「風林火山」は、2007年1月7日から12月16日まで放送された大河ドラマです。
2017年、4月からNHK BSプレミアム日曜昼12時から、大河ドラマアンコール枠で再放送されています。
2018年1月7日に放送されたのは、第40回「三国同盟」です。
前回、信濃での戦をした武田晴信(市川猿之助さん)と長尾景虎(GACKTさん)。景虎は、越後へ撤退をする素振りを見せながら、晴信のいる塩田城へ引き返して来ました。
晴信は城から出て景虎と戦う構えを見せました。千曲川を挟んで相対する両軍。上洛を控えていた景虎は、9月20日、晴信が見送りに来たのを見届けると信濃へ戻っていきました。
勝敗を決しないまま、第一次川中島の戦いは終わりました。
前回の第39回「川中島!龍虎激突」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第40回「三国同盟」のあらすじと感想です。
勘助の縁組
山本勘助(内野聖陽さん)は、晴信が諏訪へ向かうのを見届けてから、先に甲府へ戻りました。
勘助の屋敷では、葛笠太吉(有馬自由さん)の家族と共に、原虎胤(宍戸開さん)の娘、リツ(前田亜季さん)も一緒に勘助を出迎えました。
勘助はリツの押しの強さに戸惑い、原に訴えましたが、原自身の考えではなく、晴信の考えで、原自身も勘助とリツの縁組に納得していたわけではありませんでした。
晴信は、諏訪で由布姫(柴本幸さん)に、勘助の縁組について相談しており、由布姫が不審に思って尋ねると、リツが於琴姫(紺野まひるさん)のいる積翠寺にいる事を聞き出し、納得します。
軽く嫉妬心を見せる由布姫に「わしはそちを大事に思うておる。そばにいて欲しい。離さぬ。」と歯の浮くようなセリフで由布姫を言ってなんとかその場を収めた晴信でした。
一時期由布姫を避けていた晴信、優しい言葉をかけられたんですね。いつもの由布姫なら嫉妬をむき出しにして怒るところでしたが、手を取って自分に引き寄せようとする晴信を拒んで咳き込んでいました。
由布姫は以前から咳き込む場面があり、今回は顔色も悪かったです。
勘助は、真田幸隆(佐々木蔵之介さん)と相木市兵衛(近藤芳正さん)のもとを訪ねると、二人とも縁組について知っていました。
真田と忍芽(清水美沙さん)は「子を持って、身内で御屋形様や御曹司、四郎をお守りすることで、主従の関係を作っていく。」と自らも三男の源五郎を晴信に近習として差し出したことを伝えましたが、勘助は全くその気はなく、真田も縁組の事について話すのを諦め、相木は呆れ果てるのでした。
話が落ち着いたところで勘助は地図を広げ、二人に越後との戦の準備の話し始めるのでした。
真田の三男の源五郎とは、後の真田昌幸のことですよね?「真田丸」の昌幸は、色んな主に付いても、最後まで信玄にだけ忠実な家臣として描かれていました。
次に勘助は、躑躅ヶ崎館に戻った晴信に、越後との次の戦の先手について話します。
前回の戦で長尾軍は、善光寺を根城にして信濃に深く攻め入ったので、その善光寺を封じる調略を、既に真田と相木に話したと伝え、「後は御屋形様より御下知を。」と言います。
承知した晴信は、勘助の縁組について話を振り返します。勘助は困り顔で「今後一切ご無用に願いまする。」と断ったのでした。
景虎上洛
長尾景虎は上洛を果たし、後奈良天皇(市川段四郎さん)に拝謁を許され、越後の統治を正式に認められ、隣国の北条、武田への成敗することも認めるという綸旨も受け取る事に成功しました。
景虎が越後を留守にしている隙に晴信は、相模、甲斐、駿河の三国同盟を結ぶ事を、信濃に残していた重臣も呼び戻し、重臣全員に伝えます。
この事は他言無用である事を皆に念押しし、「義信」と名を改めていた嫡男太郎には、特に妻となっていた今川の姫にも言うなと口止めをしました。
三国同盟を成功させるには、今川に北条との和睦に利益があると思わせる必要がありました。
