「風林火山」は、2007年1月7日から12月16日まで放送された大河ドラマです。
2017年、4月からNHK BSプレミアム日曜昼12時から、大河ドラマアンコール枠で再放送されています。
2017年7月9日に放送されたのは、第15回「諏訪攻め」です。
前回は、諏訪頼重(小日向文世さん)が、武田晴信(市川猿之助さん)を侮り、関東管領と手を結びました。武田は信濃への足掛かりを失います。
そこで山本勘助(内野聖陽さん)は、教来石景政(高橋和也さん)と一緒に、諏訪の同族である高遠頼継(上杉祥三さん)に出陣を促す調略をします。武田は諏訪勢を二分することで、諏訪と武田の和議を成立させようと考えていました。戦って勝つよりも難しい戦が始まります。
前回の第14回「孫子の旗」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
諏訪家に嫡男、寅王丸が誕生
晴信の妹、禰々(桜井幸子さん)が、天文11年虎の年4月4日、諏訪家の嫡男、寅王丸を出産します。武田にも知らせが来ます。
勘助は晴信に、寅王丸は武田家と諏訪家を受け継ぐ方だと言います。諏訪家を降伏させたのちに、頼重には自害してもらい、その後を寅王丸に諏訪を継いでもらおうと考えているのでした。
晴信が寅王丸の後ろ盾になれば、諏訪の者たちの恨みは拭え、諏訪を治めることが出来ると言うと、晴信は勘助の顔が「悪鬼に見える」と言うのでした。
晴信は勘助を溺愛していると思いきや結構失礼なことをズバズバ言って、イジリます。その度に勘助が「え?」と言って戸惑うシーンが何度か出てきます。市川猿之助さんと内野聖陽さんの間の取り方がうまいと思います。
教来石が諏訪の家臣の調略を進める
教来石は、晴信の命令通り信濃に残り間者となっていました。
矢崎十吾郎(岡森諦さん)の家に食客として入り込み、矢崎の信頼も得てきていました。矢崎家にいることで、諏訪の家臣団の様子を伺っていました。
矢崎の娘、ヒサ(水川あさみさん)は、諏訪家家臣の中でも西方の有賀家に嫁ぐ予定になっており、「西方は昔から、諏訪頼重によく盾突く者が多い」と平蔵(佐藤隆太さん)と話しているところを教来石は立ち聞きして、情報を得ていました。
着々と教来石が、間者としての働きを進めています。ヒサと平蔵が、馬小屋でイチャつこうとするのをそれとなく止めに入ったりもしていました。
教来石は前回、諏訪攻めをすることで矢崎家の人を犠牲にすることをためらっていたので、先を見据えての行動を取っていたものと思います。
晴信が当主として初出陣
武田に、高遠頼継が諏訪攻めの先陣を切るとの知らせが入り、晴信以下家臣たちは出陣準備に入ります。
板垣信方(千葉真一さん)は、使い番衆を集めて、「百足衆」と名前を改めることを告げます。「百足は軍神。毘沙門天の使いだ。百足は常に前に進み、決して退かない。軍神のご加護のもと、戦陣を駆け抜けよ!」と檄を飛ばします。
オープニングテーマの時も、百足が出てきます。風林火山の旗と一緒で、武田家臣団の旗だったのですね。
天文11年(1542)6月24日、晴信が当主として初めて出陣しました。三条夫人(池脇千鶴さん)は出陣に呆れます。
大井夫人(風吹ジュンさん)は、「戦は避けて通れない。主が戦嫌いと知れれば、他国は侮って甲斐を攻めるだろう。そんな主君に付いていく家臣もいない。国を一つにまとめるには、国が一つになって他国へ攻める他ない。」と言い聞かせるのでした。
教来石が諏訪家臣を翻弄
矢崎家に入っていた教来石は、伊那の高遠と内応して武田が出陣したと矢崎に伝えます。武田と高遠が諏訪を挟み撃ちしようとしています。
