2020年大河ドラマ「麒麟がくる」は、NHK総合にて日曜夜8時、BSプレミアムにて午後6時、BS4Kにて朝9時に放送中です。
前回、第11回「将軍の涙」は、主人公・明智十兵衛光秀(長谷川博己さん)が、今川と織田の争いを止めるために奔走したお話でした。
1549年11月、尾張の笠寺において、今川に囚われていた織田信秀(高橋克典さん)の長男・織田信広と織田に囚われていた松平竹千代(岩田琉聖さん)の人質交換が行われました。
これで、一時は争いがなくなりましたが、いつまた戦が始まるかわかりません。
織田信秀は、以前今川との戦いで受けた傷のせいでまともに弓を射ることができなくなっていました。
人質に取られていた信広は、自身の城を落城させられたにも関わらず無傷、嫡男の信長は何を考えているのかさっぱり分からず、次男の信勝は未だ若い。
今の織田では今川に太刀打ちできません。
そのため、同盟を結んだ美濃の斎藤利政(後の道三)(本木雅弘さん)を頼るしかありませんでした。
しかし、美濃は利政をよく思わない者たちが数多くいました。
利政の嫡男・高政(伊藤英明さん)をはじめ、多くの国衆が利政の治世に不満を持っていたのです。
織田からの要請で援軍を派遣したくても、国衆たちの反対により派遣できない状況にありました。
兵糧は送れても援軍は送れない、その説明をするために、利政は帰蝶(川口春奈さん)の夫である織田信長(染谷将太さん)に面識のある光秀を使者に立てました。
利政の命により信長の居城・那古野城に向かった光秀。
そこで、信長の守役で織田家の家老である平手政秀(上杉祥三さん)と対面しました。
利政の信頼厚い家臣と言われる光秀と、これからの今川との戦の戦略を立てようとする平手でしたが、光秀は深々と頭を下げ援軍は送れないと謝罪をしました。
同盟国である美濃からの援軍が来ない、呆然とする平手は人質である帰蝶を冷たい目で睥睨しながらその場を去りました。
平手から援軍の話を聞いた信長は、兵を集めて戦に挑んでも今川相手に勝ち目はないと見越して、和議を申し入れようと考えました。
しかし、それには仲立ちとなる人物が必要です。
かつて、美濃の土岐一族で内紛があった折に、将軍家が仲立ちに入り戦を回避したことがありました。
幸い、光秀は将軍奉公衆である三淵藤英(谷原章介さん)や細川藤孝(眞島秀和さん)と面識があります。
そこに目をつけた帰蝶と信長は、光秀に将軍家に仲立ちになってもらえるように取り計らえと命じるのでした。
美濃に戻った光秀は、利政に和議について相談するのですが、将軍家に仲立ちになってもらうためには相当な資金が必要なのだと断られてしまいます。
光秀は、利政がダメならば守護である土岐頼芸(尾美としのりさん)に頼むのが筋ではないかと食い下がるのですが、頼芸に頼むのは勝手にしても良いけれど資金だけは絶対に出さないと頑なでした。
仕方なく光秀は頼芸と親しい高政に頼芸に会わせて欲しいと頼み込みました。
対立する父の尻拭いなどしたくないと、高政は光秀の頼みを断るのですが、光秀が高政の言うことをなんでも聞く、と約束したため頼芸との面会を取り付けたのでした。
土岐頼芸の邸で和議の仲立ちを将軍家に頼みたいので、依頼の書状を用意して欲しいと光秀が頼むと、頼芸の返事は芳しくありません。
お金がかかる上に自分を蔑ろにしている利政のためにお金を出したくないというのです。
しかも、利政は頼芸に代わり守護になろうとしている、と国衆から聞かされたと頼芸は言うのです。
頼芸の言葉に驚いた高政は、利政が頼芸から守護の座を奪おうとしているなど全く知らないことだし、もしそれが本当ならば、自分の手で利政を討つ覚悟があると宣言しました。
高政の覚悟を聞いた頼芸は、光秀の頼み通り将軍家に書状を送り資金を用意すると約束したのでした。
頼芸の書状を携え、将軍に会うために京に急ぐ光秀。
その頃、京では三好長慶による下克上が起こり将軍・足利義輝(向井理さん)はその余波で近江に逃げ延びていました。
偶然にも近江の坂本で将軍の側近・細川藤孝に会えた光秀は、藤孝に事情を説明し将軍に謁見することができたのです。
将軍・義輝は、かつて光秀に出会った時のことをよく覚えていました。
1度目は見事な剣技を見て、2度目は将軍のあり方について藤英に熱く語っていた時のことです。
