嵐の松本潤さん主演の2023年大河ドラマ「どうする家康」。
脚本は、稀代のストーリーテラー・古沢良太さんです。
毎週日曜BSプレミアム午後6時~、NHK総合午後8時~放送されます。
徳川家康の生涯を新たな視点で描く、スピード感溢れる波乱万丈の戦国エンターテインメント。
こちらでは、大河ドラマ「どうする家康」のあらすじ、ネタバレ、感想をお届けします。
さて、最終回「神の君へ」では、豊臣との最終決戦、大坂夏の陣が始まります。
家康は乱世を終わらせる覚悟を持って、秀頼は秀吉の夢の続きを見るために、戦いが始まります。
家康最期の戦い、一体どうなってしまうのでしょうか。
前回のあらすじ
徳川家康(松本潤さん)の命により撃ち込まれた大筒は、大阪城に大打撃を与えました。
その衝撃により大阪方は和睦に応じます。
その交渉役となったのは阿茶(松本若菜さん)と、茶々の妹・初(鈴木杏さん)です。
豊臣は茶々と秀頼を大阪から出さない、所領を安堵する、牢人に所領を与える、という条件を出してきましたが、牢人に所領を与えることはできません。
阿茶は、大阪城の堀を埋め、牢人は罪に問わず放逐するというのが精いっぱいだと答えます。
そして慶長20年、和議が整いました。
しかし一向に進まぬ堀の穴埋め作業に業を煮やした徳川方は、勝手に堀を埋め始めてしまいます。
豊臣方は反発しますが、大野治長(玉山鉄二さん)は、卑怯な手を使えば使う程、牢人たちは自分たちの味方になる、と憤る豊臣勢を宥めます。
大阪は治まるどころか、一層危うくなってきました。
牢人たちが都に火を放ち死人が出たのです。
家康は初を呼び、和議を反故にしたのかと叱責します。
そして、牢人たちを召し放ち、秀頼に一大名として生きるようにと命じます。
初は江(マイコさん)と共に茶々を説得することに。
大阪に入った初と江は、姉・茶々(北川景子さん)を説得します。
最後に、茶々に家康の手紙を渡した江。
その手紙により、茶々の頑なだった心は解け、戦をやるかやらないかは秀頼に任せることに考えを改めました。
しかし、秀頼の決断は家康との戦いでした。
共に乱世の夢を見ようと牢人たちを鼓舞する秀頼。
茶々は笑みを浮かべて秀頼の決断を受け入れました。
そして、乱世の亡霊を引き連れてあの世に行くという家康と共に、自分も果てる覚悟を決めたのです。
前回、第47回「乱世の亡霊」を見逃した方はぜひこちらをどうぞ。
それでは最終回、「神の君へ」のあらすじと感想です。
大阪の陣
人の一生は重荷を負うて遠き道をゆくが如し
共に乱世の夢を見ようと戦を選んだ秀頼。
遠き道の果てはまた、命を賭した戦場でありました。
茶々もまた、家康と共に逝こうと決意を固めていました。
「乱世の亡霊よ、さらば」と家康も戦への覚悟を持ちました。
京・二条城において、支度を整えていた家康。
手伝っていた阿茶に、「自分に言いたいことがあれば今だぞ、これが最後だ」と伝えます。
阿茶は「ありませぬ、私はこれが最後だと思おうておりませぬ」と断ります。
しかし、あのお話を1つお聞かせ願いたい、と魚の鯉の話を強請ったのです。
「ああ、あれは信康と五徳の…」と家康は思いを馳せました。
大阪城では、後藤又兵衛の討死が伝えられていました。
長曾我部も戦のあと行方知れずと伝えられます。
その報告を受けた真田信繁(日向亘さん)は、かつて父・昌幸(佐藤浩市さん)と碁を打っていた時のことを思い出していました。
昌幸の打った手は汚い手。
汚い、と言った信繁に「戦とは汚いものよ、戦はまた起こる、ひっくり返せるときが必ず来る、信繁、乱世を取り戻せ、愉快な乱世を泳ぎ続けろ」と昌幸は伝えたのです。
