吉高由里子さん主演、大石静さん脚本の2024年大河ドラマ、「光る君へ」。
「世界最古の女性文学」と呼ばれる『源氏物語』の作者・紫式部の波乱の生涯を描く物語です。
光源氏のモデルの1人と言われる藤原道長を柄本佑さんが演じます。
千年を超えるベストセラー『源氏物語』を書きあげた紫式部の、秘めた思いと一途な思いを胸に懸命に世を生きた女性の物語。
こちらでは、大河ドラマ「光る君へ」のあらすじ、ネタバレ、感想をお届けします。
さて、第30回「つながる言の葉」では、宣孝の死から3年後が描かれます。
残された賢子を育てるため、まひろは四条宮の女房達に和歌を教えつつ、物語を披露し、都中で話題になっていました。
朝廷では、亡くなった定子を忘れられない一条天皇に悩んだ道長は、安倍晴明に相談します。
前回のあらすじ
宣孝(佐々木蔵之介さん)とまひろ(吉高由里子さん)の娘・賢子は3歳となり、 健やかに育っていました。
子煩悩の宣孝にもよくなつき、幸せなひとときを過ごします。
正月の除目の前、受領功過定が行われ、越前守としての為時(岸谷五朗さん)の働きも評定にかけられました。
真面目な仕事ぶりながら、宋人を国に帰すことができず、為時の再任官は叶いませんでした。
夫・宣孝は、為時を支えると支援を約束し、まひろは胸をなでおろしたのでした。
しかし、その宣孝が急な病で帰らぬ人となったのです。
急なことに落ち込むまひろの所に、道長(柄本佑さん)から使者がやってきました。
使者は為時に道長の嫡男の漢籍指南を依頼しましたが、為時はまひろを慮って断ったのです。
まひろは、自分のことなどどうでもいい、家人や賢子を養うため、依頼を受けて欲しいと為時に訴えるのでした。
体調の悪い姉・詮子(吉田羊さん)に呼ばれた道長。
詮子は定子の遺児・敦康親王を彰子(見上愛さん)に養育させ、人質に取るよう命じます。
そうして、彰子は敦康親王と藤壺で暮らすことになりました。
定子の死によって、道長への恨みを募らせた伊周(三浦翔平さん)は、子を厳しく教育し、夜な夜な道長への呪詛を行っていました。
詮子の四十の賀にて、倫子(黒木華さん)の嫡男・田鶴と明子(瀧内久美さん)の子・巌君が舞いを披露し、場を華やかに彩ります。
見事な舞に褒美を受けたのは、明子の子・巌君。
明子は誇らしげに微笑み、倫子は泣き出した田鶴を優しく慰めました。
その時、詮子が突然倒れました。
駆け寄ろうとする帝(塩野瑛久さん)に、穢れたものに触れてはいけない、と苦しい息の中、必死に訴える詮子。
帝は、胸を押さえ倒れ込む詮子を呆然と見るしかできませんでした。
息を引き取る前、詮子は伊周の恨みを収めるため、前の官位に戻して欲しいと道長に懇願します。
道長がそれを了承すると、詮子は息を引き取ったのでした。
その頃まひろは、漢詩よりも物語に興味を示す賢子の為、自分も物語を書き始めようとしていました。
前回、第29回「母として」を見逃した方はぜひこちらをどうぞ。
それでは、第30回「つながる言の葉」のあらすじと感想です。
雨ごい
寛弘元(1004)年、まひろが夫を失って3年目の夏、都を干ばつが襲いました。
市中は、民たちが水を奪い合い、荒れ果てています。
雨ごいが為されていましたが、なかなか成果はでません。
帝の雨ごいも行われましたが、成果は上がりませんでした。
帝自らが行う雨ごいは200年ぶりではありましたが。
安倍晴明が務めを退いてから、陰陽寮の仕事もいまいち成果が上がりません。
まひろの家でも井戸が干上がり、この夏、乗り切れるかどうかわからない状況になってしまいました。
道長は、身体を悪くしている晴明に雨ごいを頼みますが、晴明は自分だけが身を捧ぐのは嫌だ、道長にも何か捧げて欲しいと訴えます。
しばし考えた道長は自分の寿命を10年やる、と答え、晴明は雨ごいを引き受けました。
そうして始まった雨ごいの儀。
晴明の声は空に響き渡ります。
初めは力強かった晴明の声は時間がたつにつれかすれ、足元、体をふらつかせながら必死に雨ごいをします。
そしてついにその願いは龍神に届いたのです。
人々は歓喜し、水桶を持って外に集まり、雨の恵みを堪能しました。
しかし、晴明は力尽き、雨の中倒れ伏し、意識を失ってしまいました。
枕草子の評判
この頃、清少納言が書いた枕草子が評判を呼び、貴族たちの間で広まっていきました。
一条天皇もそれを読みながら、定子を偲んでいました。
