「軍師官兵衛」は、2014年1月5日から12月21日まで放送された大河ドラマです。
2018年4月からNHK BSプレミアムの日曜昼12時の大河ドラマアンコール枠で再放送しています。
2018年6月25日に放送されたのは、第13回「小寺はまだか」です。
前回、黒田(小寺)官兵衛(岡田准一さん)は、主君、小寺政職(片岡鶴太郎さん)の嫡男、斎(相澤侑我さん)の代わりに、自身の一粒種である松寿丸(若山耀人さん)を織田信長(江口洋介さん)との同盟の証として人質に出しました。
入れ替わるように、中国攻めの総大将として羽柴秀吉(竹中直人さん)が姫路入りしました。
前回の第12回「人質松寿丸」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第13回「小寺はまだか」のあらすじと感想です。
姫路城献上と義兄弟
播磨に入った秀吉に、官兵衛は姫路城と家臣の屋敷全てを献上しました。最高のもてなしに感激した秀吉は、官兵衛に義兄弟の誓紙を渡します。
官兵衛は、誓紙を貰った事で有頂天となり、姫路城にいる秀吉に播磨中の地侍が謁見に来るよう働きかけました。しかし、三木の別所長治(入江甚儀さん)は、叔父の賀相(ベンガルさん)の反対を受け、仮病を使いもう一人の叔父、重棟(佐戸井けん太さん)が名代として謁見に現れ、秀吉に不快感を与えました。
肝心の御着の小寺は、官兵衛が戦に負けてもいないのに姫路城を明け渡したことをよく思わない家中の者たちが「足軽上がりの秀吉の方が会いに来るべきだ。」と謁見に反対されたので、小寺も本人ではなく、家臣の小河良利(磯部勉さん)が「流行り病」だとして代わりに秀吉に謁見しました。
義兄弟の契りをもらっている官兵衛は、なんとか小寺本人から秀吉に会いに行かせたかったのですが、なかなか腰を上げてくれませんでした。
姫路城が、秀吉が入った事で赤く飾られて一気に派手になり、なんだか高級感も出てきました。主が変わると城の雰囲気も変わるんですね!面白いです。
一方、長浜城のおね(黒木瞳さん)のもとで育てられていた松寿丸は、年上の虎之助(加藤清正)(相馬眞太さん)と剣術の稽古をして、コテンパンにやられていました。
おねが「手加減をしなさい。」と注意すると「母が手加減をしていては戦の時に役に立たない。」と言っていたと言い、松寿丸は手加減なしの稽古を望むのでした。
おねは、光(中谷美紀さん)の教えに感心し、そのままの稽古を続けるよう指示しました。
松寿丸もおねのもとで順調に成長しています!
長引く本願寺攻め
荒木村重(田中哲司さん)による本願寺攻めは、もう7年になっており、いたずらに死者が増えていっていました。荒木の陣中に門徒を通じている者がいて、戦になると手を抜いたりする者がいるとの噂が立っていました。
さらに月の出ない闇夜になると舟を出して本願寺に兵糧を渡している噂まで出てきており、村重は「これが上様に知れたら…」と怯え中川清秀(近江谷太朗さん)に急ぎ真偽を確かめるよう指示を出しました。
村重と一緒に戦っていた高山右近(生田斗真さん)は、門徒たちはキリシタンの敵ではあるが、自分の信じる教えに従い死んでいくのを見て自分と共通するものを感じ、「この不毛な戦いはいつまで続くのでしょうか…。」と長引く本願寺攻めに体だけでなく心も疲弊していました。
信長は、本願寺攻めに時間がかかり過ぎている事を村重に問いただし、「毛利が運び入れる兵糧を断って、根絶やしにしてしまえ。」と非道の指示をし、策も授けました。
信長は毛利の水軍に対抗した、鉄板で覆った亀甲船を造っていたのです。
村重は信長と、激しい戦いを続けているのにもかかわらず勢いの止まらない門徒たちの間に挟まれ、追い詰められていっていました。
荒木村重役の田中哲司さんの演技が身に詰まります。次第に追い詰められていく村重を、表情の変化で見事に演じられています。官兵衛と初めて会った頃の明るさが消えていて、観ていて辛いです。
誓紙を燃やされる
官兵衛のもとに竹中半兵衛(谷原章介さん)が訪ねてきました。官兵衛はてっきり、小寺が秀吉に挨拶に来ない事について責められると思っていました。
しかし半兵衛は、職隆(柴田恭兵さん)から、官兵衛に義兄弟の誓紙を貰った事で有頂天になっている事、その事で小寺が嫉妬して挨拶に行かないのだろう事を聞いていました。
