2020年大河ドラマ「麒麟がくる」は、NHK総合にて日曜夜8時、BSプレミアムにて午後6時、BS4Kにて朝9時に放送中です。
前回のあらすじ
永禄13年4月、帝からの勅命を受けた織田信長(染谷将太さん)は、越前・朝倉に向けて出陣しました。
琵琶湖の西岸を北上し若狭の国吉城に入った信長のもとには、三河の徳川家康(風間俊介さん)、摂津の池田勝正、大和の松永久秀(吉田鋼太郎さん)を始め、近隣の国衆なども続々と集まってきます。
その頃の幕府内では、摂津晴門(片岡鶴太郎さん)が、三淵藤英(谷原章介さん)や細川藤孝(眞島秀和さん)に、戦の情勢について探っていました。
信長の勢いは凄まじく、国吉から敦賀へと進軍、朝倉との激しい戦を制しつつ、わずか2日で手筒山城と金ケ崎城を落としました。
柴田勝家(安藤政信さん)、松永久秀、徳川家康、明智十兵衛光秀(長谷川博己さん)らは、一足先に金ケ崎城に入り、翌日、信長の入城に合わせて行われる軍議に向けて、鋭気を養うため、木下藤吉郎(佐々木蔵之介さん)が用意した酒肴で、しばし体を休めていました。
この戦で光秀は家康と再会しました。
家康は昔光秀から貰った干し柿を覚えており、光秀から待つとは、耐え忍ぶとは何か教わったと話しました。
そんな時、松永久秀が唸りながら現れました。
手筒山の戦いの折には激しい攻防を繰り広げたのに、金ケ崎の戦いではあっさりと引いた朝倉軍に久秀は疑念を持ったのです。
その頃、近江の小谷城では浅井長政が市に思いを打ち明けていました。
長政は、浅井と長年の誼のある朝倉には手を出さないと約束していたのに出陣した信長に猜疑心を持ったのです。
このまま朝倉が討たれてしまったら次は浅井かもしれない。
長政は、朝倉勢に付くと市に宣言するのでした。
翌日、光秀のもとに長政が裏切ったとの知らせが入りました。
光秀はすぐに信長に知らせ、撤退を進言します。
長政の裏切りを直ぐには信じられず、帝から託された使命を果たすため、光秀の進言を拒否するのですが、光秀の必死の懇願が届き、撤退を決意します。
引き戦には光秀が指名されました。
光秀は本隊の指揮を柴田に任せ、自分は殿となり時間を稼ぐと宣言します。
光秀が急ぎ廊下に出ると、庭に土下座をして自分も殿に加わりたいと藤吉郎が名乗り出ました。
藤吉郎の強い意思を感じた光秀は共に殿として戦うことにしたのです。
追手の浅井朝倉連合軍を必死に打ち払い、敵をかく乱するため二手に別れた光秀と藤吉郎。
妙覚寺で、再会した2人はお互いの無事を喜びました。
しかし、光秀が遅れて到着したため、藤吉郎が本当に殿を務めたのか誰も信じてくれないと藤吉郎は光秀に訴えます。
共に厳しい役目を果たした藤吉郎の名誉を守るため、光秀は藤吉郎を馬鹿にした柴田らを一喝したのです。
敗戦に落ち込む信長は、部屋に篭っていましたが、心配した光秀が部屋に向かうと扉を開け光秀を迎え入れました。
帰蝶にも帝にもどう報告すればいいかと悩む信長に、光秀は麒麟の「信長には次がある、生きていれば次がある」という声を聞いたと言い、それを聞いた信長は破顔したのでした。
前回、第31回「逃げよ信長」を見逃した方はぜひこちらをどうぞ。
それでは、第32回「反撃の二百挺」のあらすじと感想です。
合戦の報告
元亀元年(1570年)4月、光秀の必死の懇願により金ケ崎からの脱出を試みた信長。
光秀は、摂津に呼ばれ信長の報告の前に詳細を将軍・義昭に説明していました。
「千人の兵を失った」と話すと、義昭は「戦は負けだな」と悲痛な顔を見せます。
光秀は敗北ではなく引き分けだったと説明します。
浅井の裏切りにより挟み撃ちにあい逃げ帰ったのではないかと摂津はしつこく言い募るのですが、光秀は朝倉を深追いするよりはと兵を引いただけと断言します。