伊周は、これまでもこの先も后は定子1人のみ、と言い募ります。
帝は生まれ変わってもう一度定子に会い、心から定子のために生きたい、と呟きます。
そんなに暗い顔をしないで欲しい、定子が悲しむ、と言い、枕草子を読み、華やかで楽しかった日々だけを覚えていて欲しいと伊周は訴えるのでした。
笑顔の帝を定子は見たいに違いない、と伊周は帝に微笑むのです。
隆家はそんな兄を苦渋に満ちた表情で見ていました。
まひろは、6日に一度、四条宮で女房達に和歌を教えていました。
これは藤原公任の妻・敏子(柳生みゆさん)の主催で行われていました。
まひろが教えていると、先生は歌を詠む時、いつもそんなに難しいことを考えているのか、自分は何も考えず、思ったことをそのまま読んでいるだけ、という女人が現れました。
この女人はあかね(泉里香さん)といい、やがて和泉式部と呼ばれる歌人となる人物でした。
親王と仲の良いあかねは、枕草子を手に入れたと皆に見せました。
内裏で大変な評判と言うが、自分はさほど面白いと思わなかった、と言うのです。
公任の妻は、それならばまひろの書いた「カササギ語り」の方がはるかに面白い、というのです。
まひろは、自分の描いた物語を女房達に披露しました。
すれ違う思い
道長の所に隆家がやってきました。
隆家は、伊周が帝の心が弱っていることに付け込んでことあるごとに定子のことを思い出させるようなことをしていることに、困っていると訴えます。
道長は、亡き定子は隆家の姉で、帝が定子を懐かしむのはありがたいことではないか、と言うのです。
しかし隆家は、自分は前を向いていきたい、と言います。
流された時のことよりも、これからのことを考えていきたい。
だから、帝にも前を向いて欲しいというのです。
そこに行成がやってきました。
行成は隆家の事を良く思っておらず、あまり信じない方がいいのではないかと訴えます。
道長は、あれは伊周とは違う、と言います。
それでも行成は、これは策略なのかもしれない、伊周は帝を取り込み、隆家は道長を取り込み、やがて道長の失脚を図ろうとしているのかもしれない、と言うのです。
しかし道長は取り合わず、疑心暗鬼は人の目を曇らせる、と苦言を呈したのでした。
賢子は為時に懐きよく遊んでいます。
まひろは為時に読み書きを教えて欲しいと訴えますが、遊びに飽きたら教える、と言うのです。
読み書きができず辛い思いをするのは賢子なので、あまり甘やかさず、と言うのですが為時は賢子と楽しく遊びます。
賢子は厳しいまひろに返事もせず、見送りもせず、頑なな様子を見せます。
そんな賢子を寂しく振り返るまひろでした。
内裏では、帝が藤壺に来ていましたが、敦康親王と遊ぶばかりで彰子のことを見ようとしません。
彰子は仲良く遊ぶ2人を見守ることしかできません。
年々定子に似てくる敦康親王を眩しそうに見る帝。
彰子はその言葉を聞いて、悲し気に目を伏せるのです。
それを見ていた倫子は、なぜ帝は彰子を見ないのか、これでは彰子が惨めすぎる、と顔を歪めました。
授業を終え、まひろが四条宮から帰ろうとすると、あかねがふらふらと泣きはらした目で廊下を歩いてきました。
倒れそうになるあかねを支えたまひろ。
親王と喧嘩でもしたのかと聞くと、そうだと答えるあかね。
まひろはあかねを落ち着かせ、話を聞きました。
人に頼まれて詠んだ歌なのに、他の男に送ろうとしているのだろうと疑いをかけられたというのです。
まひろは、誰の目を憚ることなく恋を語るあかねを素晴らしいと賛辞します。
そして、あかねのように思いのままに生きてみたかった、と打ち明けたのでした。
倫子の想い
土御門殿で為時は頼道(田鶴)(大野遥斗さん)の指南をしていました。
非常に優秀な様子に、通りかかりに見た道長は嬉しそうに頬を緩めます。
そこに顔を強張らせた倫子が道長にお願いしたいことがある、訴えてきたのです。
道長は倫子に頼まれるまま、帝に拝謁を願い出ました。
そして2人で帝に拝謁すると、倫子はどうか中宮に目を向けて欲しいと訴えたのです。
幼き娘を手放し、帝に捧げた母のただ1つの願いだと訴えたのです。
自分を受け入れないのは彰子の方と言う帝に、倫子は、命を懸けてお頼みします、帝の方から中宮の目に入って欲しいと訴えたのです。
顔色を変えた帝でしたが、そんなことで命を懸けずともよい、というと立ち去りました。
道長は、不敬を働いた倫子にどうかしている、と叱責します。
