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青天を衝け 第34回「栄一と伝説の商人」のあらすじと感想とネタバレ

渋沢栄一像
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2021年大河ドラマ「青天を衝け」は、NHK総合にて毎週日曜夜8時から、BSP、BS4Kにて毎週日曜午後6時から、毎週土曜日午後1時5分から再放送が放送中です。

目次

前回のあらすじ

大蔵省の無茶な要求のため、経営悪化に陥った小野組。

大株主である小野組の危機は、第一国立銀行の連鎖倒産も引き起こしてしまいます。

小野善右衛門(小倉久寛さん)は、総監である渋沢栄一(吉沢亮さん)に助けを求めますが、共倒れを防ぐため、栄一は政府よりも先に銀行に担保を差し出すように命じました。

番頭の古川市兵衛(小須田康人さん)は、これまで栄一が古川を信用して無担保で貸し付けを行っていたことに恩義を感じ、出せるものは全て出す、と栄一に担保を差し出しました。

その結果、小野組の犠牲で第一国立銀行は危機を乗り越えたのでした。

しかし、小野組が倒産したことで、三井の三野村利左衛門(イッセー尾形さん)が動きました。

第一国立銀行の全ての株は三井が譲り受ける、など、様々な要求を突きつけてきたのです。

三井の銀行乗っ取りに栄一は怒り、銀行のあり方としてどちらが正しいか、大蔵省に調べてもらう、と宣言しました。

栄一の依頼により、大隈重信(大倉孝二さん)は、アレン・シャンドを銀行に派遣し、西洋式の銀行検査を行いました。

大隈は検査結果を受け、銀行が行っていた三井組への特権の剥奪、そして栄一の総監役を廃し、頭取になることを命じたのでした。

仕事が一段落した栄一は、静岡の徳川慶喜(草彅剛さん)のもとを訪れました。

慶喜は洋装姿になっており、妻の美賀子(川栄李奈さん)と仲睦まじく暮らしていました。

東京の政治の話には興味を示しませんが、栄一の子供の話には笑顔で聞き入る慶喜。

美賀子は、そんな慶喜を心配していました。

先日、平岡円四郎の妻・やす(木村佳乃さん)が静岡を訪れ、未だに世が乱れているのは慶喜のせいだと苦情を言われたというのです。

慶喜は、ご一新で没落した人々を忘れたわけではありませんし、世の人々の不満が自分にぶつけられることを理解していました。

将軍であった頃より今の方が幸せだと思ってもらいたい、と美賀子は慶喜を案じていたのです。

そして、また慶喜様を訪ねていらしてください、と栄一に言うのでした。

機械や綿織物の輸入が増え、円の価値が下がり、日本の金や銀が外国に大量に流れている事態が起こりました。

更に、横浜で生糸の商いをしている渋沢喜作(高良健吾さん)が、横浜の外国商人が蚕卵紙の値が崩れるよう口裏を合わせていると知らせてきました。

この事態は政府も把握していましたが、通商条約により表立って動くことはできません。

あくまで民が解決しなければなりません。

政府の大久保利通(石丸幹二さん)や大隈、伊藤博文(山崎育三郎さん)は、民=渋沢、として栄一に助けを求めることにしました。

栄一は、大久保に呼び出され、国を助けると思って味方になって欲しい、と懇願され、政府に協力することにしました。

内密に政府から資金援助を受けた栄一は、売れ残った蚕卵紙を買い上げて売り控えを実行し、外国商人が根を上げるまで続けるとしました。

買い上げた養蚕紙を焼くと決めた栄一たちは、10年越しの横浜焼き討ちだ、と気勢を上げました。

そして年が明け、渋沢邸には大勢の人が訪れていました。

三井の単独銀行を開業させた三野村に、栄一は祝いの言葉をかけます。

三野村は、今があまりにも金中心の世の中になってしまったと、この先を憂いたのでした。

明治10年、三野村利左衛門は病に倒れ亡くなりました。

西南戦争を起こした西郷隆盛も自刃。

不平士族に襲われた大久保利通も、亡くなってしまいました。

前回、第33回「論語と算盤」を見逃した方は、ぜひこちらをどうぞ。

それでは、第34回「栄一と伝説の商人」のあらすじと感想です。

戦争の後

明治10年、政府と鹿児島の西郷の間で起こった西南戦争に、税収の9割も費やしてしまった政府。

栄一は、なんと馬鹿らしい、と吐き捨てました。

西郷、大久保亡き後の政府の財政は、大隈重信が担っていました。

栄一は大隈に、不換紙幣を見せながら、不換紙幣は全て回収するはずだったはず、なぜばら撒いているのか?と問い正しました。

大隈は、鹿児島戦争に費用がかかりすぎたため、仕方のないことだというのですが、栄一は納得しません。

しかし大隈は、栄一の言葉など聞く耳を持たず、じゃからしか!と怒鳴ると、立ち去ってしまいました。

大隈による積極財政により、景気は一時的に回復、この機にぜひ銀行を作りたいと名乗り出てくる者が栄一のもとに集まってきたのです。

銀行は己の利のために作るものではない、あくまで国益のために作るものだ、と栄一は説明を繰り返します。

三菱の岩崎弥太郎もまた、自身の銀行を作りたいと漏らしましたが、政府の前島密(三浦誠己さん)から、三菱は運輸業に専念して貰いたいと止められます。

国立銀行のトップは確か、前は官僚だったはず、という岩崎に、前島は栄一のことを説明します。

岩崎は栄一に興味を持ちました。

徳川家康(北大路欣也さん)の話

漸く武士は消えましたが、まだまだ栄一が目指す国には程遠い現状。

日本が一等国と認められるには、20年前の不平等条約がネックになっていました。

東京商法会議所設立

政府の大隈や伊藤は、英国公使のパークスに対し、不平等条約の改正は、我が国の世論であると訴えます。

しかしパークスは、日本は見かけが多少変わっただけで、民の声が届いていないではないかと反論します。

民の代表たる組織もないのに世論を集められるはずがない、と伊藤たちの言葉を否定するパークス。

伊藤は、栄一たちを集めて民の代表として商法会議所を作って欲しい、と依頼しました。

今は人手が足りず、そんなことに関わっている時間はない、と集まった人々は否定的ですが、考え込んでいた栄一は、「おかしれえ、伊藤さん、いい機会だ、会議所を作りましょう」と乗り気になりました。

栄一は、以前から商人が集まり知恵を出し合う場を持ちたいと考えていたのです。

反論もありましたが、栄一は今こそ商人が力を合わせるべき、と主張し、この仕組みができれば、官でなく民が日本の代表として堂々と声を上げることができる、民の地位を上げる好機だ、と考えたのです。

そうして、名だたる商人たちが業種を越えて集められました。

運輸業のトップとして名が挙がっている、三菱の岩崎でしたが、第1回の会合に欠席。

集まった人々から批判の声が上がるのですが、栄一は、岩崎はこの先の日本を引っ張っていく商人、外国に負けぬ商売をするためにも、力のあるお方と手を組みたい、と岩崎を絶賛します。