家康が戦場に出てきた、茶臼山を奪い返す気だろう、と知らせが入りました。
その知らせを受けた信繁はいきり立ちます。
秀頼は、「我らが戦に勝つ手立てはただ1つ、恐ろしき化け物の首を取ることである」地図上にある信繁の札を家康の陣へと進めます。
「目指すは家康の首ただ1つ」と大野治長は意気揚々と言い、茶々も「我が子らよ、恐れることはないぞ、この母もどこまでも其方らと一緒だ」と鼓舞します。
千も皆 に声をかけ、一層士気が上がるのです。
乱世の亡霊を引きつける
天王寺口、本陣に家康が出てきました。
家康は部下に、敵から見えるように前に出せ、と金扇を移動させました。
金扇が前面に出ると、「あの金扇を目掛け、一気に駆け上がれ」と大阪方は勢いを増しました。
大阪方が一斉に家康の本陣目掛けて襲ってきます。
防護柵に取りつき、本陣に踏み込もうとする大阪方。
徳川勢は、柵に取りつく兵を鉄砲や槍で撃ち落としていきます。
一旦引こうとした兵を捕まえ、引くな!と大声で怒鳴った真田信繁。
信繁は味方を鼓舞しながら柵を破壊、徳川本陣に入り込みました。
真田信繁を筆頭に、乱入してきた大阪方。
家康のすぐ側に迫ります。
その声を聞いた家康は徐に立ち上がり、「家康はここじゃ、家康はここにおるぞ」と大声を出したのです。
さあこい、さあこい、共に行こうぞ、と声を張り上げました。
血塗れになりながら刀を振るう信繁たちは、奥にいる家康目掛けて突進してきますが、家康を守る兵たちに阻まれます。
「乱世の亡霊たちよ、儂を連れて行ってくれ」と呟く家康。
兵たちを掻い潜り、信繁の刃が家康に迫ります。
終結
静まり返った戦場に、たくさんの人が倒れています。
信繁が身に着けていた六文銭も地に落とされていました。
本陣では、本多正信と家康が座り込んでいました。
「また、生き延びてしまいましたな」と正信は呟きました。
そこに、天守が燃えていると声が上がりました。
立ち上がって大阪城を見ると、確かに天守が燃えています。
「とうとう終わるんですな、長い長い…乱世が…」と呟く正信。
大野治長から千姫を返すとの通達が入りました。
大阪城の千姫は、城を出ろと茶々に促されるのですが、自分は豊臣の妻、出るのなら母も秀頼も一緒でなければ嫌だと言い募ります。
しかし秀頼は、「最後まで豊臣秀頼でありたい」と断ります。
千姫は涙ながらに、「千はただ、殿と共に生きていとうございます」と訴えます。
しかし、秀頼も茶々も頷きません。
千は初に叔母上からもお頼みくださいと縋りつきますが、初は千を抱きしめるのみ。
茶々から千を頼むと言われた初は千を家康の元へと連れて行ったのです。
徳川本陣に到着した千は、家康に平伏し、我が夫と母を助けてください、もう豊臣には戦う力は残っていない、命を奪う必要はない、と必死に訴えます。
秀忠(森崎ウィンさん)はお千を窘めますが、家康は千の訴えを黙って聞いていました。
地べたに頭をこすりつけるようにして平伏する千の顔を上げさせて家康は、「秀頼を深く慕っているのだな」と声を掛けました。
自分だけではない、多くの者が秀頼を慕っている、あの方は皆に夢を与えてくれる、力を与えてくれる、前途ある若き才をお救いください、と千は懇願しました。
しかし家康は、「すまん、ここで挫ければ、ここまでやってきたこと全てが…」と命を下そうとしました。
しかし秀忠がそれを遮ります。
将軍として、最後くらい私に背負わせてください、と言うと、秀頼には死を命じる、と言ったのです。
