吉高由里子さん主演、大石静さん脚本の2024年大河ドラマ、「光る君へ」。
「世界最古の女性文学」と呼ばれる『源氏物語』の作者・紫式部の波乱の生涯を描く物語です。
光源氏のモデルの1人と言われる藤原道長を柄本佑さんが演じます。
千年を超えるベストセラー『源氏物語』を書きあげた紫式部の、秘めた思いと一途な思いを胸に懸命に世を生きた女性の物語。
こちらでは、大河ドラマ「光る君へ」のあらすじ、ネタバレ、感想をお届けします。
さて、第13回「進むべき道」では、2人の別れから4年後が描かれます。
藤原道隆の娘・定子が一条天皇に入内、中関白家絶頂期となります。
そして訪れる兼家の後継者争い。
まひろ、そして道長の進むべき道とは…。
前回のあらすじ
為時(岸谷五朗さん)の妾・なつめがこの世を去りました。
最後に、離れ離れだった娘とも会え、なつめは穏やかにこの世を去りました。
その後、なつめの娘・さわ(野村真純さん)がまひろの元を訪れ、まひろの手伝いをするようになりました。
家事をして、琵琶の稽古をし、姉妹のように2人は仲良くなりました。
ある日、宣孝(佐々木蔵之介さん)が生活の困窮から脱するためにまひろにいい婿を探さねばと提案。
しかし、なかなかいい人物は見つかりません。
兼家(段田安則さん)の妾の子・道綱(上地雄輔さん)から、妾の立場や辛さを聞いた道長(柄本佑さん)は、自分がまひろに言った言葉を反芻していました。
道長から左大臣家との縁談を進めて欲しいと言われた兼家は、左大臣・源雅信(益岡徹さん)を呼び出し、強引に縁談を進めます。
雅信はその強引さに辟易し、娘の気持ちを聞いてからと及び腰です。
しかし兼家は道長を左大臣家に遣いにやり、雅信と道長を対面させました。
強引なやり口に閉口した雅信ですが、道長が帰った後、娘の倫子(黒木華さん)から道長への想いを訴えられ、縁談を進めると約束したのでした。
道長にはもう1つ縁談の話がありました。
姉の詮子(吉田羊さん)が進める源高明の娘・明子との縁談です。
明子は、兼家を深く憎んでおり、兼家に近づくため道長を利用しようとしていたのです。
学びの会で道長がやる気を見せ、今まで自分が一番と自負していた公任(町田啓太さん)は焦り始めます。
しかも、頼りの父が太政大臣を辞めるというのです。
父は、摂政家の道兼(玉置玲央さん)の懐に入り込めと助言するのでした。
庚申待ちの夜、道長からの手紙を受け取ったまひろは、待ち合わせの廃屋に急ぎます。
そこで道長から倫子との縁談を聞かされ、別れを決意します。
本当は、妾でもいい、道長以外の人との結婚など考えられないと答えるつもりだったのに、相手が倫子では…。
まひろは道長に決別を告げ、まひろに拒絶された道長は、その足で倫子の元へ向かい倫子と夜を過ごしたのでした。
前回、第12回「思いの果て」を見逃した方はぜひこちらをどうぞ。
それでは、第13回「進むべき道」のあらすじと感想です。
入内
永祚2年(990年)正月5日、4年前の政変劇で孫である一条天皇(柊陽太さん)を即位させ摂政となった兼家は、瞬く間に息子たちを昇進させ、政権中枢に置きました。
この日は一条天皇元服の日。
加冠役を務めた兼家は政権トップの座を揺るぎないものとしました。
一条天皇元服の20日後、道隆の娘・定子(高畑充希さん)が入内しました。
中関白家の絶頂期の始まりです。
定子は、年下の帝を宥めるように、帝の好きなものを聞き、自分も帝の好きなもの全て好きになります、と宣言。
しかしその中の虫だけは苦手、と打ち明け、帝と打ち解けます。
道兼は、自分の娘である7歳の尊子を入内させようと厳しく言い含めます。
妻はまだ早いと反対しますが、怯える尊子に道兼は厳しく言い聞かせるのでした。
市井の人々に
辻で買い物をしている最中、揉め事を発見したまひろ。
小さな子供たちが男2人に連れらされようとしていました。
母親は染物師に預けると思っていたのに、証文に記されていたのは、布一反で子供1人を売るというものでした。
