2021年大河ドラマ「青天を衝け」は、NHK総合にて毎週日曜夜8時から、BSP、BS4Kにて毎週日曜午後6時から、毎週土曜日午後1時5分から再放送が放送中です。
前回のあらすじ
9才になった栄一(小林優仁さん)は、少しずつ父・市郎右衛門(小林薫さん)の仕事について学び始めていました。
父に付いて藍葉買い付けのため、藍葉農家を回るうちに、父がどれだけ人々に慕われているか、父がどれだけ藍玉作りに愛情を注いでいるかを知りました。
村では、この一年の五穀豊穣・悪疫退散を願って祭りの準備が進められていました。
栄一をはじめ、子供達も村祭りを心待ちにしていました。
しかし、岡部藩の代官・利根吉春(酒向芳さん)から1年のうちで一番の繁忙期に街道整備のための人足と御用金を用意するようにと命じられてしまいました。
市郎右衛門は村人の負担を少しでも減らそうと嘆願するのですが、利根の怒りを買ってしまいます。
結局、市郎右衛門の嘆願は受け入れてもらえず、人足100人と御用金を用意することになったのです。
労役をしながらの作業を考えると、とても村祭りをやっている余裕はないと判断した市郎右衛門と東ん家の宗助(平泉成さん)は、村人たちに村祭りの中止を告げました。
楽しみにしていた栄一は激高し、「俺は嫌だ!」と叫び、村祭りの重要性を叫ぶのですが、父たちの苦渋の決断を覆すことはできませんでした。
その頃、江戸の一橋家に養子に入った七郎麻呂改め徳川慶喜(笠松基生さん)は、退屈な日々を過ごしていました。
そんな慶喜に、将軍・家慶(吉幾三さん)は、舞の練習を勧めたのです。
同じ頃、江戸水戸藩邸に謹慎を命じられている慶喜の実父・徳川斉昭(竹中直人さん)の政務復帰を嘆願する文が水戸から届けられました。
文を書いた藤田東湖(渡辺いっけいさん)の思いに深く感動する斉昭。
斉昭は政務復帰を諦めておらず、斉昭の処遇は、慶喜の働き如何にあると、慶喜に期待をかけるのでした。
6月、代官から命じられた労役をこなしつつ、藍葉の刈り取り、蚕の世話と村人たちは奔走していました。
藍葉は時期を逃すと色が変わってしまうために、一気に刈り取る必要があります。
また、蚕も一斉に繭になってしまいます。
男たちが労役に行っている間に、残った女子供で藍葉をできるだけ刈り取り、夕方、労役を終えた男たちは寝る間も惜しんで藍葉の刈り取りを行います。
誰もが疲れきっている中、栄一の母・ゑい(和久井映見さん)は辛い時こそ楽しもうと、村人を励まし、市郎右衛門を支えます。
栄一や子供たちも、父や母の助けになろうと必死に手伝っていました。
そんな中栄一は、母の「あんたが嬉しいだけじゃなく、皆が嬉しいのが一番」という言葉を思い出し、疲労困憊の村人を元気づけるため、あることを思いつき、従兄の喜作に話を持ちかけました。
夕方、労役から戻った父が家で一休みしていると、家の前から笛と太鼓の音が聞こえてきました。
驚いて外に出てみると、栄一と喜作が獅子舞を踊っていたのです。
父が中止を決めた村祭りでしたが、栄一は村の五穀豊穣、悪疫退散を願い、また、村の人々を元気づけるために、舞を踊ったのでした。
栄一の気持ちを汲み取った父も、栄一たちの踊りに参加、祭りを盛り上げたのでした。
それから数年後、成長した栄一(吉沢亮さん)と喜作(高良健吾さん)が獅子舞を踊り、美しく成長した従妹の千代(橋本愛さん)が見守っていました。
成長した子供たちは、尾高惇忠(田辺誠一さん)から剣や水戸学を学ぶようになっていました。
学問を学ぶことは良いことですが、仕事を疎かにしてはいけないと父から諭された栄一は、これまで以上に仕事に勉学にと励みます。
すると、父から仕事を学ぶために、栄一が熱望していた江戸への同行が許されたのです。
江戸に強い憧れを持っていた栄一は、大喜びして、子供のように大声を出しながら喜作のもとへと走っていったのでした。
その頃、立派に成長した慶喜は、家慶から殊の他可愛がられ、次代への期待をかけられていたのでした。
前回、第2回「栄一、踊る」を見逃した方は、ぜひこちらをどうぞ。