それを聞いた千は「鬼じゃ、父上もおじじ様も鬼じゃ、鬼畜じゃ、私にとっては化け物じゃ」と秀忠と家康に掴み掛り泣き叫んだのです。
侍女たちに抑えられた千に初は、「姫、これは姉と秀頼様がお選びになった事なのです」と諭しました。
一瞬言葉を失った千ですが、更に激しく泣き叫び、秀頼の名を連呼。
侍女たちに捕らえられたまま、本陣から出されたのです。
連れ出された千を見送り、誰もが言葉を発しません。
家康は大阪城を見やると、手を合わせました。
豊臣家、滅亡
炎に包まれた大阪城では、豊臣家中が集まり死の覚悟を固めます。
秀頼は刀を抜き、己の腹に突き立てました。
茶々はそれを見守っていました。
秀頼は近寄ってきた茶々に、「母上、我が首を持って生きてくだされ」と訴えます。
苦しむ秀頼の首を落としたのは大野治長。
茶々はその返り血を全身に浴びました。
「見事であった」と泣き崩れながら、その最期を看取りました。
そして次々とお供いたしまする、と皆腹を斬り捌きます。
治長は、苦しむ人々を次々と介錯していきます。
そして、最後に「徳川は汚名を残し、豊臣は人々の心に生き続ける」と叫ぶと己の腹に刃を突き立てたのです。
茶々は、苦しむ治長に止めを刺すと、1人立ち上がりました。
大阪城は燃え続け、あちらこちらから崩壊の音が聞こえてきます。
「日ノ本か、つまらぬ国になるであろう、正々堂々と戦うこともせず、万事長きものに巻かれ、人目ばかり気にし、陰でのみ妬み嘲る、優しくて卑屈な者たちばかりの国、己の夢と野心のために、なりふり構わず己の力を信じ戦い抜く、かつてこの国の荒れ野を駆け巡った者たちは、もう現れまい…。
茶々は、ようやりました」
秀頼の返り血を浴び、血塗れになっていた茶々は、最後に微笑みを浮かべ、己の首を切り裂き、そしてゆっくりと倒れたのでした。
家康は大阪城に向かって、長い時間手を合わせていました。
こうして、天下泰平、戦無き安寧の世が訪れたのです。
神の君へ
我らは有象無象の声に惑わされることなく、正しく、家康の偉業を伝えなくてはなりません。
南光坊天海(小栗旬さん)は、歴史の編纂をしていました。
家康の情けない事柄は、駄目、と採用せず、良いことだけを残そうとしています。
秀忠はそれを諫めますが、天海は「世間では狡猾で恐ろしい狸と憎悪する輩も多い、かの源頼朝公にしたって、実のところはどんな奴かなんてわかりゃしない、周りがしかと讃えて語り継いできたからこそ、今日、全ての武家の憧れとなっているわけで…」と言い募ります。
秀忠は、人ならば誰しも間違ったり、過ちを犯すことはある、と主張するのですが、天海は、「人ではありません、大権現!」と力強く言い切りました。
お福(寺島しのぶさん)は竹千代に家康の偉業を伝えていました。
しかし、竹千代は話半分でほとんど聞いていません。
ちゃんと聞いていたのかと問い詰める福に、神の話なんか聞きたくない、と絵を描いていたのです。
正信に渡したその紙には、狐が扇子を持つ絵が描かれていました。
正信は、やはり面白き若君でありますな、と笑います。
福は頭が痛い、と頭を抱えていました。
家康が病に倒れ、近頃は阿茶だけが家康の世話をしていました。
若い者たちは怖がって寄り付かないというのです。
万が一、粗相があったりもしものことがあったら、どんな処罰を受けるのだろうと恐れているというのです、もっとも、誰しも神の世話などしたくないのだろう、と阿茶は言います。
床に臥す家康の側に正信が座ります。
正信は、「儂のような者を信用してくださり、深く深く感謝しております。
