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青天を衝け 第31回「栄一、最後の変身」のあらすじと感想とネタバレ

富岡製糸場
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2021年大河ドラマ「青天を衝け」は、NHK総合にて毎週日曜夜8時から、BSP、BS4Kにて毎週日曜午後6時から、毎週土曜日午後1時5分から再放送が放送中です。

目次

前回のあらすじ

岩倉具視(山内圭哉さん)の呼び掛けに応じ、新政府に戻ってきた西郷隆盛(博多華丸さん)。渋沢栄一(吉沢亮さん)は、前方から歩いてくる西郷を見つけ、懐かしげに話しかけました。

そして、西郷に国を1つに纏めて貰いたい、と願ったのですが、西郷は笑って、かえってぶっ壊すことになるかもしれない、と言うのです。

新しく流通させる貨幣の確認のために、大阪へ出張した大隈重信(大倉孝二さん)、井上馨(福士誠治さん)、伊藤博文(山崎育三郎さん)、と栄一。

栄一はそこで、五代友厚(ディーン・フジオカさん)に出会いました。

パリでの采配と静岡での活躍を聞いていた五代は、栄一に興味津々で話しかけるのですが、五代に苦い思いを抱いていた栄一は、硬い表情をしていました。

三井の番頭・三野村利左衛門(イッセー尾形さん)に用意された宴席で、五代に2人で飲みたいと誘われた栄一。

そこで、五代の考えに触れ、自分も同じ考えだと気づきました。

井上に呼ばれた栄一が立ち上がった時、五代は「おはんのいる場所もそこでよかとか?」と問いかけました。

宴席に向かう栄一を不躾に見つめる女中・大内くに(仁村紗和さん)。

亡き夫に栄一が似ていると言ったくには、栄一の破れた足袋を見つけ、繕うと申し出ました。

そして、夜、栄一の部屋に足袋を持っていったくにの腕を掴んだ栄一は、くにを部屋に引き込んだのでした。

明治4年7月、西郷が新政府に戻っても纒まらないまま時は過ぎていきます。

いつまでも続く話し合いに業を煮やした西郷は、こんな話し合いに何の意味がある、と立ち上がると、戦が足りない、と言い放ったのです。

栄一は、西郷が新政府を壊すつもりかも、と考えるのですが、井上は、西郷の意図は廃藩置県にあると言うのです。

廃藩置県とは、今ある藩を廃止して代わりに府や県を置くことです。

井上はすぐにでも飛び出していきそうになるのですが、栄一はそれを引き止め、廃藩置県を実行したら、藩から禄をもらっている士族たちの処遇はどうなるのか、藩の負債や藩札の件など、実行するまでには解決しなければならない問題が多々あると指摘したのです。

