毎週日曜日20時から、NHK総合他にて放送中の大河ドラマ「西郷どん」。
2018年5月20日、第19回「愛加那」が放送されました。
前回、「菊池源吾」という名で奄美大島に送られた西郷吉之助(鈴木亮平さん)。荒れた生活を送り、生死をさまよう病気にもかかりました。
島の娘とぅま(二階堂ふみさん)の存在が、吉之助に生きる気力を取り戻してくれたのでした。
前回の第18回「流人 菊池源吾」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第19回「愛加那」のあらすじと感想です。
島の人との関わり
吉之助が大島に来て数か月が経っていました。とぅまのおかげで心を取り戻して以来、吉之助は島の人たちのサトウキビの収穫を手伝ったり、子どもたちに勉強を教えたりして子どもたちには「先生」と呼ばれ慕われるようになっていました。
さらに、薩摩から送られてくる米を、握り飯にして子どもに振舞ったりもしていました。
龍佐民(柄本明さん)はそんな吉之助に「米は島の者たちにとっては夢のようなごちそうです。菊池様は、いずれは薩摩に帰られる。子どもに夢を見させないでください。」と吉之助の気まぐれに釘を刺しました。
そんな時、サトウキビを搾る木製の機械の車輪が壊れ、吉之助は「鉄なら壊れにくいし、仕事も楽になる。」と言って薩摩に打診します。
しかし大久保正助(瑛太さん)からは、今それどころではないという返事でした。
正助は早く吉之助が薩摩に戻れるよう働きかけをしており、その為には島で静かに過ごして欲しいと逆にお願いしてくるのでした。
とぅまは、ユタ(秋山菜津子さん)から言われた言葉も気になっていましたが、島の人たちの為に働こうとする吉之助に惹かれていくのを止めることが出来ず、戸惑っていました。
やっと吉之助らしさが戻ってきましたが、薩摩の民との話のときとは事情が違い、親切にしてもなかなか受け入れられません。
それだけ薩摩と奄美大島の人たちの関係が酷すぎたのでしょう。
代官所破り
ある日、サトウキビの収穫の途中で、隣村の人たちが、「治めるべき砂糖を隠し持っていた不届きな連中だ。」と言って捕らえられ、島代官の田中雄之介(近藤芳正さん)に連れられて歩いている場面に出くわします。
とぅまは「隠し持っていたなんて嘘だ。シマンチュを脅して年貢を搾り取る見せしめに決まってる!」と憤ります。吉之助も真実を確かめようと田中に聞きましたが「流人風情が。」と一蹴されて話になりませんでした。
次に田中は、捕えた人から、佐民も隠し持っていると聞いたと言い、佐民の家の捜索にやって来ました。抵抗する富堅(高橋努さん)たち。
役人は壺の中に自分たちが持って来た砂糖袋を入れ、それを掴んで見つけ出したように持ち上げ「あった!」と言います。
富堅と佐民は激しく抵抗して捕らえられ、連行されていきました。
木場伝内(谷田歩さん)が吉之助に佐民と富堅が捕らえられたことを報告しに来ます。
すぐにでも代官所に行こうとする吉之助を「これ以上、島の者たちに深入りしてはいけもはん。」と木場が止めます。
木場は正助から、菊池は西郷吉之助で、一日でも早く薩摩に戻れるよう、島で騒ぎを起こさぬよう見守って欲しいと言われていたのです。
吉之助はこらえて屋敷に留まっていましたが、夕方、タケ(山下心煌さん)が吉之助を呼びにやって来ました。とぅまが村の人たちを連れて、代官所に乗り込んでいったのです。
吉之助は急いで代官所に向かい、「代官所破りは重罪でごはんど。力ずくでは代官所に勝てんど!おいが薩摩の役人に訴え出る。」と止めましたが、とぅまは「信じらんど。いつか薩摩に帰るあなたにシマンチュの心は分からない。」と言い放ち、そのまま代官所へ乗り込んでいきました。
吉之助はとぅまを追いかけようとしましたが、木場に必死に止められます。とぅまは代官所に入り込み、田中に見つかり、「佐民に会わせてやる。」と佐民と富堅が捕らえられている牢の前まで連れて行かれます。
佐民と富堅は酷い拷問にかけられて意識を失い、とぅまの呼びかけに答えません。田中はとぅまの美しさに目をつけ、自分のアンゴになれば暮らしも楽になるし、二人も助けると持ち掛けてきました。
とぅまは持っていたカマで応戦しますが払いのけられます。追い詰められて今度は髪にさしていたかんざしの先を自分の喉元に押し当て「死ぬ。」と言います。
絶体絶命のピンチに覚悟を決めて突き刺そうとした時、「やめんか。」と吉之助が止めに入りました。後を追いかけてきた木場と役人たち。役人たちは吉之助を捕らえます。
吉之助は「島の者たちを苦しめるのはやめてくいやんせ。」と訴えます。田中は「わしに刃向かうのは、薩摩に刃向かうのと同じ。」と居直ります。