儂もすぐに参ります、ま、ご迷惑かもしれませんがな、殿、長きに渡り、誠にご苦労様でございました」と家康の手を取り、頭を下げた正信。
家康は弱弱しくその手を握り返しました。
天が遣わした神の君、或いは狡猾で恐ろしい狸、いずれにしても、皆から恐れられる、人にあらざる者となってしまわれた、お幸せだったのでございましょうか、と悲しそうに阿茶は呟きました。
「戦無き世を成し、この世の全てを手に入れた、が、本当に欲しかったもの、ずっと求めていたものは…」と正信は手を合わせたのでした。
最後の時
元和2年(1616年)4月17日、家康は木彫りの人形を作っていました。
そこに、「殿、殿」と呼ぶ声が聞こえました。
「もう、出て行ってもよいかしら」と現れたのは瀬名(有村架純さん)、そして信康(細田佳央太さん)。
2人は家康の前に座るとにこやかに笑います。
お前たち、そんなところに…、と呟いた家康。
信康は、「戦無き世、とうとう成し遂げられましたな」と家康を労います。
瀬名も「ようやりました。私の言った通りだったでしょ、成し遂げられるのは殿だと、ご立派なことでございます」と笑います。
家康は、自分のやってきたことはただの人殺し、と自嘲します。
望んでしたことは1つもない、望まぬこと、したくもないことばかりして、と言います。
部屋のとばりの隅から竹千代が現れ、おじじ様、上手に書けたので差し上げます、と家康に絵を渡しました。
信康は、不思議な子でありますな、と言います。
竹千代、跡継ぎじゃ、と言う家康。
瀬名は、出会った時の誰かにそっくり、あの子が鎧を着なくてよい世の中を貴方が作ったのです、あの子があの子のままで生きていける世の中を貴方が生涯をかけて成したのです、中々ご立派なことと存じますが、と言う瀬名。
竹千代が書いた紙を持ってきた信康は、笑いながらのその紙を瀬名に見せました。
そこには兎が描かれていました。
「存外、見抜かれているのかもしれませんよ、貴方が狸でもなければ、ましてや神ではないということを、皆も待っておりますよ、私たちの白兎を」
鯉の話
そして暗転。
鳥居元忠(音尾琢真さん)と平岩親吉(岡部大さん)に起こされた家康。
のんきな家康は2人に、今日は信康の祝言の日、と告げられます。
邸では人々が忙しく立ち働いています。
家康は、姫はこちらに向かっているのか、とのんきに尋ねました。
すると元忠は鯉が大変、と訴えます。
鯉は信康と五徳の結婚の祝いとして織田信長(岡田准一さん)が贈ったものです。
両家の繁栄を願って、信長自らが選んだという鯉。
大きな鯉は信長、隣の鯉は家康、小さな鯉は信康だといいます。
しかし、その鯉がいなくなったと元忠は言うのです。
万が一鯉に何かあったら知りませんぞ、と木下藤吉郎(ムロツヨシさん)は家康に注意しました。
大久保忠世(小手伸也さん)が鯉を探していましたが、見つかったのは鯉の骨。
誰かが食べてしまったのでは、と忠世は慌てています。
家康は動揺し、鯉を食べた者は誰かと忠世を問い詰めました。
その時、五徳がもうすぐ到着、信長も一緒に来るとの知らせが入りました。
贈った鯉を見るのを楽しみにしている、という渡辺盛綱(木村昴さん)に家康は詰め寄ります。
家康は鯉を食べた犯人を捜すため、屋敷中を探し回ります。
台所に行っても、自分たちは知らない、と於大(松嶋菜々子さん)も登与(猫背椿さん)も言い、ここにこれが落ちていた、と本多家の紋が入った笄を見せます。
家康は本多忠勝(山田裕貴さん)のもとに行き問い質しますが、知らないと言います。
