毎週日曜日20時から、NHK総合他にて放送中の大河ドラマ「西郷どん」。
2018年1月21日、第3回「子どもは国の宝」が放送されました。
前回、郡方書役助という役目に就いていた西郷吉之助(鈴木亮平さん)が、困窮した村の暮らしを知り、年貢の収め方を変えて借金のカタに売られそうになっている村娘を救おうと奔走しましたが、努力も虚しく、娘は売られて行き、吉之助は自分の力のなさを悔やむのでした。
今回も薩摩の、武士も含めた人々の暮らしに向き合います。
斉彬が父斉興を追い詰める行動に移る動きも見せます。
前回の第2回「立派なお侍」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第3回「子どもは国の宝」のあらすじと感想です。
西郷家、豪商に借金する
吉之助と使用人の熊吉(塚地武雅さん)は、二人で狩りに出かけて見事、一頭の猪を仕留めました。二人は猪を仲良く担いで家に帰ってきます。
祖父龍右衛門(大村崑さん)の長引く咳と、弟の信吾(斎藤汰鷹さん)が腹を壊しているのに、西郷家は治療費も出せません。熊吉が狩って来たばかりの猪を、町に売りに行ってお金に変えようと提案しましたが、父吉兵衛(風間杜夫さん)が「武士が猪を売るなんて恥。」と体面を気にして許可しませんでした。
弟と祖父の治療をどうやって工面するか?父はとうとう「借金をする。」と言い出します。
「借金をするくらいなら家を売る。借金をして返せなかったらそれこそ武士の面汚し。」とする吉之助で喧嘩が始まります。庭先で取っ組み合いになる二人。
隣の家から、大久保正助(瑛太さん)、次右衛門(平田満さん)親子が止めに入ったことでなんとか収まりました。次右衛門は「吉兵衛さに金を貸してくれるような人がいるのか?」と言います。吉兵衛は「いる。」と見栄を張りましたが、実際、貸してくれるあてなどありませんでした。
吉兵衛は、働かせてもらっている先の、赤山靱負(沢村一樹さん)に相談すると、赤山は、貸してくれそうな人を紹介してくれたのでした。
吉兵衛と吉之助は、赤山から紹介された、豪商の板垣与三次(岡本富士太さん)の家に到着します。とても立派な家に驚く二人。
武士の立場を通す吉兵衛は、板垣に対して横柄な態度で「百両貸してくれんか。」と頼むと、板垣は「百両、大金ですな。赤山様のお引き合わせとはいえ…。わざわざご足労頂いたが、お貸しすることは…」と席を立とうとします。
そこで吉之助はそれまで上げてもらっていた床上から土間に下り、土下座して「板垣様。お願い致しもす!どうか、貸してたもんせ!おいの家は貧乏で、11人の家の者が食う飯にも事を欠き、病人を医者に診せる金もあいもはん。お借りしたお金は、命に代えてでん、父とおいとでお返ししもす。」と頭を下げます。
床の上で息子をぼうっと見ていた吉兵衛にも頭を下げるよう、吉之助が促します。
吉兵衛も土間に下りて吉之助と一緒に頭を下げると、吉之助の人柄に打たれた板垣は百両を貸してくれることになりました。
この借金は今後、西郷家に重くのしかかり、明治維新後も返済が続いたそうです。
喜んで百両を持って帰る二人。借りたのにもらったかのような喜びようです。金貨を見た事ない二人は、かじってみると柔らかいという噂を信じて二人で噛んでみたり、はしゃぎまくりです。
その道すがら、いも泥棒をしている少年を、追いかける男三人に出くわします。「子どもは国の宝」そう斉彬から教わっていた吉之助が、少年を助けようと間に入りますが、少年は木刀を手にしていて、男三人をあっという間に倒して逃げていくのでした。
少年の太刀筋に感心する吉之助。少年は中村半次郎(中村瑠輝人さん)といって、父親が島流しに遭って、畑が人手に渡ったことを認めず、その畑からいもを盗んだとの事でした。