それでは、第3回「栄一、仕事はじめ」のあらすじと感想です。
血洗島の渋沢家
血洗島の渋沢家には、多くの職人が集まっていました。
藍の「すくも」作りが始まろうとしていたのです。
乾燥した藍の葉に水を加えながら混ぜ合わせ発酵させます。
それを何度も何度も行うのです。
参加する栄一は、「相変わらずひどい臭い」としながら必死に藍を混ぜ合わせていました。
発酵を初めておよそ百日、「すくも」が出来上がりました。
このすくもを液状にすると、美しい青を出す染料になるのです。
布を染め上げ干した栄一が、出来上がった藍の色に感動していると、父は、いい色が出るのは当然として、その色が長く出なければ良い藍とは言えない、というのでした。
もうすぐ父の商いに同行して江戸に向かう栄一は、喜作と話しながら、江戸へと思いを馳せるのでした。
家康のお気に入り外国人
家康(北大路欣也さん)にはお気に入りの外国人がいます。
一人はマルコポーロ。
ヴェネツィアの商人で冒険家だった彼は黄金の国・ジパングを目指し旅立ったのですが、日本にたどり着くことはできませんでした。
もうひとりは関ヶ原の戦の頃に訪れた外国人・ウィリアム・アダムス。
彼はイングランド人航海士で、徳川家康の外交顧問として三浦按針という名を貰い、家康に仕えていました。
さらにもうひとり、ラナルド・マクドナルド。
彼は英国人と米国原住民との混血で、自分は日本人に似ているからと日本にやってきた人物です。
米国の捕鯨船から小舟で日本に密入国しました。
これからは英語が必要になると感じた幕府は、彼を日本初の英語教師としたのです。
家康お気に入りの彼らは、皆徳川の助けとなってくれました。
そして今、運命の彼がやってきました。
日本の危機を知る
やってきた外国人の名前はマシュー・ペリー(モーリー・ロバートソンさん)。
彼は艦隊を率いて鎖国をしていた日本に来航し、開港を要求した人物です。
ペリーは香港での貿易に旨みを見出した他国を出し抜こうと、今こそ米国の力を見せると勢い込んで日本にやってきたのでした。
アヘン戦争で清国が攻められる様を描いた本を読んでいた尾高惇忠は、日本が今危機に晒されていると強い危機感を持つようになっていました。
惇忠の妹・千代も、惇忠が教える論語を聞き興味を覚えるようになり、兄に教えを乞うていました。
惇忠は、女の身でありながら学んでどうする、と千代の学びに否定的ですが、人として物の理を知りたいという千代の思いを知ると、これからは千代にも学問を教えると約束をするのでした。
栄一、江戸へ行く
この頃、江戸は世界でも最大級の都市として、100万人近い人口を抱えていました。
初めて江戸に来た栄一は、人の多さに、祭りでもしているのかと大興奮です。
キョロキョロとあちこちを見回しながら、栄一は興奮した様子で父に語ります。
「父様、俺は嬉しい、この町は商いで出来ている。お武家様はまるで脇役だ。この江戸の町は商人が作っている」と感動したのです。
しかし、その言葉を聞いて、「聞き捨てならない」と難癖をつけてきた武士がいました。
困った栄一と父は、背を向けて逃げ出し、追いかけようとした武士は、一緒にいた女性に宥められ、何事もなかったかのように日常に戻りました。
その武士の名は平岡円四郎(堤真一さん)。
いずれ栄一と慶喜とを結びつける役割を果たすことになるのですが、それはもっとずっと後のことです。
神田・紺屋町で父の商いを学び、その難しさを栄一は知るのでした。
その頃江戸城では、第12代将軍・徳川家慶が病の淵にいました。
家慶の側で甲斐甲斐しく世話をする慶喜に、家慶は世間では家慶よりも慶喜の実の父・斉昭の方が優れていると言われ、斉昭のことが嫌いだったと告白します。
しかし今、家慶を案じる慶喜の姿を見ていると、斉昭も悪い男ではなかったと思うようになったというのです。
3か月後
血洗島にも黒船来航の知らせが届きました。
浦賀沖に現れた黒い蒸気船に、浦賀の人々は驚きを隠せません。
惇忠はその知らせを聞くと、やはり水戸様の言う通り、日の本は平和ではいられなかった、人心をひとつにして戦わねば、と憂いたのでした。
