吉高由里子さん主演、大石静さん脚本の2024年大河ドラマ、「光る君へ」。
「世界最古の女性文学」と呼ばれる『源氏物語』の作者・紫式部の波乱の生涯を描く物語です。
光源氏のモデルの1人と言われる藤原道長を柄本佑さんが演じます。
千年を超えるベストセラー『源氏物語』を書きあげた紫式部の、秘めた思いと一途な思いを胸に懸命に世を生きた女性の物語。
こちらでは、大河ドラマ「光る君へ」のあらすじ、ネタバレ、感想をお届けします。
さて、第36回「待ち望まれた日」では、とうとう中宮・彰子が懐妊。
この日を待ち望んでいた道長は歓喜に震え、まひろにこの次第を書き記すよう命じるのです。
初めての出産で不安に思う彰子はまひろを頼りにし、まひろは藤壺の女房達から嫉妬されてしまうのです。
前回のあらすじ
娘・彰子(見上愛さん)の懐妊祈願のため、道長(柄本佑さん)は嫡男・頼道(渡邊圭祐さん)、側近の源俊賢(本田大輔さん)と共に金峯山を目指します。
その道は険しく、雨のため道行はかなり厳しいものになりました。
道長は、京を出立して9日後、目指した金峯山の山上蔵王堂に辿り着き、無事に仏事を終え帰路につきました。
その帰り道、道長を憎む伊周(三浦翔平さん)から奇襲を受けそうになりますが、伊周の弟・隆家(竜星涼さん)がそれを阻止し、道長は無事に京に帰り着きました。
京に戻ってきた道長は、さっそくまひろに物語の進捗を確認。
物語の続きを確認すると、まひろにこの物語を書いた気持ちを尋ねます。
まひろは、自分の身に起こったことだと告白し、物語になれば自分の体験など真のことかどうかもわからない、と答えたのでした。
その後、まひろはあかね(泉里香さん)や弟・惟規(高杉真宙さん)の体験も物語の中に取り入れていきます。
まひろにとっては、見聞きするもの、全てが物語の種になっているのです。
彰子もまたまひろの物語を読み、まひろに感想を伝えます。
物語の人物に自分を重ね、まひろに訴えるのです。
まひろは彰子に、帝に自分の想いを伝えるよう助言します。
そして、ちょうどそこに現れた帝に、彰子は自分のこれまでの思いを伝えたのです。
帝は彰子の思いを受け止め、道長とまひろはめでたく結ばれた2人を思い、2人で月を見上げるのでした。
前回、第35回「中宮の涙」を見逃した方はぜひこちらをどうぞ。
それでは、第36回「待ち望まれた日」のあらすじと感想です。
懐妊
寛弘5(1008)年、まひろは物語を書き続けています。
彰子が物語を読んでいると、敦康親王がやってきました。
今は勉強の時間ですが、嫌になったので逃げて来たというのです。
帝には内緒にして欲しいという親王に、彰子は快諾するのです。
侍女が香を持ってきましたが、彰子はその香りを聞いてえずいたのです。
彰子は懐妊していたのです。
道長はすぐに倫子(黒木華さん)に知らせ、藤壺では今まで以上に彰子の身体を労わるようにと指示が出たのでした。
彰子の話し相手として呼ばれたまひろ。
まひろを残して彰子は女房を下がらせました。
今日は気分がいいから内緒の話がしたい、と彰子は言います。
彰子は、自分も漢籍を学ぶことはできるだろうかと尋ねます。
亡き定子は漢籍が得意だった、自分も漢籍を学び帝を驚かせたい、と訴えたのです。
内緒で漢籍を学びたいという彰子の気持ちを汲んで、まひろは教え始めました。
彰子は貪欲に学び始めました。
斉信(金田哲さん)や公任(町田啓太さん)、行成(渡辺大知さん)が道長の館に集いました。
彰子の産む子が皇子なら道長は盤石、めでたい、と斉信は言います。
めでたいことはめでたいが、皇子であったらややこしいことになると公任は言います。
行成は、ややこしいことにはならない、と主張。