榊原康政(杉野遥亮さん)から聞いた情報により、家康は酒飲み2人の元に向かいます。
次に向かった先は酒を飲んでいたという夏目広次(甲本雅裕さん)と本多忠真(波岡一喜さん)のところ。
自分たちは飲んでいただけ、という夏目から、鯉に目がないのがいる、と言われたのは鳥居忠吉(イッセー尾形さん)。
忠吉は、自分は鯉に目がないけど、大事な宝物を食べたりはしない、たぶん、と主張します。
家康は食べたのならはっきり言え、食べたのなら成敗しなければならない、と刀を抜きます。
そういうと忠吉は、「食った」と言い始めたのです。
誰かの首を差し出さねばならぬなら自分の首を、と背中を向けて首を差し出した忠吉。
しばらく刀を構え震えていた家康ですが、しばらくして力が抜けたように座り込みました。
大事な家臣を鯉と引き換えにはできない、と座り込んだのです。
酒井忠次(大森南朋さん)は、信長にはなんと伝えるのかと問いかけます。
家康は、正直に言うしかない、と言います。
石川数正(松重豊さん)は、信長の逆鱗に触れたら、と問いかけます。
そんな相手なら、縁組などこっちから願い下げだ、と答える家康。
忠吉が、では鯉を食っても許してくれるのか、と聞くと、鯉は所詮鯉、食うて何が悪い、と開き直ったのです。
すると家臣一同笑顔になり、「その言葉を待っていました」と捌いた鯉を持ってきたのです。
家臣一同が家康の人柄を信じて行ったことでした。
信長にどういえばいいのか、怒られるのは自分なんだぞ、と怒る家康に、家臣たちは信長が来るというのも嘘だと告げます。
家康は安心したように、「良かった」と呟きました。
笑い転げる一同に、家康は「良くないわ、馬鹿にしよって」と怒りを顕にします。
「主君を一同で揶揄うとは、なんという家臣達か!」と憤る家康。
それが殿とこの家中の良いところだ、と忠吉は言います。
もし自分があのまま手打ちにしたらどうするつもりだったのかと言う家康。
そんなことはしないと信じていた、殿の人柄を皆知っている、その心を、と忠勝は応えます。
その言葉に怒っていた家康の心は静まりました。
そして、家臣たちは1人ずつ平伏すると家康に感謝の言葉を伝えたのです。
その言葉を聞いていた家康は、涙を零しました。
「こちらこそじゃ、心より感謝を申し上げる」と頭を下げました。
誰もいない広い部屋の中、老いた現在の家康も同じように頭を下げました。
そこに瀬名から「お幸せでございますな、殿」と声を掛けられました。
笑顔で家康を見守る瀬名。
「そうじゃな、儂は…幸せ者じゃな」と涙を流しながら家康は涙を零しました。
老いた家康は皆に囲まれ、幸せそうに笑うその情景を思い出し、涙を流しながら、目を閉じました。
信康の婚儀の宴の中、海老すくいの賑やかな歌と踊りが屋敷中に響き渡ります。
家中一同が躍る海老すくい。
なんと良き光景でしょう、と瀬名が言います。
「儂が成したいのは、今日この日のような世なのかもしれんな」と言う家康。
瀬名は「ぜひとも、貴方様が作ってくださいませ」と言います。
「儂には無理じゃ」と間髪入れず応える家康。
「ただの白兎ですものね」と瀬名は笑います。
家康は、「儂は信じるぞ、いつかきっとそんな世の中が来ると。いつかきっと」と天を仰いで笑みを浮かべたのでした。
最後に
見所の多い最終回でした。
大坂の陣の終結。
豊臣滅亡のシーンは緊張感に溢れ、また、死の覚悟を決めた人々の悲しさ、悔しさが良く伝わってきました。
母を気遣う秀頼と、息子の死を見守る母。
皆に介錯して回った大野治長に止めを刺して、燃え盛る大阪城で1人語る茶々の迫力に圧倒されました。
