毎週日曜日20時から、NHK総合他にて放送中の大河ドラマ「西郷どん」。
2018年1月14日、第2回「立派なお侍」が放送されました。
第1回放送では、西郷小吉(渡邉蒼さん)が偶然藩主の嫡男、島津斉彬(渡辺謙さん)と出会い、「強くなれ。」と言葉をかけられました。
「もう一度斉彬と会いたい。」と小吉は思いを新たにするのでした。
それから6年後、弘化3年(1846)。18になった小吉は、吉之助と名を改め、藩の農政と年貢の徴収を行う、郡方書役助という役目に就いていました。
俳優も、子役から鈴木亮平さんに代わっています。
成長した西郷は、薩摩の現実とぶつかる事になります。
前回の第1回「薩摩のやっせんぼ」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第2回「立派なお侍」のあらすじと感想です。
藩の年貢徴収の現実
年貢の徴収をする為、上役の井之上(おかやまはじめさん)と村を訪れた吉之助(鈴木亮平さん)。米の不作を嘆きます。井之上は、村の民から賄賂をもらい、胸にしまっていました。
そこへ村娘、ふき(柿原りんかさん)が、父の借金のカタに売られそうになるところに遭遇します。無理やり連れて行こうとする男たちを止めて吉之助は、自分が持っていたお金を渡し、その場を収めようとしますが、足りません。
吉之助は井之上がもらっていた賄賂のお金を謝りながら取り上げて、取り立て屋に渡したところ、引き下がってくれました。
しかし、借金がなくなったわけではなく、また来ると告げて帰っていくのでした。
吉之助が持っていたお金は、城からもらった俸禄でした。
大家族の西郷家では、父、吉兵衛(風間杜夫さん)と吉之助の禄をあわせても、生活は苦しかったのですが、吉之助が人にあげてしまった為、空腹を満たされなかった弟や妹は怒りをぶつけます。特に父は、掴みかかって怒るのでした。
吉之助は「弱い者を助ける。」という一貫した姿勢を貫いているわけです。
吉之助は、借金取りから助けた村娘の家を訪ね、年貢が払えなくて借金をしなければならない事を知ります。
1月11日放送のBS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査 西郷隆盛~謎の前半生に迫る」によると薩摩藩では、他藩に比べて武士の人口が圧倒的に多く、他藩が5%に対して、昔からよそからの武士を多く受け入れてきた薩摩藩では、26%もいて、暮らしを支える農民の人口が少なく、納める年貢も少なかったのです。
売られそうになった娘ふきは、「綺麗にお化粧もしてもらえてお給金ももらえると聞く。それで必ずお金を返します。」と言います。
吉之助は、弁当のおにぎりを、ふきと弟の一平(生駒星汰さん)にあげると、ふきは「米がこんなにおいしいとは知らなかった。」と言います。
困窮した暮らしを知る吉之助でした。
所変わってお城では、藩主、島津斉興(鹿賀丈史さん)に斉彬は、大砲の調練を申し出ていました。それには藩士2000人を出して欲しいとする斉彬に、斉興は憤慨します。
島津家には、先々代からの500万両の借金があり、重臣の調所広郷(竜雷太さん)の手腕によりやっとめどが立ってきたばかりで、斉彬のせいでまた借金が増えると、斉興は許可しませんでした。
郷中で国を語る
西郷家に、大久保正助(瑛太さん)が「城からのお召しがあって、記録所書役助を承る事になった。」と報告に来ました。
