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青天を衝け 第37回「栄一、あがく」のあらすじと感想とネタバレ

三菱財閥の創業者 岩崎弥太郎の銅像
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2021年大河ドラマ「青天を衝け」は、NHK総合にて毎週日曜夜8時から、BSP、BS4Kにて毎週日曜午後6時から、毎週土曜日午後1時5分から再放送が放送中です。

目次

前回のあらすじ

三菱の一人勝ちを打破するために、渋沢栄一(吉沢亮さん)は合本による運輸会社を設立しようとしたのですが、三菱の岩崎弥太郎(中村芝翫さん)による妨害工作により挫折してしまいました。

更に、栄一が院長を務める養育院についても、東京府会において縮小するよう突きつけられてしまったのです。

思い通りに進まない現実に疲れた栄一は、かつて岩崎に「経済には勝つ者と負ける者がある。おまさんの言うことは理想が高くとも所詮は御伽噺だ。才覚ある者が力尽くで引っ張らんと、国の進歩はないき」と言われたことを反芻していました。

その頃、旧宇和島藩主・伊達宗城の勧めでお見合いをした長女・うた(小野莉奈さん)の結婚が決まりました。

仲睦まじい2人の様子を眺めた栄一と妻の千代(橋本愛さん)は安心したのです。

北海道の官営工場が不当に安く五代友厚(ディーン・フジオカさん)に払い下げられるとの記事が出て、政府と五代に批判が集まっていました。

根も葉もないことを記事にされた伊藤博文(山崎育三郎さん)や井上馨(福士誠治さん)は憤り、政府の中でそれにただ1人反対した人物として、大隈重信(大倉孝二さん)の株が上がっていました。