村の人だけでなく、武士の家も困窮していて、自給自足を余儀なくされている薩摩なのです。
西郷家、借りた金で人に振舞う
西郷家では借りたお金で米を買って、近所の人にまで握り飯を振舞います。日頃から、実家に帰っては米や野菜を持って帰ってきてくれていた、熊吉のおばあさんにもお礼としてお米を渡そうと思いつく吉兵衛は言います。
米二俵を持って、吉之助は熊吉の実家へ向かいます。
熊吉の実家では、祖母のイシ(佐々木すみ江さん)が一人で家を守っていました。熊吉だけでなく、吉之助とも再会を喜びます。
イシは、米を贈られると「石が入ってるのでは?」と疑って見せますが、吉之助が俵を裂いて中身を見せると、涙を流して喜ぶのでした。
イシ役の佐々木すみ江さんは、「篤姫」で篤姫の実家時代の、侍女の菊本役でも出演されていました。斉彬の養女として家を出る事になった篤姫に「女の道は一本道でございます。」という言葉を贈り、篤姫が振り返らないよう自身は自害してしまうという、強い女性を演じてらっしゃいました。私は佐々木すみ江さんがテレビに出て来られると、どうしても菊本がよぎってしまい、涙が出てきてしまいます。
熊吉が言っていたセリフじゃないですけど、「生きちょったど!」と嬉しかったです。
<半次郎一家、脱藩しかける
イシに米を届けた次の朝、吉之助は半次郎一家が脱藩しようとしている現場を見かけます。
吉之助は役目上、見逃すわけにはいきません。引き止める吉之助。半次郎の母は、「見逃してたもんせ。」と懇願します。
「脱藩は見つかったら死罪。侍が逃げたら、もう二度と侍には戻れんど。」未だ侍としての誇りを捨てていない半次郎に、吉之助は訴えます。それでも出ていこうとする半次郎の母。
半次郎は吉之助の言葉に動揺し、母に抵抗します。
「分かいもした。おいがなっとかすっで。」と言う吉之助。熊吉は「出来ない約束をしてどないすっど」と止めますが、半次郎のやる気と剣の腕を埋もれさすのは惜しいと、吉之助は思うのでした。
そして病人の半次郎の妹を荷車に積み、半次郎一家を家まで送り届けるのでした。
この半次郎はのちに「人斬り半次郎」という異名を持つ剣豪になっていきます。西郷のボディーガートの役割もすることになります。
数日後、登城した吉之助は、上役に呼びつけられ「吉野村で、夜逃げを手伝った役人がいる。」との目撃談を聞かされます。
吉之助はあっさり「荷物を運ぶのを手伝った。家まで送り届けただけ。夜ではなく朝。」と事実を言いますが、信じてもらえません。上役に「調所に刃向かったと聞いているし、夜逃げも手伝ったに決まっている。ただじゃ済まさない。」と言われてしまいます。
そこへ正助と赤山が現れ、赤山が上役に「この件はわしに預からせてくれ。」と場を収めてくれたのでした。
正助は、吉之助が夜逃げを手伝ったとばかり思って、赤山に助けを呼んだのです。結果、夜逃げはしてなかったので、事なきを得ました。
吉之助は半次郎の家の土地を安堵してもらえるよう、赤山に頼みます。百姓だけでなく、吉之助も正助も薩摩の武士をも含めた現状を嘆きます。赤山は、「何とかする。」と請け負います。
二人の話を聞いて赤山は「斉彬様が藩主になられる日もそう遠くないだろう。薩摩は変わる。」と言うと、二人は喜ぶのでした。
調所広郷自害
江戸城にいた、島津斉彬(渡辺謙さん)は、幕府における最高権力者、老中首座である阿部正弘(藤木直人さん)に、薩摩の密貿易や琉球出兵における偽りの申し立てなどを訴えていました。「父斉興(鹿賀丈史さん)をよきように。」と口添えして、幕府に薩摩を委ねます。
阿部は「貴殿が立ち上がるのを待っておった。」と言うのでした。
江戸の薩摩藩邸では、斉彬の子、寛之助(寺師海渡さん)が病に倒れていました。斉彬は、寛之助のもとへ駆け付け、励ましましたが、その晩、寛之助は息を引き取りました。