その頃、会合を欠席した岩崎は五代友厚(ディーン・フジオカさん)と面会していました。

商法会議所など、有象無象の集まりになど行きたくない、と愚痴を言うと、五代は「先を越された」と大げさに嘆きました。

自分も大阪に商法会議所を作りたいと考えていたと言いました。

商人同士手を組んで纏まらないと、欧米に対抗することはできない、と五代は言います。

それを聞いた岩崎は、栄一が作った商法会議所に対する考えを改めたのです。

その頃、渋沢家には栄一を慕い学ぼうとする若者たち、書生が住み込むようになっていました。

書生たちは、栄一が米を買い占めているという噂を街で聞いてきたと千代に話します。

貧しい者たちが渋沢邸を襲うという噂まであるといいます。

話を聞いていた千代は、書生たちにもしここが襲われたらどうするか尋ねました。

書生たちは、すぐに警察に駆け込むと答えます。

戦わないのかと問われると、今は文明の世、戦うなど時代遅れ、と笑いました。

千代は、警官が来るまでの間のことはどうするのかと言い募ります。

そして、戦う覚悟を持たない書生たちを一喝します。

理路整然と淡々と諭す千代の迫力に書生たちは平伏し、考えを改めたのでした。

養育院の様子

栄一が東京養育院を訪れた時のことです。

養育院の中は薄暗く、環境はよくありません。

管理人は厳しく、そこにいる子供たちの顔に笑顔はありません。

子供が落としてしまった食事に対し、管理人は激しく叱責します。

それを見ていた栄一は、子供には優しく、と言うのですが、それではわがままになってしまう、と管理人は聞く耳を持ちません。

養育院の話を千代にした栄一は、貧しい者たちが多いのは政治のせい、自分たちは田舎育ちだが、恵まれていた、とこぼしました。

千代は、自分も養育院に行きたいと同行を願ったのです。

岩崎弥太郎と対決

ある日、栄一は岩崎から宴席に呼ばれました。

芸者を何人も呼ぶ豪勢な宴席。

岩崎は、自分も百姓の出であると明かし、かつては役人の理不尽な要求に憤慨していたと話します。

同じような経験をしていた栄一は、岩崎に共感しました。

武士の世は崩れましたが、今の政府の役人の頭は武士のままだと栄一は嘆きます。

岩崎は、これからは金の世だ、といいます。

「おまはんはやたら合本合本と言うけんど…わしが思うに、合本法やと商いは成立せんがではないか。強い人物が上に立ち、その意見で人々を動かしてこそ、正しい商いができる」と言い切りました。

