毎週日曜日20時から、NHK総合他にて放送中の大河ドラマ「西郷どん」。
2018年6月17日、第23回「寺田屋騒動」が放送されました。
前回、国父島津久光(青木崇高さん)に、下関で上京の準備をするよう命じられた西郷吉之助(鈴木亮平さん)。
下関の豪商、白石正一郎(花王おさむさん)の屋敷で、他藩の討幕派の志士たちから、久光の上京に合わせて幕府の役人を襲う計画を聞き出しました。
有馬新七(増田修一朗さん)ら薩摩藩士も計画に加わっていると知った吉之助は、久光の命に背いて下関を離れ、村田新八(堀井新太さん)と上京し、命がけの説得をしました。
有馬の説得に成功した吉之助でしたが、命令に背いた事を知った久光が激高し、大久保一蔵(瑛太さん)に「直ちに西郷をひっ捕らえ、腹を切らせ!」と命じたのでした。
前回の第22回「偉大な兄 地ごろな弟」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第23回「寺田屋騒動」のあらすじと感想です。
幼い時のように
吉之助は、有馬の仲立ちで、京の繁の家で長州の久坂玄瑞(二神光さん)、土佐の吉村虎太郎(兼松若人さん)と会食をしようと集まりました。
先にひとりで食事を始めた吉之助。偉大だと噂に聞いていた男の本当の姿を見て、「本当に西郷か?」と有馬に聞いてしまうほど、久坂と吉村はがっかりしていました。
そこへ吉之助を捕えるよう命じられた一蔵が現れ、席を抜け二人で話す事になりました。
久光の切腹の命令を告げた一蔵は、吉之助の喉元に刀の先を突きつけ、涙を流し、刺し違えて死にたいと言い出します。
吉之助は「おはんにもろうた命。やれ。じゃっどん、一蔵どん、おはんはそいでよかとか?」と言うと、一蔵は刀を下ろしました。
席に戻ると、他藩の者たちはもう帰っていました。村田新八(堀井新太さん)は、「おいたちは腹を切らさるっとでごわすか?」と一蔵に聞いている途中でお腹を鳴らします。
「死ぬか生きるかっちゅう時でも、ちゃ~んと腹は減るんじゃのう。」と信吾(錦戸亮さん)が感心したように呆れたように言いました。
おゆう(内田有紀さん)が笑いながら食事をすすめると、一蔵が「飯も酒も女子もいらん。」とぶっきらぼうに拒否しました。ゆうは少し腹を立てたようでしたが、引き下がりました。
ゆうはこの先、一蔵の恋人になるらしいのですが、いい出会いではないですね!
そこへ海江田武次(高橋光臣さん)が大山格之助(北村有起哉さん)に連れられて来て、吉之助に会うなり土下座して謝ります。海江田が「おいのせいで吉之助さぁが腹を切らされる。」と言うのです。
海江田は、久光に、「京では他藩の勤王討幕の志士たちがこぞって吉之助に会いに行っている。」と言い、続いて伏見から同じ船で乗り合わせた福岡藩士の平野が言っていた事として、「さすが薩摩にこの人ありち言わした西郷殿じゃもはや討幕は成ったも同じですちゃ。」と言っていたと、久光にペラペラと話してしまったというのです。
久光は、吉之助が命に背いただけでなく、他藩の、しかも討幕を考えている者たちと会っていると知り、吉之助への沙汰が切腹という事で傾いてしまったというのです。
理不尽な久光の命に怒った有馬は、一蔵の胸ぐらをつかみながら「一番道理に合わない事をしているのは国父様じゃなかとか。ないごて吉之助が死ななきゃならん!」と詰め寄ります。
皆が吉之助切腹の命令の事で言い争っている中、一番冷静なのは当の本人の吉之助でした。「みんな気が早か。おいたちはまだ生きちょっど。」と微笑みながら言うと、自分も処分される新八がまたお腹を鳴らしました。
「何か食え!」「やかましか!新八!」と大山と有馬が口々にツッコみ、海江田はずっと泣いています。
そんな状況をこらえきれず吉之助が笑い出し、「新八どんは昔からいつも腹を空かせちょった。」と言いました。
「喧嘩は腹が減ったけじゃ。鰻捕りで決着をつけっど!」と吉之助の提案で川に来た郷中仲間たち。子どもの頃は吉二郎でしたが、今回は信吾が参加しています。
格之助が「思い出すのう。昔は甲突川の鰻がおいたちのごちそうじゃった。」と言うと、まずは一蔵が川に入り、他の仲間たちも「行っど。」と次々と川に入り、鰻を捕り始めました。
幼い頃のようにみんなで鰻を捕り、河原で焼いて食べました。幼い時には無かった酒も飲みました。
信吾は、吉之助との再会の時に言っていた「おいも兄さぁと郷中仲間と一緒に鰻を捕ってみたかった。」という言葉を実現してくれたと吉之助にお礼を言い、一番楽しんでいました。
そして吉之助の望みは何かと聞きます。吉之助は「こげんして、みんなでまた鰻を捕るこっじゃ。」と嬉しそうに言いました。兄弟二人の望みが叶ったという事ですね!
