吉高由里子さん主演、大石静さん脚本の2024年大河ドラマ、「光る君へ」。
「世界最古の女性文学」と呼ばれる『源氏物語』の作者・紫式部の波乱の生涯を描く物語です。
光源氏のモデルの1人と言われる藤原道長を柄本佑さんが演じます。
千年を超えるベストセラー『源氏物語』を書きあげた紫式部の秘めた思いと一途な思いを胸に懸命に世を生きた女性の物語。
こちらでは、大河ドラマ「光る君へ」のあらすじ、ネタバレ、感想をお届けします。
さて、第10回「月夜の陰謀」では、右大臣家が帝を退位させるため、策略を巡らせます。
兼家は道兼を使って帝を連れ出すのですが…。
一方、為時が帰ってこない日が続きます。
一体為時に何が起こったのでしょうか。
まひろと道長の関係も変化が訪れる様子。
月夜の陰謀、一体何が起こるのでしょうか。
前回のあらすじ
東三条殿に入り捕まった盗賊たちは、検非違使に引き渡されました。
何も知らず、散楽一座の住処を訪れたまひろ(吉高由里子さん)は、居合わせた検非違使に、盗賊の一味と間違えられて捕らえられてしまいます。
その時、道長(柄本佑さん)は盗賊を穏便に放してもらえるよう、看督長に賄賂を渡し頼んでいたのです。
そこにまひろが連れてこられ、自分の知り合いだからと道長はまひろを助け出したのでした。
まひろは、道長が直秀(毎熊克哉さん)たちを捕らえたことを非難します。
直秀たちはもうすぐ都を出るはずだったと訴えるまひろに、盗賊はもうすぐ解き放たれるはずだと告げたのでした。
忯子を亡くし、無気力となった帝(本郷奏多さん)に、新しい女性をという義懐(高橋光臣さん)らに反発する藤原実資(秋山竜次さん)。
帝と側近の間に亀裂が入り始めていました。
意識を失って尚、右大臣・兼家(段田安則さん)が次男・道兼(玉置玲央さん)が虐げられていると知った帝は、徐々に道兼を信頼するようになっていきます。
ある日、詮子(吉田羊さん)が父を見舞っていると、兼家が突然目覚めました。
実は、昏倒は偽りだったというのです。
帝を早期に退位させるため、兼家は安倍晴明(ユースケ・サンタマリアさん)と諮っていたのです。
怨霊となった忯子を鎮めるため、早期に退位せねばならないと帝に訴える晴明。
道兼は、いち早く父の目覚めを教えられ、己の腕を傷つけ、帝の信頼を勝ち取ったのでした。
同僚の話で、直秀たちが流される日を知った道長は、まひろと共に見送りに行きます。
しかし時間よりも早く出立したと聞き、疑問を抱きました。
門番を詰問した道長は、直秀たちが連れていかれた先が死体置き場と聞き、すぐに追いかけます。
しかし到着した時には既に…。
自分のせいで命を奪われたのだと号泣する道長を、まひろは抱きしめ、2人で散楽一座を埋葬し、弔ったのでした。
前回、第9回「遠くの国」を見逃した方はぜひこちらをどうぞ。
それでは、第10回「月夜の陰謀」のあらすじと感想です。
謀
寛和2年(986年)、謀の決行は6月23日。安倍晴明が決行の日を決めました。
この日は誰にとっても良い日であるが、右大臣にとって丑の刻から寅の刻までが最も運気隆盛の時、この日を逃せば謀はならず、右大臣に災いが起こる、そして帝はこのまま帝位に留まり続けるだろう、というのです。
そしてこの夜、兼家は家族を呼び出し、帝を内裏から連れ出す手筈を伝えました。
道兼は丑の刻までに帝と共に内裏を出て、道隆は門の外に女車を用意しておく、そして時を告げる声を合図に、内裏の門全てを閉ざす、というのです。
さらに道隆と道綱(上地雄輔さん)は、清涼殿から剣璽を持ちだし、梅壺まで運ぶようにと命じられます。
万が一、運ぶところを見られた場合には、道綱にその者を斬るようにと付け加えました。
道長は、梅壺に剣璽が運ばれたのを見届けたらすぐさま関白に帝がご譲位あそばされたと伝えろと命じました。
右大臣一族に許された時間は丑の刻から虎の刻まで。
