「風林火山」は、2007年1月7日から12月16日まで放送された大河ドラマです。
2017年、4月からNHK BSプレミアム日曜昼12時から、大河ドラマアンコール枠で再放送されています。
2017年8月20日に放送されたのは、第21回「消えた姫」です。
前回、武田軍は、信濃小県の長窪城を、山本勘助(内野聖陽さん)の策により攻め落としました。その功績が認められたのと、諸角虎定(加藤武さん)の推挙もあり、勘助は武田家の軍師となったのでした。
一方、武田晴信(市川猿之助さん)の側室となった由布姫(柴本幸さん)は、なかなか晴信に心を開かず、正室の三条夫人(池脇千鶴さん)にまで悪態をつき、周りの者は振り回されていました。そんな矢先、由布姫が、父諏訪頼重(小日向文世さん)が自害した東光寺に、三条夫人を呼び出し、諏訪から送られた甘酒を振舞う、というところで終わりました。
何やら怪しい雰囲気です。
前回の第20回「軍師誕生」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第21回「消えた姫」の感想とあらすじです。
由布姫の態度が悪化
由布姫が三条夫人に差し出した甘酒は、何とも怪しく、さすがの三条夫人も戸惑っています。「味を見てください。」と勧める由布姫。妊娠している三条夫人に変わって、侍女の萩乃(浅田美代子さん)が飲み干します。緊張する一同。予想に反して味は美味しかったようです。由布姫は三条夫人と萩乃を見て笑います。
「お毒見なされたか?萩乃殿。御方様も私をお疑いになった。それでよいのです。この私に情けをかけるなど無用な事。この私に恨み心があると思えばこそ、情けも生じましょう。その私を御屋形様はお抱きになる。まことそれだけは御方様にとって面白かろうはずもない。この私を憎んでください。お慈悲などでは、私の心は打てませぬ!心の内では所詮、戦に負けた他国の娘と蔑みながら、この私を飼いならそうとする御方様ではござりませぬか!御屋形様ではござりませぬか!」
侍女の志摩(大森暁美さん)が途中で止めるのも聞かず、由布姫は徐々にヒートアップして言い切りました。由布姫は部屋の外からこちらを見る視線に気づきます。晴信でした。
しまったという顔の由布姫。晴信は何も言わずその場を去っていきました。由布姫は黙り込んでうつむきます。三条夫人も何も言えませんでした。
三条夫人は、由布姫が晴信を恨んでいるとは思えませんでした。由布姫の晴信に向ける目は、思わず嫉妬してしまうほどの目だったのです。しかし態度が悪すぎるので本当のところが分かりませんでした。
勘助、由布姫を側室にした責任を問われる
由布姫の事はすぐに武田家中に広まりました。飯富虎昌(金田明夫さん)も、「由布姫は三条夫人に対して仇として返す事しか出来ないとみえる。武田家の器には所詮合わぬ娘であったか。」と呆れ顔です。
諸角は憤慨して「由布姫に御屋形様の子を宿すことまでは出来ない。御屋形様もご寵愛がないのではないか?」と勘助を責めます。あまりの興奮ぶりに信繁(嘉島典俊さん)は、体に毒だと諸角を止めます。諸角は、勘助を軍師に推挙した手前、勘助には頑張って欲しいのです。
戦の策と女の人の気持ちは全然違うので分からないのだろうと信繁は言います。
「必ずやお子は出来ます!お子が出来ますれば御料人も気持ちもお変わりになりまする。」と勘助は、祈るように言い返します。
甘利虎泰(竜雷太さん)は、「子が出来たら出来たで、新たな懸念が。寅王丸に諏訪を継がせて、自らの子が生まれれば、その子に武田家を継がせようと、あの聡明な御料人なら考えぬとも言えまい。」と言います。甘利は姫の聡明さを直接会って分かっています。
飯富は、このまま「そんな側女を武田に置いておくわけにはいかない。」と勘助に言います。
勘助は自分に任せてくれと、家老衆を説得するのでした。
同じ頃、大井夫人(風吹ジュンさん)が由布姫に話をします。「そなたも武田家の人間になったのだから、それを忘れてはならない。寅王丸にも自分の苦しみを分かちたいのか。
晴信はそなたを慈しんでいる。そなたの笛は日の本一と褒めてばかりじゃ。晴信を心よりいつくしめとは言わないが、心を踏みにじれば、そなたが不幸せになるだけじゃ。」
その言葉を聞いて由布姫は涙を流します。そうです。由布姫は諏訪を背負い過ぎなのです。武田の人間になったことを受け止めていないのです。
晴信は、由布姫の寝所に訪れ、「笛を吹くだけでいい。そなたの笛を存分に聴いておきたい。」と告げ、目を閉じます。晴信は一晩中聴くと、この夜以降、晴信は由布姫の寝所を訪れる事はありませんでした。
村上義清が小笠原を動かす
村上義清(永島敏行さん)は、信濃守護の小笠原長時(今井朋彦さん)を訪ねます。
「武田は次に、信濃守護である小笠原を攻めてきて、次の信濃守護に任じられようと望むはず。将軍も守護も名ばかりとはいえ、名家を鼻にかけたいお家にとって、守護職の座は、欠かせない。」そう言う村上に、小笠原は「愚弄した。」と言って怒ります。
