「風林火山」は、2007年1月7日から12月16日まで放送された大河ドラマです。
2017年4月からNHK BSプレミアム日曜昼12時から、大河ドラマアンコール枠で再放送されています。
2018年1月21日に放送されたのは、第42回「軍師と軍神」です。
前回、信濃のうち武田晴信(市川猿之助さん)がまだ手を出していなかった木曽義康を、由布姫(柴本幸さん)の意見もあって討とうとした時、長尾景虎(GACKTさん)が再び川中島へ向けて出陣を始めました。
武田軍は木曽攻撃を一旦中断、川中島へ向かいます。第二次川中島の戦いが始まりました。
今川の軍師、雪斎(伊武雅刀さん)の仲介で休戦した後、木曽攻略に戻る武田軍。
雪斎は仲介の後亡くなり、由布姫も木曽との戦の中、亡くなりました。
茫然とする山本勘助(内野聖陽さん)。由布姫は生前、勘助にリツ(前田亜季さん)と結婚するよう約束をさせていました。由布姫が亡くなった今、約束を果たさせようとする晴信に待ってもらえないかと申し出る勘助でした。
前回の第41回「姫の死」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第42回「軍師と軍神」のあらすじと感想です。
四郎と志摩の行き先
由布姫が持っていた笛は、元は三条夫人(池脇千鶴さん)が実家の三条家から持って来たものだったので、由布姫の言葉通り、三条夫人へ返す事になりました。
が、三条夫人は「お前様が持っておくべきです。」と言って晴信が持つことになりました。
四郎は、高遠城代、秋山信友(市瀬秀和さん)に預けられ、諏訪家の跡取りとして立派に育てられることになり、侍女の志摩は、当初勘助引き取るつもりでしたが、本人の希望で四郎のもとにいる事になりました。
リツと結婚する約束をしていた勘助。晴信に「姫様との約束を果たすのは、いましばらく考える暇を頂きたい。御仏におすがりすることをお許し願いたく。」と旅に出かけました。
由布姫の死を受け入れるには時間がかかるようです。
景虎、姿を消す
越後では内紛が起こっていました。領主同士の土地争いです。その内情は、長尾譜代の家臣と、旧上杉家臣との権力争いでした。
未だ両者の争いは絶えず、景虎を悩ませていました。
弘治2年6月、突如春日山城から景虎は、姿を消しました。出奔です。宇佐美定満(緒形拳さん)は、景虎の師、天室光育和尚に宛てた景虎の書状を、直江実綱(西岡徳馬さん)を呼んで見せます。
直江ははじめ、二つに割れた家臣団を一つにまとめるために隠れてどこかで見ているのでは?と疑っていましたが、どうやら本当に出奔したようだと宇佐美は言います。
景虎の姉、桃(西田尚美さん)の嫁ぎ先、長尾政景(建蔵さん)に景虎の書状を見せに、直江と宇佐美が訪ねていました。
桃は「弟がこの世で信じられる人は、母上ぐらいかもしれぬ。母は、どこかこの世をはかなむようなところがある人です。観音菩薩を篤く信じ、弟があれほど信心深くなったのも、その母を慕ってのことでしょう。」と言います。
宇佐美は「政景様、ここは姉婿たるあなた様に我ら一同の意を、お伝え頂くがよかろうと存じます。」とお願いします。宇佐美は行方が分からないと嘆く政景に「上洛した時に真言の奥義を会得した、高野山では?」と予測するのでした。
勘助、高野山へ
高野山、無量光院には勘助がいました。勘助は放浪中、この高野山で摩利支天を授かっていました。傷の入った勘助の摩利支天を、住職の清胤(佐藤慶さん)に差し出し、話を聞いてもらっていました。
勘助は「拙者に関わる者、皆不幸になり申す。さような者が何故この世に生きておりましょうや?かような者に人を慈しむ事など出来ましょうや?」と唐突に聞きます。
清胤は「それはそなたが不幸にした者に聞く他あるまい。」と突き放します。勘助は死んでしまったので聞けないと返すと、「死んだ者は生きている者に必ず何か残すもの。それを見つけて生きていく他あるまい。」と諭します。
そうこうしているうちに、「宗心」という次の客が現れたので勘助は席を立ちます。
すれ違いざまに遠巻きに次の客を見た勘助は、柱に隠れて様子を伺います。
「宗心」とは、京の大覚寺でもらった法名で、景虎でした。景虎は上洛の際、高野山に上り、清胤に教えを受けていたのです。
「清胤様のもとで改めて仏道修行に励みたい。」と申し出ます。
軍師VS軍神