井上は、栄一に廃藩置県における諸々のことは改正掛が内密に行うように命じました。

そうして廃藩置県のために、栄一たちは膨大な仕事をこなさなければならなくなりました。

4日後に廃藩置県を控えた栄一たち改正掛は、不眠不休で仕事にかかります。

そして、明治4年7月14日、廃藩置県が実施されました。

この廃藩置県は、世界に類を見ない無血改革として、世界に驚きを持って伝えられました。

この働きにより、大蔵大丞に出世した栄一。

さらに精力的に働く栄一のもとに、大久保利通(石丸幹二さん)がやってきて、軍の運用費について栄一に意見を求めました。

栄一は、巨額を求める大久保に承服できない、と意見を言うのですが、大久保は激高し、改正掛解散を命じてきました。

呆然とする栄一たちを置いて、乱暴に出て行く大久保。

大久保は岩倉に、これ以上大隈たちの好きにはさせない、と言うと、西洋の文化経済を学ぶために岩倉使節団を結成し、欧州へと旅立ったのです。

ある夜、家に戻った栄一のもとに、父危篤の知らせが届きました。

急いで戻った栄一は、床に伏せる父に、まだ何も親孝行ができていない、と嘆くのですが、父は栄一を誇りに思っている、と告げたのでした。

そしてその2日後、栄一の父・市郎右衛門(小林薫さん)は、家族に見守られる中、息を引き取りました。

父の残した藍玉帳を見ていた栄一は、父の生き様をその帳面に見て、「なんと美しい生き方だ…」と父の生き方を賞賛し、涙を零しながら父を偲んだのでした。

前回、第30回「渋沢栄一の父」を見逃した方は、ぜひこちらをどうぞ。

それでは、第31回「栄一、最後の変身」のあらすじと感想です。

栄一の不貞

父・市郎右衛門の初七日が終わり、おていが夫となる須永才三郎を連れてきました。

栄一は、才三郎におていとこの家を頼むと後を託しました。

栄一は、届いた手紙を読み、顔色を変えました。

その脳裏には大阪でのことが過ぎっていました。

意を決して千代に話があると打ち明ける栄一。

その後、東京の渋沢邸に大きなお腹をかかえた大内くにがやってきました。

千代の姿を見つけたくには、膝をつき「堪忍どす。迷惑かけるよって、1人で大阪で産むつもりやったんどす」と頭を下げるのです。

くにを支える栄一も膝をつき、「すまねえ、腹の子は俺の子なんでえ」と千代に頭を下げます。

千代は冷静に「そうでしたか、お前様のお子が…。そうですか。それなら、おくにさん。おくにさんもお腹の子もここで共に暮らせばよいではありませんか。お前様の子です、共に育てましょう」と微笑みを見せたのです。

栄一とおくには深く頭を下げ、千代に感謝したのです。

そして、1人家の中に戻った千代は、大きく深いため息を吐き出したのでした。

喜作釈放

函館で戦い、獄に囚われていた渋沢成一郎(高良健吾さん)は2年半振りに釈放となりました。

栄一の家に着いた成一郎は、断髪し、さっぱりとした姿になっていました。

家に戻った栄一に、成一郎は差し入れの感謝を伝えます。

「共に村を出た時は、お前とこんなに道を違えるとは思わなかった、でもお互い生き延びたもんだ」と声をかけた栄一に、成一郎は「死ねを文をよこしたではないか、俺はお前がいなくなった分も命をかけて奉公したんだ。それを薩長の政府などに勤め、わざわざ獄に迎えを出すとは、なんの嫌味だい」と怒りを顕にしたのです。

落ち込んでいると思っていた成一郎が思いの外元気だったことに安心した栄一。

それならばと自分も成一郎に「なぜあんなことをした、何が彰義隊だ、何が振武軍だ、何が函館軍だ」と文句をぶつけます。

成一郎は栄一の胸ぐらを掴むと「お前に俺の気持ちがわかってたまるか!」と叫びました。

「俺はお前とは違う!たくさんの死を見た。訳のわからないうちに爆ぜた者も、自ら死を選ぶ者も、砲弾で手足が吹っ飛び、頭蓋骨を砕かれた仲間の姿が今も頭から消えねえ。平九郎のことも…。いっそ、死ねばよかったんだ。しかし、日が経てば経つほど未練が…」と泣き崩れました。

栄一は、「良かった。死なねえで良かった。生きてれば、こうして文句も言いあえる」と言い、成一郎は栄一に抱きつき、生きて戻れたことを喜び合うのでした。

そこに、成一郎の妻・よし(成海璃子さん)が飛び込んできました。

成一郎の無事な姿を見て、喜びの涙を流すのでした。

成一郎は喜作と名を戻し、栄一の推薦で大蔵省で働くことになりました。

経済の新しい仕組みを作るために

大久保が、岩倉と共に欧州に旅立ち、その留守の間にたくさんの改正を行おうと考えていた大隈たち。

しかし、それを見越した大久保は、旅立つ前に約定を用意し、大隈たちに判を押させていました。

その約定とは、使節団が留守の間に新規の改正を行わないこと、でした。

大蔵省がやっていいことは、廃藩置県に関係する処理のみ。

裏を返せば、廃藩置県後の処理であればやってもいい、ということです。

それならば、と栄一はバンクの設立が必要だと主張したのです。

それにしても、今回の外遊に大隈が同行しなかったことに栄一たちは首を傾げていました。

大久保に疎まれている大隈。

外交で大隈に活躍されないようにという大久保の策略でした。

そんな大隈を心配した五代友厚から文が届いていました。

大隈の妻・綾子(朝倉あきさん)は栄一たちにその手紙を見せました。

そこには、大隈の短所が書かれていました。

人の話に我慢して耳を傾ける、己の話だけでなく人の意見を褒めよ、大声で怒鳴るな、せっかちは厳禁、嫌いな人とも付き合わなければいけない、などが書かれてあったのです。

バンク設立のために動き出した栄一たち。

まず、日本での名前をどうするか考えました。

Nationalは国立、だから国立為替会社、国立両替商、銀舗、金舗、金子のことを行うということで金行、しかし今日本がメインに取り扱うのは銀、ということで銀行と決まりました。

栄一は三井組と小野組を集めて合同で銀行を設立して欲しいと依頼しました。

しかし、三井が目指しているのは合同ではなく単独の銀行設立です。

小野組の小野善右衛門(小倉久寛さん)は、そんな三井に反発します。

栄一は、「あくまで民による会社にしたい、よって早急に小野組、三井組の両者合同で銀行設立の支度にかかって欲しい。商人の力をもっと大きくするために銀行を作る。政府ではなく、商人が作る。その仕組みが合本です」と両者の協力を求めました。