居貞親王の後は帝の一の宮敦康親王が東宮になるのが道理である、と言うのです。
しかし道長が敦康親王の後見を降りたらどうなる、という公任。
道長は何も言わず、その話を終わりにしました。
次の東宮の話をすると言うことは、帝がその御位を降りるということ、と遮ったのです。
花山院が亡くなったとの知らせが居貞親王にもたらされました。
これで亡き冷泉天皇の血筋は自分だけになってしまった、我が子が次の東宮にならなければ、冷泉天皇の血筋は途絶える、中宮の産む子が皇子でないことを祈るばかり、と顔を歪めます。
こればかりは生まれてこなければわからない、と道綱(上地雄輔さん)。
居貞親王は、中宮の様子を逐一知らせよ、と命じたのでした。
敦康親王と遊んでいた彰子は、これからしばらくの間実家に戻るが、敦康親王はしっかり学んでください、と伝えます。
敦康親王は浮かない顔で、彰子に子が生まれたら自分と遊ばなくなるのだろうと呟きます。
自分は中宮の子ではないから、真の子が生まれれば、その子の方が愛おしくなることは道理。
彰子は、親王がほんの幼子であったころからずっとここで一緒に過ごしてきた、今日までずっと、と言い募ります。
帝のお渡りがない頃から親王だけが自分の側にいてくれた、これからも自分の側にいて欲しい、子が産まれても、親王の心を裏切ることは決してしない、と彰子は訴えます。
敦康親王は、薄く笑いながら彰子と遊び続けました。
里下がり
中宮・彰子は出産のため、土御門殿に下がりました。
土御門殿で、特別な局を貰ったまひろ。
倫子はまひろに、其方が中宮様を救ってくれた、と頭を下げました。
人見知りで口数も少なく笑顔も見せなかった彰子が帝の寵愛を受け、見違えるほど明るくなった、まひろの物語の力が帝の心を変え、彰子を変えたのだと道長から聞いている、母として自分は何もできなかったが、まひろが彰子を救ってくれた、心から有難く思っている、と頭を下げたのです。
どうかこれからも中宮を頼む、と倫子は言うのです。
我が邸は其方も若き日から慣れ親しんだところ、自分の家の様に寛いでおくれ、と倫子は言い退出しました。
まひろは精力的に彰子に勉学を教えます。
漢籍の解説を受けていた彰子は、自分も間もなく帝に傷を探されるのだろうか、と呟きます。
傷は大切な宝、とまひろは言います。
傷こそ、人をその人たらしめるものですから、とまひろは言うのです。
そこに、道長の子供たちが彰子に挨拶にやってきました。
見慣れないまひろに子供たちはざわめきます。
彰子はまひろを見て、自分の大切なご指南役と紹介したのです。
歩いていた赤染衛門(凰稀かなめさん)に女房が話しかけました。
指南役を外され、悔しくないのか、自分は彰子の側にいられなくなった、と訴えたのです。
衛門は笑顔で彰子がまひろを求めているなら仕方のないこと、と言うのですが、女房は引き下がらず、まひろと道長の関係はどうなのだろうかと問い質したのです。
ただの主従ではない、という女房に、衛門はありえない、と答えます。
藤壺でも道長はまひろの局にしばしばやってきて、2人でひそひそ話していたというのです。
衛門は笑いながら、大事なお話が合ったのでしょう、と言い、女房と別れたのですが、その顔は厳しいものに変わっていました。
彰子の懐妊の陰で、定子の産んだ媄子内親王が亡くなりました。
僅か9歳でした。
ききょう(ファーストサマーウイカさん)は、媄子内親王を悼み、伊周の邸にやって来たのです。
中宮に子が生まれたら、全て道長の思い通り、と伊周は呟きます。
帝のお心さえも。
ききょうは信じられない、と呟きます。
あれほど定子を想っていた帝が心変わりをするなど考えられない、と言うのです。