半兵衛は官兵衛に対面するなり誓紙の話を持ち出し、その紙を見せるよう要求してきました。文箱に入れて大事にしまっていた官兵衛は、要求に応じて紙を差し出すと、半兵衛は近くに会った火鉢に誓紙を入れ燃やそうとしました。
「何を?!」慌てて紙を取り出した官兵衛。「そのようなくだらんものがあるから周りがみえなくなる。」と言う半兵衛の首元に刀を突きつけ、怒りを露にします。
「官兵衛殿は何か大きな考え違いをしておられる。誓紙などただの紙切れ。そのようなものにこだわって何になる。お主は今、秀吉様のためにと焦ってばかり。秀吉様の為に手柄を立てて喜んで頂こうとしているだけではござらぬか?もともと目指していたものは何でござる?おぬしは何のために播磨中を駆けずり回っているのか?大義の為につまらぬ面目など無用。」と半兵衛は一喝します。
半兵衛は席を立つと廊下で咳き込み、口を手で覆います。半兵衛の手には血が付いていました。
半兵衛の命のリミットも近づいてきたようです。
一人残された官兵衛は、半兵衛の言葉で目が覚め「播磨平定」という本来の目的を思い出し、誓紙を燃やしたのでした。
この二人のやり取りが、コントみたいで面白かったです。喜んで誓紙を渡して、目を離した隙に誓紙を燃やされかけ、怒って取り返して刀を出す…という一連の流れの間の取り方とテンポが絶妙でした。
秀吉から小寺に
官兵衛は秀吉に、秀吉から小寺に会いに行くようお願いしました。秀吉は、信長の名代で来ているのだから、面目が立たない。他の者に示しがつかない。と拒否しました。
「考えがございます。」と官兵衛は言いました。
官兵衛は、献上品を荷車に乗せて栗山善助(濱田岳さん)らと共に御着城に現れました。
小寺は官兵衛に会うなり、「官兵衛、しつこいのう。行かぬと言ったら断じて行かぬ。」と呆れたように言います。しかし官兵衛は黙って正面から横にずれると、庭先にいた善助たちも同じように横にずれます。すると後ろの庭で献上品の前に座っていた汚い格好をした男が姿を現しました。
「何じゃ?この汚らしい男は?」小寺が言うと男が「それがし、羽柴筑前守秀吉と申します。」と言います。信じない小寺に官兵衛が「本物でございます。」と言いますが、信じません。
秀吉は頭にかぶっていた布を取って笑ってみせます。秀吉は「こうでもせんと小寺殿にお会い出来ぬのでな。こんな格好で失礼致す。」と言い頭を下げます。
「それがしも小寺殿と同じ流行り病にかかっておって、それが治ったのでこうして馳せ参じたのでござる。」と秀吉が言うと、痛いところを突かれたのか、小寺は慌てて秀吉の前に座り、「それは病が癒えてよかったでござる。挨拶が遅れました。それがし、御着城主、小寺政職でござる。」と挨拶をしました。
「官兵衛。おぬしの言う通りにしてよかった。小寺殿のお顔を拝して得心がいった。織田に二心を持つお顔ではござらん。小寺殿、これより播磨の西へ兵を進める。ここはひとつ、お力をお貸し願いたい。」と頭を下げると、小寺も「はい、喜んで。」とすぐに返事をしました。
秀吉は、続けてその為に官兵衛を貸してもらいたい、と言うと、「異存ござらん。」と小寺は答えました。
こうして晴れて小寺も秀吉に挨拶を済ませ、官兵衛も堂々と秀吉の為に動けるようになったのでした。
秀吉という人はスゴイですね!はじめは自ら出向く事を渋っていましたが、いざ小寺の前に出ると、官兵衛が望む以上の言葉を小寺にかけて、官兵衛の立場もちゃんと立ててくれる。発注以上の仕事をサラっとこなしますね!
官兵衛はただ猪突猛進まっすぐ進むばかりで、主君の小寺の事をすっかり忘れて没頭してしまいます。それに比べて秀吉は、やる事が細やかというか、ここが天下人になる人の違いなんでしょうね!
二人の軍師
天正5年(1577)11月。秀吉率いる8000の軍勢は西播磨に兵を進めました。毛利についている福原助就の居城、福原城の攻略に取りかかったのです。
戦略を聞かれた官兵衛は、三方を取り囲み、あえて逃げ道を一つ作る「囲師必闕」という孫子の兵法で攻める事を提案します。半兵衛も官兵衛の提案に賛成しました。
秀吉は、二人に城攻めを任せることにしました。
官兵衛と半兵衛、二人で話をします。
「乱世を終わらせる」という大義を持った半兵衛は、その為に秀吉に馳せ参じたと言います。
「この乱世を天下泰平の世へと作り変えるのです。その為に我々軍師は働くのです。」半兵衛は官兵衛を「軍師官兵衛殿。」と呼ぶのでした。
次回、第14回「引き裂かれる姉妹」です。
光と力(酒井若菜さん)姉妹が敵味方に分かれます。
一番避けたかった事がとうとう起こります。