しかし、小野、三井の反応はいまいちです。

栄一は、それならば大蔵省は三井組小野組の官金取り扱いを取りやめる、大蔵省は新しく作る合同銀行に為替御用掛を命じるつもりだ、三井小野が小競り合いを繰り返し、銀行一つ纏まらないというのであれば、官金を扱うような大事は任せられない。双方、今預けている官金を全て返納せよ、と宣言しその場から立ち去りました。

そうなったら困る三井と小野は栄一に土下座をして、栄一の言う通りにすると宣言したのでした。

富岡製糸場

喜作は、大蔵省から富岡の製糸工場に派遣されることになりました。

惇忠がフランス人と共に働く姿を見ていた喜作。

あの惇忠がフランス人と働くとは、と驚きます。

惇忠は、腹を割って向き合ってみれば、結局、人と人だった、と笑います。

そして、生き残った以上、前に進まぬわけにいけない、と決意を見せたのです。

三井ハウス

この年の夏、三井組が新しい建物を完成させました。

その完成披露の場に現れた井上は、三井の建てた三井組ハウスが新しい銀行になるのかと楽しげに話します。

三井は、三井の両替店として三井の新しい顔として三井ハウスを考えていました。

それを小野との合同の銀行にするなど寝耳に水です。

三野村は驚いて栄一を問いただしました。

栄一は、新しく建物を建てるのは時間と金の無駄であると話し、三井一門が政府を敵のように断るとはいかがなものか、と反論しました。

ハウスを譲るか、政府の御用から一切手を引くということですか、と三野村は言います。

栄一の言葉に三野村は渋々折れました。

しかし去り際に「しかし、渋沢様もやはりお上のお役人さまでございますな。所詮私たちとは立っている場所が違う。私ら商人が手を組んで力をつけるどころか、これから先も地面に這いつくばったまま。あなた方お上の顔色をうかがうのみ。徳川の世と何も変わりませんな」と言い放ったのです。

栄一は、三野村に言われた言葉に衝撃を受けました。

最初の伝習工女

富岡製糸場が出来上がりました。

しかし、働く工女が全く集まりません。

若い娘を集めて、生き血を絞るつもりか、椅子の下に油を絞る仕掛けがしてあるのではないか、という噂が流れてしまったからです。

もちろんそんなことはない、と惇忠は説明して回りましたが、警戒して誰も集まらないというのです。

困り果てた惇忠は娘のゆう(畑芽育さん)に最初の伝習工女になって欲しいと頭を下げました。

躊躇するゆうですが、惇忠の母・やへ(手塚理美さん)が行ってやったらどうだい、と声をかけたのです。

これまで、男たちは女たちに何も言わず勝手にことをして来ました。

女たちは男たちがすることをただ見守るしかなかったのですが、そんな惇忠が娘に頭を下げているという。

なんだか嬉しいじゃないか、というやへに背中を押され、ゆうは伝習工女になりました。

10月、官営富岡製糸場が操業を開始しました。

ゆうの決心がきっかけになり、多くの工女が集まるようになりました。

翌年には、500人もの工女が集まりました。

富岡製糸場は、女性の社会進出の先駆けとなったのです。

製糸工場を視察した栄一に、惇忠はすごい、と喜作は話します。

昔の自分たちのように、工女たちにも読み書きを教えているのだと話しました。

惇忠の頑張りを側で見ていた喜作は、自分も頑張らなければと奮起し、イタリアに留学することを決めました。

その秋、千代は男の子を出産しました。

東京で暮らすようになったよしは、喜作がイタリアに旅立ったため、頻繁に千代に会いに来るようになっていました。

生まれた男の子に会うために来ていたゑい(和久井映見さん)は、よしが、くにではなく千代が男の子を生んで良かった、という言葉を複雑な気持ちで聞いていました。

新政府内の対立

この頃、政府では予算を握る大蔵省と他の省とが対立を深めていました。

その激しい対立を、西郷は呆れたように眺めていたのです。

その夜、栄一の家に西郷が訪ねてきました。

2人で飲むのは久しぶり、と話す西郷。

あの時は、平岡円四郎の命で折田を探るために入り込んでいたのだと白状しました。

やはり密偵だったか、と笑う西郷。

西郷は、あの時は良かった、と昔を懐かしみます。

橋本左内や平岡円四郎らと慶喜を将軍にしようと奮闘していた頃が一番良かった、と言うのです。

自分が動けばこの国はもっと良い国になると信じていたと言うのです。

しかし、廃藩もなったのに、この先何もいい事がない気がしてならない、と呟きます。

自分のしてきたことは本当に正しかったのか、と考えるというのです。

栄一も、「私も偉くなりたかったわけではありません。静岡を離れ、政府に入ったのは新しい日本を作りたかったからだ。なのに、高いところから物を言うだけの己がどうも心地が悪い。おかしろくねえ」と同意したのです。