この計画が頓挫すれば我が一族は滅びる、兄弟力を合わせて、必ず成し遂げよ、と命じたのです。
僅か2時間で帝を出家させ、神器である剣璽を手に入れる、途方もない陰謀でした。
忯子の霊を鎮めるために出家しようと思う、と宣言した帝に義懐たちは猛反対。
義懐は新しい女子はいくらでも用意する、御子をもうけろ、と訴えますが、帝はそれに激高し、側近たちを下がらせました。
後に残った道兼は、帝の気持ちに同意し、帝が出家するなら自分も一緒に、と訴えます。
この決断を忯子は喜んでくれるだろうか、と言う帝に、道兼は安心して浄土に旅立たれるだろう、帝にとっても忯子にとっても最良の日は23日、と言い含め、その日に出家するのが最良、早い方がいいと訴えたのです。
帝は感動し、道兼の言葉に頷きました。
父の思い
月を見上げていた道長に兼家が近寄ってきました。
関白に知らせに走るだけでは物足りないか、と問いかけてきます。
そして、ことをしくじった時は、道長は知らなかった振りをして家を守れ、と命じます。
自分もその夜内裏に行くのですよね、と確認する道長。
兼家は「父に呼ばれたが、一切存ぜぬ、わが身とは関わりのないことと言い張れ。しくじった折は父の謀を関白に知らせに走るのだ、そうすればお前だけは生き残れる、そういう意味じゃ」と言い募りました。
道長は困惑し、その役目は道隆がするべきではないか、と訴えますが、この謀がなれば手柄は道隆のもの。
道隆はそちら側だ、と言ったのでした。
為時の事情
まひろの家では、為時が帰ってこない日々が続いていました。
いとは、もう為時は帰ってこないかもしれない、と訴えます。
為時が帰ってこず、惟規がどこかの姫の所に婿入りしたら、自分は用無しになってしまう、そうなっても自分をこの家に置いて欲しいと、いとはまひろに訴えます。
まひろは、高倉の妾というのがどういう人なのか気になり、高倉を訪ねてみました。
手入れのされていない庭、貧しく、粗末な邸で、病に倒れた妾を懸命に看病する父の姿を見た、まひろは驚愕しました。
身寄りもなく、1人で食事も取れなくなり、放っておけない、間もなく命が尽きると思うが、見送ってやりたい、と為時は言います。
まひろは、そんな父に、父が内裏に行っている時は自分が看病に来ると訴えました。
まひろの言葉を嬉しく思いながら、嫡妻の子に世話をされても気詰まりだろう、と断ります。
それでもまひろは、父の力になると手伝いを申し出るのでした。
道長からの手紙
家に戻ると、道長の従者、百舌彦が道長からの恋文を持ってきました。
道長が贈ってきた手紙は古今和歌集の中の一遍でした。
まひろが恋しいと思う気持ちを隠そうとしたが自分にはできない、という意味でした。
まひろは道長は未だに直秀の死を引きずっているのだと感じます。
そして、返歌として漢詩を送ったのです。
これまで、心を体のしもべとしてきたのだから、どうして1人くよくよ嘆き悲しく事があろうか、と返したのです。
それから何回かやり取りが続きましたが、道長からの会いたいという気持ちに、まひろは応えませんでした。
道長は、行成(渡辺大知さん)に女性に歌を贈ったら漢詩が返ってきた、と相談します。
和歌は人の心を見るもの、聞くものに託して言葉で表している、漢詩は志を言葉に表している、漢詩を返してきた人は、何かの志を詩に託しているのではないだろうか、と答えたのでした。
道長はその言葉をヒントに、まひろの思いを少し理解したのです。
詮子の客
家に戻った道長は、姫が帰るところを見ました。
詮子(吉田羊さん)あれは誰かと尋ねたところ、亡き源高明の娘・源明子(瀧内久美さん)だと言うのです。
詮子は、兼家が失脚した後の後ろ盾として源を考え、近づいていたのです。
道長が源倫子と明子、両方を妻とするのが一番いい、と詮子は主張しました。
