嵐の松本潤さん主演の2023年大河ドラマ「どうする家康」。
脚本は、稀代のストーリーテラー・古沢良太さんです。
毎週日曜BSプレミアム午後6時~、NHK総合午後8時~放送されます。
徳川家康の生涯を新たな視点で描く、スピード感溢れる波乱万丈の戦国エンターテインメント。
こちらでは、大河ドラマ「どうする家康」のあらすじ、ネタバレ、感想をお届けします。
さて、第38回「唐入り」では、初めての我が子を亡くした豊臣秀吉が、その悲しみを紛らわすためなのか、日本以外の国の領土を求めて唐入りを決めてしまいます。
漸く天下一統を成した後だっただけに、家康たちの受けた衝撃は大きいものでした。
連戦連勝という偽りの報告を真に受けた秀吉の唐入りを阻止するため、家康たちは奔走するのです。
前回のあらすじ
豊臣秀志(ムロツヨシさん)の側室・茶々(北川景子さん)が嫡男を出産。
秀吉はその勢いのままに北条征伐を決定します。
徳川家康(松本潤さん)は和解の道を模索し、進言するのですが、秀吉は北条征伐後の関東は家康に任せるというのです。
家康は、何とかして北条存続を目指し、奔走していました。
北条征伐の采配を家臣に任せた家康は、本多正信(松山ケンイチさん)と秀吉の対応を話し合っていました。
北条征伐後、秀吉が今までの所領に加えて北条領を与えるとは到底思えません。
秀吉が先祖から続く三河の地を差し出させ徳川を弱らせようとしていることは明白です。
家康は、何とかして早期に北条を降伏させ、北条の所領を安堵してもらえるようにと、動き始めたのです。
そして始まった北条征伐。
秀吉に設けられた3か月の期限が過ぎてしまいましたが、北条はまだ籠城しています。
しかし出陣から4か月後、とうとう北条は降伏。
頭首の北条氏直は助命され、首謀者である北条氏政は自害しました。
その夜、家康は家臣を一同に集め、国替えになったと説明。
国替えを阻止できず、しかも、家臣たちに何も伝えなかったことを謝りました。
しかし家臣たちは、本多正信に頼まれた大久保忠世(小手伸也さん)に全てを聞き、全員国替えを納得していたのです。
家臣たちは、城持ち大名となり、次に会うのは江戸、と誓い合うのでした。
前回、第37回「さらば三河家臣団」を見逃した方はぜひこちらをどうぞ。
それでは、第38回「唐入り」のあらすじと感想です。
肥前名護屋城
秀吉の嫡男。鶴丸が病没。
秀吉は、次は何を手に入れようか、と笑います。
秀吉は朝鮮を従え、明国を取ると宣言したのです。
最愛の息子を亡くした秀吉は、次なる野望に向けて、博多の隣の小さな漁村に巨大な城・肥前名護屋城を建造、全国各地から名だたる大名を終結させると、10万を超える大軍勢を朝鮮に送り込み、連戦連勝。
肥前名護屋城は活気に溢れていました。
秀吉は関白職を甥の秀次に譲り、自らは太閤を名乗り、栄華の極みを迎えていました。
次なる野望とは即ち、明国の征服、唐入りでした。
上陸を初めて1か月余り。
日本勢は朝鮮の大半を制圧し、肥前名護屋城ではいよいよ秀吉の唐入りの準備が進められていました。
秀吉は、石田三成と大谷吉継(忍成修吾さん)に朝鮮での戦の様子を皆に示せと命じました。
朝鮮は秀吉に従うことを拒んだため、成敗することになったと言います。
小西行長、加藤清正たち先駆け勢を先頭に、日本勢は次々と上陸し、瞬く間に漢城を陥落、朝鮮国王は逃亡、民は逃げ惑うばかり、遠からず北の都とされる平壌も陥落できるだろうと言います。
次はいよいよ明国攻め、と大谷は言います。
唐入りを果たした後は、大東の都に我が天子様にお移り頂き、皇帝になって頂き、秀吉は寧波に隠居所を作り、大阪の如き商いの都を作るというのです。
100年の乱世を生き抜いてきた自分たちが1つになれば、この世に倒せぬ敵など1つもない、ゆくゆくは天竺、いずれ南蛮も我らのものになる、褒美はいくらでもある、大いに励め、と秀吉は言い放ったのです。
その時、浅野長政は、秀吉をどうかしている、正気の沙汰とは思えない、馬鹿げた戦だ、と非難しました。
取り押さえられた浅野は、なおも、殿下は狐に憑りつかれている、昔の殿下ではない、と叫びました。