ついで諏訪の西方衆も高遠側に付いたことも知らせます。西方衆は有賀城に籠り、諏訪勢に加わることはない。有賀に嫁いだヒサも無事だろう。考えようによってはこれで良かったかもしれない。とつい口を滑らせてしまうのでした。
矢崎はまるで諏訪が負けるような物言いだ、と少し疑い始めました。
高遠が動かない
6月29日、武田勢は、諏訪、上原城近くの御射山に着陣しました。
しかし、高遠頼継が高遠城から出ようとしません。高遠が出陣しないと、諏訪は武田だけを敵とみなし、死に物狂いでかかってきます。
たとえ負けても降伏せず、皆自刃するかもしれない。そうなれば一番の気がかりの禰々と寅王丸の命もありません。大失敗に終わってしまいます。
諏訪家では、由布姫(柴本幸さん)が負けた時の自刃を覚悟していました。
晴信の妹である禰々を責めますが、禰々は兄である晴信を敵と見ることが出来ず迷います。しかし、命を懸ける由布姫を前にして、禰々も寅王丸と一緒に、死を覚悟するのでした。
勘助は、高遠頼継が武田家と諏訪家の義兄弟の誼を疑って、出陣しないことを晴信に謝ります。そして武田家と諏訪家が一戦交えない限り、高遠は出陣しないと予想します。
晴信の弟、信繁(嘉島典俊さん)は武田だけで諏訪を攻めようと進言しますが、勘助は「我らが諏訪を討てば、禰々様が自害するか殺されます。」と止めます。
甘利虎泰(竜雷太さん)は「勘助の調略がうまくいかなかったからではないか。どう責任を取るか。」と憤ります。
武田勢が考えるべきことは、どうやって諏訪との合戦を避けるかでした。晴信は勘助に策を尋ねます。緊迫した状況で勘助に尋ねる晴信に一同驚きます。
「諏訪勢を何とかして退かせるしかありません。念のため、旗指物を広く立てかがり火を増やし、我が勢を少しでも多く見せます。諏訪勢が我が勢に敵わないと見たら、籠城策を取るでしょう。
上原城より、堅固な桑原城へ籠ると思います。兵が少ないので、上原城に残る者も皆、桑原城に移るでしょう。その際、上原城を明け渡さないでしょう。」と勘助は言います。すると晴信は、「自ら上原城に火を放つ!」と先読みします。
「その火の手が上がるのを見たら、高遠は急ぎ攻め来るものと思います。」と勘助が結びます。板垣が、晴信に夜のうちに動くよう進言すると、晴信は力強くうなずきます。
小山田信有(田辺誠一さん)は、先鋒を申し出ます。晴信は小山田勢なら申し分ないと言い、続けて飯富虎昌(金田明夫さん)と甘利にも合力をするよう言います。飯富はすぐに返事をしますが、甘利が返事をしません。「甘利の軍勢と見れば、諏訪勢も退かずにはいられない。頼むぞ。」と重ねて晴信が言うと、ようやく甘利も命令を聞きます。
小山田は良い策だと思ったら、すぐに乗ってくれるところがありますね。あまり感情に囚われない合理的な人だと思います。若さでしょうか。甘利は勘助が来た時からずっと嫌っています。調略自体好きではないのでしょうか。
勘助の策が当たる
7月2日早朝、武田軍はさらに上原城近くの犬射馬場に迫りました。諏訪勢に入り込んでいた教来石がそれを見て、武田家重臣一人一人の名前を言って驚嘆し、とても太刀打ち出来ないと大きな声で言います。それを聞いた諏訪の者たちの何人かは恐れて逃げていきます。
諏訪頼重は討ち死に覚悟で攻めようとしますが、家臣に諏訪の家系を絶やすのかと止められ、桑原城へ籠城することを決めます。そして上原城を焼き払っていくのでした。
それを見た高遠は慌てて出陣します。猛然果敢に諏訪攻めを始めました。
全ては勘助の思惑通りとなり、勘助はニヤリと笑うのでした。
勘助、スゴイですね!こうも見事に当たるとは!失敗したとしても、二の策、三の策を考えておくのが軍師なのですね。ほんの少し前まで浪人であったのが信じられません。