もしこの先、帝が彰子に情けをかけなければ生涯ないということになってしまうぞ、と叱ります。
しかし倫子は、ただ待っているだけよりもいい、と訴えるのです。
わからん、と横を向く道長。
倫子は悲し気に、いつも殿は私の気持ちはわからない、と言い立ち去るのでした。
その頃、伊周は執拗に道長を呪っていました。
道長は体を弱らせている晴明に会いに行きました。
晴明は悩む道長に、確かに今は闇の中だが、もう少し待てば必ず光が差す、と諭すのです。
道長はいつだ、いつだかわからねば心がもたぬ、と弱音を吐きます。
持たねばそれまで、しかしそれを乗り切れば光は道長を煌々と照らすだろう、と晴明は言うのです。
全てが上手く回れば、自分のことなどどうでもいいのに、と言う道長。
晴明は道長の顔を覗き込みました。
そして、今心に浮かんだ人物に会いに行け、それこそが道長を照らす光、と言うのです。
まひろと賢子
賢子に読み書きを教えるまひろ。
その厳しさに賢子は直ぐに逃げ出してしまいます。
甘やかす為時に、まひろはきちんとした言葉遣いをさせて欲しいと言い募ります。
しかし為時は、勉学が女の幸せになるとは思わない、と反論。
まひろはそれは自分のことかと目を吊り上げます。
父が授けた学問が自分を不幸にしたと思ったことはない、と訴えるまひろに、それならよかったけれど、宣孝のようにまひろの聡明さを好む人物などそういない、と言うのです。
そこに惟規(高杉真宙さん)が帰ってきました。
仕事の調子を尋ねると、どうもこうもない、日々淡々と過ごしている、と惟規は答えます。
学問を授けてもこれだから、と天を仰ぐ為時。
まひろは、賢子には書物を読み己の生き方を己で選び取る人に育って欲しいと言いますが、惟規はそれはまひろの押し付けだ、と言うのです。
賢子はまひろのように難しいことを言う女にならない方がいい、その方が幸せだから、と主張したのです。
まひろは微妙な顔で惟規を送り出したのでした。
まひろは四条宮で「カササギ語り」の続きを聞かせます。
しかし女房達の反応はいまいちで、まひろの物語の人物のように男になりたいと思ったことはない、と言うのです。
男になれば、政に携われる、と言っても、偉くならなければできないではないか、面倒なことは男に任せておけばいいのだ、と賛同は得られませんでした。
道長と仲の良い行成、公任(町田啓太さん)、斉信(金田哲さん)が集まって酒を酌み交わしていました。
枕草子の評判により、帝の心は定子に捕らわれたまま。
定子がしていたように、華やかな後宮を藤壺に作ったらどうかと公任は言うのですが、それは難しい、と行成は言います。
帝は書物が好きなので、枕草子を超える面白い物語があれば気持ちも和らぐのではないか、と行成は言います。
すると公任は、妻の主催する学びの会で、面白い物語を書く女がいる、と言いました。
四条宮の女房達の間ではたいそう評判になっている人物としてまひろの名を上げました。
一心不乱に物語を描くまひろ。
娘の賢子はまひろと遊ぼうとしますが、まひろは執筆に忙しく、賢子の相手をしません。
いと(信川清順さん)が自分とやろうと賢子を誘いますが阿、賢子は母と遊ぶと駄々をこねます。
しかしいとに促され、渋々部屋を出ていきます。
賢子は何度も母を振り返り見つめていたのでした。
その夜、目を覚ました賢子は、まひろが席を外したすきに、まひろの書いていた物語に火を付けました。
燃え広がる炎。
戻ってきたまひろが賢子の後姿を発見。
机を見ると、書から火が出ていたのです。
幸い、火はすぐに消されましたが、まひろの怒りは納まりません。
賢子を問い詰め、思い通りにならないからと言って火をつけるなど、人のやることではない、どれだけ危ないことをしたのか、酷いことをしたのか厳しく叱責するまひろ。
泣き出す賢子を為時が支え、怒るまひろに取り成します。
賢子がごめんなさい、と言うと、まひろは踵を返し、部屋へと戻りました。
燃えカスとなり、水浸しになってしまった自分の物語を見やり、怒りと悲しみ、どうにもならない感情を持て余し、柱に寄りかかりました。
翌日、また一心不乱に書き始めたまひろ。
為時は賢子を連れ出すから、まひろは1人で好きなだけ書け、と言い残し家を出ました。
しばらくして、筆が乗らなくなり、庭でぼんやりしていると、誰かがやってくるのが見えました。