「守護の小笠原家にとって、諏訪家は南北朝よりの仇敵だった。長年落とせなった諏訪を、謀略で難なく武田は切り取った。こちらの方が愚弄している。怒る相手が違う。
武田は目前にいる。怯まず立ち向かうなら、村上がいつでも後ろ盾になります。」と村上が言うと、小笠原立ち上がり、村上の話に乗ったのでした。
いよいよ、村上との戦が始まるようです。
今井朋彦さんは昨年の「真田丸」にも出演されていましたよね。大野治長役でした。
諏訪郡代で上原城にいた、板垣信方(千葉真一さん)にも、村上が小笠原を動かしたとの知らせが入ります。知らせた駒井政武(高橋一生さん)は、「伊那の豪族とも縁を結ぶ小笠原が、村上と手を組めば、再び伊那や諏訪に騒乱が起きるでしょう。信濃全土を手に入れるにはあと何年かかるでしょう?」と言います。板垣は「何年かかってもそれが出来ればいいが…」と消極的な意見を言うのでした。
晴信、由布姫を諏訪へ戻す
晴信は、勘助に由布姫を諏訪に戻すよう命じます。「姫を見限られたのか?」と焦る勘助。晴信は否定します。「家中の者がとやかく言ってくる。しばし甲府から遠ざける事も仕方ない。由布には、そちが付いている。由布を憎んでいない。氷が解けるのを待つのみ。事の全てを話さず、諏訪へ連れ出すのだ。」と言って、晴信は勘助に任せるのでした。
由布姫を輿に乗せて諏訪へ連れて行く勘助。途中、諏訪湖に差し掛かり、「御神渡りはまだでしょうか。」と尋ねる勘助。「もっと寒くなってから。」と答える由布姫。十分、外は寒いのにまだその季節ではありませんでした。
上原城に着くと、板垣が「ここは諏訪の息女として育った場所だから、父を思い出して武田への恨みが強くなるだけだ。」と言って、場所を移動した方がいいと勘助に言います。
晴信にも許可をもらい、諏訪湖に近い小坂観音院に由布姫は移動することになりました。
先に勘助と侍女の志摩が行って、掃除して待ちます。輿に乗せられて来た由布姫の異変に勘助は気づきます。他の者に気づかれないように輿の中を確認すると、由布姫の侍女、マキ(おおたにまいこさん)が自害して果てていました。由布姫が消えてしまったのです。
志摩は甲斐へ戻ったかもしれないと推測します。「甲斐へ何をしに戻ったのか?御屋形様を討つ為?」勘助は雪が吹雪く中、山道を必死に由布姫を探します。
そして小屋の中に火がともっているのを見つけ、声をかけると、由布姫が返事をしました。
晴信への思い
勘助が小屋の扉を開けると、由布姫は、寒さで足が動けなくなっていました。由布姫は甲斐へ行くと言います。急いで火を灯し、話を聞きます。
晴信を討とうとしていた由布姫。「御屋形様のお側に上げるのは、それがしの間違いでございました。姫様、この勘助とお発ち下さりませ。この勘助とお逃げ下さりませ!」勘助は、由布姫が晴信を恨んでいて、晴信と一緒にいたくないのだと思っていました。
「御屋形様と離れて暮らすなど、私には出来ぬ。今はただ、あの方にお会いしたいだけ。一目でよい。あの方にお会いしたいのです。勘助…私はあさましい女です。御首を頂戴すれば、あの方は、私だけのものになると思った。御方様に渡すのも嫌。戦で死なれるのも嫌。あの方と共に死ねば、あの方に可愛がられながら、諏訪の姫である事にも、父上の娘である事にも、もう思い悩まされることはない!さような恐ろしい、あさましいことばかり考えていたのです。勘助…私を殺めてください。それが御屋形様のためです。父上を殺し、私を我がものとなさり、それから私を離そうとする憎い御屋形様。でも、愛しい。愛しいのです。」
由布姫は愛することで醜くなる自分を、誇れないことに苦しんでいたのです。
まさかの晴信への愛の言葉に、言葉を失う勘助。侍女のマキが自害していたことを由布姫に伝えます。由布姫は泣きます。
「なんと小さき事をお考えにござりますか。諏訪の姫、父上の娘などと、小さき事はお捨てなさい!御屋形様のご寵愛を存分に受ければよいのです。御屋形様は、天下を取られるお方にござりまするぞ。天下人となるのです!この勘助がそうするのです。
お子が出来れば、生まれてくるのは甲斐の子でも諏訪の子でもなく、天下人の和子になりましょう。この勘助がそうするのです。この勘助を信じてください。信じて諏訪に戻ってください。御屋形様は必ず諏訪に来られます。
信濃に合戦が続く限り、諏訪におられることも増えましょう。それゆえ、姫を諏訪に送られたのです。」勘助は説得します。
凍えて動けなくなっていた由布姫の足を、手で必死に温める勘助。「明日をも知れない乱世に、人を思って死ぬなんて愚かだ。」と諭します。御屋形様が、姫をいつでもお守りします、と勘助は声をかけます。由布姫は泣き崩れるのでした。
諏訪に晴信が来ました。今度こそ心から晴信を受け入れる事が出来た由布姫なのでした。
今回の話は、少し、村上の動きはありましたが、ほとんどが由布姫の困った話でした。実際勝頼を生むのですから、重要な人なんですよね。プライドが高すぎて考えが極端ですよね。
こういう人います。
次回は、第22回「三国激突」です。
だんだんと、盛り上がってきました。