家康は、激高して刀を振り上げる秀吉を諫め、浅野には自分からよく言っておく、とその場を取り成したのです。
秀吉は刀を投げ捨てると、この戦は唐のため、日ノ本のためである、と宣言したのでした。
肥前・徳川屋敷にて
存外、浅野と同じ考えを持つ者は多いのかもしれない、と阿茶の局(松本若菜さん)は言います。
日の本の大名を1つにするためには大きな夢を見させなければならないというのが秀吉の考えです。
とはいえ、あまりにも準備不足。
家康は秀吉の行動を危惧していました。
阿茶は、狐に憑りつかれているとは言い得て妙だと呟いたのでした。
家康の宿舎に足利義昭(古田新太さん)が現れました。
初めての謁見の時、家康にかなり失礼な振る舞いをした人物です。
とっくに将軍職を辞職し、出家、今は一万石の所領を持つのみです。
とはいえ、先の将軍には変わりありません。
あちこちに現れてはもてなしを受けているのだと本多忠勝(山田裕貴さん)は言います。
そこに、服部半蔵(山田孝之さん)が見回りから戻ってきました。
変わりはない、と言いながら、島津の陣で気になる噂話を聞いてきたというのです。
藤堂高虎の水軍が敗北したという噂です。
そんな噂は誰も聞いていません。
半蔵は、既に朝鮮に渡っている大名には戦場の様子がいち早く伝わっていると思われる、と言います。
もしこれが本当ならば、自分たちには本当のことが伝えられていないことになります。
事の詳細を知るべく、家康は服部党に情報収集を命じたのでした。
真実
家康は、石田三成を問い詰めます。
秀吉は知らないのか、なぜ、秀吉に伝えないのか、と聞くと、戦の仔細は自分たちが任されている、秀吉に伝えるべきことは自分たちで決める、というのです。
他の所では勝ち続けている、水軍が1つ破れたところで、大局に変わりはない、と言い放った三成。
本多忠勝は、万が一海路を立たれれば、朝鮮にいる日本勢は取り残され、苦しいことになると訴えます。
勝ち進めば進むほど、戦場を広げれば広げるほど戦は苦しくなるに決まってる、と言います。
家康は、少なくとも、秀吉の唐入りは待った方がいい、と進言。
更に、この戦はやるべきであったのか、この戦は難しいと思う、と告げたのです。
それでも三成は、秀吉はこれまで一度も間違った判断をしていない、と断言します。
家康は、今の秀吉はこれまでの秀吉と同じだろうか、間違っているなら止めると言ったではないか、と三成を責めたのです。
家康と三成は、秀吉に唐入りを思い止まるように説得します。
そこに茶々が現れ、自分も唐入りがしたいと言い出します。
異国の言葉を学び、楽しみにする様子を見た秀吉は目を細めます。
しかし、家康の「殿下」という呼びかけにより、茶々を下がらせました。
茶々を退室させた秀吉に、家康は茶々を慰めるために唐入りをするのではないか、と言います。
しかしその言葉に秀吉は激高、勢いよく茶器を払うと立ち上がりました。
家康の言葉を余計なお世話、と斬り捨てると、お前が口出しすることではない、日の本の民のため、明、朝鮮の民のために、唐を斬り従えるのだ、と叫んだのです。
石田三成は秀吉の前に進み出ると、秀吉の代わりに自分と大谷刑部、増田長盛が海を渡り直接采配をする、と言います。
しかし秀吉は歩みを止めず、邪魔をする三成を蹴り飛ばします。
家康も秀吉の前に進むと、唐入りを思いとどまって欲しい、さもなければ自分はここで腹を斬る、秀吉の代わりは誰にもできない、と宣言したのです。
秀吉はその言葉を聞くと、家康を睥睨し何も言わずに立ち去りました。
大政所の死
7月、大政所(高畑淳子さん)が危ないとの知らせが入りました。
秀吉は大政所の見舞いに行くため、残していく茶々に、困ったことがあれば前田利家(宅麻伸さん)を頼れ、と言いました。
大阪城に秀吉が駆けつけた時には、大政所は既に息を引き取った後でした。
ずっと傍に付いていた寧々(和久井映見さん)は、大政所はずっと謝っていた、と言います。
息子が皆に迷惑をかけて、自分のせいだ、自分はあれに何も与えてやれなかった、あれは自分が本当は何が欲しかったのかわからなくなっているのだ、皆に迷惑をかけて本当に済まない、とずっと言っていたというのです。
