大河ドラマ「おんな城主 直虎」は井伊谷を治める直虎の話ですが、第38話より直虎の養子・虎松が、徳川家臣として出世するストーリー展開になっています。
虎松はのちに井伊直政を名乗り、領地を持たない小姓から、石高10万石以上の大名として徳川四天王に数えられる大出世をしました。
この「徳川四天王」とは一体どのようなもので、他の3人は誰なのか。詳しく調べてみました。
徳川四天王の名称はいつ頃、誰が選んだの?
徳川四天王を誰がいつ選んだのは定かではなく、自然発生的に生まれたもののようです。
関が原の戦い後、本多忠勝・榊原康政・井伊直政の3人が、家康の代わりに京都に派遣され、江戸幕府の基礎固めをしました。その3人を「徳川三傑」や「徳川三人衆」などと呼んだそうです。そして酒井忠次を加えて「徳川四天王」と巷で呼び始めたのが、始まりだと言われています。
四天王と家康の関係
それぞれの生まれた年を見てみましょう。
- 徳川家康 天文11年(1542年)
- 酒井忠次 大永7年(1527年)
- 本多忠勝 天文17年(1548年)
- 榊原康政 天文17年(1548年)
- 井伊直政 永禄4年(1561年)
酒井は家康の親世代、本多・榊原は同い年で家康より5歳年下です。井伊は家康の息子と言ってもいい年齢ですね。
四天王それぞれの活躍
酒井忠次
酒井忠次は、家康が今川家の人質だった頃からの古い家臣です。酒井家は徳川の前身、松平の最古参の譜代です。元は松平と同族でした。
桶狭間の戦い後は徳川家の家老になり、家康が戦ったほとんどに参戦します。1588年に家督を譲るまで、徳川家第一の重臣として活躍しました。
関が原の戦い以降、家康との関係は希薄で、家を継いだ嫡男・家次には3万石程度しか与えられませんでした。他の四天王に比べると差が歴然です。武田が滅びる直前の天正7年(1579年)、家康の嫡男・信康が様々な事情で廃嫡され、切腹に追い込まれた事件がありました。それを近くにいながら防げなかったなどの理由で、家康から遠ざけられたという説があります。
本多忠勝と榊原康政
本多忠勝と榊原康政は同い年です。二人とも10代前半から家康の小姓として身の回りの雑用を務めます。
本多家も古い譜代の家系です。戦上手で、自身が参加した57回の戦で先陣を切って戦いましたが、まったく傷を負うことがなかったという伝説が残っています。家康からの信頼も厚く、関が原の武功で10万石の領地を安堵され、1610年に病死します。
榊原家は康政の数代前から徳川に仕えた家系です。康政は榊原家の次男でしたが、病弱だった兄に代わって戦に参加、家督を次ぐことになったようです。様々な戦に出陣し10万石を安堵されますが、関ヶ原では武功がなかったとして加増されませんでした。最期は1606年に病死しています。
同い年の上に、小姓から仕えた経歴や、数々の戦で武功を立てた面が似ている2人ですが、仲が良かったことを示す史料は無いのだそうです。
井伊直政
最後に一番年少の井伊直政です。井伊家は今川の配下で、今川家が滅びる過程で井伊家は没落。徳川が今川に勝って勢力を伸ばす中で、直政は家康の小姓として仕えることに。武田との高天神城の戦いで武功を上げ、その後も戦場で大活躍。最終的に18万石に加増、関が原の戦いでも先陣を切って戦いますが、2年後に死亡。戦の傷が元だったと言われています。
徳川家臣としては他に類を見ないほどの出世ですが、その理由は、家康の色小姓として寵愛を受けていた、井伊家は家康の正妻・瀬名の実家だから、井伊家は室町時代から続く藤原北家の流れを組む名家だから、などの説があります。
まとめ
徳川四天王の酒井忠次、本多忠勝、榊原康政は、家康の三河時代からの譜代として活躍。年若の井伊直政は、長篠の戦い以降の新参者といった扱いです。石高については井伊は18万石と飛び抜けていますが、他3人は10万石かそれより少ないですね。単純に武功や付き合いの古さだけではなく、外交面や信頼度など、家康が様々な判断をした結果なのでしょう。
徳川以外にも、武田四天王、織田四天王、上杉四天王など、様々な戦国四天王があります。さらに三人衆、五大将、十六神将なども。他の四天王を調べてみるのも面白そうです。
現代にも「ものまね四天王」などがありますよね。英語にはBIG4などの言い方も。人はこのように、実力の高いものたちを並べるのが、昔から好きなのでしょうね。
おまけ「おんな城主 直虎」で演じる役者
酒井忠次はみのすけさん、本多忠勝は高嶋政宏さん、榊原康政は尾美としのりさん、井伊直政は菅田将暉さんが演じています。
2017年現在、みのすけさん、高嶋政宏さん、尾美としのりさんは、全員52歳です。みのすけさんは他の2人より年上のイマージでした、意外にも全員同い年でした。菅田将暉さんは24歳と、ダントツに若いですね。
ドラマでは、家康の戦略や井伊直政の出世とともに、四天王の他3人の活躍もチェックしてみてはいかがでしょうか?