毎週日曜日20時から、NHK総合他にて放送中の大河ドラマ「西郷どん」。
2018年7月15日、第26回「西郷、京へ」が放送されました。
前回、沖永良部島で西郷吉之助(鈴木亮平さん)が遠島処分を受けている間に薩摩では、生麦事件を発端にした、大国イギリスとの薩英戦争が起こりました。
薩摩はイギリスを追い返し、吉之助に薩摩への召還命令が下りました。
帰還した吉之助に、藩主島津茂久(長田成哉さん)は、大久保一蔵(瑛太さん)の願いだと言って、京へ上ることを命じました。
京では、一蔵が岩倉具視(笑福亭鶴瓶さん)に西郷が上京することを知らせ、坂本龍馬(小栗旬さん)は、勝鱗太郎(海舟)(遠藤憲一さん)に知らせていました。吉之助の上京は、京にいる者たちに期待をもって迎え入れられることになります。
前回の第25回「生かされた命」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第26回「西郷、京へ」のあらすじと感想です。
薩賊
吉之助は藩主への挨拶を終えると、実家に帰りました。実家は借金を返すために売られており、隣町のさらに小さな借家に居を移していました。
吉之助は、祖母きみ(水野久美さん)に最後まで心配かけた事を仏壇に向かって謝ります。
吉二郎(渡部豪太さん)は、実家を守れなかったことを吉之助に謝りました。しかし吉之助は、鷹(原舞歌さん)、安(萱野優さん)の妹二人を嫁がせ、小兵衛(上川周作さん)もお役を得たと知って、「皆が元気でいるのが何より。」と吉二郎に感謝をするのでした。
嫁ぎ先から手伝いに来ていた市来琴(桜庭ななみさん)は、信吾(錦戸亮さん)も含め皆まだ独身で男所帯なので、妹だけでなく男たちも早く皆嫁を貰って欲しいと嘆きました。
そこへ村田新八(堀井新太さん)、大山格之助(北村有起哉さん)、海江田武次(高橋光臣さん)が訪ねて来て、「有馬さぁたちの事は残念じゃった。エゲレスのこともよう追い返してくれたの。」と吉之助が言うと、大山は膝を地に落として泣き崩れ、「よう生きて帰って来てくれた。」と吉之助の帰りを喜びました。
その晩は仲間たちと飲む事になりました。吉之助は流された先の島々の島民が薩摩に苦しめられて、地獄のような暮らしをしている事を藩に訴えたいと大山たちに言います。
「また島流しになる。」と心配する吉二郎。俊斎と大山は、薩英戦争以来、国父久光(青木崇高さん)の側にいた者は任を解かれ、今は一蔵の発言が久光を動かせると言います。
話変わって新八は、京で薩摩の者が嫌われていて、「薩賊」と呼ばれている理由を皆に尋ねると、信吾は「長州の者どもが薩摩を悪く言いふらしている。」と言い、俊斎と大山が、その原因を、長州の者が天皇を連れ去ろうとしたのを、薩摩と会津が止めた事で逆恨みされているのだと説明しました。
宴のあと、吉之助は斉彬からもらった懐刀と、子供の頃もらった菓子の包み紙を広げて、「殿、戻って参りました。まだ生きちょいもす。おいはこれから、生かされた天命に従いもす。民が皆腹いっぱい飯が食える国にすっために働きもす。殿、見守ってたもんせ。」と誓うのでした。
吉之助は、島から戻ってわずか5日後、新八と京へ旅立つ事になりました。道中、荷車を引いている親子に出くわし、薩英戦争で家を焼かれた被害者たちを思いやります。そこで走っていく女性とすれ違いました。糸(黒木華さん)でした。嫁ぎ先の海老原家に被害はなかったものの、実家は火が回ってきたと話します。
「おいに出来る事があったら、何でも言うてくいやい。」去り際に吉之助は糸に声をかけましたが、言ってすぐ「差し出がましか事を。」と後悔したように笑います。糸は「吉之助さぁ、お達者で。」と笑顔で返し、去っていきました。
吉之助たちも反対方向へ歩みを進めると、糸は振り返り、吉之助の後ろ姿を見つめるのでした。
初恋の哀愁でしょうか?この時はまだ海老原さんと夫婦なんですね!すぐ再婚するのかと思っていました。二人の結婚は先の話、って事でしょうか?