寧々は、大政所の代わりに秀吉を叱責します。
「これ以上何が欲しい、何が足らん、この世の果てまでも手に入れるおつもりか、たかが百姓の小倅が、身の程を弁えなされ。私は貴方様がこの世の誰よりも才ある方だと信じてきた。だから貴方様と生きる決意を決めたんだわ。なれど、今はそう思わん」
茶々の訪れ
家康の所に、茶々が訪ねてきました。
困ったことがあったら家康を頼れと秀吉に言われたというのです。
家康は、茶々を招き入れました。
茶々は、ずっと家康と話してみたかった、家康は母が慕っていた人だった、というのです。
北の庄城が落城する中、母は最期まで家康を待っていた、と茶々は訴えます。
なぜ駆けつけてきてくれなかったのかと、家康に尋ねました。
家康はあの時はすまなかったと茶々に謝罪しました。
茶々は、ときどき無性に辛くなる、両親を死なせた相手の妻となった事が、と訴えます。
家康は本当の父だったかもしれない人なのだから、自分の本当の父のように慕ってもいいか、守る人が欲しい、と訴えます。
家康も、自分にできることがあれば、茶々を守る、と宣言。
そこに阿茶がやってきました。
秀吉のとりついている狐が家康にも取りついてはいけない、狐を見かけなかったかと尋ねます。
茶々はにこやかな笑顔を作ると、見ていない、と答えるのです。
狐退治に励むように、と言うと茶々は立ち去りました。
朝鮮からの訴え、秀吉との談判
服部党が島津、小西、毛利などの陣から、戦地と直にやり取りしている文を盗み出してきました。
明国から大軍勢の援軍がやってきて、朝鮮での戦はかなり滞っているようです。
兵糧も尽き、敵の抵抗もかなり激しい様子。
そして朝鮮の冬の寒さはこちらの比ではない、と訴える文でした。
真実を知った家康は、これが真の姿か、と呟きます。
半蔵は、かの地は今頃地獄の様相をしているかと、と言います。
家康は、大阪から秀吉が戻ったら進言することにしました。
家康に招かれた秀吉に、家康は茶々を遠ざけろと進言しますが、秀吉は全てわかっているのだと言い、茶々は離さない、と宣言。
茶々様は殿下のお心を惑わすお方、と言い募るのですが、秀吉は激高。
茶々を愚弄するのか、と掴み掛ってきました。
図に乗るなよ、儂は太閤じゃ、その気になれば、徳川なぞすぐに潰せる、と脅したのです。
言われた家康は、「かつての底知れぬ怖さがあった秀吉ならば、そんなことは口にすまい、目を覚ませ、みじめぞ猿」と秀吉を投げ飛ばしたのです。
そこに足利義満が強引に押し入ってきました。
義光は、「将軍だった頃はな、この世の1番高い山の天辺に立っているようでな、下々の者がよう見えた、何もかもわかっておった。そう思っておった。だが、実のところは全く逆でな、霞掛かって何も見えとらん、周りがいいことしか言わぬからじゃ、自分はそうはならん、そう思っておってもなるんじゃ。遠慮なく厳しいことを言ってくれる者がおって、どんだけ助かったか、天辺は独りぼっちじゃ。信用する者を間違えてはならんの」というと伊達の所に行く、と立ち去りました。
毒気を抜かれたようになった秀吉は、家康がずっと羨ましかった、と呟きます。
家康には家康を慕う家臣たちが周りに大勢いました。
自分には誰もいなかった、と呟くと家康に、儂を見捨てるなよ、と頼んだのでした。
家康はその言葉にしっかりと頷きました。
その夜、秀吉は茶々を京に戻すことにしました。
茶々は抵抗を示しますが、秀吉は厳しく「ならん」と告げたのです。
泣き崩れる茶々に感謝を伝え、秀吉は茶々をしっかりと抱きしめたのでした。
そして秀吉は、明国との戦を休止させ、和睦に向けた話し合いを始めたのです。
石田三成たちは、秀吉の望む戦果を出せなかったことを謝罪します。
しかし秀吉は、怒らず、慣れない異国との戦で大義であったと、唐へ渡った大名たちを労ったのです。
そして、家康と利家に明国の使者は2人が丁重にもてなせ、と命じました。
皆が退室しようとした時、茶々からの文が届きました。
その文には茶々が懐妊したと書かれていたのです。
秀吉は、子ができた、茶々がまた身ごもった、と笑い出し、その声がいつまでも響いていました。