栄一は、

「いいえ、無論、合本です。多くの民から金を集めて大きな流れを作り、得た利でまた多くの民に返し、多くを潤す。日本でもこの制度を大いに広めねばなりません」

と反論します。

「事業は、1人の経済の才覚ある人物が己の考えだけで動かしていくがが最善や!」と叫ぶ岩崎。

「いいや、その人物1人が商いのやり方や利益を独り占めするようなことがあってはならぬ。皆ででっかくなる」という栄一。

2人の意見は根本から違っていました。

その後も激論を交わしますが2人の意見が一致することはありません。

栄一は「私とあなたは考え方が根本から違う、帰らせて頂く」と席を立ちました。

それでも冷静になってもう一度話し合おう、岩崎は声をかけます。

困惑する栄一を、廊下の奥から手招きする人物の姿が見えました。

栄一は厠に行くと言い、部屋から出てその人物に近づくと、それは平岡円四郎の妻・やすでした。

久しぶりの再会を喜ぶ栄一。

やすは芸者に三味線を教えており、岩崎の宴席に呼ばれた芸者たちが渋沢をもてなす、と聞いてもしや栄一ではないかと覗きに来たのです。

岩崎との会合で、栄一が困っていると見たやすは、栄一に裏口から出るよう促しました。

「あんたはあんたの道を行きな」と言う言葉に頷いた栄一は裏口に急ぎました。

やすは「いい世にしておくれよね」と声をかけます。

「あの人のためにも」やすの言葉に、栄一は亡き円四郎(堤真一さん)の姿を思い出しました。

「おめえはおめえのまま生き抜け、必ずだ」

栄一はやすに向き合うと「粉骨砕身致します」と約束し、足早に立ち去ったのでした。

栄一が帰ったと知らされた岩崎は、口説きがいのある男だ、と不敵に笑ったのでした。

これが岩崎と栄一の激しい闘いの幕開けでした。

日本の経済が発展する中、成功する家もあれば、没落する家もあります。

羽振りの良かった伊勢八が没落しました。

娘の兼子(大島優子さん)は、芸者となり妹たちの面倒を見ようと置屋を訪ねてきていました。

養育院訪問

栄一と千代は養育院を訪れました。

千代は栄一と離れ、子供たちがいる部屋へ向かいました。

おとなしく過ごす子供たち。

そこに世話人の女性が子供たちに要らなくなった服を貰ってきたと部屋に入ってきました。

子供たちは喜んで新しい服を手に取ります。

しかしその服は既にボロボロ、あちこち破れ解れていました。

がっかりする子供の顔を見ていた千代は、貸してご覧、と針を取り出し、解れを直し始めました。

その様子を興味深そうに見ていた子供たちに、千代は「よかったら手伝っておくれ」と針仕事を教えたのです。

千代は、優しく丁寧に子供たちに針仕事を教えます。

すると、1人の女の子が怪我をしてしまいました。

すぐに駆け寄り手当をする千代。

女の子は、痛いだろうに泣くことを必死に我慢しているようでした。

千代は、「泣いてもいいんだよ」と促します。

しかし、女の子は世話人の女性の顔色を伺い、痛みを我慢しています。

「痛かったら泣いてもいいんだ。誰だって、大人だって、子供だって血が出れば痛いんだから、ね」

怪我をした手を優しく握り、微笑みかける千代に安堵した女の子は、徐々に表情を歪め、泣き出しました。

感情を出した女の子を千代は優しく慰めるのでした。

その様子を見ていた栄一は、千代にこれから毎月一緒に養育院を訪れようと提案しました。

「誠の親代わりにはなれなくても、決まって顔を合わせ、親しむようになれば、何かは変えられるはずだ」

その後、千代は、頻繁に養育院を訪れるようになりました。

一方、栄一はガスや電気など、人々の暮らしに役立つ事業を発展させていきました。

グラントの来日

その最中、岩倉具視(山内圭哉さん)伊藤からアメリカ前大統領・グラント将軍が来日するという情報がもたらされました。

「これは日本が一等国として認められる好機、また、20年来の不平等条約改正の糸口を見つける千載一遇の好機でもある」と岩倉はいいます。

