毎週日曜日20時から、NHK総合他にて放送中の大河ドラマ「西郷どん」。
2018年4月22日、第15回「殿の死」が放送されました。
前回、篤姫(北川景子さん)の働きかけにより、徳川家定(又吉直樹さん)は、次期将軍に一橋慶喜(松田翔太さん)を指名。井伊直弼(佐野史郎さん)の刺客に命を狙われた慶喜は、井伊に「今の幕府でこの世の泰平を保てると本気で信じているのか。」と投げかけ、自ら将軍になると決意しました。
吉之助と橋本左内(風間俊介さん)は、急ぎ京へ向かい、近衛忠煕(国広富之さん)協力のもと、幕府へ詔を賜うことになりました。月照(尾上菊之助さん)は、詔の写しを見て「世子は、英傑、人望、年長の三件を備えた者を選ぶべし」と書かれてあるだけで、はっきりと慶喜の名が書かれていないと、不安を口にしました。
将軍継嗣問題の決着と大事な人の寿命の尽きる時がやってきます。
前回の第14回「慶喜の本気」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第15回「殿の死」のあらすじと感想です。
南紀派の勝利
「秋になったら甘い柿を一緒に食べよう。」
春なのに柿の絵を描いていた家定は、そう篤姫と約束し、穏やかに過ごしていました。しかし、持病の脚気が悪化し篤姫の目の前で倒れました。
病床で家定は紙と筆を所望しました。「遺言を?」と、近習を下がらせ一人で家定を支えていた井伊が、「この井伊、一身を投げうって幕政を取り仕切る所存にございますゆえ、一筆お遺し下さい。」と言い、すだれの向こうの者たちに聞こえないような小さな声で「次の公方様は慶福様と…」と言いました。
しかし家定は、遺言を書くのかと思いきや、柿の絵を描きました。
家定が井伊に言ったのは「御台に、柿を食べさせて欲しい。」だったのに、「ご安心なされませ。この井伊が必ず。」と井伊が言った続きに「頼む!」と、家定が言った大きな声だけが周りの者に聞こえ、この事があとで井伊の都合のいいストーリーに書き換えられていくのです。
井伊は老中をしのぐ身分の「大老」となり、最高権力者となりました。
家定が、次期将軍に紀州の徳川慶福(荒木飛羽さん)を指名したと言って、これまでの慶喜の指名をひっくり返し、決定してしまいます。
篤姫は「そんなはずはない。」と抵抗しましたが、家定の近習も家定の「頼む」という言葉を聞いたという事で、井伊の言い分が通ってしまうのでした。
篤姫は井伊に「遺言を見せよ。」と粘りましたが、ダメでした。
そして篤姫のもとにやって来た慶福が、家定の回復を願うというお見舞いの言葉を述べ、篤姫は引き下がるしかありませんでした。
本寿院(泉ピン子さん)と歌橋(猫背椿さん)は失意の篤姫の横顔を見て、高笑いをして喜んでいました。
このドラマは、篤姫の結婚は不幸だと印象付けたいんでしょうか。本寿院と篤姫の対立をみせる演出が嫌な感じでした。前回は井伊直弼が慶喜を殺そうとしたり、今回は遺言を偽装したり、監視の目がある江戸城でここまで出来たんでしょうか。大老ってここまでの力があったんでしょうか?徳川家以外の人間にここまで好きにされている幕府だからこそ、倒されるんだって事を印象付けたいのでしょうか?
安政の大獄に向けての何とも言えない恐ろしさを、じわじわ小出しにされている感じです。
井伊が大老として幕府を意のままに動かし始めた頃、篤姫に「上様のお形見」として柿の絵が渡されました。二人で食べようと話していた時に描いていたものです。篤姫は、突然の訃報に驚き号泣するのでした。
家定の死が公表されたのは亡くなってひと月後で、家定の名でアメリカとの条約締結と、次期将軍が慶福と発表された直後という絶妙な時でした。
将軍継承争いは、南紀派の勝利で幕を閉じました。
失意の日々
吉之助は、次期将軍が慶福になったという事を京で、近衛忠煕から聞きました。井伊の手の者が、九条関白に近づき、詔の「英傑、人望、年長」の言葉の「年長」という言葉が削除した為、慶福が将軍になっても詔に背いたことにならなかったと月照が伝えます。
吉之助は、急ぎ薩摩の島津斉彬(渡辺謙さん)のもとに戻ります。斉彬は先に知らせを受けて知っていました。井伊は集成館にも目を付け、ご公儀から工場廃止の命が下るとの事。斉彬が夢見ていた豊かな国づくりが叶わなくなるのです。
「夢が砕けた。」と失意の斉彬は、吉之助を庭方役から外すと言い渡したのでした。
実家に戻る吉之助。庭方役を免じられた事を、家族に土下座して謝りました。大久保正助(瑛太さん)と妻の満寿(三村里江さん)も庭先で聞いていました。
その晩、正助が吉之助に話を聞きに来ました。吉之助は、斉彬から賜った懐刀を見つめて「何の役にも立てなかった。万策尽きた。」と涙を流します。
