2019年1月6日から始まった大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」。
とうとう始まりましたね。
初っ端からビートたけしさん、小泉今日子さん、後半の主要人物たちが登場する非常に豪華な初回でした。
また、オリンピックファンファーレのようなトランペットから始まる軽快な音楽がオリンピックへ向かう高揚感を感じさせ、聴いているだけでワクワクして元気になるようでした。
歌舞伎の掛け声みたいなのが入るのも粋ですよね、面白かったです。
オープニングは、まるでウルトラマンのように巨大な選手・登場人物たちが東京の街を、日本を股にかけ競技を行います。
オリンピックにかける期待と興奮が、躍動感溢れる音楽と相まって、短いオープニングの中に満ち溢れていました。
それでは、第1回「夜明け前」のあらすじと感想です。
昭和34年(1959年)
時は昭和34年、東京オリンピック招致に向けて東京の街も近代化に向けて慌ただしく変化している時期でした。
古今亭志ん生(ビートたけしさん)とその娘・美津子(小泉今日子さん)は寄席に向けてタクシーを走らせていました。
しかし、どこもかしこも工事だらけでちっとも前に進まない。
そんな時に、タクシーの横を足袋でマラソンしながら通り過ぎる人を見た志ん生は、その日の寄席で「富久」を演じることを決めました。
「富久」とは、火事が起きて、浅草から芝を走る太鼓持ちのお話です。
外務省運動会にて、東京オリンピック招致の為に、演説をするはずだった人物・北原がアキレス腱を切る大怪我を負ってしまいました。
知らせを受けた田畑政治(阿部サダヲさん)と東龍太郎(松重豊さん)、岩田幸彰(松坂桃李さん)は、テレビでオリンピックについて語る平沢和重(星野源さん)を代役に抜擢しました。
そして、西ドイツ・ミュンヘンの会議にて、平沢和重は演説を始めました。
小学校6年生の教科書について、オリンピックの話が載っており、それを学んでいる子供たちはオリンピックを楽しみにしていること、アジアでのオリンピック開催を強く望んでいるということを。
結果は東京の圧勝。
東京オリンピック開催が決まりました。
昭和35年(1960年)から50年遡り明治42年(1909年)
そこで、古今亭志ん生が語りだし物語は50年前に遡ります。
語り手は若き日の古今亭志ん生、本名・美濃部孝蔵(森山未來さん)に代わります。
美濃部らが住まう場所の質屋から、洋式の礼服に身を包んだ紳士が現れました。
紳士は人力車の車夫・清さん(峯田和伸さん)にフランス大使館に向かうように指示します。
この紳士こそが日本の柔道の祖、スポーツの父と呼ばれる嘉納治五郎(役所広司さん)でした。
フランス大使館にて、駐日フランス大使のジェラールからオリンピックについての話を聞かされ、アジア、特に日本にもオリンピックに参加して欲しいとの要望を受けました。
日本を纏めあげオリンピック参加にこぎつけられるのは嘉納治五郎しかいない、嘉納治五郎こそが適任者「Right Man」であると、嘉納を責任者として依頼したのです。
スポーツの素晴らしさ、オリンピックの精神に賛同した嘉納は、ストックホルムから戻ったという永井道明(杉本哲太さん)に話を聞きに訪れると、外国人に比べ、日本人の体は未熟で、過酷なオリンピックを戦い抜くことはできないと断固反対します。
永井は、オリンピックの第4回大会、ロンドンオリンピックを観戦しており、競技の過酷さはもちろん、選手に対する周囲の期待の高さと圧力に反感を持っていました。
永井の主張や文部大臣や日本体育協会の冷たい反応に、嘉納は道の険しさを実感します。
三島家のランチパーティーに参加した嘉納は、大隈重信(平泉成さん)に銀行の頭取・三島弥太郎(小澤征悦さん)を紹介されました。
早速、資金援助を申込みますが、「スポーツというものが心底嫌い」とバッサリ切られてしまいます。
その時、パーティー会場にボールを追いかけて走り込んでくる若者が。
三島弥太郎の弟・弥彦(生田斗真さん)でした。
三島弥彦は日本初のスポーツ同好会・天狗倶楽部のメンバーで、さらに、あらゆるスポーツに秀でている「運動会の覇王」と呼ばれる人物でした。
ここの天狗倶楽部の紹介シーンも、宮藤官九郎さんならではのユーモアに溢れる演出でしたね。
サンシャイン池崎さんを彷彿としてしまったのは私だけでしょうか…。
スポーツを愛する天狗倶楽部を見た嘉納は、がっかりしてしまいます。
日本にはスポーツの精神が根付かない、というのです。