その晩、景虎が山奥で読経しているのを勘助が物陰から見つめます。気配を感じた景虎は、「何故ここが分かった?かような所にまで、俗世がつきまとうか!」と勘助の言い訳も聞かず、襲い掛かります。
勘助は木の枝で応戦しましたが、景虎はものすごく強く、逃げても逃げても追ってきます。
数分剣を交えた後、清胤がやって来て「やめんか!何が修行じゃ!さようにすぐ、癇癪を起して何とする!」と二人を一喝しました。
清胤は二人を部屋に入れ、曼荼羅を見せました。「宇宙の根源の有様を解き明かすものじゃ。
中心に大日如来。これから悟りを開かんとする菩薩がおわす。
その次に如来と菩薩を守る明王、諸天部がおる。天部とは、仏法守護の神。
そなたの信じる摩利支天や、毘沙門天も天部じゃ。かくの如く多くが集まり、一つの和を成しておる。この世には、争いがある事も認め、故に和を成す事が大事と説いておる。
外なる敵も、内なる欲も怒りも慈愛も、仏も神も、皆、己の中にある事を悟り、それを調えていかねばならぬ。それが修行じゃ。
すなわち、この世で生きたまま、御仏と一つにもなれる道じゃ。」と清胤は説明します。
「即身成仏!」清胤の言葉を受けて、景虎が言います。清胤はうなずきます。
「主君と家来に見える。」勘助は言います。清胤は見比べて、「面白い。」と言います。曼荼羅の解釈が全く違うからです。
「一方は己を高く、一方は己を低く見過ぎておる。まるで、天と地じゃ。」と評するのでした。
翌朝、二人は並んで食事を取りました。景虎は勘助に高野山に来た理由を尋ねます。
「諏訪の姫様が亡くなった。」と理由を話しますが、景虎は「喪に服しているつもりか?そちの主が殺した姫の為にか?」とやはり考える事が平行線をたどったままです。
勘助は「我が主の本心など、生涯分かりますまい。」と言います。
「分かるぞ、そちをこのまま甲斐に戻せば、そちの主は喜んでわしのおらぬ越後に攻め入ろう。」と景虎は返します。
「ここでそれがしをお討ちになれば、出家した事には…なりませぬな。」と勘助が言うと、
「そうなのじゃ。それでわしも困っておる。」と言い、二人で笑うのでした。
なんか、仲いいですよね、この二人。変な人たちです。
大熊の謀反
景虎が一人瞑想にふけっている時、政景をはじめ、直江らが来ました。
政景が「御屋形様。越後へお戻りくだされ。御屋形様がこのまま遁世なさりますれば、内外の敵を恐れて逃げたと思われ、長尾家代々の武名を汚す事になりまするぞ!何卒、お翻しくだされ。」と説得します。
「申し上げます。大熊朝秀が謀反を起こし、兵を挙げてござります。宇佐美殿が大熊勢と対峙しておりまする。大熊の後ろ盾になっているのは、甲斐の武田に他なりませぬ。武田による、調略と存じまする。」と次は直江が言います。
その話を物陰からバッチリ勘助が聞いています。
政景は、重臣一同が書いた景虎に書いた、起請文を持ってきていて、差し出します。
「御屋形様、我らは御屋形様を信じてござりまする。御屋形様をまた、我らをお信じ下さりませ。」直江は言うと、一緒に来ていた他の家臣も口々に「御屋形様!」と声を上げます。
景虎は立ち上がると、刀を勘助がいる方向に投げつけ、木に突き刺します。
「戻って、そちの主に伝えるがよい。この景虎、外なる敵をまた認めたとな。」と言うのでした。
景虎、越後に戻りましたね。清胤の曼荼羅の話が伝わったようです。勘助の事も見逃してくれました。
リツを養女に
甲斐に戻った勘助は、晴信に縁談の事を聞かれます。原虎胤(宍戸開さん)も同席していました。
勘助は、リツを妻ではなく養女として受け入れ、婿を取り、山本家を継がせることを提案します。
原は承知したので、すんなりと話はまとまりました。
勘助は屋敷に戻って、葛笠太吉(有馬自由さん)、河原村伝兵衛(有薗芳記さん)に伝えます。リツは改めて太吉たちに挨拶するのでした。
勘助は高野山で新たに守護神をもらい受け、リツに渡しました。今度は、首から下げるタイプではなく、置き型と言っては失礼でしょうか?仏像タイプです。
「私の摩利支天。」とリツは大いに喜んだのでした。
結局、嫁は取りませんでしたね。山本家を継ぐという事で由布姫との約束は果たしたことにもなりますね。
なんか釈然としませんが、勘助らしい決着の仕方だと思いました。
次回、第43回「信玄誕生」です。
晴信が出家するようです。
本気でしょうか?策略でしょうか?