毎週日曜日20時から、NHK総合他にて放送中の大河ドラマ「西郷どん」。
2018年4月15日、第14回「慶喜の本気」が放送されました。
前回、篤姫(北川景子さん)の、将軍徳川家定(又吉直樹さん)への輿入れを成し遂げた島津斉彬(渡辺謙さん)に伴い、西郷吉之助(鈴木亮平さん)は薩摩へ帰郷しました。
しかし、幕府の老中阿部正弘(藤木直人さん)死去の知らせを受けて、江戸へ戻る事になり、吉之助は、江戸行きを希望している、婚礼を挙げたばかりの大久保正助(瑛太さん)を一緒に連れて行きたいと斉彬に願い出ました。
正助とは熊本までで別れ、江戸に向かいました。
今回吉之助は、橋本左内(風間俊介さん)と共に、一橋慶喜(松田翔太さん)を将軍へ擁立する運動を始めます。そして大奥では篤姫も家定への働きかけをします。
前回の第13回「変わらない友」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第14回「慶喜の本気」のあらすじと感想です。
米総領事、家定に謁見
安政4年(1857)10月21日。アメリカ総領事ハリスが、家定に謁見しました。
「遠国よりの書簡を嬉しく思う。幾久しく友好を保ちたいと大統領に申し述べるべし!」
家定は、篤姫の前で何度も練習した言葉をハリスに言い渡しました。
謁見が終わった後家定は、篤姫にも「幾久しく、御台とも友好を保ちたいものだ。」と言い、篤姫を喜ばせます。輿入れから1年ほど経っており、次第に家定と篤姫は心を通わせるようになっていました。
篤姫の顔が本当に嬉しそうで、こっちも嬉しくなりました。
家定も「御台が笑うと余も嬉しく思う。」なんて言葉をサラっと言ってのけ、素直に篤姫への思いを口にしていました。篤姫の存在が、家定の癒しになっているようです。
こんな言葉を面と向かって言ってくれたら、妻としては本当に嬉しいと思います。いい感じになってきましたね!
将軍擁立運動
吉之助は、江戸に着くとすぐ斉彬の書状を松平慶永(津田寛治さん)のもとに届けました。
書状を受け取った慶永の表情は曇っていました。
ハリスの家定謁見を許した幕府に怒った水戸、徳川斉昭(伊武雅刀さん)が、「交易をするなら国の外でやれ。」と老中首座の堀田正睦(朝倉伸二さん)に迫り、自前の武力まで差し出すと言い、幕閣の中で、斉昭はますます評判が悪くなっていました。
ついには「水戸様が公方様を毒殺して、息子の一橋様を将軍に据えるつもりだ。」という噂まで流れていると、慶永は一橋擁立派の不利を嘆きます。
慶永の側にいた橋本左内は「紀州、慶福(荒木飛羽さん)様を推す、井伊(佐野史郎さん)が味方を増やす為、そのような噂を流しているのであろう。」と言います。
慶永は、「左内と協力して一橋様擁立へ向けて、諸藩の大名を説得する方策を考えて欲しい。」と吉之助に指示するのでした。
吉之助は、左内と一緒に磯田屋へ行き、「ヒー様」こと慶喜に直接会って次の将軍になるよう言いますが、慶喜は相変わらず話を聞き入れません。
左内は、諸藩へ配る為の慶喜を推薦する書「一橋公言行記」を作成し、吉之助と二人で内容を確認している途中、慶喜に書を取り上げられます。
書には、幼い頃から優秀であったという慶喜のエピソードが細かく書かれており、慶喜はひとつひとつ読み上げては細かく否定し、「親父の作り話」とまで言います。
そして書を派手に破り捨て、部屋の外に放り投げました。落胆する吉之助でしたが、左内は書の写しを何冊も持っており「抜かりはございませぬ。」とニヤリと笑うのでした。
諸藩に配るから何冊も持っていたのか、慶喜に破られるのを見越していたのかは分かりませんが、左内の作戦勝ちです。
二人は慶喜に何度断られても諦める様子はなく、擁立運動は続くのです。
それから程なく、薩摩にいる斉彬から幕府に建白書が提出されました。「国難を乗り切るために、将軍継嗣問題を直ちに解決するべき。」とありました。
斉昭は「さすがは薩摩守。この難局を乗り切るには慶喜こそ公方にふさわしいと。」と斉彬の味方をします。慶永も援護しますが、外様の斉彬に意見されていることに不満を持った幕閣たちに一蹴されました。
井伊と直接対決
吉之助は、磯田屋で左内と「一橋公言行記」を写す作業をした帰りに、以前斉彬暗殺の犯人を探っていた際、取り逃がしたお面の男、幻之丞(東武志さん)を見つけました。