義輝は、光秀の言葉が義輝の励みとなり支えられていた、遠い美濃に光秀のような武士がいるということが嬉しかったのだと話しました。
しかし、今はまだ世は平らかではありません。
自分の力不足を恥じ、無念だと涙を流す義輝。
義輝は、光秀の頼み通り今川と織田の戦を止める書状を書くと約束してくれました。
そして「麒麟が来る道は遠いのう」とこぼしたのでした。
義輝の思いを知った光秀は、美濃に帰る道すがら、義輝の思いを噛み締め涙を流したのです。
前回、第11回「将軍の涙」を見逃した方は、ぜひこちらをどうぞ。
それでは、第12回「十兵衛の嫁」のあらすじと感想です。
十兵衛の嫁
1551年、近江から戻った光秀は、将軍・義輝の言葉が頭から離れず、心ここにあらずの状態でした。
一心不乱に薪を割る光秀を、家人たちは心配そうに見ていました。
光秀を心配する牧(石川さゆりさん)は、光安(西村まさ彦さん)のところ行き、どうしたものかと相談していました。
光安にはざっくりと織田と今川の戦を和議にするため将軍に仲立ちになってもらった話はしても、母には何一つ話さないと言います。
光安は、こんな時に光秀に嫁がいてくれたらいいのに、と話しました。
母には言えなくても嫁には言えることもある、と言うのです。
そこに、光安の嫡男・左馬助秀満(間宮祥太朗さん)がやってきました。
鷹狩りに行く、という左馬助にできれば光秀も連れて行って欲しいと言い、場所は妻木が良いだろうと光安は誘導するのでした。
妻木は、光安が光秀の嫁にと目論んでいる煕子(木村文乃さん)がいるところです。
左馬助に鷹狩りに連れ出されても、将軍の言葉が気にかかる光秀。
一緒に来ていた皆とはぐれてしまいました。
そこに、偶然煕子が通りかかりました。
光秀は、久しぶりに外に出てみたら空が晴れていて気持ちがよく、空を見上げながら馬を走らせていたら皆とはぐれてしまったと説明しました。
煕子は、道中風が冷たくなかったかと光秀の身を心配し、自分が持っていた温石を光秀に渡しました。
しばらくの間、煕子からもらった温石に癒された光秀は、煕子から屋敷に誘われますが今日は帰ると言いました。
煕子は見送りをすると言って、光秀の後をついていきました。
しばらく歩いた後、光秀は煕子に向かって「この十兵衛の嫁になりませんか」と伝えました。
子供の頃、光秀が煕子に求婚し、そのことを煕子も光秀も覚えていました。
今日、皆とははぐれるべくしてはぐれたのかもしれない、と言い、返答は急がないから考えて欲しいと煕子に伝えたのです。
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織田の行く末
今川と織田は、義輝の仲立ちもあり和議を結んだのですが、今川は織田の重要拠点を手に入れることになり勢力は増すばかりです。
そして信秀は、とうとう病に倒れてしまいました。
床に臥した信秀のもとに、信長や重臣らが集まり、織田の今後についての話し合いが行われていました。
信秀は、末盛城を信長の弟・信勝(木村了さん)に任せるといい、重臣の佐久間に信勝を支えるよう命じました。
信長には引き続き那古野城を任せる、平手政秀(上杉祥三さん)と共に力を尽くせ、というのですが、信長の不満が爆発しました。
力を尽くせと言っても、那古野城で何ができる!末盛城ならば三河にも近く今川にもすぐに反応できる、しかし那古野ではどうにもできない、と言い募ります。
那古野は尾張の重要拠点だからこそ家督と継ぐ信長に任せて、自身は末盛城に移ったのだというのですが、信長は納得しません。
ならば、話はここまで、と信秀は話を打ち切ると信長を追い出しました。
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父・信秀の本心
父の部屋から下がり、帰蝶の待つ部屋に戻った信長は、末盛城は信勝が相続すると言い、大事なものは全て弟・信勝のものになってしまう、と嘆きました。
信頼できる重臣・佐久間や柴田も信勝に付くと言います。
信長は、父に認めてもらいたいと思う故に、松平広忠の首を取り、今回の戦も和議に持ち込んだ、それを取り計らったのは全て自分なのに、父は信長をただ叱り「たわけ」といいます。
