嵐の松本潤さん主演の2023年大河ドラマ「どうする家康」。
脚本は、稀代のストーリーテラー・古沢良太さんです。
毎週日曜BSプレミアム午後6時~、NHK総合午後8時~放送されます。
徳川家康の生涯を新たな視点で描く、スピード感溢れる波乱万丈の戦国エンターテインメント。
こちらでは、大河ドラマ「どうする家康」のあらすじ、ネタバレ、感想をお届けします。
さて、第22回「設楽原の戦い」では、織田の新しい戦法が武田勢を翻弄し快勝します。
しかし、その戦法は、これまでの騎馬による戦いしか知らない徳川勢、武田勢にとって強い衝撃でした。
一体その戦法とは!
前回のあらすじ
武田の歩き巫女・千代(古川琴音さん)を築山に招き、戦いのない世を作りたいと訴える瀬名(有村架純さん)。
千代は瀬名の言葉にぐらつきながら、築山を去りました。
すると、瀬名の娘・亀姫(當間亜美さん)が行き倒れを発見したというのです。
初めは熊か猿かと思ったという毛むくじゃらのその人物は、武田に囲まれた長篠城の鳥居強右衛門(岡崎体育さん)でした。
城主・奥平信昌(白洲迅さん)の命を受け、岡崎に長篠の窮状を知らせに来たのです。
徳川家康(松本潤さん)は、織田の佐久間信盛(立川談春さん)と水野信元(寺島進さん)を呼び寄せ援軍を要請します。
渋る2人に、すぐに援軍をよこさなければ織田と手を切ると宣言して、家康は2人を追い出しました。
すると織田信長(岡田准一さん)自らが大軍を率いて岡崎にやってきたのです。
徳川勢に対し、慇懃に対応する信長に徳川勢は戸惑います。
信長歓迎の宴席において、亀の縁談について、断りを入れようとすると、信長はこれまでの付き合い方を改める、と盟約破棄を宣言し、臣下に下るよう言い渡されたのです。
憤る家康は信長を怒らせてしまいますが、長篠の鳥居強右衛門と亀が必死に取り成し、信長と家康の決裂を防ぎました。
この結果をすぐに長篠に伝えたいと城に戻ろうとした鳥居強右衛門は、帰り道で武田に捕まり、援軍は来ないと長篠城に伝えろと命じられます。
1度は泣く泣くその命に従った鳥居強右衛門でしたが、武田からもろくでなしなどと罵倒され、隙を見て逃げ出し、長篠に向けて、徳川は織田の大軍勢と共に助けにくる、と叫んだのです。
武田はすぐさま鳥居強右衛門を捕まえ磔にし、長篠に見せつけるように処刑したのでした。
その頃、岡崎では織田信長が中心となり、軍議を始めていたのです。
前回、第21回「長篠を救え!」を見逃した方はぜひこちらをどうぞ。
それでは、第22回「設楽原の戦い」のあらすじと感想です。
出陣
幼い頃の信康と亀が築山で遊んでいました。
虫を嫌がる亀に、信康はこれも1つの命、と慈しんでいました。
心優しい信康を思い出していた瀬名。
天正3年(1575年)、長篠への戦いに赴く徳川勢。
信康は、大将首を取ってきてやる、と鼻息を荒くしています。
しかし家康は、「信康、そなたは前には出さぬ」と言います。
前線に出て戦うのは一軍の将の振る舞いではない、信長がいかなる戦をするのか、見て学べと信康を諫めます。
小姓の井伊万千代(板垣李光人さん)は、乱戦になったら自分も参戦すると宣言、信康もそうなれば自分も大暴れすると意気盛んに立ち上がります。
しかし家康は、そんな万千代と信康を諫めるのでした。
動かない信長、焦れる家康
天正3年5月、三河防衛の要、長篠城は武田軍に囲まれ落城寸前でした。
そこに、織田軍3万が到着の知らせが入りました。
奥平信昌は、それを聞き疲弊しきった兵を鼓舞します。
織田・徳川連合軍3万と武田軍1万5千は長篠、設楽原にて戦いが始まろうとしていました。
雨の中、織田勢が行っていたのは馬防柵の作成のみ。
攻め込んでこない連合軍の動きを武田軍は不思議に思います。
何を考えている、信長、家康、と穴山信君(田辺誠一さん)は呟くのでした。
動かない信長に徳川勢も苛立ちを隠せません。
馬防柵ばかりを作る信長に、家臣たちも苛立ちを顕にします。