三菱と関係を深めている大隈を苦々しく思っていた伊藤は、この機に政府から追い出そうと密かに御前会議を開き、大隈罷免を採決したのです。

こうして、大隈は辞表を出すことになりました。

ある日、井上と益田孝(安井順平さん)が栄一のもとを訪れ、もう一度合本による風帆船会社を作るよう提案しました。

北海道、東京、越中の合本です。

資金のおよそ半分は政府が出すと井上は言います。

失脚した大隈が、三菱を資金源にして新たな政党を立ち上げ、政府に対抗しようとしていました。

その資金源を断つために、三菱をどうしても潰す必要があるのです。

こうして、新たな共同運輸株式会社が立ち上げられることになりました。

春、長女・うたが嫁ぎました。

婚礼の夜、栄一は若い2人が羨ましい、と千代に愚痴を零しました。

正しいことをするために突き進んだ若い頃、しかし今は、正しいと思うことをするために、正しいとは思えないことをする汚い大人になってしまった、と。

千代は、栄一の言葉を受け止め、それでも栄一の心根が誰よりも純粋で温かいことを知っている、そして今までの頑張りを亡き両親も褒めてくれる、と励ましたのです。

千代も同じく褒める、と聞いた栄一は、それなら自分も励もう、と力づけられたのでした。

ある日、千代が流行病のコレラにより病の床につきました。

感染力が強いため、子供たちと隔離された生活を余儀なくされた千代。

臥せった千代を栄一は献身的に看病します。

しかし、病は急変し、栄一の「行くな、死なないでくれ」という願いも届かず、千代は永眠してしまいました。

感染を防ぐため、千代の遺体はすぐに焼かれ、栄一はその炎を虚ろに眺めていました。

死に目に会えなかった子供たちは取り乱し悲しみにくれています。

栄一も魂が抜けたようになり、千代がいなくなった部屋を虚ろに眺めていたのでした。

前回、第36回「栄一と千代」を見逃した方は、ぜひこちらをどうぞ。

それでは、第37回「栄一、あがく」のあらすじと感想です。

栄一の悲しみ

千代の死から3か月が経ちましたが、栄一の悲しみは癒えません。

それでも仕事に励む痛々しい栄一を見ていた喜作や井上は、栄一に新しい妻が必要と考えました。

栄一がこれまで頑張ってこられたのは千代の内助の功があってこそ。

栄一には新しい妻が必要だと考えたのです。

京都出張の折に、静岡の徳川慶喜(草彅剛さん)を訪れた栄一は、千代の死の際に、慶喜が送ってくれた香典に対し感謝を伝えました。

慶喜は、先日2回目の留学から昭武が戻ったことや、川村恵十郎が来て昔を懐かしんでいたことなどを話しました。

栄一はそれを聞き、涙がこみ上げえきたのでした。

共同運輸会社

政府は三菱に対抗するために作られた共同運輸会社を応援しています。

岩崎と大隈は、その活動を阻もうとしましたが、当時の世論は共同運輸に味方していました。

それに酷く立腹する大隈でしたが、岩崎は「売られた喧嘩は正面から買うちゃるき。この機に更に三菱を大きゅうしちゃる」と決意をにじませました。

それから、三菱と協同運輸の激しい争いが始まりました。

栄一は旅客に的を絞り、株主優待制度や客あしらいの改善にも取り組みます。

三菱が運賃を1割値下げすると聞けば、共同は2割と値下げ競争が激化していきます。

栄一の後妻

この頃、栄一は周囲の勧めで再婚することになりました。

数年前に没落した豪商・伊勢八の娘・伊藤兼子(大島優子さん)です。

栄一は兼子に「渋沢家の家政を任せたい。特に嫡男の篤二はまだ小さく母親が必要だ。また、財界や政府に世話になっている方が数多くいるゆえ、その方々や家族とも上手く交際し、万事抜かりなくやってもらいたい」と告げたのです。

栄一の表情は暗く、とても妻を迎える者の表情ではありません。

兼子はそんな栄一に言葉を失いました。

長女・うたは、長く一緒に暮らしたくに(仁村紗和さん)ではなく、他の人が後妻に入ることに不満を持ち、栄一に疑問をぶつけました。

くにでは栄一の妻として表舞台に立つのは荷が勝ちすぎている、と栄一は答え、うたに頼りにしていると告げるのでした。

数か月後、うたこが男の子を産みました。

栄一は千代に見せてやりたかった、と涙を流します。

兼子はうたを労い、篤二に寄り添おうとしますが、篤二は兼子に懐きません。

その頃、東京府会では、東京養育院が廃止されようとしていました。

栄一は反論するのですが、府会の委員たちは貧民がどうなろうと知ったことではない、と聞く耳を持ちません。

千代が力を注いでいた東京養育院について、栄一は胸を痛めていました。

岩倉具視(山内圭哉さん)が病に伏せっていました。

三条実美(金井勇太さん)に風を送ってもらいながら、自分たちが考えていた世の中とは違うようになってきている、と嘆きます。

そして井上を呼び寄せ、「お上は民を愛しておられる、日本は他のどの国とは違う、お上の下での国家を作らなあかんのや」と喚くと、岩倉は亡くなりました。

両社の戦い

共同と三菱の熾烈な争いは続いていました。

栄一は船員の給料を上げろ、船の速度を上げろ、と戦い続けます。

岩崎も、運賃をとことん下げるよう指示を出します。

今は利益よりも栄一との戦いに勝つべき、と岩崎は躍起になっていました。

そんな時、岩崎は胸を抑えて苦しみだしたのです。

心配する弟・弥之助(忍成修吾さん)に大丈夫だと告げながら、栄一がこだわる合本の仕組みを使って、栄一に一泡吹かせることができる、と奥の手を伝えたのです。

両社の争いを心配した五代が栄一を訪ねてきました。

そして、三菱と協定を結んだらどうか、と提案したのです。

この熾烈な戦いで、両社とも多大な損失が出ています。

更に、岩崎は共同運輸の株を買い集めており、もう既に過半数は三菱のものだというのです。

栄一の合本の仕組みを使って、三菱は共同を乗っ取ろうとしていたのです。

五代は、三菱が政府の任を一手に引き受けていたのは、政府の思惑もあってのこと。

それを大きくなりすぎたからといって潰そうとするのは余りに無情。

こんな争いは不毛。もし共同が勝って三菱が倒れたとしても、今度は共同が第2の三菱になるのは知れたこと。「まちっと大きな目で日本を見んか!」と栄一たちを諭します。

しかし栄一は、五代がそれを言うのか、と反発。

これは岩崎の独裁と自分の合本との戦いなんだ、戦いを辞める気はない、刺し違えても勝負をつける、と全く引きませんでした。

栄一は伊藤博文のもとを訪れると、三菱の独占を批判し、政府による制裁を加えて欲しいと進言します。

伊藤は、そんな栄一がおかしいと指摘しました。

「己を正しいと主張するのは構わん。だが、その正しさを主張したいがために、敵の悪口をあれこれ上げ連ねて言いふらすというのは、それこそ卑怯千万なやり方ではなかろうか。君は人から立派な人物と言われている。おそらく君自身も自分は正しいと、立派な考えを持っていると思っている。そういう君からして、このように卑怯な事をするようじゃ、困るんじゃ。少し慎め」と言うのです。

