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青天を衝け 第9回「栄一と桜田門外の変」のあらすじと感想とネタバレ

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2021年大河ドラマ「青天を衝け」は、NHK総合にて毎週日曜夜8時から、BSP、BS4Kにて毎週日曜午後6時から、毎週土曜日午後1時5分から再放送が放送中です。

目次

前回のあらすじ

信州から戻った渋沢栄一(吉沢亮さん)は尾高千代(橋本愛さん)に自分の気持ちを伝えました。

密かに栄一を慕っていた千代も喜ぶのですが、千代にはもう1人求婚者がいたのです。

千代を望み縁談を進めていた渋沢喜作(高良健吾さん)は、千代の兄・尾高長七郎(満島真之介さん)からの手紙に、千代を嫁に欲しければ栄一と勝負しろと書かれていたと言い、栄一に剣術勝負を挑んできました。

千代への気持ちを自覚した栄一はその勝負を受けました。

白熱した激しい戦いを制したのは喜作。

うな垂れる栄一を置いて、喜作は千代のもとへと向かい、栄一は自分の弟分で見ての通りまだまだの男だから、千代のような確り者の嫁がいた方がいい、と身を引いたのです。

喜作は、千代が栄一を応援する姿を見て、千代の気持ちを悟ったのでした。

栄一と千代は、親代わりの千代の長兄・尾高惇忠(田辺誠一さん)に頭を下げ、結婚を認めてもらい、2人は祝言を挙げることになったのでした。

その頃江戸では、彦根藩藩主・井伊直弼(岸谷五朗さん)が将軍・家定(渡辺大知さん)の命により大老に就任しました。

しかし直弼は政治に疎いと言われ、周囲からは大老の任は務まらないのではないかと不安視されていました。

直弼自身も自分は大老の器ではないと家定にさりげなく言うのですが、家定は他の家臣たちが推す一橋家の徳川慶喜(草彅剛さん)に強い劣等感を抱いており、後継に慶喜は嫌だ、と主張するのです。

周囲も自身の父も家定より慶喜に期待を寄せる様を見続けた家定の気持ちを知った直弼は、家定の意を尊重して、後継には紀州家の慶福を推薦すると宣言。

周囲の反対を押し切り、後継を慶福と定めたのでした。

そして直弼は、一橋派の弾圧を開始しました。

一橋派に属する者たちは、続々とお役目替えという名目で閑職に追いやられました。

慶喜の小姓である平岡円四郎(堤真一さん)は、幕府のやり方に不満を覚えるのでした。

安政5年(1858年)6月19日、米国のハリスと交渉を続けていた岩瀬は、勅許を得る前に日米修好通商条約を締結してしまいました。

これは違勅であると水戸藩の徳川斉昭(竹中直人さん)は怒り、これを機に大老を松平春嶽(要潤さん)に、と息巻きます。

報告を受けた慶喜は、違勅の上に、朝廷への報告を簡単な宿継奉書(手紙)だけで済まそうとした直弼に怒りを顕にし、すぐに呼んで来いと命令します。

しかし呼ばれた直弼は、慶喜など斉昭の傀儡に過ぎないと軽く見て、翌朝登城したなら会うと返答しました。

翌朝、直弼と対面した慶喜は、違勅に関して直弼は同意していたのかと問いただし、帝の叡慮に反しただけでなく奉書のみにて伝えたことに激高し、朝廷を軽んじるにも程がある、直ぐに上洛し朝廷に謝罪をしろと叱り飛ばしました。