抵抗する母親は、男に突き飛ばされ蹴られ、それでも子供を取り返そうと必死になって追いすがっています。
まひろが仲裁に入ろうとしますが、証文には逆らえず、それでも子を取り返そうと追いかけると、男に投げ飛ばされ、怪我を負ってしまいました。
結局子供たちは連れ去られてしまいました。
字が読めなかったから起こってしまった悲劇。
まひろは市井の人々に字を教えたいと思うようになりました。
1人2人に文字を教えても人は救えない、とさわは言いますが、1人でも2人でも人が救えるのならばいい、とまひろは決意したのです。
「より良き世の中を求め、あなたは上から政を改めてください、私は民を1人でも2人でも救います」とまひろは道長に誓いました。
翌日、辻にいったまひろは、乙丸(矢部太郎さん)と小芝居をし、民に字に興味を持たせようとしました。
そこで興味を示した女の子にまひろは字を教えるようになりました。
民からの訴状
内裏には、国司の横暴を訴える訴状が数多く届けられていました。
勝手に税を上げ暴利を貪る国司が数多くいるのだろうかと、雅信は信じられない、と嘆きます。
昨年、尾張の民の訴状により国司を変更したばかり、強く言えば通ると思えば、民はいちいち文句を言ってくる、他の国の民も国司の小さな傷を言い立てるようになることは阻まねばならない、故にこの上訴は却下、帝に奏上する必要はない、と道隆は発言しました。
道長はそれに反対。
遠方より都に来て上訴する民の声は切実な思いがあるに違いない、この訴状に居ついて詳しく吟味すべき、と発言します。
民なくば我らの暮らしも成り立たない、と反対します。
道隆の発言に眉をひそめていた実資(秋山竜次さん)は、道長の発言に深く頷きました。
雅信から決定を委ねられた兼家ですが、正気を失い素っ頓狂なことを口にします。
周りも異変を察知しました。
道兼は、兼家が正気を保っている間に後継を決めた方がいいと訴えます。
しかし道隆はそれを拒否。
その夜、道隆は妻の貴子(板谷由夏さん)に、父はもう長くない、父の後は自分が継ぐと宣言、妻にもその心づもりをしておけと命じます。
心づもりはもうできている、明日でも大丈夫、と胸を張る貴子でした。
道兼の不満
道兼は、兄の位と差がついていることに不満を持っていました。
今、中関白家が栄えているのは自分のおかげと道兼は考えていたからです。
父の助言により道兼の懐に入り込んだ公任(町田啓太さん)は、愚痴る道兼に亡き父が言っていた、と前置きし、兼家が一番頼りにしているのは道兼だと訴えたのです。
道兼は深く頷き、今は道隆を重用しているが、兼家は道兼を後継に指名するだろう、と公任が言うと道兼は、そうでなければならない、と呟きました。
自分が摂政か関白になった暁には、公任を取り立てると約束し、蔵人頭である公任に、兼家の言動を逐一知らせるようにと命じたのでした。
道長と倫子の間には一の姫、彰子が生まれていました。
道長は父の様子がおかしいことに苦悩していました。
物の怪にでも疲れたのだろうかと言う道長に、倫子はそれは老いなのだろうと進言します。
兼家も長く戦ってきた、帝が即位し、定子が入内し、気が抜けたのかもしれない、と道長も同意しました。
宣孝(佐々木蔵之介さん)の情報
御嶽詣の土産を持ってきた宣孝は、ド派手な衣装で御嶽詣をしたと話し、まひろや為時を驚かせます。
宣孝は、まひろの婿取りの話を持ってきますが、まひろは誰とも結婚しない、と宣言。
今は子供に文字を教えていてやりがいがある、ときっぱり言い切るのです。
それは稼ぎになるのかと尋ねる宣孝に、稼ぎにはならないが文字を知らないだけで騙されたり不幸になったりする人々を少なくしたいという願いでやっているので、やりがいがあるし楽しい、とまひろは言います。
「実入りがないのに楽しいとはおかしな女子じゃのう」と宣孝も笑うのでした。
為時は宣孝の息子はまひろの婿としてどうかと提案するのですが、宣孝があれはだめ、と取り合おうとしません。
話しを変えるように宣孝は、いい知らせがある、と兼家の具合が悪いことを知らせました。