信康に促され、家康と信康は酒井忠次(大森南朋さん)を連れて信長の陣に出向くことにしました。
信長の陣に付くと、信長は秀吉と碁を打っていました。
どうして攻めかからないのか、こうしている間にも長篠は飢えで苦しんでいる、と憤ります。
信長は、自分からは動かない、武田を追い払いに来たわけでも、長篠を救いに来たわけでもない、そんなに攻め入りたければ徳川勢だけでやればいい、と言い放ちます。
憤る家康を宥めるように、秀吉は声を上げました。
向こうから攻め立ててこさせる手立てがあればいいのだが、と困ったように言うのです。
地図の上に秀吉が落とした碁石が広がりました。
鳶ヶ須山付近に散らばった碁石を見て、酒井は、長篠をぐるっと回って武田の背後から鳶ヶ須山を突く作戦を進言します。
秀吉は「なるほど、啄木鳥でございますな、そりゃ妙案ですわ」と頷きます。
すると柴田勝家が自分が、と言います。
佐久間も秀吉も次々と名乗りを上げ、自分が、と言い出します。
そして、皆が家康を見つめたのです。
仕方なく、「徳川勢に…」と家康が言うと、危険すぎる策故、自分の大事な家臣にはそんなことはさせられない、と信長は言います。
しかし自分の家臣ではない奴がやる分には吝かではないと言うのです。
「自分から言い出したんだ、やり遂げる自信もあるだろうしな」と手のひらを家康に向けたのです。
家康は、徳川勢がやる、と言わざるを得ない状況に追い込まれたのです。
自陣に戻った家康は、猿芝居に怒りを覚え、あんな奴の家臣になど死んでもなりたくない、と言い放ちました。
徳川勢の中で、奇襲には誰が行くかと議論になり、夜の行軍故、このあたりの地理に詳しい者が行くしかない、と酒井忠次が名乗り出ました。
皆に死ぬな、と言われた酒井は、もっと景気よく送り出さんか、と怒り、石川数正(松重豊さん)が海老すくいを歌い始めました。
すると三河勢は全員で海老すくいを歌い踊り、酒井を鼓舞したのです。
しかし初めて見た万千代は唖然としたのでした。
武田勢にその動きは察知されてしまいました。
背後の鳶ヶ須山を落とし、長篠を救うつもりだと山県昌景(橋本さとしさん)は言います。
それと同時に、後ろから武田を追いだし、正面に突っ込ませるつもりだと勝頼は付け加えました。
敵の鉄砲は千を超えると穴山は言い、そんなところに突っ込んだらどうなるか、と肝を冷やします。
引くより他ない、退路を断たれる前に、と穴山は進言します。
信長の陣では、酒井の動きが鈍いことを危惧していました。
武田に手の内は見破られているだろう、勝頼は引くだろうか、と疑問が出ました。
「並みの将であれば引くだろう、もし引かねば、勝頼はとんでもない愚か者か、あるいは…」
翌朝、長篠城では、鳶ヶ須山の砦が攻撃を受けている音が鳴り響いていました。
勝頼の陣では、鳶ヶ須山の砦が落ちたとの報告が入りました。
退却の下知を、と家臣たちが頭を垂れ、勝頼の言葉を待ちます。
退路を断たれそうになった勝頼は、父・信玄ならば十分な勝ち目がない戦いは行わない、だから天下を取れなかった、と言います。
「間もなく逃げ道が塞がれる。正面の敵は3万。待ち構える鉄砲組は千を超える。直ちに引くのが常策である。だが、引いてしまってよいのか。目の前に信長と家康が首を並べておる。このような舞台はもう二度とないぞ。命永らえたい者は止めはせん。逃げるがよい。だが、戦場に死して名を残したい者には今日より相応しきはない。あれを見よ、吉兆なり。我が父が申しておる。武田信玄を超えて見せよと。我が最強の兵どもよ、信長と家康の首を取って見せよ。お前たちの骨はこの儂が拾ってやる」
山県は先陣にと名乗り出て、勝頼は頷きました。
「出陣じゃ!」と勝頼は下知を飛ばしたのです。
信長の戦い
家康は真っ向から突っ込んできた勝頼に呆然とします。
「正気か、勝頼」と呟きました。
するとそこに信長がやってきました。
ここの方がよく見える、見ものが始まる、と言う秀吉。
連合軍に向け、武田の騎馬隊が怒涛の勢いで迫ってきていました。