顔色を変え平伏する直弼に、慶喜は自分に謝る必要はない、全ては徳川のためだと諭したのです。

そして、後継が慶福に決まったことを知ると大慶至極、と喜んだのです。

直弼は喜ぶ慶喜を不思議そうに見やり、それでいいのかと尋ねると、慶喜からは是の返事。

慶福はまだ年若いけれどたいそう立派な様子であったし、直弼がしっかりと支えれば問題ない、と慶福の後継決定に慶喜は賛同したのでした。

翌日、斉昭との面会で直弼は慶福の後継決定は慶喜の賛同を得ている、と宣言し、斉昭の主張を退けました。

後継決定が表明された日、将軍・家定が病に倒れました。

死に瀕している家定は、斉昭、春嶽、慶篤、そして慶喜を処分しろと直弼に命じるのです。

直弼は家定の意に従い、斉昭・春嶽を謹慎、慶篤と慶喜の登城禁止を言い渡しました。

安政の大獄の始まり、これを機に井伊直弼に対する反発が強まってきたのです。

その翌日、家定は逝去しました。

血洗島では、千代が白い着物を纏い、栄一のもとへと嫁いできました。

前回、第8回「栄一の祝言」を見逃した方はぜひこちらをどうぞ。

それでは第9回、「栄一と桜田門外の変」のあらすじと感想です。

尊皇攘夷のおはなし

安政5年、この頃は「尊王攘夷」という言葉が流行っていました。

君主を尊び、外敵を退けようとする思想です。

水戸の藤田東湖が主張し、斉昭が広めたこの思想は、中国の朱子学にあった考えを日本風アレンジしたスローガンでした。

時の天皇・孝明天皇もこの言葉が大好きでした。

外国嫌いだった帝が将軍ではなく、水戸を頼りにしたことにより、開国を主導した井伊直弼に対抗する存在として斉昭の存在に期待をされていました。

このままでは潰されると思った井伊直弼は、朝廷と繋がる水戸藩士や攘夷派の公家を徹底的に処分しました。

そしてその手は、慶喜を将軍にしようとしていた彼らにも迫ってきていました。

弾圧

公家への工作を疑われた橋本左内(小池徹平さん)は幕府に狙われていました。

平岡円四郎の家にいた橋本左内は、その噂を聞き、これ以上ここに留まって円四郎に迷惑をかけてはいけないと、円四郎の家から出て行きました。

止める円四郎を振り切り、幕府の役人の前に行くと、左内は北町奉行所に出頭させられ捉えられてしまいました。

一橋派の元外国奉行・岩瀬忠震は永蟄居。永井尚志は罷免及び謹慎、登城停止の慶喜には、隠居・謹慎がくだされました。

謹慎中の斉昭は、国元での永蟄居、つまり生涯出出仕や外出をすることなく、水戸にこもることが命じられました。

斉昭は、この日の本を思う我が心、いつか天に届き、必ずやきっと再びこの江戸屋敷に戻り、月を愛でる日が来るであろう、と想いを漏らしました。

斉昭を慕う家臣は、幕府のこの仕打ちに怒りを覚え、斉昭が江戸を去る時には涙を流して斉昭を見送ったのです。

斉昭が打ちひしがれた様子で駕籠に乗り込み出発すると、見送った若い家臣たちは、処分を下した井伊直弼憎しと、井伊を討ち果たそうと斉昭の側近・武田耕雲斎(津田寛治さん)に言い募ります。

しかし耕雲斎は斉昭の意思を汲み「自重しろ」と若い藩士たちを諌めます。

耕雲斎に諌められても、耕雲斎はご老公の気持ちが分かっていない、ご老公の本当の望みは…、と反発を強めたのでした。

長七郎から聞いた話

祝言から一夜明けた栄一と千代は、朝から2人で畑仕事を行っていました。

その初々しい様子を見ていた父・市郎右衛門(小林薫さん)を母・ゑい(和久井映見さん)は、あの様子では夕方までかかっても終わらない、と苦笑していました。

そこに、長七郎が現れました。

長七郎は、栄一たちの祝言に間に合うように帰ってきたのですが、浪人のようななりで祝言に水を差してもいけないと、社で夜を明かしたのだと言いました。

栄一に、話したいことがたくさんある、と言った長七郎は栄一を家に誘ったのでした。

栄一が尾高の家に着くと、既に何人もの若者たちが集まっていました。

江戸での暮らしを話す長七郎。

江戸では異国人たちが持ち込んだ「コロリ」という病が蔓延し、すでに多くの犠牲者が出ているといいます。

それもこれも井伊直弼が異人を江戸に入れたからだと井伊直弼に対する反発は日に日に強まっていきました。

攘夷の機運が高まり、尾高の家には攘夷思想を持つ者が多く集うようになり、家の中でも攘夷攘夷と息巻く男たちを見て、女たちは不安を抱えていました。

栄一が尾高の家から戻り、仕事に加わると、父は尾高の家で何をしていたのかと栄一を問いただします。

栄一は、長七郎から江戸での話を聞いていたと答えます。

今、江戸の公儀では井伊直弼というとんでもない大老がいて、その大老が悪いことばかりしている、天子様のお言葉を退けて自分の言葉を聞かない奴を次々と血祭りにあげている、今のままでは日の本が危ない、と栄一は父に話しました。