武田は合戦もせずに上原城を奪います。高遠はその手際の良さにイライラを爆発させます。
諏訪頼重は、高遠が出陣したことを知り、高遠がこの戦は高遠が謀り、武田に援軍を頼んだのだと考えます。
教来石が間者だと気づかれる
矢崎の娘ヒサは、夫有賀清正(京一郎さん)と有賀城に籠っていました。
有賀が、矢崎にも寝返るよう勧めればよかったと話すと、ヒサはわかっていたら嫁がせなかったと言い返します。
有賀は、「桑原城に武田の間者がいて、西方衆を誘ったのも高遠へ出陣を促したのもその者だ。」と、ヒサに話します。ヒサはすぐ教来石だと気づき、父に知らせようとしますが、有賀に止められます。
教来石は、河原村伝兵衛(有薗芳記さん)に、諏訪の状況を伝えるよう話していたところを、平蔵に見られます。
平蔵は伝兵衛を知っていたので、教来石が伝兵衛と話していることに疑問をぶつけます。伝兵衛は慌てて逃げます。
教来石は刀を抜き、平蔵に逃げるよう言います。そして「わしの役目もここまで。」と逃げようとしますが、前から疑っていた矢崎に見つかり、捕らえられてしまうのでした。
とうとう捕らえられた感は、ありますね。疑われるようなこと、言っていましたから。
諏訪に和議を申し入れる
桑原城は次々と家臣が逃げ出し、わずか20人ばかりしか残っていない状態でした。
頼重は、禰々に「武田に討たれようとも、夫婦になったことは悔いていない。寅王丸を頼む。」と言うのでした。死を覚悟した男の妻への愛の言葉でした。
板垣と勘助は、桑原城に武田の使者としてやって来ます。板垣は諏訪に和議を申し入れます。勘助は、全て高遠が諏訪を討つために、諏訪が甲斐を攻めようとしている、と嘘をついて甲斐を味方に引き入れたことだったと言います。
甲斐は嘘に乗って出陣したが、今は嘘だとわかったので、和議を申し入れている。と板垣はたたみかけます。
禰々も話に入って来て、一緒に聞きます。頼重はすっかり勘助と板垣に騙されて、「和議を結べば、一緒に高遠を討ってくれるのか。」と聞きます。
しかし勘助は、上原城は武田が押さえているので、形だけでも諏訪が降伏するよう言います。降伏した後は、寅王丸に諏訪を継がせ、晴信はその後見をすることになると板垣が続けます。諏訪家のためにはこれ以上の道はないと迫るのでした。
頼重は笑います。「騙されるところだった。武田は間者を送り込んでいるではないか。」と教来石を突き出します。
勘助は、「確かに教来石は武田の間者だが、諏訪にいる間に高遠の間者になった。」と言います。板垣も話を合わせます。そしてその場で成敗すると言い、短刀を教来石の首元に突きつけます。
頼重はそれを止めると、「教来石が、どこの間者であろうが自分の不覚に間違いない。晴信に会う。」と言うのでした。
頼重が止めなければ教来石を殺したのでしょうか?勘助、怖すぎます。
由布姫、勘助を睨みつける
話がまとまったところへ由布姫が現れ、父を止めます。
全て武田の謀りごとだと言い、勘助の顔を睨みつけながら、「武田の存念は、その者の顔に現れています。醜い悪鬼だ。」と言います。勘助は目を逸らさず、その睨みに対抗してニヤリと笑って見せるのでした。
今回は、全編ずっと諏訪を騙すことで貫かれていましたね。
観ながら理解するのに、時間がかかりました。これが晴信の目指す、合戦のない勝利なのですね。
次回、諏訪攻めの戦後処理にかかります。勘助が非情な処置をするようです。
予告では由布姫が、勘助に「どんなに辛くとも生きていたい。」と言います。
憎しみがどう変わっていくのか、必見です。
次回、第16回「運命の出会い」です。