人払いをした後、道長は詮子に23日は内裏から出ないようにと告げました。
何があるのか、疑問に思う詮子でしたが、道長が詮子にとって悪いことではない、と言い募るので、今回は言うことを聞くことにしました。
詮子は、寝ずに看病する子供たちを謀って気を失ったふりをする父を恐ろしいと言い、父のやり方を疑わない道隆も、父の手先となって嬉しそうな道兼も最悪だ、と切り捨てるのです。そして、懐仁親王を託せるのは道長だけ、と訴えたのでした。
逢瀬
道長からまた文が送られてきました。
そこには「我亦欲相見君」と書かれてありました。
「会いたい」と漢詩の文を貰ったまひろは、道長からの誘いに応じ、かつて会っていた廃屋に出向きました。
道長はやってきたまひろを背後から激しく抱きしめ、思いを伝えます。
そして一緒に都を出ようと誘うのです。
藤原を捨てる、まひろの仇の弟であることを止める、右大臣の息子であることも、東宮の叔父であることもやめる、まひろと一緒になるためにはこの方法しかない、一緒に来てくれと訴えるのです。
まひろは「嬉しゅうございます」と喜びながらもどうすればいいかわからない、と訴えました。
一度家に戻れば、まひろはあれこれ考えて一緒には行けないと言う、だからこのまま行こう、と道長は言い募ります。
まひろは、道長が好き、だけど道長が偉くならなければ直秀のような無残な死に方をする人が無くならない、と道長の誘いを断りました。
鳥部野で泥まみれで泣いている姿を見て、以前にもまして道長のことが好きになった、だから帰り道このまま遠くへ行こうと言いそうになった、しかし、2人で都を出ても世の中は変わらないから、道長は偉くなって、直秀のような理不尽な殺され方をする人が出ないようにより良き政をする使命がある、道長だって気づいているはず、とまひろは訴えます。
しかし道長は納得しません。
まひろは、この世を変えるために高貴な家に生まれてきた、自分と幸せになるためではない、と言葉を重ねました。
自分の願いを断るのか、という道長に、貴方のことが好きだけど、道長の使命は別の所にある、と主張したのです。
まひろは「一緒に遠くの国へは行かない、でも私は都であなたのことを見つめ続けます。片時も目を離さず、誰よりも愛おしい道長様が政によってこの国を変えていく様をこの目で見つめ続けます」と道長の思いを断ち切りました。
その夜、道長とまひろは結ばれました。
静かに泣くまひろに、「振ったのはお前だぞ」と道長は言います。
まひろは「人は幸せでも泣くし、悲しくても泣くのよ」といいます。
これはどっちなんだ、と涙を拭う道長。
まひろは「どっちも。幸せって悲しい」と呟きました。
そして道長は「また会おう、これで会えなくなるのは嫌だ」とまひろに寄り添ったのでした。
決行
23日、帝に呼ばれた道兼。
帝は今宵のことを義懐たちに告げた方がいいだろうかと相談します。
道兼は、それを知れば義懐達は帝を止める、そうなれば、忯子が浄土へ行く道が阻まれる、と訴え、帝を説得しました。
その夜、道兼は帝に女物の上着を被せ、内裏から連れ出しました。
途中、忯子からの文を忘れた、と取りに戻ろうとする帝を道兼はなんとか宥めすかして連れ出すことに成功しました。
元慶寺に向かって進む牛車。
丑の一刻を迎え、内裏の門は全て閉ざされました。
清涼殿から神器が持ち出され、梅壺に運び込まれました。
それを確認した道長は、馬を走らせ、関白のもとに報告に行きました。
「ただいま帝が退位され、剣璽は梅壺に移り、東宮が践祚あそばされました」その言葉を聞いた関白は「なんと…」と言葉を失い、急いで内裏へと向かったのでした。
元慶寺に到着した花山天皇は、夜明け前に剃髪されました。
道兼はそれを見届けると「では私はこれで失礼します」と立ち上がったのです。
帝は道兼に裏切られたと知り、激高しますが、家臣に捕らえられ、身動きができなかったのでした。