吉之助と新八が京に着くと、薩摩藩の定宿の鍵屋には、「薩賊」と書かれた紙がいくつも看板に張られており、客も入っていませんでした。他の店では焼かれたところもあるとの事。
鍵屋の主人の直助(西沢仁太さん)は「火かけられる前に店が潰れるわ。」と嘆いていました。
お虎はほうきを振り上げ、応戦する構えをすると二人の男が入ってきたので、そのままほうきを振り下ろそうとしたところ、「お虎どん。」とその男、吉之助が笑いかけました。
お虎は大喜びで吉之助との再会を喜びました。
吉之助は京での薩摩が置かれている状況を鍵屋に聞きます。一蔵も酷く疲れている様子だという事でした。
参預会議決裂
吉之助と新八は、一蔵の待つ繁の家へ向かいました。部屋に入った吉之助を待っていたのは、慶喜の供回りの平岡円四郎(山田純大さん)たちの前で、畳を高く持ち上げ「これが薩摩名物、畳回しでございます!」と言って芸を披露している一蔵でした。
この頃、京では新しい形の政が始まっていました。参預会議です。朝廷、幕府、有力諸藩が一堂に会し、合議によって政を決める画期的な制度でした。
公家の中川宮(なだぎ武)の邸で開かれた会議には、将軍後見職の一橋慶喜(松田翔太さん)、政事総裁職の松平春嶽(津田寛治さん)、会津藩主松平容保(柏原収史さん)、土佐藩主山内容堂(大鷹明良さん)、宇和島藩主伊達宗城(長谷川公彦さん)、そして薩摩の国父、久光が出席していました。
久光は「幕府は異国と戦をするおつもりでございますか?」と口火を切ると、慶喜は「攘夷は天子様のお望みである。」と言います。そこに容堂が「ついこの前は横浜港を閉めず、異国との交易を続けると伺うたようですけんど。」と言うと、容保も「日本は開国せねばならぬとはっきりと聞いた。」と言います。
話し合いの最中、慶喜はずっと酒を飲んでいて、ちゃんと聞いているかどうかも分かりません。久光は、「攘夷と言ったり、開国と言ったり、はっきりして欲しい。」とイギリスと戦争をした薩摩の立場から、異国と争う事の恐ろしさを説きます。
真剣に話す久光に対して、酒の勢いで慶喜は「芋が焼き芋にならんでよかったな、祝着至極。」と馬鹿にします。喧嘩になりそうなところを間に入ってくれた容堂にも、「酒浸りのそなたと一緒にするな。」と侮辱する言葉を言う慶喜。春嶽も仲裁に入ります。
慶喜以外、開国すべきという意見です。久光は「攘夷と言うならいっそ長州とでも手を組まれたらよか。」とまで言ってしまいます。その言葉に激高した慶喜は、中川宮に会議の出席者たちを「この者は天下の大愚物。ゆめゆめ信用されてはなりませぬぞ。」と最大の罵りをしたのでした。
一蔵は、山内容堂のお供の後藤象二郎(瀬川亮さん)と一緒に、慶喜の供回りの平岡円四郎に「一橋卿は我らになにか恨みでも持っちゅうがですろうか?」と問い詰めると、平岡は「慶喜様は将軍後見であらせられまする。もし仮に慶喜様が一人異を唱えておられるとして、何故他の方々はそれに従わぬのですかな?」と慶喜が正しくて、他の者が異を唱えているのだと言い放たれたのです。
この事で完全に決裂した慶喜と久光。一蔵はこの事で薩摩が日本中から孤立してしまう事を憂いて、せめて供回りの者だけでもつなぎ留めたいと、接待をしていたのです。
接待のあと、横になって醜態をさらしたと嘆く一蔵を、吉之助と新八は褒めたたえました。
そこへ芸妓のおゆう(内田有紀さん)が入って来て、一蔵におしぼりを手渡します。「おおきに。」と受け取る一蔵に、新八は「そういう仲じゃったとでごわすか!?」と驚きました。