次回、第39回「太閤、くたばる」
茶々(北川景子)に拾(後の秀頼)が生まれた。家康(松本潤)の説得により、明との和睦を決めた秀吉(ムロツヨシ)。しかし、石田三成(中村七之助)たちが結んだ和議が嘘とわかると、朝鮮へ兵を差し向けると宣言、秀吉の暴走が再び始まった。都が重い空気に包まれる中、家康は息子の秀忠(森崎ウィン)を連れて、京に隠居していた忠次(大森南朋)を尋ねた。忠次から最後の願いを託され、悩む家康に、秀吉が倒れたとの知らせが届く。
NHK大河ドラマ「どうする家康」公式サイト
せっかく和睦に辿り着いたのに、また秀吉の暴走が始まってしまいました。
朝鮮出兵はどうなってしまうのでしょうか。
嫡男・秀忠と共に訪れた酒井忠次から最後の願いを託されたとありますが、どんな願いを託されたのでしょうか。
天下を取り成され、とか聞こえましたけど、家康が決意を固める時が来たのでしょうか。
次回、第為39回「太閤、くたばる」、家康を苦しめた秀吉がとうとう退場です。
どんな退場の仕方なのか、見所満載ですね。
最後に
唐入りが始まってしまいましたね。
朝鮮での戦闘の様子がわかってきました。
秀吉に告げられなかった真実を家康が探り出してきて、とうとう秀吉に真実を告げました。
今回は、ムロツヨシさん演じる秀吉のその時々に見せる多彩な表情に引きつけられました。
自信の漲った為政者としての表情と、自分の政を非難された無表情でありながら鬼気迫る怒りを感じさせる表情。
武士の魂であるはずの刀を投げ捨てる所は、もう何か壊れてしまっているような気がして、とても恐ろしかったですね。
母が亡くなって見せた悲し気な表情と、妻に叱責された寄る辺のない表情。
家康に対して見せた怒りの表情と、義光に毒気を抜かれて呆然として、自分を見捨てるな、と言った時の表情。
その台詞ごとに表情が変化し、一瞬も見逃せない感じでした。
人の好さそうな優しそうな表情をしたすぐ後に、とても酷薄な表情を浮かべていて、戦慄しました。
次回はとうとうムロツヨシさんの秀吉の退場ですから、本当に目が離せませんね。
今回は、あまり笑えるシーンがなく、和ませてくれたのは、山田孝之さん演じる服部半蔵が情報収集を頼まれるシーンでしょうかね。
せっかく武士として取り立てられ、8千石になったというのに、と言いながらも、頼まれる前にこれが最後ですからね、といい、松本まりかさん演じる大鼠を呼び出しました。
久しぶりにその姿が見られて嬉しかったですね。
呼んだか、と言葉遣いが変わっていなくて安心しました。
指笛が上手くできない半蔵が、諦めて「おい」と呼ぶシーンは最高でした。
ああいう間が本当に絶妙で、凄いですね。
松本潤さん演じる家康は、ずいぶん重厚感が増してきました。
要所要所で家康がビシッと決める所は、良かったですよね。
良かったと言えば、なんで出て来たのかよくわからなかった古田新太さん演じる足利義昭の言葉はとても良かったです。
とんでもない暗君だと思っていましたが、自分が頂点に君臨していたからこその言葉がとても良かったです。
家康に投げ飛ばされた後の秀吉に響いたのでしょうかね。
秀吉はずいぶんと毒気が抜かれたような、放心したような表情をしていたように思えます。
図々しい様子を見せていましたが、秀吉と家康が何に付いて話し合ってるか理解して乗り込んできたのでしょうか。
だとしたら、結構な名君だったのかもしれませんね。
しかし、お市とずいぶん印象が変わった北川景子さん演じる茶々に戦慄しました。
無邪気に妖艶に人の心に入り込むような茶々。
お市の時は、爽やかで潔く、高潔な人物のような印象を受けていました。
北川景子さんの演じ分けは本当に素晴らしい。
同じ顔をしていながら、受ける印象はまったく違うのですから、本当に素晴らしいです。
さて、次回39回「太閤、くたばる」では、秀吉が倒れてしまいます。
朝鮮出兵により、日の本を滅茶苦茶に混乱させておきながら、あの世に旅立ってしまいます。
家康はどうするのでしょうね。
大森南朋さん演じる酒井忠次に何か託されていましたが、一体どうするのでしょうか。
次回、サイコパスな秀吉の退場と家康の進む先に注目ですね。