そこで晴信は、以前富士郡を巡って北条と今川戦った河東の乱を、北条を促して再発させようとしていました。今川は、尾張の織田を攻めようとしており、今北条と敵対するのは避けたいと思っているはずなので、そこを武田が援軍として加わって、今川に北条との和睦を認めさせるように仕向ける作戦です。
駿河では、太原崇孚雪斎(伊武雅刀さん)が、急な北条の動きは、北条と武田の共通の敵である越後を倒すために結びたいと思っている事を今川に伝えようとしているのでは?と見抜き、この動きに乗るよう今川義元(谷原章介さん)に進言します。
義元は怒りを露にして寿桂尼(藤村志保さん)にたしなめられますが、すぐに落ち着きを取り戻し、北条の姫を嫡男の氏真(風間由次郎さん)に嫁がせるという案に乗ります。
こうして甲斐の武田晴信、相模の北条氏康(松井誠さん)、駿河の今川義元の三人が、雪斎の仲介により富士郡の善徳寺で集結することになりました。いわゆる善徳寺の会盟が行われました。
三国同盟
三国同盟の内容は、武田と今川は、既に武田の嫡男と今川の娘の婚姻によって結ばれています。北条との盟約は、武田の娘を北条へ娘を嫁がせ、その証とすることを晴信が提案します。
次に北条が、娘を今川の嫡子、氏真に嫁がせると提案しました。
二人の話を聞いて、義元は「全ての婚儀を終えた時、三国が盟約は果たされん。」とまとめると、晴信と氏康は「誓い申す。」とそれぞれ約束するのでした。
盟約の内容を書面に書き、三人がサインをし、その場で焼き払います。焼けた紙の灰を酒に入れて盃に入れ、三人は飲み干すのでした。
かくして、天文23年3月、三国同盟が結ばれました。
雪斎の忠告
雪斎は、同行してきた勘助に、お茶をたてながら「これもそなたが兵法かな?あまたの災いを兵法のみによって取り除かんと欲するなど、大いなるおごりでござろう。」と言います。
「やがてはそのおごり自体災いとならん。」何も答えない勘助に雪斎はなおも続けます。
「禍福は糾える縄の如し。謙虚にならなければなりませぬぞ。」と忠告します。
「雪斎殿の福とは、何でござるか?天下取りの為?」勘助がやっと口を開き、雪斎に聞きます。雪斎は「天下平安だ。」と答えます。「その為に戦をするのはそれこそ人のおごり。」と反論します。
勘助は、戦をするのは「御屋形様の御為。諏訪の姫様、四郎様の為。それ以外ない。」と断言します。「あとの者は敵か味方か、いずれにせよそれがしが生きる意味はそのお三方に限られまする。」と言い切ります。
勘助の言葉を聞いて雪斎は「そこまで人を慈しめると思うは、そなたのおごりであろう。」と静かに言います。
「己の福を求めなければ、おごりとは言えますまい。」勘助はまた反論します。
「無償の慈愛か。御仏にも使えず、身内もいないお前にまことの慈愛が分かるかの?己が心を控えるのも、慈愛なれば、己が心を惜しみなくさらけ出す事も、慈愛であろう。そなたのは所詮、家来としての妄執に過ぎぬのではないかな?」と決定的な事を言います。
勘助は何も答えられませんでした。
このドラマでは、何度となく、勘助の心持について問う場面が出てきますね。何を原動力に生きているのか?こうやって問いかけてくれる人がいる事は幸せな事だと思うのですが、勘助には意味のない事ですね。残念ながら。
今川の嫡子より北条の嫡子?
三条夫人(池脇千鶴さん)は、結局娘、梅を嫁がせることになった事を嘆いていました。
しかし飯富虎昌(金田明夫さん)が、「今川より、北条で良かった。」と口にします。
今川の嫡子、氏真は歌の道に通じていて、京の公家のような暮らしぶりだという噂を聞いたと言います。
三条夫人は「うつけ者でもよい。娘を大事に思うてくれるのであれば。」と言うのでした。
どうも氏真はあまりよく描かれませんね。「おんな城主 直虎」でも武将としてはいい武将に描かれていませんでした。
天文23年(1554)12月。武田家の長女、梅が北条家へ輿入れをしたのでした。まだ12歳の子供でした。
次回、第41回、「姫の死」です。
今回の最後に由布姫が笛を吹いている途中で咳き込み、血を吐くという場面が映りました。
由布姫の最期。辛い回になりそうです。