まあ、自分も裏から岩倉をつついて大隈を追い出したんだが、と言う伊藤。

自分が大隈を追い落としたのは、大隈が急ぎすぎていたため。

自分は1年半もかけて憲法を調べてきた、自分は日本独自の憲法を作る、国民が育てば議会を作る、民意を取り入れたいと思っている。

大久保も西郷も岩倉も、日本のためによく働いてくれた。

漸くこれからが新しい日本のスタートだ、と伊藤は告げたのです。

栄一は、結局一番大きな目で日本を見ているのは伊藤なのか、と呟いたのでした。

病に伏した岩崎弥太郎は、渋沢はまだ音を上げないのか、と言い、弟・弥之助に後を託しました。

「国のためやき、日本を一等国に、世界の航路に日本の船を」と言い、亡くなりました。

大隈はその知らせを受け、項垂れました。

栄一は、すぐにはその死を信じられませんでした。

更に五代も体を壊し、もう長くないとの噂があるのです。

その五代が、病を押してやってきました。

「もはや、体が言うことを聞かんくなってな。おいは大阪に戻って治療することにした。じゃっどん、そん前に岩崎君のためにも双方の話を聞いておきたか。正直に言ってくれ。今競争、このまま続けたら三菱は後どれだけ持つ?」

三菱は「1年です」と答え、共同は「100日です」と答えました。

「それが本当だったら三菱は勝てるだろう。けんど、勝ったち満身創痍や」と岩崎弥之助は言います。

そうなったらまた外国の汽船会社がやってきて、日本の海運は再び外国が牛耳ることになってしまいます。

栄一は「もう…、他に道はないようだ」と言うと、立ち上がり岩崎弥之助に手を差し、握手を交わしたのです。

こうして、両社は2年半に渡る戦いを終え、合併することになりました。

栄一は、五代に感謝を伝え、早く体を治して欲しいと告げます。

五代は、「おいが死んでもおいが作ったものは残る。青天白日、いささかも天地に恥じることはなか。…じゃっどん、見てみたかった。こいからもっと商いで日本が変わっていくところを、こん目で見てみたかった」と呟きます。

そして、「渋沢君、日本を頼んだど」と栄一に後を託したのです。

その年の秋、五代友厚も亡くなりました。

兼子の決意

栄一の後妻・兼子が栄一に離縁を申し出ました。

「私はかつて妾にだけはなりたくないと思っていました。その願いは叶い、妻として斯様に立派な方に嫁げると喜んでおりました。しかし妻であれば女の矜持が守られると思っていた私は愚かでした。あなた様の心は未だ前の奥様にあります。私は望まれて妻になりたいなどと馬鹿げたことを言うつもりは毛頭ございません。しかしそれでも、幾ばくかの情がなければ妻にはなれません。子もできません。篤二さんも私には懐いてくださいません。きっと私は一生かけても奥様の代わりにはなれません。どうか、離縁してください」

そう言って頭を下げた兼子。

栄一は「それは、許さねえ…。いや…、違う。許してくれ」と頭を下げました。

「俺はちっとも立派じゃねえ。いつも日本のためだとかなんとか言って目の前の事しか見えていねえ。目の前のことをやるのに精一杯だった。それをいつも、とっさまやかっさま、一橋や千代に守られてどうにかやってきたんだ。だから頼む。これからは俺をもっと叱ってくれ。尻を叩き、時には今のように捨ててやるぞ、このへっぽこ野郎と罵ってくれ。俺はどうしてもこの家を、家族を守りたい。どうか力を貸してください」と頼んだのです。