それは、母・土田御前(檀れいさん)が不服を唱えるからだと信長は言うのです。
母が不服を言うから信長は叱られる、父は母の言いなりになっていると信長は涙を流しました。
黙って信長の話を聞いていた帰蝶は、厳しい面持ちのまま踵を返しました。
帰蝶が向かった先は信秀の寝所でした。
途中、すれ違った土田御前は帰蝶に、信長に帰る時は父にきちんと挨拶するように伝えろ、と言い立ち去ろうとするのですが、ふと気づいたように、帰蝶が望月東庵(堺正章さん)と面識があると知ると、急いで呼び寄せられないかと言うのです。
信秀が東庵と双六がしたいと言っているので、急いで東庵を呼びたいのだが、と言いつつ、帰蝶では無理だろう、と言って去って行きました。
帰蝶は、信秀の寝所に着くと、突然来たことを詫びながら、なんとしても聞きたいことがあると信秀のもとに近づきました。
織田を継ぐにふさわしいのはどちらなのか、胸の内を教えて欲しいと懇願し、教えてくれれば東庵を誰よりも早く呼び寄せる、と言い募ります。
自分は尾張に命を預けた女、自分が命を預けた人物が、信秀にとってどれほどの人物なのか教えて欲しい、と頭を下げました。
信秀は、掠れた小さな声で話し始めました。
帰蝶は一言一句聞き漏らさないように信秀の口元に耳を寄せました。
信秀は、震える手で懸命に手を上げ、帰蝶に思いを伝えようとしていました。
帰蝶は、部屋で大の字になって寝っ転がっている信長の元に戻りました。
どこに行っていたのだと問い詰める信長に、信秀のもとに行っていたと答える帰蝶。
帰蝶は挑戦的な目で信長を見ると、お聞きになりたいですか、と問いかけました。
「いや、止めておこう」と立ち去ろうとする信長の背中に向けて帰蝶は話し始めました。
「義父上様はこう申されました。信長はわしの若い頃に瓜二つだ、まるで己を見ているようじゃ。良い所も悪い所も、それゆえかわいいと、そう伝えよ」と言ったというのです。
「尾張を任せる。強くなれ」と言葉を締めた帰蝶は、力強い目で信長を見つめ、そして微笑みました。
帰蝶を見つめた信長は満面の笑みを浮かべて部屋を出て行ったのです。
その後、帰蝶は急いで京の東庵に連絡を取りました。
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京の惨状
その頃の京は、三好軍が流れてきて戦となり子供や町衆が巻き込まれ、けが人多数となっていました。
東庵の診療所はけが人で溢れており、駒(門脇麦さん)も必死で治療に当たっていました。
そこに、伊呂波太夫が訪ねてきたのです。
診療所の慌ただしい様子に驚き、なぜこんなことになっているのか駒に尋ねました。
戦の巻き添えでけが人は多くとも、東庵は貧乏人からお金を取りません。
しかし、薬も包帯も有限で足りないものばかりです。
東庵はお金を工面するために九条邸を訪れているのだと説明しました。
伊呂波太夫は、だから東庵は九条邸で闘鶏をしているのかと頷き、それを聞いた駒の眉はぴくりと上がりました。
そこに、深く項垂れた東庵が帰ってきました。
聞けば、初めは上手く勝っていたのに、徐々に負けが込んできて40貫もの借金ができてしまったというのです。
伊呂波太夫に2貫でいいから金を貸して欲しいというのですが、駒に激しく叱られてしまいます。
どうすれば、と項垂れる東庵に駒は帰蝶からの手紙を差し出しました。
尾張から早馬で届けられたのだといいます。
信秀が双六をしたがっているから尾張に来て欲しいと書かれており、謝礼は望むまま、と書いてあるではありませんか。
その言葉につられて、東庵は尾張に行く決意を固めました。
すると、伊呂波太夫が40貫の借金の肩代わりをするから、そこから足を伸ばして駿河まで行って欲しいと依頼したのです。
伊呂波太夫の知り合いの豪商の息子が病弱で、京の名医を探しているというのです。
謝礼は100貫という言葉につられて、尾張から駿河へ向かうことになりました。
駒は、途中美濃に寄り、自分を助けてくれた人が明智のどの人なのか知っておきたいと同行すると言いました。
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鷺山からの刺客
その頃、美濃稲葉山城では、土岐頼芸からの贈り物として鷹が届けられてきました。