「じゃったら薩摩の名を貶める事はすんな!民が苦しんじょっとなら、そいを助けるのが政じゃ。そいが薩摩の役人の務めじゃ。」と言い、政を見直すよう薩摩表に訴え出てくれと頼み込みます。
田中は「砂糖は薩摩の力の源。島の民が薩摩の民というなら、少しでも多く砂糖を藩に納めるのは当然。」と言ってのけます。
吉之助は呆れたように田中に詰め寄り、落ちていたカマを拾い上げ、「人として許せんことは許せん。」とカマを振り上げます。後ろで控えていた役人たちも止めようとしません。
殺されると思った瞬間、吉之助はカマで牢の鍵を叩き壊しました。島の人たちが急いで佐民と富堅を救出しました。
怒りが収まらない田中は、薩摩に報告する為の文を書こうとしたところに、木場が、正助から田中宛てに書かれた文を差し出します。
「上申書を薩摩に送るのは、お考え直された方がよかち思いもす。島に流された人物が、どのようなお人か。そいを読まれてから書かれるのがよかかと。」木場は言います。
田中は文を読み「西郷吉之助という男は生きていたのか。」と言い絶句しました。
この一件は、藩に知らされる事はありませんでした。
プロポーズ
屋敷に戻った佐民と富堅は怪我の手当てを受けながら、「ヤマトンチュに助けてもらうなんて恥ずかしい。」と言って笑います。
佐民の妻、石千代金(木内みどりさん)は「あの流人は、私達が思っているような人ではないかも。悪い事して流されたのではなく、良い事をして流されたのかも。」と言うのでした。
とぅまは海岸に出て、ユタに「私の夫が海の向こうから来るって、あのヤマトンチュのこと?」と聞くと、「お前にはもう見えているだろう。」とユタが返します。
とぅまは目を閉じると、自分があの人に寄り添って、ずっと寄り添っているが、その先は一人でいるのが見えると答えます。
ユタは「それでもいいのか。」ととぅまに覚悟を聞くと、とぅまは笑うのでした。
その晩、とぅまは吉之助の所に行って、「私をアンゴにしてください。」と頼むと吉之助は即座に断ります。
とぅまは、次に「あなたが好きだ。」と言って着物を脱ぎます。
驚いた吉之助は涙ぐみながら着物を拾い上げ、とぅまに着せ「1年前、おいは死ぬことばかり考えていた。死に損ないのおいがこん島に来て、やっと生きようち思うこっが出来た。おはんに出会えたからじゃ。そげな女子をアンゴになど出来ん。」
吉之助はそう言うととぅまの目の前に移動し、「とぅまどん、おいの妻になってくいやんせ。」とプロポーズしました。
とぅまは吉之助を抱きしめて喜びます。吉之助も抱きしめ返すのでした。
ユタの言われた言葉がずっと気になって、初めから夫になると思っていたとぅまでした。
前回から気になっていたのですが、二階堂ふみさんはセリフの途中で声がかすれます。それがまた、気持ちが伝わってきて泣けます。
こんなにいい女優さんだったんだと改めて思いました。「ぐるナイ」の印象とは違います。
女優さんなんですよね。今さら、失礼ながら思い直しました。
愛加那
吉之助ととぅまは、家族や村の人たちに祝福されて祝言を挙げました。皆、嬉しそうです。祝い酒を少ししか飲めない吉之助に向かって富堅は「あんな酒もろくに飲み切らんヤマトンチュに妹をやるなんて許さん。」と言いますが、嬉しそうでした。
吉之助も、奄美の人と同じ髪型をして同じように踊りを踊り、楽しく時を過ごしました。
祝言のあと、とぅまは「名前を付けて欲しい。」と吉之助に頼みます。島の女性は結婚すると名前が変わり、名前の下に「加那」と付けて呼びます。
吉之助は「愛はどうじゃ。」と言い、とぅまは「愛…加那?いい名前!」と喜びます。
愛加那は、名付けに続けて「本当の名を教えて欲しい。」と頼みます。
「おいの名前は、西郷吉之助じゃ。じゃっどん、その名は捨てた。おいは菊池源吾としてこん島で生きる。愛加那と生きていく。」ともうメロメロです。
愛加那は涙ぐみながら喜びます。「ありがとう、私の旦那様。」と言うのでした…。
吉之助が結婚しました!
今回は悪代官・田中の傍若無人な振る舞いに腹が立ちました。しかしそのおかげで愛加那は自分の思いに気付き、吉之助も素直に受け入れました。
祝言のシーンで、富堅の妻、里千代金(里アンナさん)が歌っていました!きれいな歌声でした。座りながらなのに声が通っていて素晴らしかったです。
奄美大島と沖永良部島での撮影は3週間行われて、島の人も撮影に参加したそうなので、風景も砂糖を造るシーンも当時を再現して本物で、見ごたえがあります。
次回、第20回「正助の黒い石」です。
桜田門外の変が起こるようです。
正助の出世劇がはじまります。
話は吉之助とは離れたところで進んでいます。