大河ドラマ「おんな城主 直虎」第33回「嫌われ政次の一生」を観ました。
城を明け渡す準備をして待つ直虎(柴咲コウさん)と政次(高橋一生さん)。徳川軍が門前に来たその時、どこからか矢が放たれました。井伊からの攻撃とみなした徳川軍が城に攻め入りますが、すんでのところで門を閉じ防ぎます。まさかの展開に、2人はどう対応するのでしょうか?
前回の第32回「復活の火」を見逃した方は、是非、こちらをご覧下さい。
サブタイトル「嫌われ政次の一生」の元ネタは、「嫌われ松子の一生」ですね。2003年に出版された小説です。その後2006年に映画化もしました。松子という幸薄い女性の壮絶な人生を、ミステリー仕立で描いています。
破られた約束
「かかれ!」との合図とともに、井伊谷三人衆と徳川家臣・酒井忠次(みのすけさん)が率いる軍勢が、城に押し入ろうとしますが、間一髪門を閉じ防いだ政次。状況が分からないながらも、家族や家来と共に川名へ逃げることに。
一方直虎は、矢を放ったのは今川の手の者か、井伊の仕業だと見せかけたい誰かなのではと言い、お家再興の約束を果たすよう主張します。しかし捕らえられ牢に入れられてしまいました。
そのころ井伊家家臣・中村直之(矢本悠馬さん)は山中に潜んでいた近藤康用(橋本じゅんさん)の家来を見つけますが、その場で自害してしまいました。
徳川本隊が合流、家康(阿部サダヲさん)が現れました。そこに武田からの使者が、駿府は落ち、今川氏真は掛川城へ逃げこんだ、家康に掛川城を攻撃するように、という知らせを持ってきました。井伊谷に長居するわけにはいかない、井伊谷三人衆の即戦力も必要。家康はどう決断するのか…。
夜半、直虎が入る牢の前に、家康が現れます。直虎は「お家再興を!」と家康の」書状を持って主張しますが、家康は無言で土下座。そのままの体勢で後ろに下がり、逃げてしまったのです。お家再興の約束は、破られたのでした。
政次となつの最後の時間
龍潭寺では、現場からやじりの無い矢がいくつも見つかり、徳川側への攻撃の矢は、当たっても傷にならないように細工されたものだと分かりました。
政次らは川名の隠れ里へたどり着き、祐椿尼(財前直見さん)らに状況を説明し「必ず何とかする」と言います。
正次となつ(山口紗弥加さん)は、屋敷に留まり体を休めることに。非常時ではあるけれど、祭りの話などをして和みます。そしてなつの膝枕で休む政次。なつは政次の着物に入っていたという碁石を出しました。政次の目を隠し「今は無しです、今だけは…」とつぶやきます。
なつは直虎と政次が碁を打つために会っていたことに気づいていて、今だけは直虎を思い出さないで欲しかったのでしょう。
政次の決意
南渓和尚(小林薫さん)は龍雲丸(柳楽優弥さん)に直虎の牢破りを依頼します。「政次が死ねば、あれは死んでしまうからの。2人して落ち延び、そこで再起を図るがよい」と、直虎と政次を気賀の町に隠すつもりです。
それよりも先に、なんと政次が捕まりました。近藤の寝所に忍び込み、傷を負わせたというのです。牢に連れてこられ、直虎と会うと「信じておられたとはおめでたい」と、裏切ったような発言をします。
直虎は解放され、かわりに政次が牢に入ります。
夜中、政次の前に近藤が現れ「わしを騙したことを忘れおってはないだろう」と、凄みます。材木泥棒の件で、犯人の龍雲丸一味を近藤から逃したことを恨んでいたのです。
近藤の恨みは深く、家康から無血開城の指示があったにも関わらず、井伊家からの攻撃と見せかけて矢を放つ偽装を行い、井伊と小野を潰したかったのでしょう。
今度は政次の牢破りを頼まれた龍雲丸。睡眠薬付きの針で見張りを眠らせますが、政次は出ていこうとしません。かわりに碁石を渡し「逃げればいいのかもしれない」…しかし近藤の恨みが晴れなければ、井伊中が捜索され、ついには戦になるかもしれない。「自分の首1つで済めば、それが一番穏便だ」と、それが小野の本懐だと言います。
政次の決意は固く、龍雲丸は政次をおいて戻ってきました。
磔(はりつけ)
政次に会いに行こうとする直虎。龍雲丸は「あの人の言う伊井ってのは、あんたなんだよ。あんたを選んだんだよあの人は!だから本懐だってんだよ!」と、直虎を止めました。
寺を飛び出し、井戸端に座り込む直虎。和尚に「これは一体どういうことなのでしょう…」と無気力につぶやきます。和尚は「誰よりもあやつのことが分かるのはそなたじゃ」と言います。
直虎は政次とかつて交わした「我を使え。我もそなたをうまく使う」という会話を思い出しました。
いよいよ政次が磔になる朝、和尚は政次に引導を渡しに処刑場に向かい、直虎も「政次が行くというなら、我が送ってやらねば」と同行します。
政次が磔にされ、いよいよ槍で刺される瞬間、直虎が槍を取って飛び出し、政次の胸を刺したのです。直虎は「日ノ本一の卑怯者と未来永劫語り継いでやるわ!」と叫び、政次も「笑止、やれるものならやってみよ」と返します。「地獄の底から見どどけ…」と言い終わる前に政次は息絶えたのでした。
直虎と政次はそれぞれ「裏切られた城主」と「裏切った家臣」を最後まで演じきりました。
政次の辞世の句です。
「白黒を つけむと君を ひとり待つ あまつたう日ぞ 楽しからずや」
直虎が正貢にとどめを刺すとは…予想外でした。それだけに2人の心の絆の強さが心に突き刺さりました。
次回は、「隠し港の龍雲丸」です。
徳川の軍勢が気賀に押しかけるのでしょうか?
政次がいなくなってしまった喪失感は大きいですが、井伊家の戦いはまだまだ続きます。