利政は大層喜ぶのですが、利政と鷹の距離が近づいたその時、鷹が利政めがけて勢いよく飛んできました。
利政が鷹に襲われる寸前、利政の側近が間に入り、利政を庇って鷹の爪を受けてしまったのです。
ほどなくして、側近は苦しみだしそのまま命を落としてしまいました。
頼芸に命を狙われた利政は怒り狂いました。
その頃、明智の荘では光秀と祝言が行われていました。
光安は光秀の結婚を我が事のように喜び、煕子に向かって父の代わりとしてお礼を言いました。
光安と牧は涙を流して光秀の婚姻を喜びました。
そこに、左馬助が飛び込んできました。
稲葉山城に危急を知らせる狼煙が上がったというのです。
光安は光秀を伴い、急いで稲葉山城に向かいました。
利政は、頼芸から贈られた鷹の爪に毒が塗られていて、襲われた側近が死んだと集まった国衆に告げました。
美濃のために尽くしてきた自分を襲う、命を狙うなど言語道断。
なぜ、自分が狙われなければならないのか、殺されなければならないのかと稲葉や国衆に問い詰めるのですが、誰も答えることはできません。
自分を害そうとする頼芸はもはや守護と思わず、これから頼芸と一戦交えるつもりだと利政は明言しました。
頼芸と敵対したくない者は今すぐにここから立ち去れ、と利政が叫ぶと、高政と稲葉は目配せをし合うのですが、誰も動くことはしませんでした。
今日より鷺山に近づいたものは裏切り者として扱う、と宣言した利政に、高政も稲葉も頭を下げたのでした。
しかし、利政の目が無くなると、高政は戦になったら自分は頼芸を守るといい、国衆も高政に従うと、光秀に告げます。
そして、高政は光秀にも利政を討とうと誘いをかけたのです。
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信秀の最後
尾張那古野城にて、帰蝶は駒と懐かしい再会をしていました。
東庵は尾張に着いて直ぐに末盛城に向かい、駒は那古野城に来たというのです。
尾張の後に美濃にも行く予定と告げる駒に、帰蝶は光秀が嫁をもらったと伝えたのです。
動揺を隠してぎこちない笑顔で光秀を祝福する言葉を言う駒でした。
末盛城にて、土田御前は今日は信秀の調子が良いと喜んでいました。
東庵の到着を待ちわび、間に合ったことに喜び、自ら先導して東庵を信秀いる広間に案内しました。
そして、東庵が信秀に再会の挨拶をするのですが、信秀は上座に座りピクリとも動きません。
少し見ていた東庵は、立ち上がり信秀に近づき、信秀の状態を見ると「一足先にお上がりになってしまいましたか」と呟きました。
1552年(天文21年3月3日)、織田信秀はその生涯を閉じたのでした。
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次回、第13回「帰蝶のはかりごと」
土岐頼芸から命を狙われた斎藤利政は、土岐と一戦交えると息巻きます。
しかし、嫡男・高政は土岐頼芸を守ると明言し稲葉ら国衆も高政に付くと言います。
高政は光秀も土岐側に着くように誘い決断を迫ります。
利政は信長と対面したいと言い、信長を美濃に呼び寄せたのです。
美濃の内紛が本格的に始まりそうです。
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最後に
とうとう光秀が結婚しましたね。
タイトルになっていた割にはあっさりと祝言が終わってしまいましたが。
これから煕子と二人三脚、大変なことも煕子に支えられて乗り越えていくことになります。
それにしても、今回も染谷将太さん演じる信長の繊細な演技に目を惹かれました。
父に認めて欲しくて足掻く信長とそれを支える帰蝶。
2人の絆はしっかりと固まってきて安心しました。
2人が微笑み合うシーンはほっこりしましたね。
さらに、豪傑だった信秀が亡くなってしまいました。
静かな最後は、胸にこみ上げるものがありました。
来週は、とうとう信長と道三の対面ですね。
時代劇でも有名なシーンです。
今回の大河ドラマでどのように描くのか楽しみです。
そしていよいよ、豊臣秀吉役の佐々木蔵之介さんが登場します。
どんな秀吉を見せてくれるのでしょうね。
来週も見どころ満載でワクワクしています。