斉彬はこれまで、立て続けに三人の子どもを亡くしていました。家臣たちは藩邸中を回り、寛之助を呪い殺そうとした者がいたという証拠の、お札を発見し大騒ぎします。
家臣たちは、それが斉興の側室の由羅(小柳ルミ子さん)だと疑ったのでした。
この年の12月、阿部正弘は、江戸城に調所広郷(竜雷太さん)を呼びつけました。
阿部は、斉彬がよこした報告書の真偽を調所に問いただします。調所は「これらは我が主とは関わりなき事。密貿易は手前一人が仕組んだ事。」と言い切ります。
阿部は「家臣の力だけでここまでの事が出来るはずがない。」と切り崩しにかかりましたが、
調所は「薩摩の勝手向きを、一切預かるそれがしに、出来ぬ事はございもはん。一切の責めはこの調所広郷にありもす。よって我が主だけはお助け下さい。」と言うと、阿部は諦めて調所を返すのでした。
調所は報告書を上げた者の名を聞こうとした時、斉彬が現れます。「やはり。」つぶやく調所。
廊下で斉彬は今まで話せていなかった調所を、「疎遠になっていたが、このまま終わりたくない。これからの薩摩の事を教えて欲しい。」と飲みに誘います。
調所は、斉彬が生まれた日、家臣一同で喜んで飲んだ酒を思い出し「そん時に飲んだ酒のうまさをふと思い出しもした。」と言います。
斉彬の誘いを調所は「今夜は野暮用で。」と断りましたが、斉彬は「その用事が終わるまで待っている。」と言います。
晩、斉彬はなかなか来ない調所を待っていましたが、調所は自ら薬をあおり、亡くなりました。「死なせたくはなかった。」斉彬は悲しむのでした。
調所の最期は切なかったです。斉彬が生まれた時は、本当に喜んだのに斉興の意向に沿って、対立することになってしまった、調所と斉彬。
本当は調所も斉彬を支持していたのでは?と思います。しかし、現藩主の斉興を守るためには自らの命を絶つしかなかったのでしょう。
薩摩の借金を返す為だったのだから、密貿易もこの人にとっては正義だったはず。斉彬も父を退かせる為とはいえ、酷だと思いました。
お由羅騒動
調所が亡くなった事は、薩摩の久光(青木崇高さん)のもとにも届きます。
斉興と由羅(小柳ルミ子さん)は「調所は亡くなったのではなく、殺された。斉彬が、久光が藩主名代になった事を根に持って、いよいよ本性を出してきた。殿を追い出すために幕府に掛け合ったという。」
斉興は「家中では斉彬を担ごうとする不忠の者どもが、目に余る。」と言います。
由羅は「その上、斉彬殿の子を私が呪い殺しているとまで言う輩がいるのです。」と言うと、それまで斉彬を慕って、信じられないといった顔をしていた久光が「実は、おいも聞き及んじょいもす。」と小さく漏らします。
「いつ殺されるか分からない。」と怯えたように泣く由羅を「母上はおいがお守りしもす。」と久光は言うのでした。
斉興は「根こそぎ、そん者を処罰すっとじゃ!」と宣言します。
斉彬派と思われる者たちが、次々と処罰されていきました。切腹、島流しなど、総勢50名に上りました。
世に言う「お由羅騒動」です。
赤山に切腹命令
西郷家に、郷中の仲間たちが集まって話し合います。吉之助の妹、琴(桜庭ななみさん)は、み「皆で集まっていたら、お役人様に疑われるのでは?」と警戒します。
そんななか、吉兵衛が茫然として帰ってきました。吉之助と弟の吉二郎(渡部豪太さん)が迎えに出ると、吉兵衛は水を飲んで一息ついてから家族と集まっていた郷中の皆に告げました。
「赤山様に、切腹の御沙汰が下った。」
驚く一同でした。
赤山靱負、薩摩の未来を担うべき尊い命の火が消えようとしています。
今回はここで終わりです。
いきなりどうしたんでしょう?赤山も斉彬派だからでしょうか?
斉彬が藩主になる時、赤山は迎え入れる事が出来ないのでしょうか?
次回、第4回「新しき藩主」です。
見逃せません!