅ぼされた諏訪頼重(小日向文世さん)の忘れ形見で、由布姫の弟、出家した寅王丸こと、長笈(柄本佑さん)でした。
宇佐美は、「その者なら、武田の主の首を容易に討てるかもしれぬ。」と言うのでした。
ここで終わりです。
今になって寅王丸が出てきましたね。由布姫が亡くなっていて、説得できる人間がいなくなった後で、です。
四郎ではダメでしょうね。四郎がいるから出家させられたわけですし。
さぁ、どうなるのでしょう!
次回、第44回「信玄暗殺」です。
寅王丸が信玄に近づきます。
なんだかあまり観たくない回になりそうです。