信長の心中を思うともう3日も寝ていない、と義昭が口にすると、摂津も同じように自分も3日寝ていないと言いました。
光秀は摂津の言い分に食いつきました。
浅井が裏切ったとの知らせが入ったのは4日前のこと。
しかし、摂津や義昭は3日以前から浅井の裏切りを知っていたことになります。
光秀は義昭にその情報は誰から聞いたのかと問いただします。
義昭は摂津から聞いたといい、摂津は政所の者から知ったというのです。
情報統制が行われており、その事を知っている者はごく僅かなはずです。
光秀は、その知らせを持ってきたものは浅井・朝倉と通じているかもしれないからその者の名前を教えろと食い下がります。
摂津は困り、自分は朝倉のことを真の敵だとは思っていないと口にしました。
すると光秀は目を吊り上げて、敵の味方は敵という、摂津は敵なのかと問い詰めました。
見かねた義昭が「口が過ぎる」と摂津を止めると、摂津は仕事が残っていると退席してしまいました。
光秀は残った義昭に、殿として少ない手勢で2万の朝倉勢を追い返したと話しました。
壮絶な戦いの中、足がすくむ思いで、泣けるものなら泣いてしまおうと思ったと光秀は話します。
幼い頃、山の彼方を見てみたくて大きな木に登ってみたが、あまりの高さに目が眩み降りるに降りられなくなり思わず泣いてしまったと義昭に言う光秀。
義昭も自分も同じように大きな木に登り降りられなくなって泣いてしまったと言い、2人は笑みを交わしました。
光秀は相好を崩した義昭に、金ケ崎の戦いになぜ義昭がいないのかと思ったと言い始めます。
義昭が金ケ崎にいたのなら、浅井は裏切らず、朝倉も足を止めたのではないかと。
2年前、信長と義昭は世を平らかにするという目的のため上洛しました。
敵が誰であれ、心を1つにして良き世を作るために戦をしているというのに、そこに義昭がいない、京で高みの見物をしています。
光秀は伏して義昭に懇願します。
次の戦にはぜひ義昭にも参加して欲しいと言い募ったのです。
将軍の御旗があれば諸侯の士気があがると光秀は懇願しました。
その言葉に、義昭は何も答えることができませんでした。
信長到着の知らせを聞くと、義昭は信長を出迎えるために廊下に出ていきました。
信長の無事の帰還を喜び、戦の労を労ったのでした。
光秀が京の館に戻ると、そこには妻子の姿がありました。
煕子(木村文乃さん)は、越前への出陣には間に合わなかったが、無事に迎えられて嬉しいと喜びます。
光秀の母・牧は、美濃にある夫の菩提を弔って余生を過ごす、と話し、美濃に残ると言います。
光秀は、都を守り天下を鎮めここを守る、と煕子に宣言しました。
鉄砲を買いに 堺
数日後、藤吉郎は戦での働きを褒められたものの、鉄砲を多く失ったことを責められ、鉄砲の買い付けに行けと信長に命じられ堺にやってきました。
買い付けの相手である今井宗久(陣内孝則さん)は、光秀と面識があるため光秀も同行を命じられました。
宗久の館で、鉄砲300挺を注文すると、信長の頼みは荷が重い、宗久は渋ります。
どうすれば荷が軽くなるのか、と光秀が言い募ると、宗久は今朝250挺の鉄砲を用意すると約束してしまったと答えました。
藤吉郎は、その相手を教えて欲しい、交渉して譲ってもらいたいと言い、大名の名前を聞き出そうとするのですが、宗久は商いの相手は教えない、と答えてはくれません。
答えない宗久に、藤吉郎は2年前三好に与した堺の商人が罰として2万貫の支払いを命じられたことを持ち出しました。
今回もそんな目にあいたいのかと宗久を脅します。
光秀は、脅す藤吉郎を窘め、信長上洛を陰で支えてくれた宗久はそんな人物ではないと庇います。
そして、宗久は商人であると同時に一流の茶人なので宗久の茶が飲みたいと所望したのです。
宗久は、夕方に行われる茶会に2人を招待しました。
