61作目となる2022年大河ドラマ、「鎌倉殿の13人」が始まりました。
毎週日曜(総合)午後8時、(BSプレミアム、BS4K)午後6時の放送です。
脚本は、43作「新選組!」、55作「真田丸」に続き、大河ドラマ3作目となる三谷幸喜さん。
主役の北条義時を務めるのは、大河出演8作目の小栗旬さんです。
小栗旬さんは、大河出演8作目で、特に44作「義経」では梶原景季役、48作「天地人」では石田三成役、52作「八重の桜」では吉田松陰役、57作「西郷どん」では坂本龍馬役といった重要な役で印象を残しています。その小栗旬さんが満を持しての初の三谷脚本大河の出演で、かつ主役としての登場です。
平家全盛の時代、平家の世に不満を抱く坂東武者たちが流人となった源頼朝(大泉洋さん)を旗頭に、源家再興を目指して平家に挑みます。
見事、鎌倉幕府を開いた源頼朝亡き後、鎌倉幕府を支える2代執権・北条義時を主人公に、鎌倉殿を支える人々を描く物語です。
稀代の脚本家・三谷幸喜さんが、これまであまりドラマで描かれなかった頼朝の死後にスポットを当てて物語を描きます。
「三谷幸喜が贈る予測不能のエンターテインメント!」という魅惑的なコピーが付けられたこのドラマ。
確かに、脚本もキャストも語りも全て魅力的な人々が集まったこの作品、早くも期待大です。
それでは、第1回「大いなる小競り合い」のあらすじと感想です。
伊豆の豪族、北条家
1175年、平清盛(松平健さん)が大権力者として君臨していた日本。
京での役目を終えた北条時政(坂東彌十郎さん)が3年ぶりに本拠地、伊豆に戻ってきました。
時政帰還の宴が開かれ、近隣の武士が多く集まっています。
宴が苦手な義時は、1人蔵に籠り仕事をしていました。
そこに、祖父を同じくする相模の有力武士団・三浦党を率いる三浦義澄(佐藤B作さん)の息子・義村(山本耕史さん)がやってきました。
義村は義時に祖父・伊藤祐親(浅野和之さん)の下で起こった事件を語ります。
祐親が京での役目を終えて伊東に戻ると、娘の八重(新垣結衣さん)が流人・源頼朝と恋仲になり子を成していたのです。
伊東家は平清盛から頼朝の監視を任されていました。
祐親不在の時に起こしたことにより、頼朝は祐親の逆鱗に触れ、伊東の地から出奔しました。
激高した祐親は頼朝搜索命令を北条家にもくだしたのです。
義時は、伊東家の八重に懸想していました。
頼朝と八重が恋仲になったことは、義時にとって大きな衝撃でした。
頼朝の行方
源頼朝の父、義朝は16年前、平清盛率いる平氏に挑み、敗れました。
生き残った頼朝を清盛は生かし、伊豆へ流刑にしたのです。
その時、頼朝の監視役を命じられたのが伊東祐親でした。
平家の息がかかった伊東は、伊豆で一番の力を持つようになっていました。
北条時政と三浦義澄は、共に伊東の娘を娶っていました。
落ち込んだ義時のもとに、兄・宗時(片岡愛之助さん)がやってきました。
そして、行方不明になった頼朝を助けたい、と言い出したのです。
宗時は平家嫌いで、源氏を再興し新しい武士の世を作りたいと考えていました。
八重の兄・伊東祐清(竹財輝之助さん)は、妹をこれ以上苦しめたくない、と頼朝出奔の手助けをしていました。
宗時は祐清と手を組み、出奔した頼朝を匿うことにした、と義時に打ち明けたのです。
父にも内緒のその企てに義時は頭を抱えます。
渋々、兄に連れられ離れに隠れている頼朝と対面しました。
宗時は源家再興に義時と共に尽力すると宣言し、伊東に残されている八重と子供も早急に連れてくると約束するのです。
頼朝の世話を任された義時は、姉の政子(小池栄子さん)に頼朝の食事を頼みます。
頼朝を一目見た政子は頼朝に惹かれてしまい、以後、積極的にアピールをします。
北条館に、伊豆の武士・工藤祐経(坪倉由幸さん)が現れました。
工藤は、伊藤家の嫡男でしたが、祐親に裏切られ、所領を奪われ、妻と離縁させられてしまい、祐親を深く恨んでいました。
義時は、義村に頼朝のことを打ち明けました。
北条からの帰り、義村は父の三浦義澄に頼朝が北条に匿われていると知らせました。
義村は早く伊東に知らせるべきと進言しますが、義澄は親戚である北条の行く末を案じます。
