毎週日曜日20時から、NHK総合他にて放送中の大河ドラマ「西郷どん」。
2018年12月2日、第45回「西郷立つ」が放送されました。
前回、明治7年6月。荒れる士族たちの為、西郷隆盛(鈴木亮平さん)の願いによって私学校が建てられました。1年が経ち、生徒の数は2000人を超え、さらに増え続けていました。
そのなかには、かつて戊辰戦争で戦った庄内藩の伴兼之(金井浩人さん)、榊原政治(健道虎吉さん)も寛大に許してくれた隆盛に恩を感じて「是非一緒に学ばせていただきたい。」とやって来ました。
新しく入ってきた生徒の中には、新政府にいた元薩摩藩士中原尚雄(田上晃吉さん)がいました。この人は川路利良(泉澤祐希さん)から送り込まれた密偵でした。
この密偵の存在により、私学校の運命は大きく変わっていってしまうのです。
前回の第44回「士族たちの動乱」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第45回「西郷立つ」のあらすじと感想です。
菊草も引き取られる
菊次郎(今井悠貴さん)の妹、菊草(八木優希さん)も隆盛と熊吉(塚地武雅さん)引き取られてきました。糸(黒木華さん)をはじめ、西郷家の皆は菊草を温かく迎え入れました。菊次郎は緊張する菊草に大島の言葉で「すぐ慣れる。」と言って、一番喜んでいました。
あれ?隆盛は、ドラマの中では愛加那(二階堂ふみさん)のところへ直接引き取りに行ったんでしょうか?何の説明もなかったですけど…。
菊草役の八木さんが、愛加那役の二階堂さんによく似てると思いました。「西郷どん」以外でも姉妹でいけそうな感じがしました。
廃刀令と士族の乱
明治9年3月。県令大山綱良(北村有起哉さん)より廃刀令が伝えられました。反発する篠原国幹(榊英雄さん)ら私学校の生徒たち。大山は「刀狩りに遭っても知らんぞ!こん私学校は既に政府にも目をつけられちょっ。よう考え!」と一喝しました。
それでも反発する生徒たちの中を縫うようにして出てきた桐野利秋(大野拓朗さん)が、「刀の侍の魂じゃ。じゃっどん、そんせいで西郷先生が作られた私学校にまでケチつけられてたまるか!」と言って率先して刀を差し出しました。
「政府の言いなりになるんじゃなか。私学校の為じゃ。」と言う桐野に従って他の生徒たちも次々に腰に差していた刀を抜き、差し出しました。突然の廃刀令に私学校の生徒たちは耐えて受け入れたのでした。
政府は立て続けに士族の給金である金禄を廃止。追い詰められた士族たちは次々と反乱を起こしました。熊本の神風連の乱、福岡の秋月の乱、山口の萩の乱です。政府は軍を出動させ、力でそれを押さえ込んでいったのです。
私学校では、次々と士族を力で押さえ込む政府にやり方に対して、腹を立てた生徒たちが騒いでいました。村田新八(堀井新太さん)から私学校に呼び出された隆盛です。
「熊本士族の叫びは士族全ての叫び。」だと言って、薩摩も立とうと、いきり立っていた生徒たちを桐野は「動いたらいかん。」と止めていました。桐野を頼らず、自分たちだけでも挙兵するとまで言い出す生徒たちです。
そこへ隆盛がやって来て、「おはんらは、私学校で心を一つにし、よか二才を育てる為に集まってるんじゃなかとな?」とまず篠原に問いかけます。そして皆で農業をし、薩摩で一緒に生きていくと決めたのではないのか?と生徒たちに問いかけ、立つ事は許さないと釘を刺しました。
しかし熊本からの手紙によると、政府が私学校に目をつけ、密偵を紛れ込ませている。熊本も、その密偵に潰されたと篠原は言います。大久保が士族を見張る為に密偵を送り込んでいるのです。
そして庄内藩から来た青年たちを元々は敵だったから密偵じゃないかと疑い、騒ぎ出し、かばう者がいるとその人達を糾弾。大混乱に陥りました。
「政府に潰される前においたちが潰されてしまっど!」と別府晋介(篠原悠伸さん)は泣いて訴えました。その言葉に大人しくなる生徒たち。
隆盛は笑って「こんやっせんぼどもが!ないをゴチャゴチャと。密偵がおったところでないが困るこつがあっか?おいたちはここで調練し、畑を耕し学問に励んじょっただけじゃ。」と密偵に探られたところで問題ないと言います。
隆盛の言葉に渋々解散する生徒たちでした。
しかし「イノシシをおいたてよって。」と静かに漏らした中原を半次郎は見逃していませんでした。「ハンランノケハイアリ」と電信で政府に知らされていたのです。
知らせを受けた大久保利通(瑛太さん)は、「前線の熊本鎮台にいつでも出兵できる態勢を整えろ。」と山県有朋(村上新悟さん)に命令。そんな利通に従道(錦戸亮さん)は「西郷隆盛を信じていないのですか?」と聞きます。その質問に対して今度は川路が「天下国家の話だ。」と制します。
従道は「あん兄さぁが立つはずがなか。何千何万の不平士族がいきり立ったところで、兄さぁなら押さえ込んでくれるはず。」と言うと、利通は「裏を返せば、西郷の覚悟一つで日本中の士族を奮い立たすことも出来るということだ。」と言います。