おゆうは軽く受け流してさらに腹痛に効く薬を手渡すのでした。
一蔵は、嫌われ者の薩摩の中でも斉彬に認められた男として京では絶大な力を持っていると、吉之助に「薩摩を救って欲しい。」と頼んできたのです。
吉之助は快く引き受けると新八と三人、働いていこうと誓うのでした。
新八が、一蔵とおゆうといい仲であると見破って、一蔵をジーっと見つめてる態度が面白かったです。
ヒー様と再会
吉之助は、一蔵に連れられ久光と対面します。吉之助が挨拶をしている間、久光はパイプの口をガチガチと噛んでイライラを露にします。
「わしは許しちょらん。大久保が勝手に茂久に願い出おったとじゃ。わしは一橋も好かんが、お前はもっと好かん。」と言ってパイプを投げつけ、下がるよう言いました。
吉之助は前のように意見を言う事もなく黙って指示に従い、その場を去っていきました。
一蔵はパイプを拾い、久光の側に寄り「国父様、今一度一橋様と会ってくださいませ。もうすぐ日本の政が変わるのでございます。せっかくここまで来たのでございます。」と話すと、「お前はその為にあの男を呼び寄せたのだろう。」と一蔵の真意を見抜くのでした。
吉之助と新八は、慶喜の邸宅へ行きました。応対に出た平岡が、「殿が西郷吉之助という者など知らぬと。」と面会を拒否されました。吉之助は諦めず何度か言い寄りましたが、ダメでした。
平岡は、邸宅の門の前にいた何人かの不審な男の動きを見ながら話していました。
仕方なく吉之助と新八が鍵屋に戻ると、お虎が「私という者がありながら!」と怒りながら吉之助に女性が訪ねてきた事を知らせてくれました。
吉之助が女性に会いに部屋に行くと、お虎と新八も部屋の前までついていきます。緊張しながら挨拶する吉之助。女性が向きを変え、顔を見せると「西郷様。」と言います。
「ふきどん!」
吉之助に会いに来たのは、薩摩から江戸に行ったふき(高梨臨さん)でした。
ふきは表に「牛男」と書かれた書状を持って来て、手渡します。ふきは、慶喜に身請けされて慶喜の側室になっていました。慶喜は早く会いたいと言ってきたのです。
吉之助はふきとの再会と、ふきが身請けされた事を心から喜びます。後ろで話を聞いていたお虎と新八も安心するのでした。
私が登場を楽しみにしていたふきどんがいきなりの登場です!予想通り側室になっていて、嬉しく思いました。
繁の家に向かった吉之助。慶喜は相変わらず、店の女性に絵を描いてやっていました。ヒー様との再会です。慶喜は敵か味方か分からない者たちに見張られているので、邸宅で会う事が出来なかったのです。
慶喜の状況を聞いて吉之助は「薩摩はヒー様の味方でございます。今一度国父様と会って頂けませんか。」と言います。「あいつはしつこい。一人前に日本国を憂いているようで、頭の中は己の事しか考えておらん。だから芋だってんだ。」と慶喜が返すと、「久しぶりに江戸前の啖呵を聞いた。」と吉之助は喜びます。
慶喜は、吉之助と飲むために呼んだと言うと「開国をすれば天子様に背く事になり、攘夷をすれば異国と戦になるのは必定。どちらも恐ろしか事でございます。かつてのように面倒な事、恐ろしか事から、また逃げようとされておるのですか?一橋様!」と慶喜の心の内を読みます。
図星からか慶喜は「その名で呼ぶな!」と怒鳴って吉之助を黙らせると、吉之助の目の前に座り、「結局、誰にも俺の気持ちは分からぬのだ。もうよい、帰れ。」と寂し気に言います。