伊周は、藤壺の籐式部と言う女房が物語を書き、それが帝の心を捉え、次第に藤壺に足を運ぶようになったらしいと言います。
ききょうは、籐式部とはどういう女房かと問いかけました。
先の越前守の娘、と聞き、ききょうは瞠目しました。
帝はききょうの物語を紙が破れるほど読んでいたのに、今はまひろの物語をいたく気に入っているというのです。
ききょうは、まひろの物語を自分も読みたいと訴えました。
呪詛
帝の子の出産について、漢文による公式記録を付けるのが通例でした。
道長は、まひろの局に行くと、頼みがある、と言います。
彰子の側に仕えるまひろの目から見た出産の様子を記録して欲しいと言うのです。
次に続く子供たちのために、記録を残しておきたい、という道長の頼みにまひろは頷きました。
伊周は人目を避けながら、虚ろな目をして歩いていました。
大きなお腹を抱えながら、自分も死ぬのだろうか、定子も最後のお産で身罷られた、と不安を感じる彰子。
そこにまひろが呼ばれてきました。
彰子は他の女房を下がらせ、まひろだけを傍に置きます。
気分が悪いのかと聞くと、彰子はわからないと答え、倫子を呼ぼうとするまひろを止めました。
母に心配をかけたくない、まひろだけが側にいればいい、と倫子を呼ぶことを断りました。
まひろは彰子の気持ちに同意し、帝が喜ぶ顔を考えましょう、きっと不安は遠のく、と彰子を励ましたのでした。
真夜中から屋敷が騒がしくなり始めました。
日がな一日、彰子はとても不安げに、起きたり臥せったりして過ごすようになりました。
祈祷僧たちは、彰子に憑りついた物の怪を憑座に移そうと大声で祈り立てていました。
南には高貴な僧正や僧都が重なり合うように座り、不動明王の生きた姿を呼び出して見せんばかりに頼んだり、恨んだり。
皆声が枯れ果てているのがとても尊く聞こえました。
中々祓えない悪霊。
伊周は自宅で彰子をずっと呪詛していたのです。
皆、声も枯れ葉て、それでも必死に経を唱えます。
頭には邪鬼払いの米が雪の様に降りかかりしぼんでしまった衣姿がどんなに見苦しかったか、後になるとおかしくてならない。
右大臣と道綱も土御門殿にやってきました。
余りに凄まじい様子に右大臣は帰ろうとしますが、道綱は自分もやると座り手を合わせました。
伊周は彰子をに見立てた人形を執拗に小刀で打ち付けています。
憑座が泣き叫び、道長!と叫びました。
道長は憑座の前に出て、どうかお静まりください、と頭を下げました。
その瞬間、伊周の使っていた小刀が割れ、物の怪が憑りついていた憑座が苦しみながら気を失いました。
その瞬間、彰子から御子が生まれたのです。
皇子であったと知った道長は、放心したように、皇子であったか、皇子…、と呟いたのでした。
彰子は生まれたばかりの皇子を横に寝かせ、幸せそうに笑います。
お手柄です、と言った倫子に、私の今日は藤式部の導きによるものです、礼は籐式部に、と言います。
倫子はもう散々言った、と笑うのでした。
呪詛に失敗した伊周は悔し気に小刀を投げつけるのでした。
宴
その夜、まひろは人知れず歌を詠んでいました。
そこに道長が現れ、その歌の心、聞かせてくれと言います。
中宮様という月の光に皇子と言う新しい光が加わった盃は、今宵の望月の素晴らしさそのままに千代もめぐり続けるでありましょう、とまひろは言ったのです。
道長は良い歌だ、覚えておこう、と言うのでした。
柱を挟んで隣に座る道長とまひろ。
2人は月を見上げるのでした。
明子(瀧内久美さん)に報告した俊賢。
明子は自分の娘も必ず入内させると息巻きます。
俊賢は嘆息し、子を競わせるな、と諭します。
しかし明子は殿の言いなりにはならない、と不敵に笑うのでした。
翌日、一条天皇が土御門殿を尋ねました。