兼家の目が黒いうちは士官の道はないと言う為時には好機だというのです。
まひろが父は人の死を望むような人ではない、というと、宣孝はそうだな、と言うと、婿取りの話はこれまで、と逃げるように帰っていきました。
いつまでも夫を持たないというまひろを心配した為時。
その真意はどこにある、と問い質します。
言いたくなければそれでもいいけれど、あまり自分の行き先を決めつけない方がいい、と助言しました。
誰かいい人が現れると言いたいのですね、と言うと、為時はそうだ、と深く頷きました。
「実は…」とまひろは、どこかのお屋敷に働きに出たいと訴え、為時は無官の娘では雇ってもらえるかどうかと言いますが、まひろはそれでもやってみます、と言うのでした。
明子(瀧内久美さん)の狙い
道長のもう1人の妻・明子が懐妊しました。
道長から立派な子を産んでくれ、と言われた明子は、兼家の見舞いに行きたいと願い出ました。
それを叶えた道長ですが、対面してもかみ合わない会話に居た堪れなくなり、明子を残して退席してしまいます。
残った明子は、言葉巧みに兼家が持っていた扇を欲しいと強請り、首尾よく貰いました。
そして、それを兼家の呪詛に使ったのです。
兄はその所業を止めるのですが、明子の決意は変わりませんでした。
翌日から夢見が悪く、魘される兼家。
不安になった兼家は、安倍晴明(ユースケ・サンタマリアさん)を呼びました。
自分の寿命はどのくらいかと尋ねても、朝は力が衰え見えない、と答えられ、ならば後継は誰か、と尋ねても、その答えは兼家の心の内にある、それが正しい、と言われてしまうのです。
再会
ある日、一条天皇のところに詮子がやってきました。
帝はかくれんぼの最中で、定子の着物の中に隠れているところでした。
詮子にも一緒に遊ぼうと誘うのですが、詮子は今度またね、と取り合いません。
いつかとはいつだ、と聞いても、いつかです、と厳しく言い切るのです。
手習いの時間になって嫌がる帝に、定子は優しく諭し、手習いが終わったら一緒に遊ぼう、と宥め、手習いに向かわせました。
その一連のやり取りを見ていた詮子は、何をしに来たのか忘れた、また出直す、と言います。
去り際、帝は大人の中で育ったので遊び仲間がいなかった、定子が来てから顔つきが明るくなった、これからも遊んでやってくれ、と強い口調で言う詮子。
定子は「はい」と頷きながらも、その口調に戸惑うばかりでした。
夜、1人廊下に佇む兼家に気づいた道長が兼家に駆け寄りました。
兼家は、道長に民におもねるようなことはするな、と言います。
先日、民を思う発言をしたことを言われたのかと思い、道隆のように民を切り捨てるような政はおかしいと言っただけだと弁明します。
すると兼家は、お前が守るべきは民ではない、と言います。
父上が守るべき政は何か、と聞かれた兼家は、「それは家だ、家の存続だ、人は皆いずれは死に腐れて土にかえる、されど家だけは残る。栄光も誉も死ぬが家は生き続けるのだ。家のために為すこと、それが儂の政である、その考えを引き継げる者こそ儂の後継と思え」とはっきりとした口調で言い切りました。
まひろは各家を回って女房としての職を得ようとしていましたが、やはり無官の娘では、と雇ってもらえません。
学びの会で、まひろは各家を回っていると聞いた倫子は、まひろを呼び出し、自分の家に仕えないかと提案します。
しかし、道長が婿入りした倫子のもとに仕えることはできないまひろは、勤め先は決まったとその誘いを断ります。
倫子は、仕えるのは無理でも、また遊びに来てほしいと言うのでした。
話しの中で、2通の文を差し出した倫子。
それは、かつてまひろが書いた漢詩でした。
漢詩だから、男性からの文かと思ったけれど、これは女の文字ではないだろうかと倫子は不安げに訴えます。
もしかしたら明子からなのかと不安がる倫子。
なんて書いてあるのかわかる?と聞かれたまひろは、作者について語り始めました。
すると倫子はもういい、と諦め、明子とは文のやり取りを交わしていたのか、と悲し気に呟きました。