その頃、長篠城には酒井が到着、長篠は活気を取り戻しました。
信長は、信康に「信康、なぜここに来たのか、と聞いたな、教えてやる。俺は武田を追い払いに来たのでも長篠を救いに来たわけではない、武田を滅ぼしに来たんじゃ。よう見ておれ、これからの戦を」と言いました。
武田の騎馬隊が近づいてきました。
機を見て、信長が合図をすると、馬防柵の間から信長の鉄砲隊から弾が撃ち出されたのです。
一発撃ち、前後を交代し、息を突く暇を与えず、鉄砲が火を噴きます。
武田の騎馬隊は、成すすべもなく、バタバタと倒れていきました。
鉄砲を潜り抜け、馬防柵に上ろうとする兵もありましたが、信長の鉄砲隊は乱れることなく鉄砲を撃ちまくり、武田勢は倒れていったのです。
山県も成すすべもなく、鉄砲に討たれ、落馬しました。
徳川の陣で見ていた秀吉は、「面白いように死んでいく、実に愉快でございますな、これからの戦は戦いだけではない、金持ってる奴が勝つんだ、最強たる武田兵も虫けらの如くだわ」と高笑いを始めました。
喜ぶ秀吉を諫めた信長は、「最強の強者どもの最期を謹んで見届けろ」と言い「武田勝頼、見事なり」と呟くと徳川の陣を後にしました。
秀吉は「者ども、総掛かりじゃ、1匹残らず殺すがや」と下知を飛ばしました。
そして去りゆき際に、「本当に臣下とならんでよろしいので?」と耳打ちをし、背を向けたのです。
戦を見続けていた信康は「父上、これは戦でございますか。これは嬲り殺しじゃ…」と呟いたのです。
戦のあと、先陣を務めた山県勢で立っている者は誰もいませんでした。
陣でそれを見ていた武田勝頼は、無言で采配を下ろしたのです。
設楽原の戦いは終結しました。
臣下として
戦の終結に喜んでいる中、信長は「今後、我らにとって最も恐るべき相手はどこか」と家臣に尋ねます。
佐久間は、次は相模の北条か、それとも越後の上杉か、あるいは陸奥の伊達と言います。
信長は佐久間を止めると、ついてこれない者は置いていく、と言い捨てます。
そして秀吉に、お主はわかっているだろう、と言うのです。
秀吉はしばらく黙った後、猿の脳みそではわかりません、と言い淀みます。
すると信長は、五徳を呼び寄せ、「お主はどうじゃ、わかっているか」と引き寄せたのです。
あのような戦いを見せられてしまっては、もう従うより他はない、織田の軍は自分たちのはるか先を行っている、と徳川家臣団は信長の臣下に下ることを不承不承認めざるを得ませんでした。
家康はよくやってきた、自分たちはこれまで通り、家康にお仕えするのみ、と家臣たちは一致団結します。
家康は瀬名に信長の臣下に下ると謝罪しました。
今川の出である瀬名にとって、織田の臣下となるのは堪えがたいことであると案じる家康に、瀬名はお家の安泰が一番大事、と笑います。
信康にも語り掛けますが、信康はどこかぼんやりとした様子を隠せません。
そんな信康の様子を瀬名は気にかけるのです。
家康と信長は信長の臣下になることを認められ、これからは存分に働いてもらうぞ、と言われるのでした。
二俣城攻めで、信康は機を見て、一気に攻めかかろうと進言し、自ら兵を率いて敵を倒したことを家族に自慢していました。
瀬名は人が変わったように好戦的になった信康を心配します。
家康は、信康は戦の才は自分よりもある、瀬名に似て賢いし、と瀬名を慰めますが、瀬名の不安は拭い去ることはできませんでした。
信康は、戦の夢を見て、魘されるようになっていました。
夜中に飛び起きて、ふらふらと部屋を出る信康を五徳は背中で感じていました。
五徳は信長に言われたことを思い出していました。
「五徳、今後我らにとって最も恐るべき相手は徳川じゃ。この家の連中を良く見張れ、決して見逃すな」と信長は五徳に命じたのです。
深夜、信康は1人で築山を訪れていました。
蹲り庭の虫を眺めている信康。
瀬名が信康に声を掛けると、信康の目から涙が溢れていたのです。
次回第23回「瀬名、覚醒」