深夜、酒に酔い遊び呆ける義懐のもとに、花山天皇退位の知らせが入りました。
寅の一刻、右大臣の高笑いが内裏に響き渡りました。
翌朝、役人の前に兼家が現れ、帝が退位し東宮が践祚された、と告げました。
新しき帝の摂政は兼家。
先の帝の蔵人は習いによりその任を解く。そして、新しき蔵人頭は藤原道兼と宣言して立ち去りました。
蔵人頭として、新しい蔵人は…、と言い始めた道兼に、実資は抗議しますが、道兼は動じず、皆を一喝したのでした。
次回、第11回「まどう心」
兼家(段田安則)の計画により花山天皇(本郷奏多)が退位し、為時(岸谷五朗)は再び官職を失うこととなった。まひろ(吉高由里子)は左大臣家の娘・倫子(黒木華)に父が復職できるよう口添えを頼むが、摂政となった兼家の決定を覆すことはできないと断られる。諦めきれないまひろは兼家に直訴するが…。一方、東三条殿では道隆(井浦新)の嫡男・伊周(三浦翔平)らも招いて宴が催され、栄華を極めようとしていた。
NHK大河ドラマ「光る君へ」公式サイト
晴明と兼家の謀略は成功し、譲位が成されてしまいました。
まひろに説得され逃げずに参加した道長の心境はどうなのでしょうか。
帝の譲位の余波で為時はまたもや無職。
頼れるのは親戚筋の左大臣家だけですが、素気無く断られ、まひろは兼家に直談判。
この行方も気になりますね。
結ばれた道長とまひろの関係もどのようになっていくのか、気になるところが多すぎですね。
最後に
見応えがある回でしたね。
まひろと道長の恋の行方、そして右大臣一族の陰謀。
ユースケ・サンタマリアさん演じる安倍晴明の不気味さがたまりませんね。
化粧の具合でそう見せているのでしょうが、まず表情が不気味ですし、右大臣と組んで、陰謀を張り巡らせるし、なんだか今までの安倍晴明のイメージと大分違うような気がします。
また、段田安則さん演じる藤原兼家の迫力にも圧倒されました。
なにがなんでも上に行く、という気概の溢れる言動にとにかく圧倒されます。
それに心酔している子供たちの姿がまた恐ろしい。
一歩引いてみている詮子と道長がなぜ引き込まれないのかと思ってしまう程の迫力でした。
吉田羊さん演じる詮子も似たような迫力がありますから、引きずられないのでしょうかね。
迫力ある人々に囲まれた道長が迷う姿が印象深かったですね。
悪事を働こうとしている右大臣家を捨て、愛するまひろと共に遠くの国に行こうとしますが、まひろからあなたには使命があると断られてしまいます。
お互い思い合っているのに、と切なくなりました。
オープニングを初めて見た時から艶めかしいと感じていましたが、今回は2人が結ばれるシーンも描かれており、これまでの大河ドラマとはちょっと違う印象を受けましたね。
まあ、とても美しいシーンでした。
結ばれたと言っても、これから結婚へと行けるわけでもなく、道長には政略的な結婚が待っているわけですからね。
これからの2人を思うと、悲しくなります。
そしてとうとう、月夜の陰謀が成功してしまいました。
玉置玲央さん演じる道兼が大分頑張っていましたね。
本郷奏多さん演じる花山天皇を口八丁で丸め込み、出家へと追い込みました。
信じきっている帝に冷たい表情で裏切りを告げる道兼。
やはり道兼は怖い人、と改めて感じました。
とにかく父の命が大切、というのが何とも…。
必死さがにじみ出ていて、見ていてとても辛くなりました。
最後の方では、ドヤ顔で蔵人頭である、とか言ってましたが、陰謀を巡らせた右大臣一族の力はどれほどまで持つのでしょうかね。
さて、次回第11回「まどう心」では、天皇の交代による余波で内裏は大変なことになっていきます。
職を失った為時のため、まひろは何をするのでしょうか。
遠くの国行きは断念したものの、まひろへの気持ちは変わらない道長の次の一手は何なのでしょうか。
見所満載ですね。