すると義村は、いい手があると父に言うのでした。
伊藤祐親の訪れ
宗時が八重を連れてくるために立ち上がると、そこに伊藤祐親がやってきたとの知らせが入りました。
祐親は、頼朝への怒りを顕にし、時政は、その怒りを受け止め、自分も明日領内を隈なく探すと約束したのです。
離れの頼朝のもとに行った義時は、祐親が館に来ていることを知らせ、おとなしく隠れているようにと進言します。
その際、従者の安達盛長(野添義弘さん)から見張り役を1人付けて欲しいと頼まれました。更に頼朝から八重への手紙を預かりました。
宗時に任せようとするのですが、宗時は義時に届けに行くようにと命じます。
こそこそしている2人を見とがめたのか、祐親が近づいてきました。
そこに工藤祐経が飛び出し、領地を返して欲しいと訴えます。
しかし、祐親は冷たい態度で聞く耳を持たず、立ち去ってしまいました。
隠匿
その夜、時政は都で見初めたりく(宮沢りえさん)と再婚すると子供たちに告げました。
義時は、母が亡くなってから早すぎるのではと反論するのですが、宗時も政子も賛成したのです。
その後、宗時と義時は父に話があると人払いを頼み、頼朝を離れに匿っていると報告しました。
舅である祐親との争いを恐れた時政は、憤るのですが、北条の頭首として頼朝に挨拶をしたのです。
そこで頼朝の言動に感心した時政は、3日間だけ匿うことを許可しました。
部屋で息を潜める頼朝は、常に仏に手を合わせ静かに過ごしていました。
義時は、頼朝に頼まれた手紙を伊東の八重に届けました。
伊東の次男・祐清(竹財輝之助さん)に取次を頼むのですが、忙しいので自分で渡せと言われてしまいます。
そこで、八重のもとに行こうとするのですが、祐清のところに下男の善児(梶原善さん)が入っていくところを見て、不審に思います。
無事、八重に手紙を渡したものの、伊東家に来たことで、祐親に頼朝が北条にいることを悟られてしまいました。
頼朝を差し出せ、さもなくば力尽くで奪う、と言われた義時。
北条に戻る途中、義時は川で不審な動きをしている善児を見つけました。
善児は八重の息子・千鶴丸と川で遊んでいるはずですが、千鶴丸の姿は見えません。
義時は千鶴丸が善児に殺されたと悟ったのです。
急いで北条に戻った義時は、伊東が攻めて来ると報告します。
宗時は頼朝を守るため、迎撃を選びました。
義時は、頼朝のもとに急ぎ、千鶴丸が亡くなったことを告げました。
頼朝は諦めたように、それが定めだったと言うのです。
そんな頼朝に苛立った義時は、頼朝に本当に兵を立ち上げ平氏を滅ぼす気があるのかと詰め寄りました。
頼朝は静かに、語り始めました。
何度も死に直面してきたが、その度に生かされてきた。この世に成すべき事があると思う。立つか立たぬか、自分でもわからない、と仏に手を合わせたのです。
義時が立ち去ると、頼朝は従者の安達盛長に祐親への怒りを吐き出しました。
そして、北条が頼朝に付けた伊藤祐親を憎む工藤祐経に「祐親を殺せ、伊藤祐親、決して許さん」と感情を顕に命じたのでした。
対決
北条にいる頼朝を差し出させるため、伊東勢が武装してやってきました。
櫓に立った宗時は「頼朝はいない」と否定するのですが、祐親は引きません。
櫓の上に時政も上り、祐親に頼朝はいないと告げます。
そして宗時に自分も腹をくくったと小さく告げたのです。
義時は、頼朝を館から脱出させようとするのですが、館の周りは伊東勢に見張られ身動きが取れません。
頼朝を慕う政子は、頼朝に女装させて逃がすことを思いつきました。
義時は女装した頼朝に付き添い、厩へ急ぎます。
そして、頼朝を背後に乗せて、馬を走らせたのです。
伊東勢の激しい追撃を受けながら、義時は走り続けました。
時代の変わり目が近づこうとしていました。
次回、第2回「佐殿の腹」
罪人・源頼朝(大泉洋)を処断しようと兵を率いて迫る伊東祐親(浅野和之)。しかし、北条義時(小栗旬)の父・時政(坂東彌十郎)が頼朝をかばって対立。両勢力が一触即発の状態となる中、平清盛(松平健)を後ろ盾に相模の武士団を束ねる大庭景親(國村隼)が現れる。一方、目まぐるしい展開に振り回される義時は、姉・政子(小池栄子)らの助けを受けて頼朝と富士の山すそにいた。だがそれもつかの間、弓矢が放たれ緊張が走る……