吉之助は幻之丞の後を追い、「だいの手先じゃ?」と聞きます。すると後ろから別の男に「西郷吉之助殿、御同道願おう。当家の主が貴殿を呼んでおる。」と声をかけられます。彦根藩の長野主膳(神保悟志さん)です。吉之助は井伊直弼に呼び出されたのです。
井伊は吉之助にお茶を点てます。警戒して飲まない吉之助は「毒を盛るなど無粋な事はせぬ。」と言われ、お茶を飲み、あまりのおいしさに驚きます。
井伊には、吉之助が篤姫の婚礼道具を揃えた事も、磯田屋で一橋に近づいている事も全部筒抜けでした。
「逃げてばかりの男に、次の公方様がつとまるとは到底思えぬがのう。」と言う井伊の言葉にかぶせるように吉之助は「じゃっどん、別の見方をすれば、あん一筋縄でいかんお人なら、異国が相手でも、そうやすやすと言いなりにはならんとでごはんか。
今こん国は変わらんといけもはん。異国と対等に向き合うには、一橋様がなくてはならんとでごわす。」と言います。
話を聞いていた長野は、吉之助を「身の程をわきまえぬ無礼な振る舞いまで主君と同じ。」と斉彬を含めて笑います。
吉之助は「必死に国を守ろうとなさっておらる。」と斉彬の行動の意味を訴えます。しかし井伊は「守るべき国は徳川のお家そのもの。」と戦国から250年安泰を保ってきたのは徳川家であり、異国が迫る今こそ、何も変えてはならないと言います。
井伊にとって、徳川に弓引くものは、異国でも、薩摩でもどちらも敵なのです。
井伊が吉之助を呼んだのには別の目的がありました。斉彬の情報を流させる事です。その見返りに井伊は、慶福が公方になったら、吉之助を家臣に取り立てると言います。
吉之助の家族の事も、貧しい暮らしも全部知っていて、家族も呼び寄せたらいいとまで言ってきたのです。薩摩の家族にまで害を及ぼしたのでは?と憤る吉之助。家族の命まで脅しの道具に使う井伊に怒りを通り越し、呆れます。
「こげな腐った連中に守られちょっ将軍家も危なかでごはんどなあ!今そいがはっきり分かいもした。おいたちは全く寄って立つ立場が違ちょいもす。失礼いたしもす。」と言い立ち上がりました。
井伊は「いつまでそんな綺麗事を言っておられるか。世間に泥水をたっぷり飲むがよい。ここの茶のうまさが身に染みて分かるだろう。」と言いました。
が、吉之助は「御免被りもす。」と言って出ていきました。
篤姫、慶喜を推す
建白書の写しは大奥にも出回り、波紋が広がっていました。本寿院(泉ピン子さん)と歌橋(猫背椿さん)は「一橋慶喜が次の将軍になれば、父である斉昭が奥に上がってくることもあるやも。」「家定と篤姫の縁組も斉彬が最初から企んでいたのでは?」と気づき、本寿院は「おのれ薩摩守!おのれ御台所め!」と建白書の写しをくしゃくしゃにしながら憤るのでした。
怖いです!でも泉ピン子さん、適役です!
幾島(南野陽子さん)は、自分たちに相談もなしに斉彬が建白書を出した事に困り果て「こんな事されたら、御台様の周りが敵ばっかりになってしまいます!」と嘆きます。
その通りですよね。ずっと斉彬は焦っていました。徳川家の中に入った二人の事までもう考えられないようになってきているのでしょう。
建白書の事で怒った本寿院は、家定の篤姫へのお渡りを阻んでいるとの事。
「上様にお会い出来んとなったら手も足も出ません…。」と幾島もお手上げです。しかし、本寿院側からしたら、これは当然の行動です。
この状況にも関わらず、家定が篤姫に会いに来てくれました。「御台、息災か?」家定が聞くと「息災にございます。お会いしとうございました。」篤姫が答えます。
「余と御台は、幾久しく友好じゃと申したであろう。」家定がそう言うと、篤姫は「上様、幾久しい友好の為に、お願いしたき儀がございます。上様の次の公方様の事でございます。
お許しがあれば、一橋慶喜様を上様のご養子に迎えられ、次の公方様に据えられてはいかがでございましょう。」と思い切って話します。
「嫌じゃ!一橋は好かん。聞きとうない。」と言って背を向け立ち上がる家定。しかし篤姫は「一橋様は、この国を守ってくださいます。この国の民も無事息災。」と引き止めます。
篤姫の「無事息災」という言葉が心に刺さった家定は、ちょうど訪ねてきた本寿院に「余の次は一橋じゃ。」と次の将軍を決めてしまうのでした。
家定が慶喜を?この話はどこまで本当なのでしょうか?