異国を排除しようと、斉昭は幕府に大砲を献上しました。
それを見た江戸の町の人々は、さすがは水戸様だと斉昭を称えるのです。
斉昭は異国を打ち払う攘夷論を強硬に主張していました。
病に倒れた家慶は、慶喜を呼び斉昭の力を借りて異国を打ち払えと命じます。
そして慶喜に徳川を頼む、と託すと、その十日後に亡くなりました。
幕府は家慶の嫡男・家祥の下に集まり、異国の来航に対しての意見を広く求めました。
幕府は斉昭の隠居を解き、海防参与という役目を与えました。
それを聞いた斉昭は喜び、斉昭の復帰を心待ちにしていた藤田東湖も長きに渡り隠居生活を強いられていた斉昭の復帰を心から喜ぶのでした。
こうした攘夷の動きは栄一の住む武蔵野国にまで及び、岡部に罪人として囚われていた高島秋帆(玉木宏さん)も解放され江戸に呼ばれることになりました。
岡部に来た時は、罪人の籠に入れられてやってきた秋帆ですが、身支度を整え馬に乗る姿は颯爽として、来た時の影もありませんでした。
道の脇に避けて平伏していた栄一ですが、秋帆の姿を見て思わず声をかけてしまいました。
役人からは無礼であると叱責を受けるのですが、栄一がかけた言葉により、かつて牢にいた時に少しだけ話をした子供が栄一だったと気づいたのです。
日の本は危機に瀕している、誰かが守らなければならない、という言葉を告げた栄一の前に立った秋帆は、栄一の目線までしゃがみこむと、あの時、自分は栄一の言葉に力をもらった、と話し始めました。
それ故、ここまで生き延びることができたと。
自分はこの後この日の本のために力を尽くそうと思っている、お前も励め、必ず励め、頼んだぞ、と言うと栄一の肩を力強く叩き、笑顔を残して江戸へと向かったのでした。
こうして幕府の保守派により冤罪で囚われていた長崎の砲術家・高島秋帆は釈放されました。
虫の被害
血洗島の藍葉に大変なことが起こりました。
今年の出来は良い、と思っていたところに、虫がつき多くの葉が食べられてしまったのです。
今年のこの村の藍はもうおしまいだ、と皆が打ちひしがれる中、市郎右衛門は皆を鼓舞して何とか無事な葉だけでも刈り取ろうと作業を急がせます。
栄一も作業に参加するのですが、このままでは藍玉作りに必要な藍葉が足りません。
上州や信州へ行き、買い付けてこなければならなくなりました。
栄一は父を手伝うために、自分も行くと主張するのですが、買い付けには目利きが出来る者が行かなければと、子供扱いされて、置いていかれてしまいました。
その頃、江戸の慶喜は父・斉昭に次の将軍になるようにと強いられていました。
しかし慶喜はその言葉を拒否。
父は自分を傀儡にして自分が将軍として政を行いたいのだと言い募ります。
異国船に対しての意見書も、一橋家の者が素晴らしい意見書を用意したにも関わらず、若輩者の自分がこのようなものは書けないと言い破り捨ててしまいました。
全くやる気が見えない慶喜に、斉昭は困惑します。
そして、慶喜には直言の臣がいないのかと嘆くのでした。
栄一の嘆願
父において行かれた栄一は、母・ゑいに頭を下げ、藍の買い付けに行きたい、と訴えていました。
自分も父の役に立ちたい、と強く主張する栄一に、母は目利きができなければいけない、と諭すのです。
姉・なか(村川絵梨さん)も栄一には無理、と相手にしようとしません。
しかし、栄一は幼い頃から父に付いて商いを学んできたから、目利きはできる、と主張し母に頭を下げ続けたのです。
なかの言葉に頷きながら立ち上がった母の姿に、自分の願いが届かなかったとうな垂れる栄一。
しばらくして母が大金を持って栄一の前に座りました。
無理だと思うけれど、自分の胸が、栄一を行かせろと言っている、と言うと、決して無駄にしてはいけないよ、と釘を指して栄一を信州へと旅立たせたのでした。
信州へ行くと、市郎右衛門がおらず栄一しかいないと気づいた農民たちは相手にしようとしませんでした。
しかし、ずかずかと畑に入り藍葉を見分し、その藍葉に的確な評価と助言をする栄一に対し、見る目が変わってきました。
良い藍葉は高額で買取り、難がある藍葉は安く買う。