しかし父は、そんなことは百姓には関係ない、ご公儀がどうのこうのと百姓の分際であれこれ言うのはとんでもないことだ、長七郎の奴、お武家様にでもなったつもりか、と栄一の主張を取り合おうとはしませんでした。

夜、千代に「承服できん」と溢す栄一。

栄一の「承服できん」という言葉を久しぶりに聞いたと千代は言います。

千代が栄一の「承服できん」を聞いたのは、村に代官がやってきた時でした。

岡部の代官に本気で腹を立てた栄一は、代官を殴ろうと思っていたと千代に話しました。

急な労役でお祭り中止を言い渡された時も、高額な御用金を用立てろと言われた時も、栄一は代官に対し、怒り狂っていました。

しかし、後で気づいたことですが、あの代官は岡部の殿の言うことを栄一たち百姓にそのまま伝えていただけでした。

代官が御用金を取ってこなければ代官が罰を受けてしまいます。

だからあんなにも怒って、百姓を脅していたのだと栄一は気づきました。

もし代官を殴ったとしても、一瞬はスッキリとするかもしれませんが根本は何も変わりなしない、だったら俺はいったい誰を倒せばいいんだ、岡部の殿か代官か。

しかしそれでも他の武士がやってきて同じことが繰り返されます。

この仕組みは永遠に変わりません。

あの時、父にひどく叱られました。

しかしあの時栄一はお金を払うことに怒ったわけではありません。

バカバカしくなったのだと言います。

代官や殿は人の上に立つ人間だというのに、人のことを何にも考えていません。

そんなことのために自分たち百姓は汗水たらして働いているのか。

自分たちは生きている限り、そのように生きなければならないのか。

つまり、百姓だからといって、こんなにも軽く見られてしまうのか、兄いのいうように、この世自体がおかしいのかもしれない。

お武家様とか百姓とか、生まれつきそういう身分があるこの世自体が。

つまり幕府がおかしいのかもしれない。

だとしたら、俺はどうすればいい、幕府を変えるには、この世を変えるには。

栄一は千代に自分の主張を訴えたのです。

千代という嫁を貰い、話を聞いてもらえた栄一はすっきりとして、今日はよく眠れる、いい嫁をもらった、と嬉しげに言うのでした。

謹慎中の慶喜

井伊大老の隠居・謹慎の処分から3か月が立った慶喜は、屋敷の部屋に篭って、昼でも雨戸を閉じ、風呂にも入らず、部屋の外へは一歩も出ない生活を送っていました。

お役御免になった平岡円四郎が、江戸を発つ前の挨拶に訪れると、慶喜を心配した徳信院(美村里江さん)から今の慶喜の様子を聞き、愕然としました。

慶喜の妻・美賀君(川栄李奈さん)は、覚えのない罪を被った者の意地であろうと言います。

そもそも、水戸の斉昭はともかく、慶喜には何の落ち度もないはずです。

しかし、それもこれも円四郎や斉昭や松平春嶽らが勝手に慶喜を慕い、慶喜を祭り上げようとしたからこんなことになったのだと美香君は言い募ります。

あの年で隠居など命を奪われたも同然、自分は絶対に円四郎たちを許さない、と宣言すると美香君は立ち去りました。

慶喜が篭る部屋の襖越しに円四郎は最後の挨拶をします。

幕府に捉えられた橋本左内は斬首、他の心ある志士も数多く捉えられ命を落としました。

円四郎は、自分は東湖のように諍臣にはなれなかった、しかし、絶対生き延びる、そしていつか必ず慶喜の家臣として戻ってくると宣言しました。

すると慶喜は「そうか、それならば少し酒は控えろ」と答えました。

長寿の秘訣をあれこれ円四郎に教え、息災を祈っている、と円四郎を送り出します。

円四郎も慶喜に「どうかご息災でお過ごしくださいませ」と言うと、一礼して立ち去りました。

妻・よし(木村佳乃さん)と共に円四郎は江戸を去ることになりました。

直弼の政策と朝廷の思惑

後に安政の大獄と言われる井伊直弼の弾圧政策は、公卿や大名など100人以上を処罰。

橋本左内、吉田松陰など多くの志士を死に追いやり、日本中に暗い影を落としました。

直弼は後は朝廷か、と呟きました。

将軍と皇女・和宮との縁組をまとめ、公武一和を示さなければならない、と考えていたのです。

全ての処分を終えて、これでようやく水戸の一件も落着だ、と息をついたのでした。

その頃、京では皇女・和宮が武蔵の国などという野蛮な国に嫁がなければならない、とさめざめと泣いていました。