前回の子供時代、郷中の仲間たちと城山の上で話していた競争は、正助が一番乗りです。
吉之助は心から喜びますが、吉兵衛は自分の息子とつい比べてしまうのでした。
大久保家でお祝いをする事になりました。成長した郷中の仲間も皆来ています。
祝いの酒が飲めないと言う正助に、有村俊斎(高橋光臣さん)は「頭はよかどん、相変わらずひ弱な奴じゃ。」と言い、笑います。
そこへ赤山靱負(沢村一樹さん)が、祝いの鯛を持って現れました。岩山糸(黒木華さん)も一緒に来て、祝いの酒を正助に手渡します。見覚えのある顔だと気づく正助。
赤山が、妙円寺詣りで一番乗りだった子供「伊東」だと言い、「学問がしたいと、今、うちで下働きをしている。」と説明します。
俊斎が「女子のくせに学問を?」と言うと正助が「こいからの世では女子でも、学問のたしなみがあるなければいけもはんで。」とかばうので、「惚れたか?」と俊斎が正助をからかいます。が、当の糸の視線は、吉之助に向けられていました。
話題は、吉之助の禄の使い道の話になります。百姓を助けている吉之助に「家族に物を買ってやれ。」と大山格之助(北村有起哉さん)は、百姓ばかり助けようとしている事に釘をさします。
吉之助は、百姓が年貢に苦しむ現状を皆に訴えます。赤山は吉之助に「ないをどけんしたかとか?」と現状を打破する方法を尋ねますが、分からないと答えます。
しかし「斉彬様が藩主様になれば、きっと民百姓の苦しみを分かってくださる。」と明るい表情で言います。
が、藩主斉興は、側室由羅(小柳ルミ子さん)が産んだ、「弟の久光(青木崇高さん)様を藩主にしようとしている。」と村田新八(堀井新太さん)は言います。
吉之助は自分たちで斉彬を藩主に推そうと言いますが、正助が「甘い。今や借金を帳消しにした調所様の御威光が絶大で、その調所様が嫌っている斉彬様を担ぐのは危なすぎる。」と言います。
話は、斉興が側室の由羅の言いなりになっているという話にずれていって、「主が女の言いなりになるわけない。」と言う有馬新七(増田修一朗さん)を、俊斎が「女を知らないから。」とからかうと、取っ組み合いの喧嘩に発展しました。
赤山が持ってきてくれた鯛が、その混乱の中で庭に飛んでいってしまい、「食べ物を粗末にする人間が、お国の将来を語っちおこがましか!」と糸が皆を一喝するのでした。
この場面は少しスカッとしましたね。女子が学問なんて、って言っていた連中がその女子に一喝されましたから。
一夜明けてお城では、斉彬が薩摩の沿岸の備えを視察し、「不備がある。」という報告書を作って、幕府に上げようとしている事が、斉興の逆鱗に触れます。
斉興は「幕府の手先だ。」と斉彬を非難します。由羅も「恐ろしい。万一このような方が御当主になったら、薩摩はどうなってしまうのでしょう。」と言って一緒に非難すると、斉興はとうとう「お前に薩摩は任せられん!久光を藩主名代とする。」と告げるのでした。
斉彬はすぐに江戸に発つことにしました。
心配する赤山に、斉彬は「幕府は薄々気付いている。薩摩に不審の筋ありとな。琉球の扱い、密貿易。つつき出したらキリがない。だがわしはその事を幕府に申し上げるつもりだ。
父上にはその責めを負ってもらう。次にこの地を踏む時には、必ず藩主として戻ってくる。
それまでの辛抱じゃ。」と言うのでした。
斉彬、カッコいいですね!父との争いもここまで来たら引き返せませんね!