そんな姿を見て正助は「万策尽きたち、やっせんぼの言い訳じゃ。たかが一つや二つの策がやぶれたち、おめおめ引き下がる吉之助さぁではなかどが。」と言い、今まで吉之助がやってきた、斉彬への書状の事や、女装して女の気持ちを知ろうとしたり、殿を相撲で投げ飛ばしたりしたが、結果信頼を得て役目を貰ってきたじゃないか、と励ましました。
今の西郷家の暮らしですが、吉之助がいた頃より食事が貧しくなっていました。が、昔満佐(松坂慶子さん)が吉之助にしてくれた鰹節を削って与えるのを、今は鷹(原舞歌さん)が、信吾(田港璃空さん)にやっていました。確実に兄弟は成長していて、吉二郎(渡部豪太さん)を中心にしっかりと生活をしていました。
吉之助は西郷家で暮らし、廃止されるという集成館で反射炉や大砲を見て回りながら、「吉之助さぁは、だいも考えられんとんでもないこつをやる男じゃった。」と言っていた正助の言葉を思い出していました。その目は、薩摩に帰ってきたばかりの失意に満ちた目ではありませんでした。
復活に向けて
吉之助は他の家臣の制止を振り切り、大騒ぎで斉彬のいる城の奥へ乗り込みました。
「兵を挙げてたもんせ。異国から守る為、立ち上がってたもんせ。」と言う吉之助に、斉彬は「江戸で戦をすれば、異国の格好の餌食になる。」と一蹴します。
「戦をする為に兵を出すのではございもはん。向かうは江戸ではなく、京。天子様のお膝元である京で馬ぞろえをし、薩摩の兵と殿のお姿を以て我らの決意を示すっとでごわす。」吉之助が言うと、斉彬は、「幕府、朝廷、共に手を取り異国に立ち向かえる国をつくれ」という内容の詔を出してもらうのか、と言います。
吉之助は、鍛え上げられた薩摩の兵は今や日本一なので、薩摩が天皇の名のもと立ち上がれば、他にも立ち上がる藩が出てくるだろう。と言うのです。
井伊の独裁に不満を抱く者が多いとみていた斉彬は、吉之助の考えに力強く同意します。山田為久(徳井優さん)が、畏れ多いと止めに入ります。
しかし斉彬は、吉之助の腕を掴んで立ち上がらせ、「よう言うた。まさかあのやっせんぼに言われて腹が決まるとはな。」と言って笑いました。
斉彬は、吉之助に京に戻って志が同じ諸藩に「薩摩が兵を挙げ、京に上る。」と告げ、近衛を通じて天皇にも伝えてもらうよう指示しました。そして「わしもすぐに後を追う。京で会おう!」と力強く約束するのでした。
主従の関係を越えて、斉彬と吉之助が同志になった瞬間でした。
吉之助は、郷中仲間に挙兵の件を伝えます。有馬新七(増田修一朗さん)が「戦じゃ戦!武者震いが止まらん。」と叫んで興奮するのを、大山格之助(北村有起哉さん)が「武者震いじゃのうて怖くて震えちょっとじゃなかか。」とからかいます。
村田新八(堀井新太さん)は、声が出ないほど緊張して震えています。興奮する仲間を「騒ぎ過ぎじゃ。戦になっかどうかは京に行ってみらんにゃ分からんどが。」と冷静に制するのは正助です。
「京に着いたら必ず便りをすっで。」吉之助は仲間たちに「そん時が来たら頼んど!」と言い残し、京へ旅立ちました。
京に着いた吉之助は、薩摩藩定宿の鍵屋に向かいました。鍵屋の女中、虎(近藤春菜さん)は吉之助が京に戻ってきた事を喜んで迎えてくれました。
鍵屋には、先に月照と左内が来ていました。月照は、斉彬の挙兵に「ようご決心なさいましたなぁ。」と喜びます。左内も「薩摩守様の御出陣に、井伊大老の顔色は一変しますよ。」と言いました。
三人が話している途中、虎が一人の客を部屋へ案内してきました。緊張する三人。吉之助は刀を構えました。が、入って来たのは「薩摩の母が病気になった」と嘘をついて、江戸の薩摩藩邸から出してもらった有村俊斎(高橋光臣さん)でした。斉彬の挙兵を聞きつけ、居ても立ってもいられず京へ来たとの事でした。
郷中仲間がこれで全員揃いましたね。薩摩出発前に集まった仲間の中に俊斎がいない!と思っていました!俊斎さん、待ってました!
吉之助は藩の者らと兵糧や武具など揃え、斉彬の上京を待っていました。
斉彬死す
薩摩では、斉彬が兵の訓練をしている途中、突然倒れました。
安政5年7月16日、島津斉彬はこの世を去りました。心を残しての最期でした。
殿が亡くなってしまいました。史実なので仕方がないですが、これからという時なのに残念です。
薩摩兵を西洋の軍隊のように行進させたり、鉄砲、大砲を撃つ訓練を熱心にされていたのに、自ら率いて出陣する事はありませんでした。
次回、第16回「斉彬の遺言」です。
予告を観ていると、吉之助、月照や左内に井伊の追っ手が迫るようです。
安政の大獄が始まるのでしょうか?
今回、明るい未来に進みだしたと思わせておいてのこの流れです。
前回と今回で井伊直弼の恐ろしさは思い知っているのですが、本当の恐ろしさはこれからです。