瀬名(有村架純)が武田の使者・千代(古川琴音)と密会していると知った五徳(久保史緒里)は信長(岡田准一)に密告。すると信長は、水野(寺島進)が武田と内通していると言いがかりをつけ、家康(松本潤)に処分を迫る。苦渋の末、水野を手にかけた家康は、侍女・於愛(広瀬アリス)に癒しを求めるように。一方、設楽原の戦い以来、心のバランスを失っていた信康(細田佳央太)に、瀬名は秘めてきた大きな夢を打ち明ける
NHK大河ドラマ「どうする家康」公式サイト
戦によって不安定になっていく信康を心配する瀬名は、秘めてきた大きな夢を信康に打ち明けます。
それが破滅の始まりとも知らず。
信長の言いつけとはいえ、五徳の密告により、徳川の家が分裂しかけてしまいます。
於愛という側室もできて、家康と瀬名との間も微妙になってしまいます。
これからの徳川が心配ですね。
次回、第23回「瀬名、覚醒」瀬名の思いが皆に届けばいいのに、と願ってしまいます。
最後に
戦に関して、武器も戦略も、最強と謳われる武田を凌ぐ織田の軍の凄さに圧倒されました。
指先1つで統制が取れる織田の鉄砲隊の粛々たる動きが不気味で恐ろしくてたまりませんでした。
眞栄田郷敦さん演じる勝頼の演説に感動し、果敢に飛び出していった武田勢の無残な死に様に目を覆いたくなりました。
これまでの戦いとあまりに違う戦法に呆然とし、心を壊してしまった細田佳央太さん演じる信康にものすごく共感できました。
1匹の虫にも優しく愛情を向けていた信康が、人が変わったように戦にのめり込む姿を心配する有村架純さん演じる瀬名の気持ちもよくわかります。
苦しい時代でしたね。
これまで、尊大な態度で徳川を苛つかせていた久保史緒里さん演じる五徳ですが、父である信長を怖がる姿は印象に残りました。
あんな風に教育されていたのでは、気詰まりだったでしょうね。
緩い徳川の中にきて、のびのびと過ごせていたのでしょうに、またもや父・信長の呪縛に捕らわれてしまったようで、見ていて気の毒になってしまいました。
父に逆らえない五徳は、これから信康と瀬名を窮地に立たせてしまいます。
五徳からしてみれば仕方のないことですが、夫と義母を売るような真似は苦しかったでしょうね。
ただ尊大だったわけではない五徳の苦しみの1部を見たような気がした回でした。
いつも印象深いムロツヨシさん演じる羽柴秀吉ですが、今回は特に印象に残りました。
陣に乗り込んできた家康たちの前で、わざわざ困っているような演技をし、持っていた碁石を鳶ヶ須山にぶちまけるようにして、家康たちにヒントを与えました。
奇襲を言い出した家康たちに妙案だ、と大げさに言い募り、まるでダチョウ倶楽部のように私が私が、と織田家臣団が言い出し、水を向けられた家康が仕方なく自分が、と言うシーン。
鉄砲の活躍により武田を壊滅状態にし、家康たちに圧倒的な力を見せ、去り際に「本当に家臣にならなくてよろしいので?」と言う秀吉。
戦終結後、今後、織田を脅かす相手は誰か、という議論では、表情を消し、猿の脳みそではわからない、とごまかしたシーン。
何を考えているかわからないけれど、全てを見透かしているかのような秀吉の表情、行動がとても印象的でした。
父を超える、と正面から戦いに挑む勝頼の姿も印象的でしたね。
あの演説、あの気概、武田の猛攻があれば、いつもの戦であれば圧勝だったでしょうに、今回の設楽原の戦いでは、相手が悪すぎました。
戦場を見て、呆然とする勝頼の姿は見ていて苦しくなりましたね。
22回のラストでは、戦の夢で魘された信康が築山を訪れるシーンで終わりました。
心優しい信康の豹変ぶりを危惧していた瀬名の不安が的中してしまったのですね。
この信康を見て、瀬名は覚醒します。
次回、第23回「瀬名、覚醒」では、武田の歩き巫女・千代に、共に協力し合えば何かできる、と言った言葉を実現するために、瀬名が動き出すようです。
それを見逃すほど信長は甘くないのですが、戦のない世を作りたいと奮闘する瀬名の行動を見守りたいと思います。