家に戻ると、宗久から茶会の参加者が書かれた紙が届けられました。
参加者は千宗易、油屋常琢、筒井順慶(駿河太郎さん)、若狭屋宋慶らであるとわかると、光秀は鉄砲の買い付けに来た人物は茶会の参加者であると教えてくれているのだと理解しました。
名簿から察するに、鉄砲の買い付けに来たのは筒井順慶ではないかと光秀は考えます。
顕本寺にて、茶会が始まるまでと光秀と藤吉郎が部屋に通されると、宗久は筒井順慶と引き合わせました。
筒井順慶は駒を伴っていました。
駒が作る丸薬を順慶が家来衆に配っているため、駒と順慶は顔見知りだったのです。
駒は美濃にいた頃からの話を順慶に聞かせていました。
順慶は大和の国で、父祖伝来の土地を守っていると言います。
将軍を支える織田信長を尊敬し、信長を支える光秀に会えて嬉しいと言います。
藤吉郎が順慶に鉄砲の買い付けに来たのかと尋ねると、順慶は頷きます。
藤吉郎は光秀を伴って一旦席を外すと、鉄砲を譲り受けられるようにしっかり交渉して欲しいと光秀に頼みます。
そして、同席している駒は、近頃将軍の寵愛を一身に受けていて、幕府内でも「駒様、駒様」と下にも置かない扱いをされているといいます。
順慶との話し合いは義昭に筒抜けだと思えと助言しました。
部屋に戻った光秀は、早速順慶に鉄砲200挺を譲って欲しいと頼み込みました。
順慶が即答できないと答えると、光秀は160挺ならすぐに答えられるかと言い募ります。
戸惑う順慶ですが、駒が自分からもお願いする、「信長様の戦は公方様の戦でもある」と口添えしたのです。
順慶は頷き、その代わり近いうちに義昭に会わせて欲しいと駒に頼みます。
光秀には信長に会わせて欲しいと頼んだのです。
今大和で松永久秀と筒井順慶は対立しています。
松永久秀は織田に与していますが、自分も同じようにして欲しいと。
決して松永を排そうとするわけではなく、松永同様信長の側に置いてもらいたいと願ったのです。
光秀は、それならば200挺の鉄砲を譲ってくれるならば順慶の申し出をのむと交渉します。
順慶は光秀の言い分を承諾し、交渉は成立しました。
すると、茶会の参加者が揃った、と宗久が光秀たちを呼びに来ました。
茶会の席に向かう途中、光秀は駒に口添えの感謝を伝えます。
すると駒は、出過ぎたことをと謝罪しました。
そして、最近身の丈に合わないことをしているようだと自嘲したのです。
そんな駒を光秀は万気にしないようにと励ましました。
出陣
金ケ崎の撤退戦より2か月後、信長は三河の徳川家康と共に近江に出陣しました。
姉川の戦いです。
兵力に勝る信長勢は敵を切り崩して進みます。
浅井・朝倉連合軍は各々の領地に逃げ帰りました。
信長は家康の活躍を褒め、鉄砲を調達した光秀を褒めました。
これから酒宴と信長が去ると、家康は光秀に自分は明日、三河に帰ると話し始めます。
今回の戦いで、朝倉は恐るるに足らぬ相手、という確信を得た家康は、これから三河に帰り信長の真の敵である武田との戦いに挑むと宣言しました。
三河にも武田の手は伸びてきているのです。
家康は「しかし気になるのは幕府の動き、公方様が盛んに信玄に文を送り上洛を促しているという。油断めされますな。公方様はああ見えて食えぬお方だ」と光秀に注意を促すのでした。
その後も信長の戦いは続きました。
三好の残党が浅井・朝倉軍に味方し、四国から畿内に押し寄せてきました。
今回の戦は義昭も参陣していました。
義昭は諸侯の前に立ち、檄を飛ばします。
しかしこの戦で信長は苦戦を強いられてしまったのです。
本願寺の一向宗の何万もの門徒が鉄砲を持って三好に与したのです。
織田軍は正面から三好と本願寺、背後から浅井・朝倉連合軍が信長に襲いかかり窮地に陥っていました。
信長は、倒すべき敵を朝倉義景に定め、摂津から兵を引き近江へと向かいました。
京に戻ると、義昭は信長に激高していました。