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」公式サイトより
伊東の追手に激しい追撃で第1回は終わりました。
無事、逃げ切れるのかドキドキしますね。
とうとう父である時政も伊東と対決する腹を決め、一触即発の状態です。
誰が味方か誰が敵か、見極めるのが難しいこの時代。
巻き込まれた形の義時が、北条を守るためどのような動きをするのか、京の平清盛の動きも気になります。
次の展開が楽しみな第2回「佐殿の腹」ですね。
最後に
とうとう始まりました「鎌倉殿の13人」。
始まる前から三谷幸喜さん脚本、小栗旬さん主演と期待度が高かったのですが、予想通り、見ていてワクワク感が止まらないドラマでした。
まず、口調がところどころ現代調でわかりやすかったですね。
あの時代ですと、なかなか難しい言葉も用語も多くて、理解するのが大変だったりするのですが、砕けたわかりやすい言葉を選んでいてくれたので、スっと頭に入ってきました。
また、個性溢れるキャラクターたちに惹かれました。
北条時政役の坂東彌十郎さんのコミカルな演技に親しみが持てました。
お土産が足りない、と困るところも、頼朝を匿っていると打ち明けられた時の「首チョンパ」も、衝撃的でした。
再婚を子供たちに報告する時の嬉しそうな様子と口調も楽しめました。
しかし最後の、伊藤祐親と対峙する時にキリっとした凛々しい姿はとてもかっこよかったですね。
さすが、北条の頭首の貫禄でした。
コミカルな演技といえば、小池栄子さん演じる北条政子がとても可愛らしかったです。
ボサボサ髪を振り乱し、家政を取り仕切っていたのに、頼朝に狙いを定めてから、身嗜みを整え、頼朝の気を引くように懸命にアピールする姿は面白かったです。
最後の、頼朝を逃がすところは感動しましたね。
流人で、まだ先が不透明な頼朝を見出した政子の慧眼は見事だと思いました。
そして、おしゃべり魔神と呼ばれるほど饒舌な大泉洋さんは、孤高の人・源頼朝のミステリアスな雰囲気を素晴らしく醸し出していたと思います。
今までの大泉さんのイメージを覆す頼朝の演技でした。
淡々と運命を受け入れているように見えた頼朝ですが、我が子・千鶴丸を殺され、感情を顕にするシーンは戦慄しました。
伊東祐親に恨みを抱く工藤祐経に祐親暗殺を命じるシーンは、冷酷な頼朝の一面を感じられ恐怖を感じましたね。
今はまだ、内に秘めた色々なものを頼朝は隠しているのでしょうね。
鎌倉幕府成立に向けて、様々な面を魅せてくれると思うと今からワクワクします。
語りの長澤まさみさんの穏やかで囁くような口調は聞いていて心地よかったですね。
静かな口調で説得力溢れる言葉の数々に、聞いていて納得な心地がしました。
そして小栗旬さん演じる主役の北条義時の振り回されっぷりにクスッと笑いが込み上げてきました。
初恋の人・八重が頼朝と結ばれたことを聞き落ち込むところ、思いもよらず頼朝と関わることになって、頼朝を必死に隠そうとする姿は面白かったです。
このままの世でいいのに、兄はなぜ世をひっくり返そうというのか、しかも、兄が旗頭に担ぎ上げようとしている頼朝はイマイチ覇気がない。
義時の苛立ちがよく伝わりました。
でもその苛立ち方が、見ていて緊張する苛立ち方でなく、コミカルだったので緊張することなく見ることができました。
他にも魅力的な登場人物が多くて語りきれませんが、次が楽しみになる大河ドラマだと期待に胸が高まりました。
さて、第2回はまたたくさん登場人物が増えてきます。
頼朝の乳母・比企尼、相模武士団を束ねる大庭景親、義時の継母となる牧の方・りく、平清盛に後白河法皇。
頼朝と政子の関係が一歩進みますし、北条と伊東の関係も変わってきます。
これから目まぐるしく時代が変わっていき、ついていくのがちょっと大変です。
先日、図書館で「吾妻鏡」を借りてきましたので、三谷幸喜さんが原作としているこの本を熟読して、登場人物の関係を整理しながら、次回からの物語に備えようと思います。