密偵に下された命令は、偵察だけでなく、私学校に暴発する動きがあれば、身命を賭してその動きを止めよ、という命令がありました。説得に失敗した場合は、隆盛には死んでもらわないといけない、ということでした。従道はそんな命令をした利通に反発するのでした。
こういう動きをしている利通と川路でしたが、隆盛が立つとは思ってないし、薩摩の仲間を好き好んで潰そうとしているのではなく、あくまで守りたいと思っているのでした。
う~ん。しかし、結果同士討ちにすることになりますよね~。有馬さんの騒動を思い出します。その現場に若い日の従道もいました。同じ悲劇はまた繰り返されるのです。
武器庫襲撃
中原が密偵だと気付いた桐野たちが、中原を拷問にかけ自白させました。そして私学校の者たちが政府軍の武器庫を襲撃し、後戻りのできないところへ踏み出してしまいました。
政府にもすぐに連絡がいき、利通は「各々来たるべき事態に備えよ。」と川路と山県に命じました。
武器庫を襲った事を知らされた隆盛は私学校に駆け付け、血だらけになって吊るされていた中原を目撃します。桐野は「大久保が送り込んだ密偵。」と説明しました。隆盛は新八に命じて中原を下ろさせました。
隆盛は桐野を殴りつけます。続けて数人殴りつけました。「おはんら、なんたるこつをしでかしたか。おはんらのやったこつは国家に対する反逆じゃ!もはや国賊としておはんら一人残らず討伐さるっかもしれんたっど!」と叱りつけます。
しかし桐野は「先生は分かっちょいもはん。」と言って、小さく丸められた紙を差し出し「大久保の本心」だと言います。その紙には「ボウズヲシサツセヨ」と書かれていました。ボウズとは隆盛のこと。隆盛を暗殺せよという命令だと桐野は言います。
篠原も「中原が自白しもした。私学校を瓦解させるために西郷先生を刺し殺すつもりじゃったっち!」と言いました。
隆盛は中原に手紙を見せながら「シサツちゅうのは、ほんのこて刺し殺せっちゅうとか?」と聞くと中原は答えず泣き始めました。その様子を見て察する隆盛も泣きました。
桐野が「先生の夢を信じて、政府に刀を奪われても禄を奪われても、歯を食いしばって耐えちょいもした!そん西郷先生を殺そうとする大久保はあんまりじゃ!」と言うと、隆盛も何も言えず、ただ泣きました。
「夢も潰され先も見えん。刃向かえばねじ伏せられる!大久保が作ろうちしてる日本に、おいたち士族の居場所はなか!出来ることはもはや一つ。我が身を捨て政府の政を正すのみ。」と桐野が言うと、隆盛は床を叩きます。
そして静かに立ち上がり「分かった。みんなで東京に行き、おいたちの、全国の士族たちの思い、新しか世を見るこつなく散っていった先人たちの願い。そん全てを政府に訴え、政の在り方を問いただす。ほいでみんなで必ず薩摩へ帰って来っとじゃ。」と言いました。
士族の思いを伝えに東京へ
隆盛は自宅に戻り、斉彬(渡辺謙さん)からもらった懐刀を近くに置き、「敬天愛人」の文字を書きました。そして家族に東京に行くことを告げました。菊次郎も共に参ります、と申し出ました。
糸は反対しましたが、「自分が立ち会っていること全てを見届けたかとです。」と言う菊次郎。
「戦になるやもしれん。」と隆盛に言われても菊次郎は「自分の道は自分で決める。父上から教わった事です。」と言います。隆盛は糸に「男子が決めた事じゃ。」と言い、従軍を認めました。
夫婦二人になり、糸はまだなんとか止めようとしました。が、隆盛は黙って答えませんでした。
明治10年2月17日。鹿児島は50年ぶりの大雪となりました。
西郷家は隆盛と菊次郎、琴(桜庭ななみさん)の息子の宗介(前川優希さん)、熊吉が出ていくため、女性たちが準備をしていました。雪篷(石橋蓮司さん)も最後に隆盛に酒を飲むようすすめていました。
半次郎がやって来て、「熊本、宮崎、大分からも我らに同行したかち申し出がたくさん来ちょいもす。」と報告に来ました。弓を持ってやって来た桂久武 (井戸田潤さん)も同行します。
海江田武次(高橋光臣さん)は「わしは見送りなんぞ行かん。わしに目通りしたかったら、必ず帰ってけ。」という久光(青木崇高さん)の言葉を伝えにやって来ました。隆盛は久光の言葉をありがたく受け止めていました。
とうとう出発の時になりました。2匹の犬も連れて行くことになりました。
琴は宗介に弁当を手渡しました。そして隆盛に「宗介も菊次郎もメリケンまで留学した国の宝じゃってね!無事に返さんかったら承知せんど!」とすごみました。
糸は「ご武運お祈りしちょもす。」と言って見送りました。菊草が「いきゅんにゃかな わきゃくとわすれて いきゅんやにゃかな うたちやうたちゃが いきぐるしゃ」とかつて隆盛が大島から旅立った時にも歌われた別れの唄を歌い、見送りました。
こうして西郷隆盛は、政府の政を問いただすという大義を掲げ、東京へと出発したのです。隆盛らが出発したことは電信で政府の川路にも伝えられ、利通まで伝えられると自ら説得しようと動こうとしました。それを「日本を見捨てるつもりか?お前は国家の要じゃ。」と岩倉具視(笑福亭鶴瓶さん)が必死に止め、思い留まりました。
西郷隆盛たちの、士族たちの、終わりの始まりです。
次回、第46回「西南戦争」です。