自分が参加したにも関わらず、三好から鉄砲を撃ちかけられると逃げ帰り、一向宗徒と和議をしたいと義昭に頼んだからです。
義昭は信長があんなに脆いとは思わなかったと摂津に愚痴をこぼし、摂津は武田と上杉を早く上洛させれば、もはや信長は不要なのではないかと進言します。
そこに、駒がやってきました。
義昭は摂津のお土産として生きたトンボを駒に持って帰ってきていました。
近江・坂本にて、信長は誰もいなくなった部屋の中で憤っていました。
仏像を背負いながら唸り、敷物を蹴りながら暴れる信長のもとに、光秀が顔を出しました。
信長は、「叡山の坊主は何故朝倉を匿うのだ!」と怒りをぶつけます。
光秀が僧兵が訪ねてきた事を聞くと「叡山へ一歩でも近づけば5万の僧兵が立ち向かうと脅してきたのじゃ。延暦寺の僧兵は1人1人が仏を背負って戦うゆえ開山以来負けたことがないとほざいた。それゆえわしも言うてやった。神仏を尊ぶ心はわしも同様。叡山へ踏み込む折はこうして仏を背負うて参る所存じゃと。坊主ども恐れ入って帰っていった」と笑います。
仏は重くないかと光秀が尋ねると、「重い!」と仏を下ろします。
信長がどうして叡山は朝倉を匿うのか、浅井もこの戦に関わろうとするのかと激昂すると、
光秀は、信長は叡山から多くを奪い、朝倉は多くを与えるからではないかと答えました。
つまるところ、金ではないかと。
その頃、叡山では朝倉義景が僧正に金を差し出し、信長に対抗する力を貸して欲しいと訴えていたのです。
次回第33回「比叡山に棲む魔物」
四方を敵に囲まれ信長は絶体絶命のピンチに陥ります。
光秀は事態の打開のために比叡山に陣を構える朝倉義景のもとに潜入します。
延暦寺の天台座主・覚恕との面会を果たすのですが、覚恕は信長への怒りが強く絶対に許さないと憤ります。
尾張では信長の弟・信興が一向宗に討たれてしまいます。
信長は急ぎ領地に戻ろうとするのですが、光秀はそれを必死に説き伏せるのです。
そして信長は将軍ではなく、帝を頼り各所と和議を結ぼうとするのです。
最後に
今回のお話は戦がたくさんありましたが、激しい合戦シーンは残念ながら少なく、説明で終わってしまいましたね。
その分、登場人物たちの駆け引きがたくさん見られた回だったと思います。
今井宗久と光秀の駆け引きもとても面白かったですね。
藤吉郎が権力でもって脅しをかけようとすると、光秀が懐柔するという絶妙なやりとり。
宗久も商人としての筋は通しながら光秀にヒントを渡し、協力するという一連のやりとりは楽しかったです。
筒井順慶と光秀のやり取りも面白かったですね。
交渉のやり方を学んだ気がします。
この大河の信長は、光秀に随分と感情をぶつけ光秀がその疑問に答える、というシーンがたくさんあります。
信長は光秀の意見に耳を傾け、光秀を深く信頼している様がよくわかります。
そんな2人がいずれ決裂してしまうなんて、今のいい関係を考えるとどうなっていくのか気になりますね。
信長との関係がすぐにでも変わりそうなのは義昭ですよね。
あれだけ信長を頼っていたにも関わらず、随分と強くなってきていました。
大人しい、オドオドとしていた印象が強かったのですが、ちょっと驚きです。
それにしても、光秀はもうすっかり信長の家臣のように見えますが、まだ義昭の家臣なんですよね。
そのあたりの展開も楽しみですね。
次回、第33回「比叡山に棲む魔物」では、久しぶりに岡村隆史さんが登場しますね。
三河の家康が強敵・武田に挑むシーンなどは見られるのでしょうかね?
コロナの影響で、なかなか派手な合戦シーンは撮れないようですが、その分登場人物の心情を丁寧に描いてくださるので見ていてわかりやすいです。
次回も、春風亭小朝さん演じる覚恕の激しい怒りの演技など、見所はたっぷり。
楽しみにしています。