道長は自分には1通も文をよこさず、庚申待ちの夜にいきなりやって来たのだと倫子は言います。
庚申待ちの夜とは、まひろと道長が密会し、別れた夜のことです。
まひろは、道長がまひろからの文を大切に土御門殿まで持ってきたのかと、感慨深く感じていました。
そこに小さな女の子がやってきました。
2人の子供で、恥ずかし気に倫子の背に隠れてしまいます。
倫子は道長に似て、人見知りしている、と話しました。
道長が帰ってくる前に、土御門殿から帰りたいまひろでしたが、運悪く早く帰ってきた道長と鉢合わせしてしまったのです。
次回、第14回「星落ちてなお」
仕え先を探すまひろ(吉高由里子)は、土御門殿からの帰りに道長(柄本佑)と鉢合わせしてしまう。久しぶりの再会だったが…。ある日、兼家(段田安則)は道長らを呼び、道隆(井浦新)を後継者にすると告げる。道兼(玉置玲央)は納得いかず、激高する。やがて兼家が逝去。跡を継いだ道隆が摂政となり、独裁を始める。一方まひろ(吉高由里子)は、たね(竹澤咲子)に読み書きを教えていたが、厳しい現実が待ち受けていた。
NHK大河ドラマ「光る君へ」公式サイト
倫子に呼ばれた帰りがけに道長と鉢合わせしてしまったまひろ。
道長は厳しい顔をしていましたね。
まさかいると思わなかった人物が家にいたのですから、驚くのも当たり前なのですが…。
なぜまひろが道長から遠ざかったのか、その理由を知るのでしょうか。
最後に
前回から4年後となりました。
道長は2人も妻を娶り、倫子との間には彰子も生まれていました。
道長は順調に出世し、まひろが望む世の中にするために日々邁進していました。
一方のまひろは、生活が困窮していましたが、まひろらしく生きるため、市井の民の為に文字を教えることにしました。
お金を取るでもなく、ただ民の為。
まひろらしい行動でしたね。
まひろと宣孝の会話に変化が見られたように感じましたね。
これまでは娘のように婿を探すと息巻いていた宣孝が、まひろとの会話を楽しみ、まひろの行動を肯定、というか見守るような感じになっていました。
佐々木蔵之介さん演じる宣孝のまひろを見守る優しい感じが今回は強調されていたように感じました。
そういえばそうですよね。
もうそろそろ2人の関係が変わってくる頃ですかね。
どのように変わっていくのか、楽しみですね。
あれだけエネルギッシュに動いていた兼家がずいぶん衰えてしまいましたね。
ピントのずれた会話に驚いてしまいました。
しかも、あれだけいつも自信満々だったにもかかわらず、安倍晴明との対面を終えた兼家の弱弱しい表情、不安に怯える姿は衝撃でした。
栄華を極め、気が緩んだ時に老いが始まってしまったのでしょうか。
歳の流れとは、恐ろしいですね。
今回は印象に残る女性たちがたくさん登場しましたね。
定子役の高畑充希さん。
入内の時は14歳でしたね。
無邪気で明るく、3歳年下の帝と仲良くしようという気持ちがいっぱい伝わってきました。
それから、道長の妻となりながら兼家への恨みを募らせ、まんまと扇を手に入れるとすぐさま呪詛に取り掛かる瀧内久美さん演じる明子女王。
そして吉田羊さん演じる詮子。
もともとはきはきと話す人でしたが、今回はちょっと怖かったですね。
せいぜい遊んでやっておくれ、というのは嫌味だったのでしょうか。
無表情でポンポンと言葉を投げつけられた定子の戸惑いの表情が忘れられません。
さて、次回第14回「星落ちてなお」では、兼家が亡くなり、後継争いが起こります。
長子が後継者となりましたが、野心を燃やす次男は納得がいきません。
少し痴呆が入ってしまった兼家でしたが、政、家について語る時は、かつてのようなはっきりとした口調で話していました。
道長に大切な思いが伝えられて良かったですが、家の為にあれほど頑張ったのですね。
後継に選ばれた道隆にその真意は伝わっているのでしょうか。
次回、第14回「星落ちてなお」巨星・兼家が落ちた後、一体何が起こるのでしょうか。