兼子はそんな栄一にほだされ、「分かりました。これ以降もよろしくお願い申し上げます」と了承したのでした。

栄一が兼子とまともに向き合った瞬間でした。

廃止の危機にあった東京養育院は、兼子と協力して栄一自らが経営することにしました。

厳しい経営状況でもなんとかやりくりしなければなりません。

兼子は、鹿鳴館で、政府高官の妻たちがバザーを開いたと知らせました。

栄一は「よし、兼子。我々もバザーをやろう。政府の高官や財界人を出来るだけ集め、寄付を募るんだ」とやる気を見せました。

うたも兼子に協力を申し出ています。

栄一は、かつて千代が子供達と楽しそうに裁縫していた姿を思い返し、「お千代、見ていてくれ」と、千代が力を注いだ養育院を守る決意を固めたのでした。

明治18年冬、日本に内閣制度が発足。

伊藤博文が初代内閣総理大臣に就任しました。

3年後には大日本帝国憲法が発布され、天皇を国の元首としながらも伊藤たち元老が政治の主導権を握ることになりました。

兼子との間に2子も生まれ、私生活も順調。

そんな2人の睦まじい様子を嫡男・篤二(泉澤祐希さん)がじっと見ていました。

次回、第38回「栄一の嫡男」

栄一や旧幕臣たちは、徳川家康の江戸入城三百年の節目を祝う「東京開市三百年祭」を開催。昭武らと再会し、旧交を温める。栄一の気がかりは、汚名を被ったまま静岡でひっそりと暮らす慶喜のことだった。一方、渋沢家では、息子・篤二が、跡継ぎの重責から逃れるかのようにある過ちを犯してしまう。栄一は、篤二を退学させ謹慎を命じる。そして、明治27年夏、日清戦争が起こる。

大河ドラマ「青天を衝け」公式サイトより

徳川家家臣が集まり、旧交を温めます。

久しぶりに幕臣たちが集まりますね。

幕臣たちがどうしているのか、とても気になります。

そして、栄一の嫡男・篤二の様子が気にかかります。

立派な人、と言われる父を持つ篤二の苦しみ。

そして、嫡男・篤二の過ちを罰する父・栄一の苦しみ。

栄一たち家族に試練がやってきます。

次回、第38回「栄一の嫡男」、篤二の苦しみと戦争の恐ろしさ、しっかりと目に焼き付けようと思います。

最後に

千代を失った栄一の硬い、頑な態度に目が引き付けられました。

栄一にとって、どれだけ千代が心の支えだったのか、栄一の表情を見るだけで分かりました。

それだけ、喪失感が大きかったのですね。

千代のいない食卓、会話のない室内、家族にとって千代とはどれほど大きな存在だったのでしょうか。

それでも、財界は栄一の更なる活躍を期待して後妻を勧めてきます。

そうしてやってきた伊藤兼子。

早すぎる再婚に家族からもあまり受け入れられず、栄一の心も千代にあります。

この状況はかなり辛かったでしょうね。

後妻に望みながら家政にしかその存在を求めないのは女性としてとても辛かったと思います。

まあ、それも、兼子が突きつけた三行半によって、改善されましたが。

終盤では兼子も渋沢家の奥様として堂々としていましたし、うたとの関係も良好。

もちろん、栄一も兼子を頼りにしている様が見えて、安心しました。

最後の、千代の姿を思い浮かべた時に見せた栄一の優しい、慈しむような表情を見て、千代への愛情が変わらないことにも安心しました。

今回は、三菱との戦いが非常に見応えがありました。

どちらも一歩もひかぬ戦いに、ハラハラしましたね。

意地の張り合いのようにも見えましたが、満身創痍でも一歩も引かない姿は凄まじかったです。

死の直前まで日本を一等国にする、という中村芝翫さん演じる岩崎弥太郎の執念に驚き震えました。

余談ですけど、岩崎弥太郎の銅像と中村芝翫さん、そっくりでしたね。

再現力が素晴らしい。

感動してしまいました。

後、今回はディーン・フジオカさん演じる五代友厚の仲裁に癒されました。

栄一と弥太郎の戦いを大きな目で見て、心配する五代。

両方を公平な目で見て、日本のために動く人。

病をして苦しい中、双方を取り持つために動いた五代に、感動しました。

元々、先見の明もあり、新しいことに飛び込む好奇心もあり、行動力もある五代友厚。

栄一にかなり刺激を与えていましたね。

最初は敵対心を持っていた栄一も、五代に触れ、友として、同じ商人として認め合う仲になりました。

そんな五代さんが物語の中から退場してしまったのは、残念ですね。

もうそろそろ終盤ですから、登場人物の死は避けては通れないのですが、このところナレーションで語られる死があまりにも多くて、悲しくなってしまいます。

岩倉さんも逝ってしまいましたしね。

よいキャラクターでしたのに、さみしいです。

さて、次回第38回「栄一の嫡男」では、嫡男・篤二の素行について問題視されてしまいます。

渋沢栄一、という名が知られた父を持つ子供は、確かに苦しいことも多いでしょうね。

結局、篤二は廃嫡されてしまうのですが、それに至るまでの篤二の悩み、苦しみをじっくり視聴しようと思います。

日清戦争も勃発し、暗いことばかりですね。

それでも、栄一の目指す日本になれるよう、栄一が突き進む姿を楽しみにしています。



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