ある歴史上の人物の生涯を、1年間かけて描くのがNHK大河ドラマ。
時代は平安から幕末、近代まで幅広いですが、やはり皆がよく知る戦国時代や幕末の物語が多いです。
そして戦国時代の英雄といえば、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3人。この3人は脇役でも重要キャストでも、多数の大河ドラマに登場します。
2017年の大河ドラマ「おんな城主 直虎」は、戦国時代の東海地方が舞台。井伊谷という小国の女領主である主人公・直虎を、柴咲コウさんが演じます。戦国三英傑の徳川家康が登場し、物語の鍵をにぎる重要人物となっています。家康役は阿部サダオさんです。
戦国時代が舞台の大河ドラマでは、ほぼすべて登場する徳川家康。今回は歴代の大河ドラマで、徳川家康を演じた俳優とその演技などについて、比較してみたいと思います。
徳川家康が主人公の大河ドラマ
大河ドラマでは過去2回、徳川家康が主人公となっています。
1983年の「徳川家康」と2000年の「葵 徳川三代」です。
1983年「徳川家康」
家康の母が嫁ぐところから始まり、江戸幕府の礎を築き上げた75年の生涯を追ったストーリー。
徳川家康を演じたのは滝田栄さん。今までの徳川家康像を一新する、長身で面長の爽やかな風貌。
戦の世を終え、平和な時代を実現させたいという、熱い心を持った人物として描かれました。
2000年「葵 徳川三代」
江戸幕府を築いた徳川家康、秀忠、家光の三代のお話しです。
物語は関が原の戦いの前夜から始まり、3代目の家光が誕生し青年となったところまでが描かれます。
関が原の戦いのとき、徳川家康は60歳。家康と同じ当時60歳の津川雅彦さんが演じました。
こちらの家康は、まさに人々のイメージする老獪な狸親父そのもの。それでいて家族愛あふれる人物として魅力的に演じました。
最近の徳川家康が登場した大河ドラマ
ここ10年の大河ドラマで登場した、徳川家康を調べてみました。
2007年「風林火山」
武田信玄に仕える山本勘助という軍師が主人公。内野聖陽さんが演じました。
若かりし人質時代の家康が登場。出演シーンは多くありませんでしたが、坂本恵介さんという方が演じました。
2009年「天地人」
上杉謙信の忠臣、直江兼続の物語です。兼続を演じたのは妻夫木聡さん。愛という文字をかたどった兜が印象的でしたね。
松方弘樹さんが徳川家康を演じ、頭にコブを付けた特殊メイクが話題を呼びました。
天地人での家康は、陰謀を巡らす悪役。コブは松方弘樹さんの発案で、悪人キャラをより引き立てるために付けたのだとか。
2011年「江」
織田信長の妹・お市の方を母とする浅井三姉妹の末っ子、お江の物語。お江を演じたのは上野樹里さんでした。
徳川家康役は北大路欣也さん。静かで厳かな悪人、重厚な狸親父というイメージの徳川家康でした。
2014年「軍師官兵衛」
信長、秀吉、家康という戦国の三英傑全員に仕えた、天才的軍師・黒田官兵衛。官兵衛役は岡田准一さんです。
寺尾聰さんが演じる家康は、老獪で油断がならない家康像そのもの。
右目を閉じた演技が話題を呼びました。これは寺尾聰さんの役作りで、片目を閉じることで心の中を見せない狸っぷりを表現したのだそうです。
2016年「真田丸」
信濃に領地を構える真田家。武田、織田、上杉、豊臣と、時勢をみながら仕える大名を変え、生き延びました。主人公・真田信繁を演じたのは堺雅人さん。
生涯の敵となった徳川家康役は内野聖陽さんでした。この家康は、いままでの老獪・狸親父というイメージを覆し、臆病で慎重な性格が強調された脚本でした。
内野聖陽さんは庶民的で共感できる性格として演じ、なごみ系の家康として話題に。爪を噛む癖も印象的でした。
2回演じた俳優さん
大河ドラマの長い歴史の中で、徳川家康を2回演じた俳優さんは2人。
1973年「国盗り物語」と2014年「真田丸」で演じた寺尾聰さんと、1987年「独眼竜正宗」と2000年「葵 徳川三代」に演じた津川雅彦さんです。
寺尾聰さんは若い頃に青年期の家康を、老年となってから円熟した家康を演じています。
津川雅彦さんは40代後半と60代前半で、同じ関ヶ原前後の家康を演じました。それぞれ見比べてみるのも面白いですね。
最後に
家康は老獪な狸親父として描かれることが多いですが、1983年「徳川家康」の平和主義家康や、2016年「真田丸」の庶民派家康として登場することもありました。
2017年「おんな城主 直虎」では、おとぼけ家康といいましょうか、また違う家康像としてストーリーを盛り上げています。
いままでの「したたかで腹の読めない人物」という家康像を破る、ひょうひょうとしてちょっと面白い人物という描き方です。
家康が少年だった頃の人質時代から登場し、なんと阿部サダオさんは当時46歳でありながら、13歳の徳川家康も演じました。
現在8月時点の「おんな城主 直虎」では、井伊家が取り潰し状態です。
史実ではこの後に虎松が成人し、家康に取り立てられ井伊家が再興します。
そのままのおとぼけ家康で天下に臨むのか、いわゆる狸親父に変わるのか、そういった点も楽しみですね。