一蔵も有馬に酒を注ぎ、有馬も一蔵に注ぎ返しました。
このシーンはよかったです!幼い時の喧嘩と鰻捕りのシーンも一緒に見せてくれて楽しい雰囲気が伝わり、こちらも嬉しくなりました。
吉之助と新八が捕まる
まだ若い信吾は泥酔してしまい、吉之助におんぶをされながら鍵屋に帰ると、薩摩の捕り方が吉之助を捕まえに来ていました。有馬が「逃げろ!」と吉之助に小声で言うと、虎(近藤春菜さん)が出て来て大声で「西郷はん、逃げておくれやす!」と大声で叫びました。
吉之助の前に有馬と格之助が立ちふさがって、捕り方を牽制します。
「有馬さぁ、もうよか。」と言うと吉之助は信吾を下ろし、信吾のことを有馬に任せ、捕り方に連行されていきました。少し遅れて新八も皆に一礼をして一緒に連行されていきました。
<処分が決まる
1000人の兵を率いた久光が上洛し、吉之助は捕らえられた姿で久光の前に突き出されました。久光は吉之助を見るなり「腹を切れ。」と言います。
しかし一蔵が、吉之助が上京したのは、勤王志士らの暴発を止める為で、そのおかげで未然に防げたことを報告し、切腹を止めるよう進言しますが、国父の命に背いた事に怒る久光は聞いてくれません。
「たとえ国父様の命に背いたとしても、おいのやったこつはまことに薩摩の為になるち思っちょいもす。罰は甘んじてお受けいたしもす。じゃっどん国父様、もう斉彬公はおられもはん。これよりはどうか国父様ご自身の目で、いま一度日本を見つめ、日本を変える策を考えてたもんせ。日本を変える為にはまず国父様が変わらねばないもはん。」と吉之助は力強く言い、頭を下げました。
しかしプライドが高く柔軟でない久光は聞く耳を持ちません。自らこの場で叩き切ると刀を持ち出しました。
一蔵と他の家臣らが久光の腕を押さえます。久光の後ろから小松帯刀(町田啓太さん)が、亡き斉彬が言っていた事として、「西郷は癖のある男で、使いこなすのは難しい。主君の目の前に置かれた物差しだ。放っておけばただの棒きれ。だが使い道を心得れば、こんなに役に立つ男はいない。この男を使いこなせるかどうかで主君の器量が分かる。」と言います。
信じようとしない久光でしたが、堀次郎(鬼塚俊秀さん)もその言葉を聞いたと援護し、思い留まります。
「国父様なら使いこなせます。」一蔵が言うと久光はその場を去っていきました。
数日後、吉之助に、切腹ではなく島送りの処分が決まりました。新八も行動を共にしたので同罪となり、同じ処分が決まりました。どの島になるか決まるまで、しばらく薩摩に留め置かれることになり、二人は舟で護送されることになりました。
舟が出たあとすぐに、旅支度をした虎が現れ、「せっかくお会いできたのに!」と吉之助と一緒に行くと追っかけてきました。当然止められて泣いて留まっていました。
この場面を見ての想像ですが、鍵屋に捕り方が捕えに来た時に、虎は海江田と同じようにうかつに吉之助のことを喋ってしまって、捕らえられたのは自分のせいだと思ったんじゃないかと思いました。後悔の念から追いかけてきたんじゃないでしょうか?