孝明天皇は、その様子を痛ましげに見つめていましたが、岩倉具視は和宮を嫁がせれば、徳川を意のままにできる、と囁いたのです。

和宮を差し出す代わりに、必ず攘夷をしろと申し付けるのです。

そうすればこの先、思うままに動くであろう、と囁いたのでした。

大橋訥庵は、塾生に井伊の悪行を声を大にして主張します。

今こそ夷狄を払う時、夷狄を斬れ、と塾生たちを煽動しました。

幕府が朝廷への不敬を繰り返したことで、尊皇攘夷の志士たちが過激化。

イギリス人通訳やオランダ人船長など、外国人を狙った襲撃事件が次々と起こりました。

14代将軍となった徳川慶福改め徳川家茂は、井伊直弼が水戸脱藩浪士の標的になっていることを案じ、直弼に大老を一時退き、ほとぼりが冷めるのを待ったほうがいい、と勧めました。

しかし直弼は、案ずることはない、憎まれ事は自分に任せろ、そして家茂が成長した暁には自分は直ぐにでも退こう、というのです。

そして、明日、自分が作った新作の狂言を家茂に見て欲しいと微笑み、約束を交わしたのです。

桜田門外の変

翌日、水戸に戻った斉昭は、妻とともに雪の積もった庭を眺めていました。

幼い子供たちと一緒に雪で遊ぶ斉昭。

斉昭は水戸で穏やかに過ごしていました。

その日、水戸も江戸でも雪が降っていました。

雪の中、登城する直弼の駕籠を狙う人々が潜んでいました。

直弼の駕籠が外桜田門に差し掛かる時、異変が起こりました。

家茂に披露するための狂言の台本を見ていた直弼は、外の喧騒に気づくと、外の様子を伺いました。

すると、水戸浪士が駕籠めがけて発砲。

直弼の手に持っていた台本に直弼の血が飛び散ります。

直弼は深手を負いました。

このピストルを合図に全方向から駕籠に向かって抜刀襲撃が開始されました。

直弼を守る彦根藩士も決死の抵抗を示し、激しい戦闘が起こりました。

直弼は「日の本は、日の本は…」と行く末を案じます。

やがて、守るものが無くなった駕籠に刃が突き立てられ、直弼は駕籠の外に引きずり出されました。

直弼の体に無数の剣が突き立てられ、そして、首を切り落とされたのです。

このことは、水戸へも直ぐに報告がなされました。

直弼を襲った襲撃犯は、水戸脱藩浪士。

これで水戸は敵持ちになってしまった、と斉昭はただ呆然とするばかりでした。

武蔵野国の惇忠のもとにも長七郎から知らせが届きました。

命をかけて大老・井伊を仕留めた水戸浪士たちを称える喜作たち。

女たちはそれを不安そうに遠目で眺めていました。

日の本は大きく変わろうとしている、喜作も心して江戸に向かうようにと惇忠は声をかけました。

喜作はようやく父の許可を得て江戸へ行く事になったのです。

それを知った栄一は、複雑な思いです。

斉昭の死

水戸では、藩内に沈んだ空気が漂っていました。

宴会の席を立った斉昭は、月を眺めながら、「まだ出てこぬのかのう、あの強情息子は」と慶喜を思い、呟きました。

すると突然、斉昭は苦しみ出したのです。

異変に気づいた藩士や妻・吉子(原日出子さん)が助け起こそうとすると、「案ずるのは儂ではない、案ずるべきはこの水戸ぞ」と言い、吉子に感謝を告げるとそのまま倒れてしまったのです。

部屋から一歩も出ず、謹慎していた慶喜のもとに、斉昭急死の知らせが届きました。

慶喜は「…そうか、謹慎というのは親の見舞いどころか死に顔も見られないのか」と呟き涙をこぼしました。

「私はなんという親不孝ものだ」と泣き崩れたのでした。

喜作は江戸に旅立ちました。

長七郎が学ぶ塾に入り、漢学や剣術などを学ぶのだといいます。

栄一は、新屋敷はうちの父様のように熱心に働け働け言わないからな、俺も江戸に行きたい、と言い始めました。

百姓がそんなものを学んでどうする、とゑいは栄一を諌めるのですが、栄一は江戸への憧れが止まらず、江戸に行きたいという気持ちを募らせていました。

父が仕事から戻ると、栄一は春の一時でいいから自分を江戸に行かせて欲しい、と頼み込むのでした。

次回、第10回「栄一、志士になる」

幕府では、暗殺された井伊直弼に代わって老中・安藤信正が、孝明天皇の妹・和宮の将軍・家茂への降嫁を進めていた。朝廷との結びつきを強めて幕府の権威回復を図った和宮降嫁は、尊王攘夷派の志士に火をつける。一方、念願の江戸に来た栄一は、尊王論者・大橋訥庵を紹介され、安藤の暗殺計画を知る。長七郎は、その計画のために命を捨てる覚悟を決めるが…。