来日に際し、政府だけでなく民からも歓迎のもてなしが必要と伊藤はいいます。

栄一は、「官と民がひとつとなって前大統領を歓迎することができれば、必ずや認められる。新しい日本の力を外国に示しましょう」とやる気を漲らせました。

家に戻った栄一と喜作は、千代、よし(成海璃子さん)、うた(小野莉奈さん)に将軍家のもてなしを頼みたい、と告げました。

「一等国では男と女が表と奥とで分かれたりはしてねえ。公の場に夫人を同伴するのは当たり前なんだい」と栄一は説得します。

千代やよしや娘・うたにも国の代表として将軍一家をもてなしてもらいたい、と喜作が言うと、よしやうたは戸惑い、難色を示します。

千代は「およしちゃん、頑張んべえ。おなごの私たちが大事な仕事を頂いたんだい」と2人を鼓舞したのでした。

次回、第35回「栄一、もてなす」

アメリカ前大統領・グラントの来日が決まり、栄一たちが民間を代表して接待することになった。栄一は、夫人同伴が当たり前の西洋流を採り入れようと、千代やよしにも協力を願い出る。そこに、大隈綾子や井上武子ら政財界の婦人も加わり、西洋式マナーの習得に悪戦苦闘する。官民あげた歓迎は順調に進むが、数日後、グラントが“渋沢家に行きたい”と言い出す。渋沢家では、千代が中心になって、グラントを歓迎するための準備が始まった…。

大河ドラマ「青天を衝け」公式サイトより

グラント一家を華やかにもてなす千代たち女性たちの活躍が楽しみですね。

誠のもてなしとは人の温かい心、と悟った栄一のもてなしとは一体どんなものになるのでしょうか。

その裏で渦巻く国益と私欲。

岩崎弥太郎がまた何か仕掛けてくるのでしょうか?

千代が興奮したようにぐるぐるします!というところ、可愛いですよね。

次回、第35回「栄一、もてなす」も見所が満載ですね。

最後に

今回は、千代の優しさ、暖かさ、芯の強さ、凛々しさ、に感動しました。

橋本愛さん演じる千代は、常に控えめでありながら芯の強さを感じる、懐の広い素晴らしい女性でした。

今回は、それが特に強調されていて本当に素晴らしかったです。

書生たちに畳み掛けるように訓戒する姿は凛々しく、さすが武士の妻、嫡男の嫁、という感じでした。

養育院での優しい様子は、理想の母の姿でした。

決して押し付けがましい優しさではなく、子供たちに寄り添う優しさ。

強がって無理して我慢している子供に感情を出すことを教える姿。

本当に理想の母ですよね。

その後も、頻繁に養育院に行くようになる千代ですが、渋沢家でもくにや他の人々と共に着物を仕立てたり、仲の良い様子が伺えました。

栄一にとって、千代は本当に理想の妻だと、無くてはならない存在なのだと実感しました。

それから、中村芝翫さん演じる岩崎弥太郎と栄一が対決するシーンは見ごたえがありました。

声の力、目の力、全身で栄一を懐柔しようとする岩崎弥太郎の力強さを感じました。

栄一も随分頑張っていたのですが、声を失った場面がありましたね。

そこを見逃さず、畳み掛ける岩崎。

見ていて非常に息詰まる対決でした。

困っていた栄一ですが、やすに助けられて一安心でした。

亡き夫・円四郎の意思を継ぎ、栄一に未来を託したやす。

その際に、円四郎の回想シーンが出てきたのは嬉しかったですね。

堤真一さん演じる平岡円四郎は、栄一の根幹を支える人ですよね。

円四郎が亡くなった時の喪失感は尋常ではなかったので、回想シーンが入ってくれるのはとても嬉しかったです。

後に、栄一の2番目の妻となる兼子も登場してきました。

どんな出会いになるのか、今から楽しみではありますが、それは千代の退場にも繋がってしまうので、今からちょっと恐ろしいです。

さて次回、第35回「栄一、もてなす」では、日本の女性たちが活躍します。

華やかな歓迎レセプションの裏で、暗躍する男たち。

その裏と表の対比がどんな表現になるのか、次回も楽しみですね。



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