久光に詔が出る
久光は近衛家に呼び出され、天皇から京で暴れ回っている不逞の浪人達を薩摩の兵で鎮めて欲しいとの詔が下ったと伝えられました。後日久光は天皇への拝謁まで果たしました。
久光は天皇からの詔を得たことに感激し、早速討幕派の弾圧を始めました。追い詰められた志士たちは有馬のもとに集結し、吉之助により一度はおさまっていた実力行使の動きに傾き始めてしまいました。
久光は、天皇から詔を賜った自分の藩から不届き者を出しては恥だとし、志士たちが集まっているという寺田屋に兵を出し一人残らず討伐するよう命じます。
一蔵が「薩摩が同士討ちをしたことが世間に知れるのはよくない。」と言い、小松も「事を荒立てず、説き伏せる方が良い。」と意見しました。
一蔵は自分が説き伏せると言いましたが、久光はいざとなったとき一蔵では有馬らを斬れないと判断、腕の立つ格之助を寺田屋へ差し向ける事にしたのでした。
一蔵が選ばれなかったのは、久光が一蔵を手放したくない、というのも一つの理由でした。一蔵は仲間が同士討ちするかもしれないと分かっていて、その場に駆け付ける事が出来ませんでした。
青木崇高さんは、「龍馬伝」では後藤象二郎役で、同じように藩の強い立場から、武市半平太率いる土佐勤王党の弾圧をしていました。
今回の久光は、その時の後藤象二郎と重なってみえました。またこの人はこんな役!と思ってしまいました。
寺田屋騒動
格之助率いる鎮撫使の一隊は「本当にあの人たちを斬らねばならないのですか?」と格之助に何としてでも説得して欲しいと言い、寺田屋へ向かいました。
格之助は、久光に許してもらえるよう取り持つから藩邸まで来るよう、有馬らを説得します。しかし有馬は拒否し、「帰れ。」と言います。
格之助は繰り返し説得します。が、有馬は青蓮院の宮から天皇を守るよう言われていて、あわよくば天皇を担いで事を進めると言います。
格之助はしびれを切らしたかのように「主君の命が聞けぬか?」と言うと、有馬は「今は宮様の言う事の方が重い、あん国父は好かん。」と静かに言います。
その時、隠れて話を聞いていた信吾が飛び出してきて、「おいには、何が正しくて何が間違ってるか分かいもはん。じゃっどんこいだけは分かっちょいもす。兄さぁがおったらこげな事はやめろち、言われるに決まっちょ!」と有馬に国父に従うよう懇願します。
しかしそんな信吾が腰抜けと思った有馬についていた藩士が、信吾の胸ぐらを掴みかかると、格之助が連れてきた鎮撫使の一人が信吾を掴んだ男を斬りました。
それをきっかけに男たちが立ち上がり、どちらとも刀を高く上にあげる示現流の構えをして睨み合い、斬り合いが始まりました。
格之助は素早く信吾を端に寄せてじっとしているよう指示し、二階へ行く階段を外し二階の若者を押さえるよう他の者に指示します。
「もうよか!鎮まりやんせ!」という言葉が飛びましたが、同士討ちは止まらず、柴山が斬られました。
信吾はフラフラと目の前で起きている事態に、ただ泣いて歩きまわっていたところ、斬られそうになります。そこに有馬が助けに入りました。
有馬の刀が半分で折れ、戦えなくなりました。有馬は斬ってきた男に背中を押し当て、柱に追い込み、仲間に「おいごと突け!」と何度も言いました。
有馬は本当に刀で突かれました。格之助は有馬の「おいごと突け!」という声で振り向き、有馬に駆け寄ります。そして有馬に刺さっていた刀を抜きました。
「しっかい、しっかいせいよ!おい!」格之助は有馬を抱きかかえます。有馬は「吉之助、すまん…。」と言い、息絶えました。
格之助は「もうやめ!やめ!やめじゃ、やめじゃ、やめじゃ!もうたくさんじゃ。おはんらと戦いたくなか。ないごてこげな!無駄な血を流さにゃいかんとじゃ。もうおはんら!終わりにしようぞ!こんとおりじゃ!」そう叫ぶと有馬を抱きしめました。
寺田屋の外では、一蔵が駆け付けていて、有馬の遺体が運び出されるのを見ます。
次に格之助が、顔についた返り血を紙で拭きながら出て来て、その紙を一蔵の懐へ入れて、何も言わず去っていきました。
一蔵は寺田屋の中へ入り、凄惨な現場を見て回りました。
「寺田屋騒動」のことは、薩摩で囚われの身になっていた吉之助と新八に、吉二郎(渡部豪太さん)と熊吉(塚地武雅さん)が一蔵からの文を持って来て、伝えに来ました。
信吾も現場にいた為、謹慎を言い渡され西郷家もただでは済まないという事でした。新八は立っていられずその場にしゃがみこんで泣き、吉之助も文を握りしめたまま茫然と座り込み、最後に皆で捕った鰻の場面を思い出して大声を出して泣くのでした…。
「龍馬伝」を観ていた時も思ったのですが、幕末って思想が違うだけで殺し合いをしてしまう怖い時代です。
あらすじをなぞるだけでも辛い回でした。
次回、第24回「地の果てにて」です。