大河ドラマ「青天を衝け」公式サイトより

長七郎に続いて喜作、そしてとうとう栄一も江戸へと出てきました。

2人とも結婚したばかりだというのに、女たちの不安げな視線には気づかないのですね。

桜田門外の変から、更に攘夷志士たちの過激な行動は激しくなるばかり。

安藤信正の暗殺計画に参加することになった長七郎。

長七郎はどうなってしまうのでしょうか。

最後に

開国に伴う幕府のゴタゴタ、将軍後継問題、尊王攘夷運動など、この時代は大変なことがたくさん起こっていました。

なかなかに複雑で、学生時代は頭を悩ませていたなー、と思い出しました。

目線を変えると印象は変わるもので、幕府側から見れば、井伊直弼の行ってきた政策が必ずしも悪いとは言えず、水戸藩側から見れば、自分たちの進む道の最大の障害となっているのが井伊直弼だったワケですよね。

井伊直弼を演じた岸谷五朗さんが、無表情で淡々と邪魔な人々を粛清していく姿に戦慄しました。

家定のさみしい、悔しい、やるせない気持ちを理解し、味方になった直弼。

家茂に対しても、憎まれ役は自分がやる、と言った姿は清々しかったです。

これまで無表情な演技が多かったので、家茂に対して優しく微笑んだ姿は印象的でした。

草薙剛さん演じる徳川慶喜が意地を通すところも見所がありました。

周りの思惑から逃れるように、自分はその器ではない、やる気はない、と固辞していたにも関わらず祭り上げられ、罪に問われた慶喜。

妻である美賀君の言葉はまさに円四郎の胸を抉ったことでしょうね。

英邁で自分が惚れ込んだ主君だからこそ、日の本を安定させるために将軍になって欲しかっただけなのに、その思いが慶喜に謂れのない罪を押し付けることになってしまいました。

円四郎の自責の念はいかばかりなのでしょうね。

それでも、いつか必ず慶喜のもとに戻ると言い切った円四郎の強い思いに胸を打たれました。

円四郎の言葉だけで死が語られてしまった橋本左内、悲しすぎましたね。

井伊直弼の弾圧に反発した若い志士たちの暴走を止めることができず、直弼は暗殺されてしまいました。

あのシーンは、激しく切なく、素晴らしいシーンでした。

斉昭が水戸で雪遊びをしている姿と、直弼脚本の狂言、そして暗殺シーンが交錯する演出。

その対比が素晴らしく、見ていてとても切なく胸をうたれました。

斉昭の死のシーンも圧巻でした。

最後まで日の本のこと、水戸のことを思い絶命した斉昭。

髭も髪も伸び放題でかつての凛々しい姿からはほど遠くなってしまった慶喜の慟哭。

父を思って泣く慶喜の姿に痺れました。

今回は江戸パートが重苦しく、キツい回でした。

始めのところの栄一と千代の初々しい様子ぐらいしか息を付けるところがありませんでしたね。

この時代のお話だからしょうがないのですが、今回の桜田門外の変のあたりのお話は、どのドラマで見ても苦しいです。

たった1人の命で全てが変わるなどありえないことなのに、なぜこの時代の志士たちは暗殺という手段を選んでしまったのでしょうね。

悲しい時代でした。

さて、次回は栄一も江戸へ行き、どっぷりと尊王攘夷の波に飲み込まれてしまいます。

長七郎は危険な計画に加担しようとしますが、栄一や惇忠たちは長七郎を止めることができるのでしょうか。

栄一が千代に語ったように、この世を変えることはできるのでしょうか。

次回、第10回「栄一、志士になる」タイトルからして不穏な空気を醸し出しています。

次回の栄一にどんな事が起こるのでしょうか、そして、直弼亡き後の幕府はどうなっていくのでしょうか。

次回も緊張の連続ですが、刮目して視聴しようと思います。



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