村娘を助けるために奔走
薩摩藩の年貢の取り立ては特に厳しく、加えて役人たちの不正や賄賂も横行し、百姓たちは苦しむ一方でした。
ふきの父が年貢米を収めに行くと、役人が升で米の量を量る時に、すりきりでわざと下にこぼして、量を少なく量るのです。
吉之助が、こぼしたものも年貢米として拾って欲しいと願っても、落とした米をお上に納められないと言って拒否されるのでした。しかも、ふきに向かって稼いで借金を返せばよいと、侮辱したのでした。
ふきは年貢米を納めた後、田んぼの際に座り込み、「ほんとは行きたくなか。」と売られたくないという本音を吉之助に打ち明けます。
吉之助は、調所の所へ直談判し、毎年一定の年貢を取り立てる「定免法」を改めるよう進言します。「定免では、百姓に死ねと言うちょっとと同じでございもす。取れ高に応じて年貢を決める、「検見取」にして頂きとうございもす。」必死に訴えます。
調所は「うまくいくはずがない。」と踏んで吉之助に検見取の許可を出しました。
喜んでふきの父、平六(鈴木拓さん)のもとへ向かい、取れ高に応じての年貢に変えられると報告しましたが、百姓たちは浮かない顔です。糸も検見を手伝います。
糸の家でふきを下働きさせられないか、岩山家に打診していた吉之助は、ふきにそれで借金が返せて、借金取りに連れていかれなくて済むと話しました。喜ぶふき。病弱な母も「立派なお侍さんに会えてよかったな。」と喜びました。
早速吉之助は、絵図を基に、土地を見て回って調査します。怯える百姓たち。
吉之助は林の奥にあった「隠し田」を見つけてしまいます。見つけたからにはこの土地からも年貢を取らなければなりません。見逃してもらうよう、頼み込む百姓たちに不正を許せない吉之助は悩みます。
そして、赤山に斉彬に百姓たちの苦しみを聞いてもらいたいので、機会を作って欲しいと頼みました。
赤山は明朝、斉彬が江戸に発つ事を内密に吉之助に教えるのでした。
吉之助は、斉彬に対して文をしたためます。そして桜島が見える道で、赤山が休憩を口実にして斉彬を足止めしていましたが、斉彬のもとへ向かう吉之助を、途中で糸が「ふきが借金取りに連れていかれた。」と呼びに来たのです。
糸の家も貧乏で、下働きを雇えるほどの余裕はなかったのです。
斉彬に会えるチャンスを棒に振る吉之助。斉彬は江戸に発ってしまったのでした。
切ないです。ふきのピンチなのに窮状を訴えている場合じゃないですし、仕方ないです。
しかし、斉彬も鹿児島の警備にお金をかけようとしていたので、年貢が要ったはずです。
もし吉之助の話を聞いたからと言って、百姓を助けられたのかは疑問です。
立派なお侍
借金取りからふきを助けようと、駆け付ける吉之助。前の時と違ってふきは抵抗していません。吉之助は借金取りの前で土下座をして、「借金はおいがなんとかすっで!じゃって、あと少しだけ待ってくいやい!頼む!」と言います。
「お侍さぁ、もうよかです。私が行けば、借金が消えもす。お父も、お母も一平も楽になれる。そいなら私は喜んで売られて行きもす。立派なお侍さぁに会えて、嬉しゅうございもした。」ふきは吉之助に駆け寄り、泣きながら言います。
吉之助はふきの言葉に首を振り、泣きます。ふきは立ち上がり桜島を見上げ「今日も美しかこと…。私は、こん薩摩が大好きじゃ。」と声を振りしぼり言うのでした。
ふきが去った後も吉之助は立ち上がる事が出来ません。
「おいは、立派なお侍なんかじゃなか…。女子一人救えん、やっせんぼじゃ!」そう言うと、泣き崩れたのでした。
今回は、この村娘のふきちゃんが素晴らしかったですね。覚悟は出来ているけれど、親元を離れたくない。薩摩を離れたくない。揺れ動く気持ちが切なかったです。
一回、希望を持たせといて結局売られてしまうなんて、やりきれないです。
どうしてその道しかないのでしょう?女性にも教育を受ける権利があったら、技術などがあれば、稼ぐ道があるはずなのに。売られるしか道がないというのが腹立たしいです。
次回、第3回「子供は国の宝」です。
斉彬が斉興を隠居に追い込もうと動き出すようです。
斉彬の藩主への道は険しそうです。
吉之助はなかなか斉彬に会えなさそうです。