血に塗れてなお美しい茶々の姿に感動しました。
千姫の悲しみも涙が込み上げてきましたね。
豊臣の妻として助命嘆願する千姫と苦しくともその懇願を切り捨てる家康。
家康の苦しみを分かった秀忠が憎まれ役を買って出る所も、ただただ感動でした。
大迫力と言うと、やはり合戦シーンですよね。
真田信繁が家康に肉薄するシーンは手に汗握りました。
結局暗転で、信繁が誰にやられたのか、どうやって家康が助かったのかは描かれていませんでしたので、もしかして、大鼠辺りが助けてくれるのかな、とか期待してみていたので残念ではありました。
乱世を鎮め、天下泰平の世を成したにもかかわらず、晩年の家康は孤独でした。
広い広い部屋にたった一人でいる家康。
世話をするのは阿茶だけで、たまに正信が来るのみ。
大きなものを得た戦ではありましたが、家康が失ったものは大きすぎましたね。
でも、最後の時に瀬名と信康が出てきて、ずっと見守っていたのだとわかって、心が救われた気がしました。
三河家臣団もみんな出てきて、鯉にかこつけて、主君を騙していました。
家康の人柄と心を信じて、行った狂言でした。
優しくて暖かくて賑やかな三河家臣団の一幕が見られてとても嬉しかったです。
今が孤独だからこそ、あのシーンには涙が込み上げてきました。
孤独じゃないよ、皆いるんだよ、と家康にもしっかり伝わりましたよね。
海老すくいがラストシーンって、本当に胸が締め付けられる、素晴らしいラストでした。
最後に、南光坊天海として小栗旬さんが登場されました。
一体誰が演じられるのかと思っていたら、まさかの小栗旬さん。
「鎌倉殿の13人」の北条義時ではありませんか。
吾妻鏡や源氏物語の本を持っていて、大河と大河を繋いでいました。
こんな演出もありなんですね。
なんか、物凄くほっこりしました。
個人的には、南光坊天海=明智光秀説とかやるのかな、と思っていて、「麒麟がくる」の長谷川さんが来るのかな、とか、光秀役の酒向芳さんかな、などと考えていたのですが、全然大外れでした。
ずっとナレーションをされていた寺島しのぶさんの春日局はなんとなく予想できたんですけどね。
13歳から晩年まで、徳川家康の生涯が描かれたこの「どうする家康」。
最初の弱弱しい家康がどう変化していくのか、毎回楽しみに見ていました。
最初の頃は、あまりにも弱くて優柔不断で、イライラさせられることも多かったのですが、最終的には素晴らしく重厚で思慮深い家康に変化していましたね。
弱きプリンスが天下泰平の世を成す、というこれまでとは違う家康のドラマを見て、なんだかとても感動しました。
老獪な狸、と言われた晩年の家康の悲哀、孤独を見て涙しましたし、苦労の多かった若き日の家康の苦悩、でも、多くの温かい家臣たちに囲まれ、幸せな日々でもありました。
しかし、家臣たちとの別れはきっと辛かったでしょうね。
今まで思い込んでいた家康像がこの大河ドラマを見てガラッと変わったように思います。
少なくとも私は、この「どうする家康」の家康に親愛の情を抱きましたし、三河家臣団1人1人に強烈な興味を抱きました。
人として、とても大切な一本の芯を持つ弱き白兎が天下人になるストーリー。
1年間、とても楽しく視聴することができました。
冒頭シーンのアニメーションも毎回楽しみでしたし、オープニングの変遷も楽しかったです。
44回だけのピアノ版のオープニングにも驚かされましたね。
毎回驚きと感動を与えてくれた「どうする家康」に感謝です。
本当にありがとうございました。