吉之助は「いいえ、帰りません。おいは今、嬉しくてたまりません。あの一橋様とまたこうして会えて、腹を割って話し合えることが出来たのですから。」と穏やかな笑顔を向けます。
吉之助がここまで来るのには長い島生活がありました。何度も死にかけました。本当にまたこうしてヒー様と会えたのが嬉しいのだろうなと思いました。
いや、実際はこうして一橋慶喜と会ったことなんてなかったとは思いますが…。
慶喜は吉之助と酒を酌み交わしました。そして幕府の力が弱まったことを嘆き、「なぜ俺が、薩摩、土佐、宇和島、徳川の家臣風情と肩を並べられなくてはならんのだ。」と言います。そしてあれほど憎んでいた井伊直弼がスゴイ男だったのでは?とまで言います。
吉之助は否定します。「正しかったのであれば、何故橋本左内殿がここにおられぬのですか?左内殿だけではありません。どれだけの日本を憂う方々が、無念のうちに散っていったと思われますか?」と言います。
黙っている慶喜に吉之助は「一橋様は井伊様とは違います。幕府が守らねばならぬのは、幕府ではありません。守るべきものは民でございます。誰よりもまず、か弱き民でございます。」と続けました。慶喜は「お前は変わらんな。」と言います。
吉之助は考えを言い続けます。「徳川も薩摩も長州もない。今こそ、手を取り合う時だ!そう天下に号令をかけられるのは、ここにおります将軍後見職、一橋慶喜様だけであるとおいは信じております。」と言います。
慶喜は「似てきやがったな。斉彬殿に。」と言うと「芋に会ってやろう。」と承知してくれたのでした。
不気味な慶喜
吉之助が慶喜との面会を取り付けたのに、久光は薩摩へ帰ると言い出しました。一蔵が「せっかく一橋様のお心が動いた、この時を逃しては!」と吉之助の働きが無駄になる事を訴え、会うよう説得しますが、久光は「一橋とはないを話しても無理じゃ。」と断固拒否するのでした。そして吉之助には「此度の働き、大儀であった。褒めてつかわす。これでよかろう。」と面倒くさそうに言い、さらに吉之助を挑発してきましたが、吉之助は「ありがたき幸せにございます。」とだけ言いました。
久光は「軍賦役兼諸藩応接係」という新しい役目を吉之助に与え、ご機嫌に去っていきました。
吉之助は慶喜に謝りに行きました。怒鳴られるのを覚悟していきましたが、何故か慶喜は笑っていました。慶喜の家臣平岡円四郎が慶喜の身代わりに何者かに殺された直後だったのです。
慶喜は「謝りたい。国父殿に。これまでのご無礼、本心ではなかったと伝えてくれ。薩摩にはこれからも幕府と共に働いてもらわねばならぬ。」と言います。これまでとまるで違う態度に吉之助は戸惑います。
慶喜は吉之助が「軍賦役兼諸藩応接係」で京に残ることを知ると喜び、「こういう時だからこそ、心と心で付き合いたい強き者がおる。お前だ、西郷。お前の熱い心を俺にくれ。」と吉之助の手を取って「薩摩は私と共にある、西郷、信じておるぞ。」と言うのでした。
慶喜の目の奥に何か不気味なものを感じる吉之助でした。
このドラマは久光さんをどう描きたいのでしょうか?こんなに感情的で冷静になれない人間として、極端に描かれているのは不愉快に感じます。
「龍馬伝」の後藤象二郎役の時といい、久光役の青木崇高さんが憎まれ役としての演技がうますぎるから、余計に久光という人が愚かにみえます。
篤姫の描き方といい、納得出来ない描き方をされている人物がまた出て来て残念です。
次回、第27回「禁門の変」です。
吉之助、とうとう戦デビューします。