そして思うように進まない資金集めに嘉納も次第に諦めかけ、辞退を考えるようになったのですが、フランス大使館宛に届いた、第5回オリンピックのポスターに日本の日の丸が描かれていたことや、2万人以上も収容できるスタジアムの図面を見せてもらい、熱い気持ちが蘇り、アジア初のIOC(国際オリンピック委員会)の委員の大役を引き受けることになったのです。
昭和35年(1960年)
時は昭和35年に戻ります。
古今亭志ん生のもとに、五りん(神木隆之介さん)という青年とその彼女・知恵(川栄李奈さん)が弟子にして欲しいと訪ねてきます。
志ん生からは「弟子は取らない」と断られてしまいますが、五りんは諦めず、親の遺品であるはがきを志ん生に見せます。
そこには、「満州で聞いた古今亭志ん生の落語『富久』は最高だ」と書かれてありました。
明治42年(1909年):大日本体育協会設立
そしてまた、お話は明治に。
嘉納は自分でオリンピックの母体となる団体を作ろうとします。
天狗倶楽部の協力を得て、大日本体育協会を設立。
オリンピック参加に向けて活動を開始します。
そして、1912年に迫った第5回オリンピックストックホルム大会に出場すべく、予選会を開こうと嘉納は提案します。
しかし、難色を示したのは三島弥彦。
三島は、予選会などではなく東京のオリンピックを目指そうと言い出しました。
新聞に嘉納の檄文を載せて参加者を募集、テレビの記者会見も行いました。
きちんとした記録を計測するためにはきちんとした陸上競技場が必要、ということで、羽田にある京浜電気鉄道の所有している広大な野原に運動場を作ることになりました。
羽田を視察した嘉納は、広大な野原に運動場などできるのかと弱気になるのですが、大森兵蔵(竹野内豊さん)はこのくらいの広くてフラットな土地ならばと好印象。費用面は三島弥彦が兄に直談判するといい、資金面はクリアされました。
天狗倶楽部の面々の協力を得た嘉納は、彼らとの付き合いの中で、医者に酒を止められていたにも関わらず飲んでしまい、体を壊し入院してしまいます。
体が弱ると気持ちも弱り、自分の気持ちだけでみんなを巻き込んでしまったと後悔します。
助教授で嘉納を補佐していた可児徳(古舘寛治さん)に「伊駄天などいない」と弱音を吐いてしまいますが、可児が嘉納に内緒で作った優勝カップを見せてもらい、励まされます。
明治44年(1911年)11月19日:大運動会開催
そして、羽田運動場ができ、未曾有の大運動会が開催されました。
多くの反対もありましたが、多くの人の協力と努力により開催されたマラソン予選会。
その中には人力車の車夫・清さんの姿もありました。
本当は中学以上の学歴がなければダメだったのですが、早稲田の学生と偽り参加していたんですね。
嘉納役の役所広司さんが思いっきり突っ込んでいました。
初めは順調だった大運動会でしたが、次第に天気が崩れ伝令からは落伍者の報告ばかりが上がってきます。
永井はロンドンオリンピックで見た「ドランドの悲劇」のような、羽田の悲劇だ、と嘉納を責め立てます。
そんな中、1人の選手が羽田に帰ってきました。
スッスッハッハッという特徴的な息遣い、腕を体の後ろでコンパクトに振る走法。
頭から血を流しているような(帽子の染料の赤が雨で濡れて落ちただけ)、顔を歌舞伎の隈取りのようにして走ってくる男。
彼こそがこの物語の主人公・金栗四三(中村勘九郎さん)でした。
しかもタイムは世界記録を27分も縮める好タイム(2時間32分45秒)。
嘉納は狂喜し、ゴールまで金栗を出迎えます。
雷の音がうるさくて、嘉納が金栗に叫んだ言葉は聞こえませんでしたが、その言葉を昭和の古今亭志ん生が引き受けました。
「金栗君、君こそ世界に通用する韋駄天だ、いや、不可能を可能(嘉納)にする男だ」
次回からは主人公・金栗四三のお話になります。
最後に
第1回の「夜明け前」は、アジアで初めてIOC委員になった嘉納治五郎がオリンピック出場を目指して様々な困難にぶつかりながらも一歩を踏み出したお話でした。
明治と昭和を行ったり来たりしながら、お話は進んでいきました。
軽快なテンポで飽きることなくこれからの展開が楽しみになるお話でした。
主人公・金栗四三を思わせる人物が、物語前半から足だけとか、後ろ姿だけ、とか見え隠れするのがとっても気になりました。
主人公なのにラストしか出てこない。
でも、印象的な登場でしたね、さすが主人公。
来週は、第2回「坊っちゃん」。金栗四三のお話です。
https://tg-drama.com/idaten-002/