西郷は、あの頃の慶喜公(草彅剛さん)に比べたら何でもない、と続けます。

あのような時分に将軍になって、それでもその重荷をものともせず、徳川を立て直した慶喜。その姿はまるで化け物のようで、西郷らは恐ろしくなって必死に慶喜を潰したのだと話しました。

今のままでは慶喜公にも申し訳ない、というと「おはんはおいとはちごう。まだいろんな道が開いちょう。おはんも後悔せんようにな」と言うのでした。

夜、眠る子供たちを見ていた栄一は、慶喜に言われた最後の命を思い出していました。

「渋沢、この先は日本のために尽くせ」と。

そして、決意を固めたのです。

栄一は、千代に大蔵省を辞める、と伝えました。

「やはり俺の道は官ではない。ひとりの民なんだ、今度こそ最後の、最後の変身だ」と告げたのでした。

次回、第32回「栄一、銀行を作る」

栄一は明治政府を辞め、第一国立銀行の総監役として、新たな道を歩み始める。開業後、駆けつけた五代友厚は、“商いは化け物”、魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)していると栄一に助言する。そのころ、三菱を率いる岩崎弥太郎は、大蔵卿に就任した大隈重信と結びつきを強め、海運業で急成長していた。そんな中、ゑいが体調を崩し、東京の栄一のもとに身を寄せることに…。

大河ドラマ「青天を衝け」公式サイトより

栄一が政府を辞め、銀行の総監役になりました。

栄一が手がける多くの事業が始まります。

商人として先に仕事を始めていた五代からアドバイスを受ける栄一。

そんな中、母が体調を崩し東京にやってきます。

くにも同居する中、東京での生活はどうなるのでしょうね。

最後に

とうとう喜作が帰ってきましたね。

髭やら汚れやらで大変やつれていた喜作ですが、断髪してこざっぱりした素敵な姿になりました。

栄一との和解も無事に済んで良かったです。

同じように徳川に仕官したのに、まるっきり道が違えてしまった2人。

それでもこうして元のように戻れて安心しました。

惇忠が手がけた工場が無事に始まりました。

妙な噂により工女が集まらず、娘に頭を下げた惇忠。

母・やへの言葉は胸に沁みました。

確かに、惇忠たちが倒幕に心奪われ迷走していた頃、女たちは何も知らされず、ただ黙って見守ることしかできませんでした。

事が起こってから知り、何も出来ず、どれほど悔しかったことでしょう。

それが、今度はきちんと話して助けを求めてきたのです。

どれほど嬉しかったでしょうね。

これまで静かに耐えていたやへの気持ちがよく伝わってきました。

そして、千代の懐の深さに感動しました。

あの繕いものからある程度予測はしていたでしょうが、何も言わず耐えていた千代。

最悪な形で知ることになりました。

身寄りのないくにを連れて戻った栄一と大きなお腹を抱えて土下座をするくに。

千代はただひたすら冷静に、栄一の子ならば共に育てようと言いました。

微笑みすら浮かべる千代の心情を考えると、本当に栄一の軽挙に腹が立ちました。

しかし、実際の渋沢栄一さんはかなりの艶福家だったのですよね。

今後もこんなシーンがあるのかと思うと、千代の心情を考えると気が重くなってしまいます。

新政府の纒まらない様子を呆れた様子で見ている西郷が印象的でした。

大久保のやり方に反発する栄一、大隈をやり込めようとする大久保。

協力ではなく足の引っ張り合いをしているように見える新政府に腹が立ってきました。

しかし、商人を大切にする、と言っていた栄一のやり方にも疑問を感じました。

上から圧力をかける方法は、武士の時代と何ら変わることはありません。

三野村利左衛門の言葉はさぞかし堪えたことでしょうね。

知らず知らず権力を振りかざすようになっていた栄一に気付かせる素晴らしいシーンでした。

さて次回、第32回「栄一、銀行を作る」では、栄一は官から民に下りてくることになります。

銀行設立を始め、これから多くの事業の立ち上げに関わってきます。

政府にいた頃は、厳しい表情ばかり見せていた栄一ですが、民間になり、おかしろいことを見つけ、また生き生きとした表情を見せてくれるのだろうと思うと、ワクワクしますね。



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