自分にも抱かせよ、と皇子を抱き、その日に親王宣旨を出しました。
この日は五十日の儀、子供の誕生後50日目に行われるものであり、今でいうお食い初めのお祝いです。
土御門殿では盛大な祝いの宴が催されました。
今宵は無礼講、と道長は言い土御門殿は賑やかな様相を見せています。
泥酔した実資(秋山竜次さん)は、女房の衣の数を数えています。
酒に酔った公任は、この辺りに若紫はおいでか、若紫のような美しき姫がいない、と笑います。
まひろは厳しい顔で立ち上がり、ここには光る君のような殿方が居ません、だから若紫もいないのです、と言い返しました。
それを見ていた道長は、まひろを呼びました。
そして何ぞ歌を詠め、と命じたのです。
命じられたまひろは歌を詠み、その歌を聞いた倫子は微笑み、彰子も笑みを浮かべました。
道長はさすがであるな、と言い、返歌を返したのです。
女房達は、用意してあったのだと噂し合い、阿吽の呼吸で歌を返せることに疑問を持ちました。
倫子が厳しい顔で立ち去ると、道長は一礼して倫子の後を追いました。
その様子を赤染衛門が厳しい眼差しで見つめていました。
そしてまひろが1人になると、まひろと道長はどういう間なのだと問い質したのでした。
次回、第37回「波紋」
中宮・彰子(見上愛)が一条天皇(塩野瑛久)の皇子を出産し、まひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)は喜びを分かち合う。そんな二人の親密さがうわさになる中、彰子がまひろの書いた物語を冊子にして天皇への土産にしたいと言い出す。そこでまひろを始め、女房たちが力を合わせて豪華本を制作することに。一方、新たな皇子の誕生により、伊周(三浦翔平)らの思惑が外れ、皇位継承を巡る不穏な気配が漂い、内裏で事件が起こる。
彰子に皇子が生まれ、道長とまひろは喜びを分かち合いますが、その姿を不審に思った女房たちから不穏な噂を流されてしまいます。
ますます彰子の信頼が厚くなる中、まひろは他の女房達とどうなってしまうのでしょうか。
まひろの物語を読んだききょうが登場しますが、ききょうの感想は一体どうなのでしょうか。
最後に
とうとう彰子に皇子が誕生しましたね。
物の怪を追い払う祈祷、凄まじかったですね。
それだけ伊周の恨みが凄まじかったのでしょうか。
憑座たちが荒れ狂う様子は恐ろしかったです。
それを冷静に解説するまひろ。
道長に頼まれた記録になっているのでしょうね。
それにしても、道長。
彰子に子が生まれたのが嬉しいのはわかりますが、まひろとの関係を匂わすようなことばかりして、あれでは倫子も他の女房たちも勘繰ってしまいますよね。
迂闊にもほどがあります。
それとも、何か意図があってのことなのでしょうか。
道長が何を考えているのかわかりませんね。
それにしても、何度も何度も呪詛をして失敗する伊周。
本当に懲りないですね。
隆家に諭されて、少しは大人しくなったと思ったのに、伊周の恨みはそう簡単に消えないのですね。
彰子と敦康親王の関係。
これからのことを思うと、悲しくなってきました。
彰子にそのつもりはなくても、父・道長は彰子の子・敦成親王を東宮にしようと画策します。
まるで自分の今後がわかっているかのような敦康親王の言動が悲しくなりました。
幼い頃からずっと一緒だった彰子と敦康親王。
誰にも心を開かなかった彰子の支えだったでしょうに、敦康親王のこれからを思うと、悲しいですね。
さて次回、第37回「波紋」では、皇位継承をめぐる不穏な気配が漂い、事件が起こってしまいます。
内裏に戻る彰子は、一条天皇への土産としてまひろの物語の豪華製本に取り掛かります。
源氏物語は全部で54帖。
ドラマの中ではまだ33帖ですから、先は長いですね。