やって来た道長は、気まずそうにまひろを見たのでした。
次回、第31回「月の下で」
ある日突然、道長(柄本佑)がまひろ(吉高由里子)を訪ねてくる。道長はまひろに、一条天皇(塩野瑛久)に入内するも、相手にされず寂しく暮らす娘・彰子(見上愛)を慰めるために物語を書いてほしいと頼み込む。しかし、真の目的は…。一方、宮中では年下の斉信(金田哲)に出世で先をこされた公任(町田啓太)が参内しなくなってしまった。事態を案じた斉信が公任の屋敷を訪ねてみると、思いがけない人物と遭遇する。
ある日突然、やってきた道長。
道長は評判となっている「カササギ語り」を読ませて欲しいと言うのです。
しかし、「カササギ語り」は燃えてしまいました。
道長は、新しい物語を彰子のために書いて欲しいと依頼しました。
まひろは悩んだ末、引き受けることに。
まひろが彰子のために書く物語とは、一体どんな物語なのでしょうか。
道長は本当に彰子の為だけに物語を欲したのでしょうか。
道長の真意が気になりますね。
最後に
すれ違う思い、悲しい親子関係に胸が詰まりました。
まひろと賢子。
2人の間の溝はかなり深いようですね。
まひろは小さい頃から勉学が好きで、机に向かうのが全く苦ではなかったのでしょうが、賢子は違います。
まひろはそれを理解せず、自分と同じように、自分が正しいと思った道を賢子に歩ませたくて、一心不乱に賢子に勉学を教えようとします。
しかし、まだ小さい子にそれは難しいですよね。
自分が楽しいと思ったことは集中できるでしょうが、無理やりやらされても身に付かないし、苦痛しか感じません。
周りもまひろの考えに同調せず、まひろは孤軍奮闘。
余計に頑なになってしまうのですね。
母に返事をしない、見送りをしないなどの反抗をしますが、それでも母と遊びたいと訴える賢子。
しかしまひろはそのサインを受け取らず、賢子の不満は爆発しました。
その結果が、放火。
最悪のことをしてしまいましたね。
ここでもまひろは怒りのままに賢子を叱りつけ、賢子の母と遊びたいという気持ちを全く理解しません。
このままでは修復不可能なほどになってしまうのではと思うと、早くまひろに賢子に寄り添って欲しいと思ってしまいます。
まひろにとって何よりも大切な物語を燃やされた悔しさはわかりますが、賢子の気持ちを今受け止めなければ、それこそ取り返しのつかないことになるのではないかと、思ってしまいます。
悲しい母の想い、倫子も今孤軍奮闘していますね。
中宮として、最高位に立ちましたが、帝からは顧みられず、後宮を華やかにしようとしてもなかなかうまくいきません。
業を煮やして、帝の方から娘の目に入って欲しいと、命を懸けて進言したのです。
焦った道長は、どうかしている、と叱責しますが、道長には自分の気持ちはわからない、と倫子は理解を放棄してしまいました。
ここでも悲しいすれ違いが起こりました。
彰子がもう少し積極的に帝と向き合えば状況は変わるのかもしれませんが、彰子は未だ帝の顔をまともに見たこともないと言うではありませんか。
倫子のもどかしい気持ちもよくわかりますね。
母の気遣いが活かされない、娘の気持ちが分からない、このすれ違いがとても悲しく思います。
彰子はほとんど言葉を発しませんから、何を考えているのかわからないところが、なんとももどかしい気持ちになってしまいます。
倫子と彰子に早く明るい未来が訪れてくれることを切に願います。
それにしても、安倍晴明の力は凄いのですね。
引退してしまったら陰陽寮が頼りにならないと言われるほどとは。
帝が雨ごいをしても、市中で雨ごいが行われても、雨は降りませんでした。
しかし晴明が行ったら、たちまち雨が降るではありませんか。
陰陽師・安倍晴明の力はどれほど凄まじいのか、非常によくわかりました。
そんな晴明が付いている道長なのだから、今は闇の中にいても、必ず光が差す、と言う話は信ぴょう性がありますよね。
道長が寿命10年差し出したし、後10年は晴明の後ろ盾で道長は安泰でしょう。
良かった、良かった。
それにしても、心に思い浮かんだ人物とは、やはりまひろだったのですね。
道長はまひろに会いに行き、彰子の為の物語を書いて欲しいと依頼します。
しかし、道長の本当の狙いは帝。
まひろは帝の為の物語を書くことになるのです。
一体どんな物語になるのか、とうとう源氏物語が書かれるのでしょうか。
次回、第31回「月の下で」、楽しみですね。