それでも農民との信頼関係を大切にして、よくできた藍葉に免じて言い値で買い取ったり、悪い出来の藍葉にはきちんと助言をした後に、次の年のための資金を渡して全部引き取るという、農民の気持ちに寄り添った商いを行いました。
村に戻った栄一に、父は厳しい顔を向けました。
母も父に謝り、栄一も心から謝罪します。
父はただ黙って栄一が買い付けてきた藍葉を見分し始めました。
栄一は父が手に取る藍葉に説明しながら父の言葉を待ちました。
ある藍葉を手にとった父は、いくらで買った、と栄一に問いただします。
栄一の答えに、高く買いすぎだ、その半分でいい、と言いつつ、栄一と同じように、高く買った分、次の年に肥料を買って良い藍葉が作れればいい、と栄一の判断を肯定。
栄一の商いを褒めたのです。
「よくやった」と労われた栄一は、翌日からの買い付けへの同行も許され、大声を上げて喜びました。
江戸の下町では、平岡円四郎が川路聖護(平田満さん)から一橋家の仕官するようにと言われていました。
慶喜の父・斉昭は、慶喜に直言の臣がいないことを憂い、側近を探していたのです。
そこで目をつけたのが平岡円四郎でした。
斉昭の指名による士官に、円四郎は抵抗するのですが、川路に強いられ仕方なく頷いたのでした。
村の大木の根元に喜作と座り込んでいた栄一は、商いは楽しい、と語り、高島秋帆に言われたとおり、自分はこれからも励む、この国のために、と決意を新たにしたのでした。
次回、第4回「栄一、怒る」
栄一(吉沢 亮)は仕事にますます励み、もっとよい藍を作るにはどうしたらよいかと思い巡らせていたが、ある妙案を思いつく。一方、幕府はペリー(モーリー・ロバートソン)の再来航が迫り混乱していた。斉昭(竹中直人)は、次期将軍候補である息子・慶喜(草彅 剛)に優秀な家臣を付けようと、変わり者の平岡円四郎(堤 真一)を小姓に据える。そしてついに、日米和親条約が締結。開港のうわさは血洗島にも届き、栄一たちはがく然とする。そんな中、父・市郎右衛門(小林 薫)の名代として、多額の御用金を申し渡された栄一は、その理不尽さに、この世は何かがおかしいと感じ始める。
大河ドラマ「青天を衝け」公式サイトより
最後に
今回は、血洗島の藍のピンチに立ち上がる吉沢亮さん演じる渋沢栄一がかっこよかったですね。
初めて江戸に行き、大興奮の栄一。
見るもの全てが目新しく興味津々、好奇心旺盛に目を輝かせる姿が印象的でした。
栄一が真摯に商いを学ぶ姿に好感が持てましたし、子供扱いされて悔しがる様子に共感しました。
村の大事だからこそ、栄一の同行を許すわけにはいかない父の決断も頷けるのですが、大変な時こそ父の役に立ちたい、村のために頑張りたいという栄一の気持ちも理解できました。
栄一の懇願に迷いながら行かせる母・ゑいの決断を聞いた時は、安堵のため息をもらしました。
そしてまた、栄一の商いの仕方ときたら。
父・市郎右衛門のように藍葉に必要な物、改良すべき点を指摘しつつ、来年に向けた商い、農民の気持ちの寄り添った温かい商いを行う姿に感動しました。
父が認めるところも良かったですね。
天真爛漫な栄一の素直な表現に顔が緩みます。
それと対比して、表情と感情が読めないのは、草彅剛さん演じる徳川慶喜ですね。
淡々と日々を過ごし、あれだけ期待をかけられているにも関わらずひょいと躱してしまう。
優秀であることを知っているだけに、父・斉昭は歯がゆいのでしょうね。
また、聡明であるがゆえに、父の野望が手に取るように分かり、躱しているのかもしれませんけどね。
堤真一さん演じる平岡円四郎が小姓になることによって、どう変化していくのでしょうか、楽しみですね。
さて、次回「栄一、怒る」では、岡部藩の代官・利根吉春と対決します。
感情表現の豊かな栄一が怒りを爆発させるのです。
村への愛情が強い栄一が、どのように代官に立ち向かうのでしょうか。
ただ、怒っただけでは事は解決しませんものね。
栄一がどのように考え動くのか、また、開国という大事に慶喜はどう動くのか、見所満載ですね。
次回、第4回「栄一、怒る」は、目が離せません。