慶喜将軍継嗣の事がついに動き始めたのです。
慶喜の本気
磯田屋で、吉之助と左内は慶喜に「公方様が次の将軍に一橋様を。」と言いますが、本人は全くその気はなく、付きまとう二人を叱りつけていました。
慶喜は、いつも通りふき(高梨臨さん)たちと遊び、夜、眠っていました。
そこへ一人の男が侵入し、慶喜が眠っている布団を刀で刺しました…が、慶喜は布団から出ていて「人殺し…人殺しだ!助けてくれ。」と叫びます。
男は彦根の幻之丞です。今度は慶喜を殺しに来たのです。吉之助が駆けつけ、応戦している隙に慶喜は、建物を抜け出し町へ逃げていきました。しかしすぐに幻之丞は追いつき、慶喜を襲います。
吉之助は棒を持って助けに入りましたが、幻之丞は諦めず慶喜にまた襲い掛かります。今度は慶喜自身が、幻之丞の刀を持つ手を押し返しますが、敵いません。
吉之助は夢中で懐刀を抜き、慶喜を襲う幻之丞の背中を刺しました。吉之助は自分で刺してしまった事に驚いて、後ろに倒れ込み尻もちをつきました。
吉之助は人を刺したのは初めてだったのです。
左内が幻之丞の首の脈を診て「絶命しています。」と冷静に言いました。吉之助は震えて叫び、号泣します。三人は幻之丞を川辺に運びました。
「この男、前にも磯田屋で立ち聞きしていましたね。薩摩なまりで面を着けて。」幻之丞の顔を見ながら左内が言います。「妙だな。薩摩の人間が俺を殺す?」慶喜が言うと「違いもす。彦根の回し者でごわす。」と吉之助が言います。
慶喜は大きくため息をついて「お前たちの殿様が俺を祭り上げるから、彦根なんぞに命を狙われたんじゃないか。」と言います。そして左内と一緒に幻之丞を川へ投げ入れました。
慶喜と左内はすぐにその場を去ろうしましたが、吉之助は手を合わせます。「あん男にも命を懸けた主君がおらる。帰りを待っちょ親兄弟もおっとじゃ。一人の人間の命をおいは奪ってしまいもした。おいは人殺しじゃ。」左内は「一橋様をお救いする為、西郷様はよくやったと思います。」と慰めました。
慶喜はこうやって血が流れる事を嫌がっていました。しかし異国が攻めてきたら、血が流れるだけで済まず、国が死んでしまう。死んだ男と慶喜の命は同じだが、慶喜には国を守る力を持っている。吉之助と左内は、嫌がる素振りを見せ続ける慶喜に交互に言葉をかけ、説得します。
二人の言葉を聞き「よし、行くぞ。ついてこい。」慶喜は二人を連れ、井伊に会いに行きました。
「そっちが刺客を差し向けてきたからには、よっぽどの用があると思ってわざわざ来てやったんだ。」慶喜は井伊に言います。
「御用と申せば、畏れ多くも公方様におかれましては、次の将軍に一橋様をご指名なされたとの由、それでも一橋様は将軍職をお断りなさるのですかな?」と井伊は挑戦的に返します。
そして紀州の慶福が将軍になったら、紀州を慶喜に渡すという話を出してきました。井伊の、徳川を我がものとするような態度に慶喜は腹を立てます。
「よし分かった。将軍になろう。」慶喜は言いました。その態度は今までの逃げ回る態度ではなく、威厳に満ちていました。
吉之助と左内は慶喜の後ろをついていくのでした。
今回は、慶喜の変化を描きました。暗殺とか有り得たんですかね?
篤姫に言われて家定が慶喜を指名、という展開もどうなんだろうかと思いました。
次回、第15回「殿の死」です。